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2025/05/05

Mine or Yours/宇多田ヒカル

ベストアルバム"SCIENCE FICTION"を買った後しばらくぼーっとしていましたが、5月になった途端にYouTubeでライブ配信的なものを見かけました。配信は途中から見たのですが、過去のMVが次々流れていて、いつから新作発表になるのかわからず、見るのやめてしまいました。とにかく5月2日に配信されていたのが本作"Mine or Yours"です。「わたしのものまたはあなたのもの」?

曲調は最近の宇多田ヒカル作品としてはかなりわかりやすいカラオケ、というか80年代っぽいです。このままユーミンが出てきて歌い始めてもまったく違和感がないようなミドルテンポのお洒落サウンドです。キャラメルママっぽい。

なんでもコカコーラ「綾鷹」のCMソングらしい。だからあまり難しくせず、お茶のCMだからリラックスさせたいというわけなんですね。「じゃあ、流行ってるみたいだから今回はシティポップってことで(笑)」みたいな感じかもしれない。

Apple Musicで歌詞を見てみると、いつも通り一筋縄ではいかない感じの作詞がされています。唐突に「緑茶」が出てくるのはご愛嬌として、CMソングとしてはかなりギリギリな言葉を選んでます。"I love making love to you"なんて物騒な(?)英語がぶち込まれています(ホセ・フェリシアーノの曲名の引用?)し、だいたいタイトルの"Mine or Yours"も中学英語の試験範囲ですが、だったら"Yours or Mine"じゃない?とやや違和感が。

試しにGoogleで検索してみると、今は宇多田ヒカル関連がずらっと出てきてループしてしまうので「-宇多田ヒカル」とか「-Utada」とかつけて振り落としていくと、どうやら最近のイギリス英語で「私の場所、あなたの場所」という意味に使われており、それはフランス語の”Chez moi ou chez toi”という言い回しの影響らしい。今、宇多田ヒカルはたしかロンドン在住でフランスも近いから(恋人とはマルセイユで会うのが都合いいらしいし)、今の現地の雰囲気からのフィードバックなのでしょう。

つまりタイトルの意味は「私の場所(または)あなたの場所」ということなんだと。

歌詞の中でも「毎日一緒はしんどいかも」と言っているので無理に結婚とか形式にこだわらずに、たまにトラブルもあるけどいい関係でいようね、ということを歌ってるのかなと思う。若い時にいろいろあったあとで辿り着く40代のパートナーシップってことでしょうか。

ところで私もいくつかSNSをやっていますが、この曲の歌詞「令和何年になったらこの国で夫婦別姓OKされるだろう」に引っかかって、「政治的だ〜」と言っているバカが発生している一方、「ヒッキーが夫婦別姓を応援してくれてる」と喜んでいる向きもいて、いずれにしても日本人てほんと小さい穴の中で生きているのだなあと悲しい気持ちになる(だから"X"はなにか通知があった時しか見ない)。

宇多田ヒカルほどの知性がこのような問題に無関心なわけがなく、自作品に反映するのはあたりまえであるし、欧米のアーティストであればこのような問題にはもっとあからさまに政治的メッセージを発信するでしょう?だからいちいちその背後になにかあって言わされているとか考えるのは自身がそのような発想しかできない小市民的やっかみでしょう。

一方で「応援してくれてる〜」と喜ぶのも変で、そもそも有名人の発言に必要以上に依存した挙句の果てにわずかな主張の差異を見つけては手のひらを返すようにして「裏切られたー」とか言い出すのがこの国のパターンだから、変に巻き込まれない方が良いと思います。

そして、ここからは意地悪な書き方になるけれど、「ロンドン在住で10代の間に一生分稼いでしまった宇多田ヒカル」は今さら日本からの金や圧力で動くようなことはないし、極東に住む小市民がなにを言っても、彼女が今の生活を脅かされるようなことはないということです。反応するとしたらせいぜい呆れ返って日本に来なくなるくらいでしょうし、それを打ち破って手を出そうとしたら訴えられて七度生まれ変わっても報えないくらいの賠償金を請求されるでしょう。レベルが違いすぎるんだから。

