2011/12/18

THE BADDEST~Hit Parade~/久保田利伸

なんだ~、出るなら言ってくれよ~という感じで久保田利伸のオールタイムベストが新しく発売されています。
前回のPerfumeを1枚だけレジに持っていくのが初老(;´д`)男性としては恥ずかしかったので、辺りを見回したら運良く見つけ、重ねて上にしたのがこちら。 

以前にも書きましたが「THE BADDEST(今となってはBaddest"Ⅰ"と書いた方がいいのかもしれない)」は90年代前半の若者の必携CDだったので、私も持っていました。 
その後も「THE BADDEST」というベスト盤は「Ⅱ」、「Ⅲ」と発売されていますが、それぞれ第2期、第3期のベストという位置づけで、曲の重なりはなかったよう(すみません、買ってません)ですが、今回は副題に"Hit Parade"と付いているように、初のオールタイムベスト盤ということになると思います。 
ちょっと前に「Gold Skool」の時にも書いたように、和製ブラコンのパイオニアだった久保田利伸はロック畑のニューミュージック組にはなかったかっちょいい感性をJ-POPに持ち込んでくれました。たとえばこの「BADDEST」という文法的に正しくないスラングをあえて使うところなども当時は新しかったのです(一方、聖飢魔II は自らに課した設定に忠実に「Worst」というベストアルバムを出しましていますが、こういう「14歳」な感覚も嫌いじゃないです)。 久保田利伸の衝撃はおそらく玄人筋の方が大きかったようで、そのフォロワーの多さは、今現在を含めても枚挙に暇がないほどです。ドリカムだって最初の何作かはよく似たことをやってました。初期のアルバムを聴いてると「永遠の翼」によく似た曲とかありますね。 


久保田利伸が流行って良かったのはそれまでのロック畑出身ニューミュージック勢の、棒を飲んだようなメロディライン(その方がストイックに見えた)が矯正されて、歌って楽しく耳に心地よいメロディが復活したことだと思います。ただし、歌って楽しい、耳に心地よいにあまり重心がかかると、歌謡曲の悪い部分と共通したものが顔を出して、大甘、ワンパターンに陥りますので、作り手の自己管理が重要になってくるわけですが、その後のJ-POPはどうなってますでしょうか。


という話はさておいて、実際に聴いてみましょう。 
私なんかは「BADDEST(Ⅰ)」しかちゃんと聴いてないニワカファン(かどうかも怪しい)ですが、とにかく楽しい。 
特にDisc1の前から2/3くらいまでの、まさしく初期の「ヒットパレード」部分は、気をつけないと電車の中で一緒に歌ってしまいそうになるゴキゲンさ。
日本の歌手は(照れるのか?)曲中にスキャットとかあまり入れませんが、久保田利伸はそれを多用して、前後が日本語なのにちゃんとサマになってるのも良いです(オリジナル曲で久保田利伸以外にやるのは、原田真二と吉田美和と宇多田ヒカルくらいしか知らない。憂歌団とかブルース系の人はやるか!)。
そりゃまあ、シンセサイザーのきらんきらんした装飾的フレーズや、びょんびびょびびょびょん、というシンセベースには時代を感じないでもないですが、それでももちろん今聴いてかっこいいです。 


その後、「LA・LA・LA LOVE SONG」が出てくるまではちょっと地味な時間帯があります(Disc1の後半)。今聴くとちょっと自分の業界内の地位が定まりすぎてか、窮屈になりかけているところが見えます。「LA・LA・LA Love song」や「SUNShine,MOONLight」は売上的にも成功したと思いますが、音としてはそれまでの延長という感じです。それが「Cymbals」のあたりで一区切り付いて、「Sound of Carnival」から音が一気に今風になり、それ以降は、たとえば「平井堅の最近の曲だよ」と言われてもなんの違和感もない音になっていきます。 「LOVE RAIN~恋の雨~」は初期のパターンを持ちだしたファンサービス的作品か。


「THE Baddest~Hit Parade~」は、以前からがんばって買い揃えていた人が泣かないように、一部バージョン違いも収められています。 
すぐわかるのは名曲「Missing」がBaddest(1)ではフェイクバリバリの別録音だったのを、今回はオリジナル版(と思う)で収められています。ちなみに私は「BADDEST」版で覚えてしまったので、カラオケでやると(昔ね、昔)すごく陶酔して歌っているとよく勘違いされたんですが、参照したテキストが違ったんですよ、アンダスタン?



