2007/09/30

強く儚い者たち/Cocco

最近、iPod nanoで移動中に音楽を聴いているんですが、選曲が面倒くさくなると「曲をシャッフル」にして、ランダムに出てくる曲をだらだらと聴いています。
全曲がすごいお気に入り、というわけでもないので当然好きな曲、どうでもいい曲が流れて来ます。好き嫌いを越えたところでやたら存在感があってついちゃんと聴かされてしまう曲というのもあります。

前にちょっと触れましたが、Coccoの「強く儚い者たち」なんかは好き嫌いを越えて、ちょっと聴きこんでしまいます。曲は平凡なんですが、やっぱり歌詞が強いんですね。今歌っている曲(「甘い香り」)より言葉もちゃんと伝わって来ます。

Cocco - 強く儚い者たち - Single - 強く儚い者たち


この歌のストーリーは、港(夢のような南の島なんでしょう)の女が旅の若い男を捕まえて、誘惑しているというようなことで、そういう色恋沙汰は古くから演歌・歌謡曲の題材によくある話。ただ、演歌・歌謡曲では、コトの後で、その港を離れた男が遠くから女を恋しがっていたり、女が出て行った男への未練を歌うのに対して、この曲は今まさにそういうコトになろうとしている現場を歌っているのが新しい感じがします。
で、Cocco姐さんが若い男に云ってるのは、「子どもっぽい感傷を捨てて大人になりなさい」であり、「女って云うのはあなたが思っているようなものじゃないのよ」ということです。ニューミュージックな男の子はその言葉を浴びせられて女性に対する幻想を壊され、海辺で夜更けまで泣き続けた後、どうしようもなくなって、甘いお菓子をもらいに姐さんの部屋に行くことになるわけだ。

2007/09/24

Shangri-La/電気グルーヴ

電気グルーヴもヒップホップなのかと思っていたら、普通はテクノに分類されるんですね。
確かにこの曲およびこの曲が収録されているアルバム"A"にはラップはほとんど使われていません。
私がこの「日本のラップ」シリーズで電気グルーヴの話をしようと思ったのは、例えば初期のアルバム"662 BPM BY DG"などでの非常に攻撃的なラップのイメージがあるからです。
"DENKI BIRI BIRI"とか、聴いているととても痛快ですが、絶対に電波媒体では放送できないことを云っています。

日本のヒップホップの主流にいる強面系ラッパーに漂うのは体力に裏打ちされた不良の匂いであり、犯罪を犯すなら好奇心からの薬物、あるいは短絡的な欲求による恐喝、婦女暴行、喧嘩の果ての殺人あたりだと思われます。しかし、電気グルーヴからは、引きこもりの末の幼児誘拐殺人だとか親殺しといった救いようのない、根の暗い犯罪が想像されます。
あるいは強面系は躁鬱的であり、電気グルーヴは神経症的とでも云いますか。
どっちにシンパシーを感じるかというと、私は電気グルーヴの方なんですけども。

2005年に電気グルーヴはスチャダラパーと合作でアルバムを発表します。
大学のサークルで喩えると、文芸連と学研連の合同研究発表ですね。両者とも体育会とは話が合わなそうです。

さて、このシリーズも1997年まで戻って来たわけですが、ここから現在までの10年を語るためのテキストは何を選べばいいのでしょう?"Dragon Ash"?

2007/09/22

DA.YO.NE/EAST END×YURI

話の流れとして、この曲の話を書かないわけにいきません。ブックオフで250円で売っていたアルバムも買って来ました。でも、やっぱりうまく書けそうにありません。

うまく書けませんが、日本でマイナーだったラップを、商業的に成功させた功労者です。ブレイクしたのは1995年。歌っている内容は頭悪そうな日常会話ですが、ところどころに日本語とリズムに関して実験しているところもあり、ぼーっとして聴いていると気がつかないところで追究するものの存在を感じさせられます。
実際、"denim-ed soul 2"の中で彼らは「俺たちに続け」というメッセージを発信しています。