SNSは利用するすべての人をつなげてくれるけれど、同じ土俵にあがるにはそれなりの教養だったり知性だったりがいることを自覚していない人がすっかり多くなり、バカな理屈で難癖つける例が過剰に目につきます。

今一度自分の足りない教養を補う作業をいたしましょう、お互いに。

 


2024/06/05

放生会/椎名林檎

最近は時計代わりの早朝1時間くらいしかテレビを見ないのですが、そこで流れた芸能ニュースで見かけたのが本作品。

椎名林檎が新しいアルバムを出すよ、半分くらいはゲストとのコラボ曲が収録されていますよ、とのこと。企画ものって感じなんでしょうか?そういや昔、安室奈美恵が似たようなことをやってたなあ、確かここにも書いたよなあ、と思って検索してみたら2011年の今頃の季節にアップした"Checkmate!"というのが出てきました。そうそう、DOUBLEの人とか山下智久とかが参加しているアルバムです。そうか、東日本大震災のすぐ後くらいに出てたんですね。

まあ、どっちの人にも怒られると思いますが、この2作品ともテイストが似ています。場所前に有力力士相手にちょっと番数こなして稽古を頑張っている感じの大横綱感といいますか。ちなみに三役と幕内上位を行き来しながら頑張るベテランよろしく、13年の時を跨いでどちらにもAIが参加しています。

宇多田ヒカルが動けば椎名林檎も動く、東芝EMI同期の絆は続いていて「放生会」には、新曲ではないけれど宇多田ヒカルとの「浪漫と算盤」のバージョン違いも収録されています。

Apple Musicで全曲聴けてしまうので、ライナーノーツも見ていない。オフィシャル・ホームページにもさほど詳しい裏話的なことは書いていないので企画意図等はよくわかりません。余談ですが、iPhoneの音楽アプリで「クレジットを表示」を見ると、演奏しているメンバーとかもちゃんと載ってるんですね。昔は歌詞も含めてろくな情報が載っていませんでしたが、ようやく中身がデータベースフォームに追いついてきたってことでそれは良いことですね。

さて、私は椎名林檎はあまりちゃんと(アルバム単位で)聴いたことがないです。もちろん名前も曲も少しは知っているし、嫌いじゃないけど。特にここ10年くらいどんな作品を作っているのかはほぼノーチェックでした。今となっては初期と言っていい「本能」や「真夜中は純潔」のビデオなんかは見ていましたけどね。紅白歌合戦によく出てきてくれるので、年に一度くらいは歌声は聴いていましたが、新曲を歌うとは限らないので20年くらい前の印象で固まっています。宇多田ヒカルもそうですが、もともとシンガー・ソングライターなんで歌謡曲歌手のようなあっと驚くイメージチェンジやらジャンル変更などはないのかもしれませんけど。

で、「放生会」を何周かイヤホンで聴いてみた印象ですが、1990年代以降のJ-POPや渋谷系を通った上で、今の椎名林檎は「ハイパー歌謡曲」になっているのだなあ、と思いました。昭和歌謡から続くオーケストラ、ジャズバンド的な演奏に載せてミスチル以降顕著になった日本語リエゾン(?)的な歌詞の載せ方(母音の意識的削除とか)、渋谷系のようなオールディーズの引用、オマージュがすべて備えられ、そして現在のイヤホン視聴に耐えられる音色、音質の調整が施されています。

ついでにちゃんと聴いたことがなかった「勝訴ストリップ」も続けて聴いてみましたが、椎名林檎もデビュー時にはすでに歌い方が完成していたんだなあ、と変な感心も。

Amazonへのリンク

Apple Music

2024/04/21

SCIENCE FICTION/宇多田ヒカル

前回の更新から2年近く経ってしまいました。その間に会社を定年退職したり引っ越ししたりで自分のことで精一杯でしたが、まあ晴れてほぼ自由の身(経済的にはどんどん不自由になるわけですが)ということで、これからは身バレしようが炎上しようが誰にも迷惑がかからないことになっています。

