2021/07/04

AXIA 〜かなしいことり〜/斉藤由貴、斉藤由貴、上白石萌音

上白石萌音が懐メロのアルバムを出すよ、というニュースがテレビだのYouTubeのおすすめだのに出てくるので、見るとはなしに見ていたところ、曲名の中に斉藤由貴のAXIAが入っているのに気がつきました。

上白石萌音は顔が古いとか、宮崎美子そっくりとか、可愛くないのになんで売れてるの?とか言われているみたいですが、オッサンから見る限り十分かつお釣りがくるくらい可愛いし、歌が歌えるんだから、そりゃ仕事は来るだろうと思うんだけど、確かに女性ウケは悪いタイプかもしれない。

そういえば僕らの学生時代にも、すごい美人ということもないのに、なぜか男子学生から人気があって彼氏は切らしたことがないような子はいて、女子の間では「なんでブスなのにモテてるの?」と噂になったりしていたような気がします。そういうタイプ。

若い頃の斉藤由貴はビジュアルのレベルも高かったけれど、キャラクターが変だったし、ちょっと田舎っぽいイメージもあったので、そういう意味では土石流萌音と似てないこともないと思うから、今回の懐メロ・トリビュート企画の中に斉藤由貴の曲が入ってくることはなんの不思議もないんだけど、「AXIA」とはくさいところを突いてきたなあ、とは思いました。

「AXIA」は斉藤由貴のファーストアルバムのタイトル曲で、ファンの間ではすごく人気がある曲だとは知っているけれど、「卒業」とか「白い炎」とかのシングルヒット曲に比べると認知度は低く、私自身は初期の斉藤由貴は遠目で見ている感じだったので、自分では音源として購入したことはないナンバー(ベスト盤にも常に入っているわけではない)。あと、当時富士フィルムが新発売したカセットテープ(!)のブランド名がAXIAで、そのCMにも斉藤由貴が出ていたから、それでなんとなく覚えている、ということはあります。

しかも単に過去の名曲というだけでなく、斉藤由貴本人がつい最近リリースしたアルバム「水響曲」の中で新録音で歌ってるんですよね。あの騒ぎの後でこの曲歌える逞しさには感服します。それと比べられるわけです。


比べてみました。


  • 2021年の斉藤由貴(水響曲 M3)
    声はだいぶ変わっているけれど、まあ安定していますね。今にも崩壊してしまいそうな危うさを感じさせつつ破綻はしない、ヘタウマ芸に磨きがかかっている感じ。バックは生ピアノ。
  • 1985年の斉藤由貴(AXIA M5)
    ドラムはシンセ(シモンズかな)、ベースもシンセ、当時のアイドル歌謡のキラキラサウンドで、物騒な二股の恋を歌っています。デビューアルバムにして、もう歌い方が完成しているんですね。この頃の斉藤由貴がどのくらいの恋愛経験があってこの曲を歌っているのか知りませんが、文学少女だったようなのでフィクションとしては十分ありの世界観だったでしょう。
  • 2021年の上白石萌音(あの歌-2- M3)
    はい、声の出し方うまいです。でもちょっと棒読みですね。これならお父さんも安心な現実感のなさ。本人もよくわからない、とYouTubeで言ってたのを信じておきましょう。

2021/03/14

One Last Kiss/宇多田ヒカル

 あーもう宇多田ヒカルの新作でもないと更新できなくなってしまいました。困ったもんだ。本当はこの間のコロナ対策のぐたぐだ加減から見る日本のガラパゴスっぷりとJ-POPについて語るなどの構想もしていたんだだけど、面倒くさくてやってなかったわけです。

そんなわけでこの3月に宇多田ヒカルの新作が出てきてくれたのはありがたいし、しかも今作は他でもない「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の主題歌という大ネタですから聴かないわけにいかない。ただ物理的にディスクを増やすのはもう堪忍ということで、最初はAppleMusicのサブスクで聴いてたんですが、アルバムの一部がサブスク非対応なことがわかって2000円+αのダウンロードで購入しました。だったらCD買ったほうがよかったかとクヨクヨしています。表題曲と2曲めは新録音なのかな?以降は過去の作品のリマスター版が収録されているようです。

さて、"Beautiful World"`が入っているアルバムが2007年発売なので宇多田ヒカルとエヴァンゲリオンのつきあいも14年ということになりますね。エヴァンゲリオンの主人公たちも14歳だったと思うので、14という数字がやたらと強調される感じ。私は新劇場版をアマゾンプライムで一通り見た程度の知識しかありませんが、破→Qも14年経ってることになってましたしね。そして奇しくも宇多田ヒカルが"Automatic"と"First Love"で業界トップに立ったのも14歳でした、という話にしようと思ったら16歳だったか(ちなみに私は自称・永遠の14歳です)!それにしてもQの主題歌「桜流し」が宇多田ヒカル休養期間中に発表された唯一の楽曲であることを考えるとこのつながりは特別なものがあるのでしょう。

私がもうちょっとエヴァンゲリオンに詳しければ作品とのリンクについても語るんですが、なんせアニメの方は担当外なので今ひとつちゃんとした話がかけないのが残念。おそらく庵野秀明と宇多田ヒカルには共通の感覚があると思うし、なんなら十代の真ん中あたりで両親から受け継いだ音楽制作という仕組(エヴァですね)でものすごい活躍をした宇多田ヒカルは、叶うなら大人にならなくても生きていけたんだと思うのだけど、わざわざ(というか生き物なんで)おとなになって結婚したり子ども生んだり離婚したりして生きているわけです。生きるってなんだろうね?

さて、One Last Kissを聴いてみます。HEART STATIONな風味の短めのイントロから生々しい感じの声で歌がはじまり、Aメロ、Bメロときて「ホッホッホッ♪」のところがサビなのか間奏なのかは微妙なところです。ちょっと"Traveling"の感じもしますね。2コーラス繰り返してあれ、これで終わるのか?と思うとエンディングで違うメロディが出てきてふんふんと聴いていると、すぐに2曲めの"Beautiful  World"につながるようになっています。"Beautiful  World"も最初音数の少ないところからだんだんと楽器の音が増えて行き、最後までそう派手な音にはなりませんが、ここまで2曲聴いて1セット、という感じで終わっていきます。一般的なJ-POPとは目的が違う作り方、構成になっていますね。ひとことでいうとカラオケで歌いたくなるようには作っていない。米津玄師はカラオケで歌いたくなるような曲になっていますが、最近の宇多田ヒカルの曲はカラオケで歌ってはまるような曲はめったにありません。

そういえば、ひょっとしたらJ-POPをガラパゴスに閉じ込めているのはカラオケなのかもしれないな。いつかまとまったら書きますね。


SCIENCE FICTION/宇多田ヒカル

前回の更新から2年近く経ってしまいました。その間に会社を定年退職したり引っ越ししたりで自分のことで精一杯でしたが、まあ晴れてほぼ自由の身(経済的にはどんどん不自由になるわけですが)ということで、これからは身バレしようが炎上しようが誰にも迷惑がかからないことになっています。 さて、...