MC Hammerの"U Can't Touch This"から約5年、日本のラップ/ヒップホップはこの辺にいたんですね。

2007/09/20

今夜はブギー・バック/スチャダラパー

日本のヒップホップの夜明けは1994年のようです。
この年、「タモリのボキャブラ天国」のテーマソングとしてこの曲が採用され、また「DA.YO.NE」が発売されています。「DA.YO.NE」が実際に大ヒットし、EAST END×YURIが紅白歌合戦に出たのは1995年。この2年が重要な年ということになります。

スチャダラパーは最近のヒップホップの人たちとはかなり違う雰囲気で、強面なところがほとんど感じられません。MCボーズの声が落語的であり、アニの声はおぎやはぎ的でいずれも脱力系。早口でまくしたてるよりもリズムに乗ってゆったりと言葉が流れる感じ。本格的ヒップホップというよりも、変化球です。
ヒップホップは日本人をバッターに迎えて、初球をカーブから入ったということになります。

私が持っているのはこの曲が入っている5曲入りミニアルバム「スチャダラ外伝」です。歌詞カードを見るまでもなく、最初から最後まで何を言っているか非常に明確。特にボーズの滑舌は上手い落語家のようであり、外見が水道橋博士と紛らわしいこともあって、知らない人には芸人に見えます。

2007/09/14

VISITORS/佐野元春

はい、ラップの話の続きです。
世に言う日本で最初のラップ作品を含むアルバム(Wikipediaにもそのような書き方がされています)、佐野元春"VISITORS"です。念のため、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」とどっちが早いのか調べてみたら、佐野元春が半年くらい早かったです。

さて、改めて聴いてみました。
特に1曲目の"COMPLICATION SHAKEDOWN"に驚いた。街で流れている今のヒップホップと云われても全然分からないと思います。すごいじゃん!
あえて今の作品と何処が違うかというと、カラオケを多分、ちゃんとミュージシャンを呼んで録音していると思われること。いきおいその演奏はロックまたはファンクの延長でそれが今の流行かというと、ちょっと違うのかもしれない、というくらいのものです。今のヒップホップはサンプリングでベーストラックを作るんでしょ?作曲・演奏力ではなくて、編集センスが勝負なんでしょうね。

もともと佐野元春は歌詞の文字数が多く、メロディが付いている曲でも同じ音程を連続して歌詞を乗っける歌い方をしていましたから、ここで聴けるラップもちょっとメロディが感じられ、Dragon Ashや今流行っているケツメイシ、リップスライムなどのラップに近い耳触りになっています。

「半年後」の吉幾三(セールス的にはこっちが上じゃないか?)は民謡調演歌のトラックで、あまり音程を感じさせないラップをやりました。これは秋田音頭にも似ていますが、本人はラップ(のパロディ)のつもりのはずです。
一方、日本には八木節や河内音頭のように節があって、最初に歌い手が自己紹介して(「ちょいと出ました三角野郎」、とか「お見かけ通りの若輩で」、とか)、そこからいろんな話を始める、というラップに近いスタイルがありました。無理な解釈ですが、佐野元春や現在のリップスライムやケツメイシに近いと言い張れるかもしれませんね。

とにかく、日本における現代ラップの夜明けは、佐野元春と吉幾三だった、と決めつけたところで次へ。

2007/09/11

トレイン/ケツメイシ

最近、iPodを買い替えまして、初代"shuffle"から第2世代の"nano"に買い替えました(そしたらすぐにnano新型が発表されましたね。あとiPhoneそっくりなのとか。私は音楽が聴ければいいので、別に旧型でいいんですけどね)。これで、ピンポイントで曲を選んで聴くことが出来ます(考えてみれば不思議なプレイヤーですね、"iPod shuffle"は)。