さて、今回は宇多田ヒカルの25周年記念・初ベストアルバム"SCIENCE FICTION"です。昔出してたシングルコレクションは年代で区切られているから、公式オールタイムベスト盤はこれが初めてってことなんですね。

新曲が1曲なので、それ以外はすでにライブラリーに読み込み済みのはずなんですが、そういえば最近物理ディスクは購入していなかったのと、たぶん無理だけど今年のツアーの優先購入枠に申し込めるということなので、初回限定版をアマゾンで注文しました。昔のLP盤ほどではないけどやたらでかい包装で届いてちょっとびっくり。とりあえず飾ってみましたが、ほこりが付きそうなのでどうしようかな?

宇多田ヒカルについては毎回タイトルを深読みしてしまいますが、今回の"SCIENCE FICTION"というのもいろいろ考えさせられますね。つまり”SF”でしょ?

一説にはすでに死んだジャンルとも、死んだのではなく普遍化したとも言われる「空想科学小説」をなぜタイトルに?

もともと帰国子女どうのこうの関係なく、同世代の一般人(というか我々おっさん世代も含め)と比べても桁違いの読書家だった宇多田ヒカルが、SFについて一家言持っていないはずがなく、ただ新曲が"Electricity"というちょっと「ぽい」タイトルだから、みたいなオチでは絶対ないはずです。何が言いたいのかなあ?

さて、中身の話です。もちろん買って損するようなものを発売するはずがない(かつてコピーガード付きCDという醜悪なメディアがありましたが、彼女は一貫してコピーガイドCDは販売しなかったので信用している)。全26曲のうち、再録音が3曲、リミックスが10曲、新曲が1曲なんで半分は持ってないトラックが入っていて通常盤4400円だから元はとれる(?)ようになっています。もはや純粋なCD再生装置を持ってないので早速iMacに取り込むとApple Musicのドルビーアトモス、ハイレゾロスレスで聴けるようになりました。

リミックスというと20世紀の終わり10年くらいからやたら流行って、当時は昔のカラオケをダンスミュージックっぽくしてみました、みたいのが多かったような印象です。録音し直ししたものでもジュディ・オングの「魅せられて」みたいに昔のオーケストラの方がカッコよかったのに腰砕けなテクノ歌謡になっちゃった例があるので心配でしたが、そのような蛮行はなくてよかった。

リミックスや再録音の対象になっているのはデビューから長期休養前に発表されていた作品です。聴いてる素人からすると古くなっているとも思っていないけれどなんだかんだ最大25年の時を経ているわけだからサウンド的に統一感がなくなりそうな部分をアルバムトータルで調整したのかな?と思っています。再録音されたものも歌い方がすごく変わっているわけではなく、その意味ではデビュー当時からめちゃくちゃ完成されていたことがわかって、逆に怖いくらいです。ただ、再生装置やApple Musicの処理またはミックスの違いかはわからないけれど、多重録音されたコーラスひとつひとつがよりはっきり聞こえてきて、味わいが増した気がします。

そんなわけで選曲にしろ曲順にしろ、このアルバムをどう聴かせるか、ということがちゃんと考えられたアルバムになっていると思うので、今まで追っかけていた人もここでひとつアルバムで購入するのはアリだと思いました。

Amazonのリンク


2022/06/22

SOFTLY/山下達郎(初回限定版)(特典なし)

 先週末くらいからメディアでがんがん露出していて、嫌でも目についた山下達郎の新作アルバム、Amazonでぽちっておいたら無事に今日、郵便ポストにメール便で入っていました。

前作「Ray Of Hope」の感想文を書いたのもそんなに前のことではない、と思っていたのですが、あれからもう11年も経っていたんですね。さすがにアラカン、時の流れも大雑把に流れるようになりました。きっと山下達郎も「毎年がんばって仕事して、やっとアルバム1枚まとめたら11年ぶりですね、とか冗談じゃないよ」と思っていそう。