2011/12/04

JPN/Perfume

この次はDVD付きを買うぞ、と意気込んでいたPerfumeの久々のアルバムが出ました。
ただし買うには苦労しました。AmazonでDVD付き初回限定版が予約できないのです(一応商品は出てきて、クリックもできるんだけど予定数終了かなんかで予約が成立しない)。しかたないので発売日に銀座山野楽器へ行ってみると、普通に平積みされていました。これだけ買うの恥ずかしかったので、久保田利伸のベストと合わせて買ってきました(久保田利伸の話はまた今度)。 

いざ聴いてみると、たとえ音と名前は一致しなくても、半分以上はCMなどのタイアップでテレビから流れた覚えのある曲たち。
「レーザービーム」や「ねぇ」のような攻める感じの曲と「ナチュラルに恋して」や「微かなカオリ」などほんわかしたアイドル風とを行き来しながら進んで行き、ぼけーっとしてるうちに終わりまで聴いてしまいます。
「JPN」というタイトルもスケールが大きく、かつ「AKBやSKEやHKTなどの秋元康戦略の最終型(JPN48?)を見通して先を越してやった」かのようなネーミングでなかなか痛快(邪推です)。


さて、渡辺祐氏の週刊朝日での連載によると、「イマドキのオトナ世代にはアナログ右派的なサウンド志向の方と、YMO育ちでテクノポップ上等のデジタル穏健派が混在している」そうです。
二つに分けられてしまったら明らかに「デジタル穏健派」に入らざるを得ない私です(いやその中でも右派左派古典派があってさ…とか言い出すとキリがないんですが)。 


YMOの持っていた「かわいい」部分を取り出して女の子にパフォーマンスさせるやり方は、本家YMOのお三人さん自身の手によるものも含め、80年代にやり尽くされた感じがありました(「イエローマジック歌謡曲」の項でしつこく書きました)。そんな当時の商品を含めても、Perfumeのウェルメイド感は一頭地を抜いていると思います。 
それは歌ってる本人たちの現代的なリズム感にもあると思います。
これだけ声が加工されている中で「リズム感」と言っても証拠はないですが、テレビでのパフォーマンスを見ると、本人たちもやはりただもんじゃないと思います。
Perfumeは芸能人として突出したルックスではない(顔もそうだけど、DVDで見てると結構昭和な体型に見える、人もいる)ですが、歌声やパフォーマンスの中でちゃんと上品な色っぽさを醸し出しているのはプロとして偉いと思います。
また、「ポリリズム」の頃に比べると、声の加工もマイルドというか地声が類推できるような気がするレベル(といってもどれが誰かは分かりませんが)に少しずつ変わっていっているように聴こえます。ブレイクした頃の、アニメのキャラクターのような存在だったのを、二十代の女性に相応しい質感を徐々に付け加えていく戦略なのかもしれません。

ところで、Perfumeの黒幕である中田ヤスタカっていう人はWikipediaの記述が本当なら、まだ30歳そこそこ。なんでこんなに我々に懐かしさを感じさせつつ、古臭くない音が作れるのか?あまり使いたくない言葉ですが、「天才」としか思えません。
それこそ「YMO世代」の、テクノの来し方行く末をじーっと目を離さずに見つめ続け、その上特別才能がある人物が作ってるのなら納得ですが、30歳前後の若い人がほとんど一人で(しかも達者な歌詞まで)作ってるんでしょう?
すごすぎる!