さて、そんな私は今、"nano"を使って日本のヒップホップを研究しています。お盆に日本語ロックの話を集中して書いた時に、次は日本のラップ/ヒップホップ、「秋田音頭からケツメイシまで」などと書いていましたが、なにせ「電気グルーヴ」より新しいのを聴いてないもんですから。で、一番取っ付きやすそうなのがケツメイシだったので「ケツノポリス5」を聴いてみました。

えー、聴きやすかったです。歌詞の内容も伝統的な、別れた彼女の歯ブラシがどうの、と財津和夫か槇原敬之のような描写があったり、エビちゃんがたくさん出てくるCMの曲はちょっと"Help!"に似てたりして。

その中でも「トレイン」はメロディが中年にも分かりやすいですね。前に聴いた"ORANGE RANGE"に比べて仕上げが奇麗ですし、そこそこ年齢もいってるようなので、云ってることも相応の含羞と扇動的な部分の割合が適度(このジャンルとしてはややおとなしすぎるキライがありますが)だと思います。
MCが3人くらいいるんでしょうか?
歌の部分でリードをとる人と、佐野元春に似た声の人と、坂崎幸之助に似た声の人がいますね。

そして、昔のラップはバックの音に合わせるというより音程を感じさせない台詞で語っていましたが、ケツメイシに限らず最近流行っているラップはバックの音程に合わせて歌うようにしていますね。というようなことが分かったところで、ある程度歴史を遡りつつこのシリーズをぼちぼち続けることにします。


2007/09/03

R35 Rock&Pops Super Hits/オムニバス(Disc2)

昨日に引き続き、R35 Rock&Pops Super Hitsの話の続きをします。
今日は後半、Disc2の18曲を紹介します。

1.The Power Of Love/Huey Lewis & The News
例のゴースタバスターズの元ネタがこの曲なんだとずっと思っていたら、その2年前のアルバムの中の曲のことだったんですね。ま、いずれにせよこの人が「ガッツだぜ!!」のお祖父さんというわけか。声も歌い方も"Van Halen"のデイブ・リー・ロスに似ている、というかこれが正統派ロック・ボーカルというものなのか?このR35のDisc2は映画のテーマソングが多いんです。

2.Don't Stop Believin'/Journey
高校の同級生が、これと"Cheap Trick"が好きだった。テレビに出てくる音楽しか知らない私には何のことやら…でしたが。

3.Danger Zone/Kenny Loggins
「トップガン」は面白かったなあ。会社の先輩の家で3回くらい見たのですっかり内容を覚えてしまいました。中森明菜の"DESIRE"が聴こえてくるのは空耳が過ぎるか?

4.Eye Of The Tiger/Survivor
映画のテーマ、しかも人気シリーズの何作目、というのはその世界の中で思いっきりやれるので、作る方もピントが絞りやすいんでしょうか?もう、臆面も無い盛り上げ方です。ギターのカッティングもいいが、ピアノがカッコいいですね。シンセサイザーは奥の方でストリングス系の音を出しているだけですが…。

5.The Final Countdown/Europe
ロッキー3が"Eye Of The Tiger"で、"4"がこの曲です。こちらはもっと派手にするにはこれしかない、という倍音たっぷりのシンセから始まります。前に書いた"Every Little Thing"の"Dear My Friend"のイントロがこんな感じ。ハウンドドッグの"ff"と書こうと思ったら、あっちの方が発表が早いようです。逆輸出?というか世界中のロックバンドがシンセサイザーというものをどうかっこ良く使うかを研究していた成果なんでしょうか?