前回は東日本大震災直後、今回はコロナとロシアのウクライナ侵攻という大事件のあとでの発表ということで、なんだかんだと2枚とも歴史とともに記憶される作品になることでしょう。また、音楽史的にもジャパンのシティポップいいんじゃね?ブームの中ということで、いよいよラスボス登場的な立ち位置でもあるわけだから、届く前から期待は高まります。サンデーソングブックでは2週連続で全曲の触りを聴かせてくれていましたし、機運は高まっていますよね。

さて、実際に届いて早速Macのミュージックに取り込んで聴いているわけですが、もう感想文を書いてしまいます。

まずは最新作がいちばんすごい、というのは素晴らしい!

私はところどころ抜けてはいますが、「FOR YOU」から山下達郎を聴くようになって、あの80年代前半のカッコよくて、色とりどりで爽快なサウンドが大好きなでした。今作はあの頃の味わいを思い起こさせられつつ、しかもそれが現代の機材と円熟のテクニックでグレードアップしたものを、どかんとぶつけられた気分です。全15曲、まったく飽きないし、適度に打ち込みのサウンドをフィーチャーした感じが世代的にぴったり来ます。iMacのそこそこなスピーカでも、散歩中にイヤホンで聴いても、クルマを持っている人はカーステレオで流しながら夜のバイパスを走るのにもいいと思う。

「FOR YOU」の「Hey Reporter!」の頃から何曲かメッセージ性の強い曲を入れていますが、今回は「(制作時期的に)ウクライナのことではないけれど、昨今の世界情勢を見て」とラジオで語っていた「OPPRESSINN BLUES」がそれに当たります。例の桑田佳祐の曲はひどくぼんやりしていて聞こえましたが、やっぱりこのくらいきっぱり書かないとね。YouTubeでは各国語字幕バージョンが追加されていくそうです。



さて、山下達郎くらいのキャリアになればなにからなにまで新しい、という作風ではないので、たとえば「これ、歌詞を変えたら昔の〇〇にそっくりじゃん」みたいなことを考える人もいるかもしれません。私も正直、小田和正にはそれを感じてしまうんですが、山下達郎については「お前はなにを聴こうと思っているんだ、山下達郎が聞きたいんだろ!」ですべて解決する気分です。まあ、周りにそんな人はいないし、そういう人はきっと「シン・ウルトラマン」の細かいところを気にして楽しめない人と同じタイプかと。


2022/05/29

M八七/米津玄師

 シン・ウルトラマンを見て参りました。最初の週末に1回見たんだけど、ビール飲みながら見てたらトイレに行きたくなって、話の途中で頭が追いつかなくなったのを猛省し、さっき改めてコーラとフライドチキンをお供に(健全に)再鑑賞してきました。

(以下、ちょっとだけ映画本編のネタバレになりますが)シン・ウルトラマン、とても良かったです。

本日昼のお台場の上映では空席が多かったですが、若い子連れ夫婦なども来ていましたし、3〜4人の若い男性(と、そこに女の子も交ざった)グループ、若いカップルもちらほら。そして私のような50代半ば以上と思われるリアルタイム世代またはその弟世代らしき単身入場者ももちろんかなりの割合でいます。同年輩のトム・クルーズがすぐ横のスクリーンで大活躍しているのを尻目に、永遠の14歳たちはウルトラマンを見るのです。

私はこの作品の制作意図を、昭和40年代に初めて特撮巨大ヒーローを見た原体験を、初代ウルトラマンを知らない世代、特に子どもたちに対しては、今の子どもたちが囲まれている各種メディアのクォリティに合わせた上で「当時の自分たちと同じ体験をしてほしい」ということなんだと理解しました。一方、ウルトラマンをよく知っている世代に向けては、昔のもすごく面白かったけど、子ども心にもちょっとあれはどうなの?と思ったところを「このくらいの表現だったらもっと良かったよね」というところまで調整してくれたということもあると思います。

