はい、ラップの話の続きです。
世に言う日本で最初のラップ作品を含むアルバム(Wikipediaにもそのような書き方がされています)、佐野元春"VISITORS"です。念のため、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」とどっちが早いのか調べてみたら、佐野元春が半年くらい早かったです。
さて、改めて聴いてみました。
特に1曲目の"COMPLICATION SHAKEDOWN"に驚いた。街で流れている今のヒップホップと云われても全然分からないと思います。すごいじゃん!
あえて今の作品と何処が違うかというと、カラオケを多分、ちゃんとミュージシャンを呼んで録音していると思われること。いきおいその演奏はロックまたはファンクの延長でそれが今の流行かというと、ちょっと違うのかもしれない、というくらいのものです。今のヒップホップはサンプリングでベーストラックを作るんでしょ?作曲・演奏力ではなくて、編集センスが勝負なんでしょうね。
もともと佐野元春は歌詞の文字数が多く、メロディが付いている曲でも同じ音程を連続して歌詞を乗っける歌い方をしていましたから、ここで聴けるラップもちょっとメロディが感じられ、Dragon Ashや今流行っているケツメイシ、リップスライムなどのラップに近い耳触りになっています。
「半年後」の吉幾三(セールス的にはこっちが上じゃないか?)は民謡調演歌のトラックで、あまり音程を感じさせないラップをやりました。これは秋田音頭にも似ていますが、本人はラップ(のパロディ)のつもりのはずです。
一方、日本には八木節や河内音頭のように節があって、最初に歌い手が自己紹介して(「ちょいと出ました三角野郎」、とか「お見かけ通りの若輩で」、とか)、そこからいろんな話を始める、というラップに近いスタイルがありました。無理な解釈ですが、佐野元春や現在のリップスライムやケツメイシに近いと言い張れるかもしれませんね。
とにかく、日本における現代ラップの夜明けは、佐野元春と吉幾三だった、と決めつけたところで次へ。
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