6.Mr.Roboto/Styx
「まーたーあうひまでー」は「ま」を前に出して「(ま)たーあーうひまでー」と載せた方が日本人的だと思うんですが、Styxの人は二重母音は万国共通で長音になるだろうから、と「あう」を一つの音符に載せたんでしょうか?ところが歴史的には「あう」は「あふ」だから、やっぱり2音節使ってくれないとネイティブ・ジャパニーズには違和感があるんだよなー、という屁理屈を最近買った旧仮名遣いの本を読みかじって構築してみた。

7.Owner Of A Lonely Heart/Yes
これもイントロが特徴的。イントロにそのまま使っちゃうとあんまりなので、間奏でちょっと拝借してみたのが中森明菜の「サザン・ウインド」。さっきの"DESIRE"が濡れ衣でないとすると、本家が流行った翌年に使う、というのが彼女のスタッフの常習的手口だったようです。

8.Get It On(Bang A Gong)/The Power Station
このギターのカッティングもカッコいいですね。真似したくなる。なんかすごく良く聴く気がするけど、具体例が思い浮かばない。

9.Wild Thing/X
こちらはもっと泥臭いですがギターが印象的。Disc2はそういう曲を集めたんでしょうか?「メジャーリーグ」の一番良い場面でかかる、メガネのピッチャーのテーマソングです。

10.La Bamba/Los Lobos
日本では菅原洋一も歌う、もはや古典です。解説を読むと映画用にロス・ロボスが演奏したとのこと。おそらくアレンジもオリジナルに近く、録音だけが新しいということだと思います。

11.Call Me/Blondie
"Blondie"って、ボーカルのお姐さんが金髪美人だったんですよね、確か。香坂みゆきの2つあるヒット曲のうちのひとつ「気分をかえて(1981年)」がやはり1年後に出ていますが、これも言い訳できないレベルで似ている。山崎ハコも外見に似ず大胆なことをやるなあとリアルタイムで思っていたが、今はどういう打ち合わせでそういう曲作りになったのかに興味がある。それにしてもこの頃のアイドル歌謡ってやつは…。

12.Long Train Runnin'/The Doobie Brothers
歌詞カードには1973年と書いてありますが、どうしてこんなに音がいいんでしょう?この辺になってくると似ている場合は「引用」と解釈した方が良い例が多いでしょうね。山下達郎「スパークル」のイントロなんか雰囲気ですが、押さえているコードが違いますし、こういうギターの聴かせ方という定石がここで出来た、ということなんでしょうね。

13.What A Fool Believes/Matt Bianco
オールドスタイルな感じのする曲にシンセベースが当時の「現代」を感じさせます。トランペット(だよな)の音がこんなに和む作品も珍しいのでは?

14.My Sharona/The Knack
出ました。イントロクイズが全く無意味な1曲。ずっとイントロみたいな曲だもんな。このフレーズは不滅というか、神懸かりと云って良いと思う。

15.I Was Made For Loveing You/KISS
KISSって、もっとうんと昔のバンドだと思っていたら、この曲が79年なんですね。音楽的にはちょっと他のナンバーより落ちるような気がするが、ファンは多いですから、入ってくるのは当然でしょう。これもギターの「ざっざー、ざっざざーん」という音が印象的ですが、一度頭の中でこのギターに合わせて「せくしゃる、ばいおれーっと」と歌ってしまうと、後はそうとしか聴こえなくなります。試してみよう!

16.Black Night/Deep Purple
ここからラスト3曲はR35というよりもR50の世界のような気がしますが…、まあ何度もCMなどに使われていますから、意外と幅広い年代でそれぞれに懐かしい曲なのかも知れませんね。間奏部分のギターの低音弦で弾く3連フレーズを延々と弾くとオフコース「歴史は夜つくられる」のイントロに…。

17.Born To Be Wild/Steppenwolf
これもイントロのギターが印象的。ユニコーン「与える男」のイントロはこれの「引用」ですね。奥田民生は拝借したアイデアだけで1曲を作ることはなくて、きっかけだけとかブリッジのフレーズに有名曲の一部をはめるのが得意で、初期のPuffyではそれを徹底的にやって「見せた」わけですね。

18.Stand By Me/Ben E.King
最後は1960年の曲です。うーんすごいですね。シンプルです。ベースラインが最後まではっきり聴こえて、音階を覚えて歌えそうです。これも古典であり定石でしょう。なぜか舘ひろし「泣かないで」が聴こえてくるのは、空耳が一段と酷くなっていますか?