ウルトラマンが飛ぶところとか硬質な人形がピアノ線で吊られて飛んでいくような質感で表現してますが、あれはCGがしょぼいんじゃなくて、手元にあるフィギュアを持って遊ぶ子どもの心を再現しているのだと思う。「シン・ゴジラにくらべて手抜きだ」みたいに言っている人も見かけますが、高名なオタク教祖様の言を借りるまでもなく、現実の中にゴジラという1個だけの嘘を加えたシン・ゴジラと、禍威獣、禍特対、外星人そしてウルトラマンと嘘てんこ盛りのシン・ウルトラマンとでは当然いわゆる「SFボリューム」の調整も違うわけですから、あまりそこでムキになってもしょうがない。そんなこと言ったらシン・ゴジラだって前半あんなにリアリティ頑張ってたのに、最後は無人在来線爆弾と「血液凝固剤をポンプ車で経口投与」で解決しちゃうという、まあまあひどいSFだったわけだし。

その点、外星人にころりと騙されちゃう政府と「神永さん、どこ行っちゃったの?」が許される組織が危機に対応するという、いい具合のゆるさの中で話が展開されるシン・ウルトラマンの方が世界観としては破綻が小さい。映画館でポップコーン食べながら見るのにちょうどよく、上映期間終了後にアマゾンプライムで寝っ転がって酒飲みながら見るのが今から楽しみです。あと、時間はかかるかもしれないけど続編も期待できそうですね。最後に「お帰りなさい」と言われたんだから、次は「帰ってきたウルトラマン」てことだよね。

さて、そんなことでシン・ウルトラマンのテーマソングが米津玄師というのも納得の採用です。この曲はニューミュージックで育った世代(=60年代に生まれて80年代に色気づいた世代)にもわかりやすいし、もちろん今の若い世代の代表でもある。この映画を見に来る人すべてがわかるし、映画のエンディングに流しても格調が足りないこともない、豪華なアレンジもされている。ボリューム調整の腕、満点。

【3日後の追記】映画音楽的格調をキープするというお題で、出だしをどう始めるか、の参考にしたのがドヴォルザークのジュピターだったんじゃないかな。出だしとサビはこれの翻案だと思うけど、これによって格調を保証した感じ。なにせいまの日本でいちばん不謹慎と言われない曲だもんね。【追記終わり】




桑田佳祐が世良公則、Char、佐野元春、野口五郎と組んで作ったチャリティソングはすみません、拍子抜けでした。眠い。

2022/03/13

川本真琴/川本真琴

SNSのタイムラインに川本真琴の作品がサブスクリプションに対応しました、みたいなニュースが流れてきました。ああ、そういえば昔、ギター弾いて歌ってる女の子がいたなあと懐かしい気持ちになったのでApple Musicで検索してみたらありました。YouTubeで公式MVが見られるようになったのも最近のことのようですね。→公式YouTube「愛の才能」

とりあえず「愛の才能」が入っているLP聴けばいいかなと思って出かけるときにiPhoneで再生しながら徘徊してみました。
このアルバム、発売が1997年なんですね。
ちょうどその直前の数年間、私は三十過ぎて仲間とオリジナル曲作りに勤しんでいたので、変な影響を受けたくなくて、あまり他人の曲を熱心に聴くということをしていませんでした。だから川本真琴がテレビで歌っているのをみてもフォークギター持って歌っているビジュアルに騙されて、新しいフォークソングの子が出てきたのかな?くらいにしか思ってなかったのですが曲にクセがあって、ちょっと引っかかる存在ではありました。「愛の才能」については先に岡村靖幸をちゃんと聴いていればそのつながりがすっきり腑に落ちたんだと思うのですが、岡村靖幸自体をあまりよく知らなかったので解釈の仕方がわからなかったんですね。
遅ればせながら、ちょっと前に岡村靖幸の「家庭教師」を聴いたので、今なら「愛の才能」が思いっきりその地続きの曲であることがよくわかります。
岡村靖幸プロデュースの曲でデビューしているのでファーストアルバムも岡村靖幸プロデュースなのかと思って聴いていましたが、2作目以降の曲は川本真琴自身が曲を書いています。崎谷健次郎が斉藤由貴をプロデュースしていたようなどっぷりつかった関係性ではなく、岡村孝子が最初だけ来生たかおの曲を歌っていたような感じだったんでしょうかね。

