2009/04/29

ハナウタ〜遠い昔からの物語〜/エレファントカシマシ

レコード業界の物流がどうなっているのか知りませんが、休日にも関わらず今週の新譜は今日29日に発売になっています。
エレファントカシマシのニューアルバム「昇れる太陽」も本日発売なんだそうです。



私はアルバム買うほどのファンではありませんので、iTSで美味しいとこだけダウンロードしようと思って、一番人気があったこの曲を落としてみました。
エレファントカシマシ - 昇れる太陽

以前に触れた時にも書いたのですが、エレファントカシマシの音楽は「良い意味で」アマチュアっぽく、ちょうど私くらいのレベルの音楽ファンにとって耳で拾いやすく、マネをしてみたくなるような音楽です。
この曲もイントロ8小節→Aメロ8小節→Bメロ8小節(+ブリッジ)→サビ前半8小節→サビ後半8小節と構造がはっきりしていて、ノートにばっばっと線を引いて分解しやすいことこの上無し。ピアノとギターとオルガンが聴きやすいので、コードも拾えそうです。

同じような編成のバンドでもミスチルやスピッツだと途中でそんな作業はしたくなくなりますが、エレカシだと最後まで挑戦しようかな、と思わせる。敷居が低いです。ついでに歌詞の聞き取りも容易で、これは最近のJ-POPでは希有と思わせるスタイル。喉大丈夫かなと思うほどストレートな発音と発声です。
昔、私が今よりもうちょっと熱心に曲作りをしていた頃、やろうとしていた方向に近いです。
ただ私はコーラスとシンセ音は入れたかった人なので、これほどロックではありませんでしたが、エレカシも有名な曲は意外と普通のポップスと共通する展開をしているので、遠い感じはしません。
この「ハナウタ」でも前半のコード進行はロックっぽい動きをしているようですが、サビの後半では「クリシェ」と云われるベース音の半音下降がやけにはっきり使われていて、作り手の発想の順番がトレースできるような気がします。

ただJ-POPとはいえ、エレカシのメンバーも既に40代。この音楽が今どのように受けとめられているのかが良く分かりません。ファンは30代女性?あるいは30代男性?
私が今から曲を作ったら間違いなく同じような背景を感じさせるスタイルになると思っていて、それが恥ずかしくて自作から遠ざかっているのですが、今でもこういうの本当にありですか?オジサンもやっていいすか?と誰かに訊いてみたい気分。

2009/04/19

It's all Love!/倖田來未×misono

桑田佳祐とは打って変わって、倖田來未と実妹・misonoのデュエットを聴いてみました。


iTSでバラバラ落としてくれば、200円で聴けます。
サウンドのみ→倖田來未×misono - It's all Love! - EP - It's all Love!
ミュージック・ビデオ→It's all Love!

倖田來未にはほぼ全く興味が無く、特にここ2年くらいは主観的には全く退屈なよくあるバラードを唄っている人としか思っていませんでした。ですが今回、狸顔がかわいい妹と組んでなにやらはじけた気配の歌を出したということで、ビデオをiTSで落としてみました。

すると曲が全く印象に残らなかったので、改めてもう200円出して曲だけiPhoneでループさせながら聴いてみたところ、まあまあ良かったです。もともとこの曲は、歌手として行き詰まりを感じさせる(というキャラでバラエティに出ている)妹の方の救済措置であるかのように見せて、実は倖田來未へのレバレッジにもなっている、というよく考えられた戦略商品だと思われます。曲のフォーマットは遠い昔に私が相棒とカラオケで歌った"BOMBER GIRL"(近藤房之助&織田哲郎)に似ています。
個々のメロディをバラして聴くと、どこかにあったような部品の寄せ集めで、とにかく美味しいところをずらっと並べましたから、歌に自信がある人はカラオケで遊んでね!という感じ。ハモリもちょっと楽器とか触っている人が良く聴けば耳コピ可能です。私はこのブログで商業主義ぷんぷんの曲を批判しているように思われているのかもしれませんが、本当に批判したいのは「計算とテクニックだけで作っているくせに素人の美しい誤解で良い曲だ、と思わせようとしている曲」で、このように最初から開き直っている曲は好きです。

さて、この作品ではビデオ映像やパート割りで「スリムなお姉ちゃん&ちび(でぽっちゃり)の妹」「低音のお姉ちゃん&ハイトーンの妹」という図式を成立させようとしています。Wikipediaの記載が本当なら、二人は同じ身長で、しかも意外と小柄(154cm)なようです。あと、ダンスは二人とも得意じゃないみたい。お姉さんはそれなりにビッグネームになって世間にもそれなりの幻想が流通していますが、妹の方は魔法が解けた倖田來未を体現しているような存在になっており、その意味でmisonoの存在は実は倖田來未にとって結構危険な存在になっていることに気づかされます。
でも、ルックスなら断然私は妹派ですが…。

2009/04/02

昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦/桑田佳祐(Disc-2)

「ひとり紅白歌合戦」の後半、Disc-2の話。

Disc-1が懐メロ主体であり、かつ作り込みの深いプログラムだったのに対して、後半はややリラックスムード。「ヒロシ&ハラ坊 from SAS」の「三年目の浮気」なども織り込み(桑田本人は休憩)、サザンと同世代または後輩に当たるアーティストのヒット曲をスピーディーに展開していました。

こうして、普段の自前のバンドにおける桑田佳祐とは違う顔を見ていると、いろんなことが分かってきて面白いですね。例えばMCで段取りを進めるときの口調が先代林家三平に似ている、とかハンドマイクで唄う時に動きのレパートリーが乏しい(ちゃんと踊りを勉強したことがないので)こととか。
善くも悪くも緊張感が漲っていないステージは長尺だけれど見ていて疲れるところがないのは好ましいところです。

私はこのDVDを見ながら、米米CLUBのライブビデオのことを思い出していました。

私が見たのは上の"THE 8TH OF ACE"という作品です。「君がいるだけで」がバカ売れした直後の武道館公演のライブビデオでしたが、これも長尺かつおふざけ要素たっぷりのプログラムです。オリジナルだけでなく、例えば「さらば恋人」のカバーとか郷ひろみのパロディなんかをやっていて、「ひとり紅白」に結構近い。米米CLUBはもともと山本リンダのネタなどもやっていたので、違和感はありません。

二者に共通なのは、「あくまでも余興」という前提で展開する冗談の気楽さです。桑田佳祐もちょっとそういうところがありますが、オリジナルの作品でも自分の内面をさらけ出すよりも、「これってこういういことだよね」という批評的作品作りで伸してきた人たちです。そして時折見せる本音を混ぜたときに、それでも商売になるのが桑田佳祐で、ちょっとつらくなっちゃうのが石井竜也。今の両者にちょっとランクの違いがあるとすればその辺じゃないかなあと私は思っています。