というわけでDisc2まで聴き終わりました。
今回、このCDを買って来た理由は、お盆休みに書いていた「日本語の問題」を考えているうちに、「外国のボーカリストは英語をどう歌っているのか?」という疑問が改めて湧いたからです。ロックサウンドを優先する中で、ミスチルのように単語を変形させたり、巻き舌で歌ったりしているのかをできるだけ多くのサンプルを集中して聴いてみたかったからです。
ただ、私には英語のヒアリング力がありませんから、結局本当のところは分からないのですが、おそらく多くの英語圏のロックボーカリストは母国語を聞き取り可能な発音で歌っているのではないかと感じました。ちょっと違うんじゃないのかな、と思ったのはM.C. HammerとDavid Bowieの芝居がかった2例でした。

では日本人はどうやってロックを歌ったら良いのか?その答えはもう出ているのか、まだなのか?風に吹かれているのか?

2007/09/02

R35 Rock&Pops Super Hits/オムニバス(Disc1)

さて、ニューミュージックからJ-POPへと邦楽が発展する中で、消化すべき元ネタとなったのが、この"R35"に収録されている曲たちなんでしょう。
欧米で成立した音楽を日本人がやるにあたって、いきなりオリジナリティを要求するのは難しいのかもしれませんね。また、本家の欧米のアーティストにしたって、先人の成果の上に自分のものを積み上げて行くわけですから、日本のアーティストに対してだけこれはあれの真似だ、パクリだと指摘するのは音楽の可能性を狭めることになって、結局は日本の音楽をつまらなくしてしまうことになるのかもしれません。

ただし、短期間で売れれば良い、または経営上売らなきゃならない、という動機で安易に既存の外国曲のアイデアを拝借してヒット曲を作ったところで次に繋がるものはないわけで、やはり自分たちでそこに何か付け加えた形で新たに発信しなければ、自分は創作活動をしているとはいえないのではないでしょうか?

このR35に収録された曲は、1から10までではないかもしれないけれど、後に続く者になにかをインスパイアさせる力を持っている曲だと思います。

それでは、このオムニバスに収録されている曲を紹介しましょう。まずはDisc1から。

1.JUMP/Van Halen
7月1日のエントリでも触れているので話題が重複しますが、シンセサイザーの白鍵を2本指で適当に弾いてると生まれるシンプルだがカッコ良いイントロ、しかもその後のギターがとんでもない名演。曲自体は似ていないが、前に書いたように"Every Little Thing"の"FOREVER YOURS"の間奏はこの曲のエディのギターソロの、不完全コピーです。

2.Wake Me Up Before You Go-Go/Wham!
Wham!のアイドル歌謡っぽい可愛い曲。彼らのヒット曲である「ラスト・クリスマス」に夏の話の日本語詞をつけてカバーし、一躍有名になったのが"J-WALK"。

3.Psychic Magic/G.I.Orange
サビがむちゃくちゃ印象的ですが、実はイントロやAメロに使いやすそうなアイデアがいっぱいありますね。

4.Take On Me/a-Ha
発声練習みたいな曲。地声でかっきり2オクターブ(Aから2つ上のA)使って、ファルセットでまだ上がある(ちょうど山下達郎の音域ですね)。4オクターブ出る、とか云って威張っている人は一回テレビでこの曲を歌ってみせて欲しい。宇多田ヒカル「蹴っ飛ばせ!」はたぶんこの曲へのオマージュ。

5.Mickey/Toni Basil
最近ゴリエがカバーしてリバイバルヒットしました。渡辺美里「恋したっていいじゃない(1988年)」がそっくりですね。

6.There Must Be An Angel/Eurythmics
ちょっとJ-POPでは生まれてきそうにない、キリスト教文化を感じる格調高い曲。スティービー・ワンダーのハーモニカがカッコイイ。