川本真琴の歌唱は現代の音楽配信で活躍する女性歌手にも共通の、メリハリの効いた声と達者な表現を備えた、若干のアニメソング臭を感じさせるものです。今の人たちほどのやり過ぎ感はないので抵抗感はあまりない。もっと長く一線で続けていけた気がするのですが、テレビに出て歌うような時期はあまり長くなかったですね。


2022/02/11

visions/milet

 あけましておめでとうございます(^_^;)

2022年も明けないコロナ禍、在宅勤務メインでさほど多忙でもないのですが相変わらず新しい音楽には興味が持てず、開店休業状態は続いています。

事務所に出勤しない平日の朝に時計がわりにつけているテレビ。2020年春までは6時台には通勤電車に乗っていたので午前7時以降の各局がどんな番組をやっているのかもよく知りませんでしたが、このところ7時以降はテレビ朝日固定です。専門知識もないのに声だけ大きいコメンテーターが出てこないので、モーニングショーがいちばん冷静に見ていられるのでね。

で、羽鳥慎一モーニングショーのオープニングでちょっとクセのある声でテーマソングを歌っている人は誰かいな?と思っていたらこの人が番組に出てきて「番組テーマソングが収録されたアルバムが出るよ」と告知をしていたのでApple Musicで検索したら出てきました。定額の課金をしているので特に追加料金を払うこともなく全曲聴くことができます。しかしながらアルバムならびに各楽曲についての情報についてはほとんどなく、オフィシャルサイトを見ても誰がプロデュースしているのか、作詞・作曲・編曲はだれがやっているのかわかりませんでした。ただ紹介されていた番組で玉川さんのインタビューに答えてこういう風に作りました、という話をしていたし、シンガーソングライターとして紹介されているようなので、少なくとも作詞・作曲はやっているんだろうと思います。

いずれにしても15曲中9曲がなんかのタイアップになっていて、ああこれも聴いたことあるかな、という曲が並んでいるので頭から尻尾までふんふんと聴いていけます。モーニングショーのオープニング曲(M13 "Wake Me Up")もテレビで流れると普通の景気の良い曲だと思っていましたが、フル尺で聴くとテレビで使われている箇所の前後になぞの半端な拍子が挿入されていて実は一筋縄ではいかない作りになっているのが初めてわかるようになっています。あとNHKのオリンピックのニュースに使われている曲もあるかな?

まあ楽曲の成り立ちはともあれ、まず声が個性的で良いですね。ここ数年、各種SNSやアニメ主題歌などで頭角を現してきた歌手の皆さんは少なくとも配信されている音源で聴く限り大変お上手で良い声の人が多いですが、昔の玉石混交のドメスティックな歌謡曲・ニューミュージックを聴きなれた私からするとみんなボーカルスクールの優等生的な歌い方であまり入ってこない。miletさんはもうちょっと濃くてスケール感もあって、洋楽のボーカリスト的感じがしてこっちの方が素直に打ちのめされる感じがして良いです。

過去にも伊藤由奈とかJ-POP的でないスケール感のある女性ボーカルはときどき出てくるのですが、いつの間にかいなくなってしまうので寂しく思っていました。J-POPの製造ラインにはこの手の女性歌手が手に余るのか、楽曲がついてこれない感じがしているのですがなにか構造的な弱点があるんでしょうか?その点、この人は自分で曲を作っているようなので頑張ってくれるんじゃないか、と現時点では期待しています。