7.Relax/Frankie Goes To Hollywood
イントロだけでなんの曲かすぐ分かるオリジナリティがすごい。中森明菜の"BITTER AND SWEET"というアルバム(1985年)の中に"BABYLON"というそっくりの曲がある。多分明菜が「コンサートで"Relax"を歌いたい」と言い出して、アイドルにちょっとこの歌詞の内容は…ということで似た曲を発注したんでしょう。

8.Venus/Bananarama
Bananaramaのバージョン自体がカバー曲であり、日本で孫カバーしたのが当時の中途半端なアイドル、長山洋子。この曲でやっと日の目を見た(その後の意外な展開には驚いた)。モーニング娘。もこの曲のパロディ「LOVEマシーン」で国民的アイドルグループになった。底力がある曲なんでしょうね。

9.U Can't Touch This/M.C. Hammer
「バブルへGo!!」の船上パーティーの場面でも使われた超有名曲。M.C. Hammerの発音だと「ケンタシティス」と聴こえるが、これが正規の英語の発音なのか、黒人独特の訛りなのか、彼の国でのツッパリ系発音なのか、極東の島国から1歩も出たことのない私には判断が付かない。とにかく現代日本のヒップホップの原点がここに。強面に喋るだけ喋って、疲れると「休憩~っ」てサボって、いいところになると「俺の番だぜ」って戻ってくる繰り返しが可笑しい。"Stop,Hammer time"のニュアンスをきっちり日本語に出来た奴が日本のラッパーの頂点になる、と私は思う。

10. Every Little Step/Bobby Brown
これもラップですが、M.C. Hammerと違っていたってイージーリスニングな曲です。似てる曲がいっぱいありそうだが、具体例が浮かんで来ない。いつもどこにでも流れているような気がするんですが。というか、M.C. Hammerを聴いてた連中がデブ5人くらいで輪になって歌うラッパーになって、こっちを聴いてた人がリップ・スライムとかケツメイシになったんでしょうか?また勉強しときますけど…。

11.Let's Go Crazy/Prince
この人はオリジナリティがありすぎて真似しにくいんでしょうね。岡村君?ちゃんと聴いたこと無いのでパス。

12.The Reflex/Duran Duran
この頃のイギリスもののボーカルって声がよく似てますよね。ボーイ・ジョージだといわれればそんな気がするし、ジョージ・マイケルだと言われればそんな気がする。特にカルチャー・クラブとは、全然違うものと思いきや、ギターの音とかも似てるんだな。曲はとにかく派手。理屈抜きで楽しい。ちょっと子どもっぽいけど…。

13.Let's Dance/David Bowie
それにしてもデビッド・ボウイのルックスと発声のギャップに改めて驚かされる曲。M.C. Hammerとはまったく別の流儀ですが、この発音もわざとなんでしょうね。「ふろーぅぅわ」って怖いわ。Gacktがなんでいつも声をあーゆー風に加工しているのか、という答えのヒントがこれかも。ビジュアル系の元祖がこれなんでしょうね。あと、荻野目洋子がコーヒー・ルンバの途中で叫んでいたのもこれだ。

14.Don't Stop The Dance/Bryan Ferry
"I Like Chopin"(1983年に出ているので、そっちが先)に似てない?解散直前のオフコースもこのテのサウンドが多い。例「昨日見た夢」

15.Invisible Touch/Genesis
英語は出来ないけれど、このPhil Collinsの英語はすごくよく聴き取れるような気がする。基本的に外国のロックボーカリストは発音がしっかりしてると思うんですが、どうでしょうか?
オフコースの"I'm a man"(1987年)がこのまんま。ミキサーのビル・シュネーは止めなかったのか?ビジネスに徹していたのか?

16.She Drives Me Crazy/Fine Young Cannibals
このイントロはさすがにパクれないよな。シンプル&有名すぎる。

17.Don't Get Me Wrong/The Pretenders
今でも何かの番組のテーマソングに使われてますね。ちょっと言い訳できないほど似ているのが本田美奈子の「ワンウェイ・ジェネレーション(1987年)」。

18.Silly Love Song/Wings
同じCDに入っているとこの曲だけ音圧が低くてボリューム調整してしまう。テクノロジーが一世代昔なんでしょうね。さて時は1979年。"Three and Two"のレコーディングに集まったオフコースの面々、
「仁、ベース練習してきたか」
「Wingsだったらバッチリや」
「じゃ、この曲そんなかんじで」と小田和正が持ってきたのが「愛あるところへ」
「俺のもそんなかんじで」って松尾一彦が持ってきたのが「君を待つ渚」。
「キャラかぶっとる(当時はこの言い回しはない)やん。元は一緒やから俺はどっちでもいいけど…」
「じゃ、松尾の曲は没ね。コンサートの時はやらしてやるからさ」
「せっかく作曲印税が入ると思ったのに…」
「年下なんだから口答えするなよ」
このときの不満が10年後に爆発し、オフコースの解散に繋がった…というのは嘘にしても、出だしの効果音は後に「アレンタウン」になったような気がするし、 "I〜Love〜you〜"が"Take〜 on〜 me〜"になったようにも思う。ついでにこの、"I 〜love〜 you〜"の声って小田さん?とか思うんだよなあ。やっぱり、ポールって偉大?

R35 Rock&Pops Super Hits/オムニバス(トレイにCDが入っていません)

この項では、まだ中身の話にはなりません。


"R35 Rock&Pops Super Hits"は熱心な洋楽ファンには呆れ返っておヘソで茶を沸かしたくなるような、ベタなヒット曲がまとめてあります。その分、私のように音楽的にぼんやり生きていた一般消費者でも、曲名とアーティストは答えられなくても、あ、これあの頃よくかかってたなあと思える曲ばかりです。惜しむらくはおそらく大人の事情系理由でマドンナやマイケル・ジャクソン、ビリー・ジョエルが入ってないのが唯一の弱点ですが…。

もし、同じように"R50 Rock&Pops Super Hits"というのが企画され、ビートルズ、ストーンズ、キャロル・キング、PPM、S&G、CSN&Yなどが入ったら、J-POPの歴史が全部語れる素材になるかもしれませんね。


ビートルズやストーンズの出現をきっかけにして、60年代の日本では片やグループサウンズ、片や商業主義に背を向けたロックという大きく分けて二つの流れが出てきました。その前にはフォークソングのブームもあり、こちらも小奇麗なアイビールックの大学生がアメリカのフォークソングのカバーや職業作曲家の作品を歌うタイプと、小汚いカッコで自作の反体制的メッセージを歌うタイプの2種類が存在しました。

70年代の初頭にはグループサウンズは廃れ、アンダーグラウンドなフィールドから出現した「はっぴいえんど」が新たな日本語ロックの潮流を作りました。一方フォークソングも、「帰ってきたヨッパライ」や「走れコータロー」などのメガヒットが生まれ、また吉田拓郎が森進一へ楽曲を提供して成功するなど、大手による商業音楽への合流(吸収?)が進みました。また、フォークソングもある程度「サウンド」に目覚め(または、ボブ・ディランもそうやってるからという理由か?)、ギター1本で絶叫していた歌手が、いつしかエレキギターを手にロックバンドの編成で歌うようになりました。これがフォーク・ロックと言われ、直接のニューミュージックの祖先にあたります。人類で言うとクロマニヨン人のようなもので、遺伝子的にはニューミュージックとなんら違いのない存在です。

70年代中盤から後半にかけては、名称も定まって、いわゆる「ニューミュージック」が成立しました。
テレビの世界には無縁だった「シンガー・ソングライター」が、テレビの歌番組で、キンキラキンの演歌や歌謡ポップスの歌手と同じ画面で並んで映ることが珍しくなくなりました。その画面の中には、歌謡界からフォーク・ロック界への親善大使だった太田裕美がいましたし、シンガー・ソングライターでありながら歌謡曲のステージに飛び込んだ庄野真代や五輪真弓がいました。


ニューミュージック連中のサウンドへのこだわりは、最新の洋楽ヒットをチェックし、自分たちで再現するという方向で、どんどん新しい技術を吸収していきました。
折しもジャズとロックが融合した「クロスオーバー」や「フュージョン」と呼ばれる、ロックバンドの編成で超絶的テクニックを交えた格好いいインストロメンタルの演奏を聴かせる音楽も流行してきました。

ニューミュージックもそれらの影響を受けて発展していきました。演奏テクニックならチョッパー・ベース、バイオリン奏法、ライトハンド奏法…。また、音作りの技術も発展します。バスドラムやスネアドラムの音色の変化、コンピューターと同じテンポで驚異的な発展を続けるシンセサイザー類…。
1980年代になると、もはや「ニューミュージック」というジャンル名自体に手垢が付き始め、「俺たちはニューミュージックじゃない」というのが当時のミュージックシーンのトップランナーの自意識になりました(それは時代が下っても「俺(たち)は渋谷系じゃない」とか「俺たちはビジュアル系じゃない」と云うアーティストの意識と同じでしょうね)。

オフコースなんかが代表でしょう。TOTOやWingsのサウンドを取り入れ、5人のメンバーのうち4人がリードボーカルをとれる歌唱力があって、完成度の高い声のハーモニーと演奏で、半年かけて作り込んだレコードと同じ音をライブで再現できるのが当時の彼らのウリでした。本人たちの自意識はどうあれ、1980年代初頭において、彼らは「ニューミュージックの頂点」でした。

その後数年の間にニューミュージックは一段とロック色を強めたり、R&Bやテクノポップの要素を加えて、"J-POP"と呼ばれるようになり現在に至るわけです。

ここまでが前段です。

2007/09/01

九月の雨/太田裕美

9月になったので、9月の歌を。

私の太田裕美ファン歴は1977年発売の「九月の雨」から始まります。当時私は中学生でしたが、前年に大ヒットした「木綿のハンカチーフ」はあまり好きではなかった。ちょうど父の転勤で首都圏から愛知県に都落ちした頃で、田舎の女の子と都会に行った彼氏の物語が癪に障ったのかもしれません。
その後の「しあわせ未満」、「恋愛遊戯」がお洒落で、その頃から意識して聴くようになり、「九月の雨」が入ったベストアルバム"Hiromi Selection"をお小遣いで買ったところで完全にハマりました。そのLPジャケットが実物の3割増くらい美人に写っていたこと、年齢不詳の声が私から見たら8歳もおねえさんなのにもかかわらず親近感をもてたこと、の2点が大きかったですね。

さて、「九月の雨」は太田裕美のシングルの中でも例外的に歌謡曲よりの曲です。
彼女は実際には当時最大手の芸能プロダクションに所属しており、変わった声のアイドル歌手として芸能生活をしていても不思議の無い人でしたが、ピアノの弾き語りが出来たことと、はっぴいえんどでその日本語ロックの作詞をほぼ一人で担当していた松本隆が(後に小室哲哉が華原朋美に入れ込んだみたいに)プロデューサー的に関わることで、フォーク・ロック的な楽曲を歌う、独特な存在でした(まだニューミュージックという言葉は流通していなかった)。
特に前作「恋愛遊戯」が当時としてはかなりお洒落なボサノバだったので、歌謡曲ど真ん中な「九月の雨」には、子供なりにちょっと戸惑いました。彼女はこの曲で年末の賞レースにもほぼ皆勤賞で顔を出し、その意味では一回ちゃんと歌謡曲として評価をもらっておこう、というような戦略もあったのかもしれません。

なお、太田裕美本人の著書「太田裕美白書」によると、筒美京平は「九月の雨」をABBAを意識して作ったのだが、ちょっと違ってしまった、ということらしいです。2コーラスが終わってから転調して畳み込んでくる大サビが素晴らしく、しかし太田裕美がその声の性質上たたみこめない非力さが却って感動を呼ぶという、不思議な効果を生んでいます。