2021/07/04

AXIA 〜かなしいことり〜/斉藤由貴、斉藤由貴、上白石萌音

上白石萌音が懐メロのアルバムを出すよ、というニュースがテレビだのYouTubeのおすすめだのに出てくるので、見るとはなしに見ていたところ、曲名の中に斉藤由貴のAXIAが入っているのに気がつきました。

上白石萌音は顔が古いとか、宮崎美子そっくりとか、可愛くないのになんで売れてるの?とか言われているみたいですが、オッサンから見る限り十分かつお釣りがくるくらい可愛いし、歌が歌えるんだから、そりゃ仕事は来るだろうと思うんだけど、確かに女性ウケは悪いタイプかもしれない。

そういえば僕らの学生時代にも、すごい美人ということもないのに、なぜか男子学生から人気があって彼氏は切らしたことがないような子はいて、女子の間では「なんでブスなのにモテてるの?」と噂になったりしていたような気がします。そういうタイプ。

若い頃の斉藤由貴はビジュアルのレベルも高かったけれど、キャラクターが変だったし、ちょっと田舎っぽいイメージもあったので、そういう意味では土石流萌音と似てないこともないと思うから、今回の懐メロ・トリビュート企画の中に斉藤由貴の曲が入ってくることはなんの不思議もないんだけど、「AXIA」とはくさいところを突いてきたなあ、とは思いました。

「AXIA」は斉藤由貴のファーストアルバムのタイトル曲で、ファンの間ではすごく人気がある曲だとは知っているけれど、「卒業」とか「白い炎」とかのシングルヒット曲に比べると認知度は低く、私自身は初期の斉藤由貴は遠目で見ている感じだったので、自分では音源として購入したことはないナンバー(ベスト盤にも常に入っているわけではない)。あと、当時富士フィルムが新発売したカセットテープ(!)のブランド名がAXIAで、そのCMにも斉藤由貴が出ていたから、それでなんとなく覚えている、ということはあります。

しかも単に過去の名曲というだけでなく、斉藤由貴本人がつい最近リリースしたアルバム「水響曲」の中で新録音で歌ってるんですよね。あの騒ぎの後でこの曲歌える逞しさには感服します。それと比べられるわけです。


比べてみました。


  • 2021年の斉藤由貴(水響曲 M3)
    声はだいぶ変わっているけれど、まあ安定していますね。今にも崩壊してしまいそうな危うさを感じさせつつ破綻はしない、ヘタウマ芸に磨きがかかっている感じ。バックは生ピアノ。
  • 1985年の斉藤由貴(AXIA M5)
    ドラムはシンセ(シモンズかな)、ベースもシンセ、当時のアイドル歌謡のキラキラサウンドで、物騒な二股の恋を歌っています。デビューアルバムにして、もう歌い方が完成しているんですね。この頃の斉藤由貴がどのくらいの恋愛経験があってこの曲を歌っているのか知りませんが、文学少女だったようなのでフィクションとしては十分ありの世界観だったでしょう。
  • 2021年の上白石萌音(あの歌-2- M3)
    はい、声の出し方うまいです。でもちょっと棒読みですね。これならお父さんも安心な現実感のなさ。本人もよくわからない、とYouTubeで言ってたのを信じておきましょう。

2020/08/13

日本の人/HIS

 お盆休みに入ったけれど、新しいものは仕入れていないのでちょっと古いのを聴いてみます。

これもCDで買ったんですが、今はApple Musicから落として聞いているHISの「日本の人」というアルバム。Hosono,Imawano,Sakamotoの頭文字をとってHIS、わかりやすい。ちなみにSakamotoはRyuuichiではなくFuyumiです。Apple Musicのビジュアルは熨斗を模したジャケットのみですが、CDのブックレットはなぜか学生服姿の細野、清志郎とセーラー服の坂本冬美がはしゃいでいる写真が並ぶ不思議なものでした。RCサクセション活動休止後の1991年に発表され、そこそこヒットした、とWikipediaに書いてあります。私は当時愛知県民で小市民的マイカーを持っており、ようやく搭載された我が車載CDで聴く音源を漁っていた時期。ちょっと面白そうなのがあると買い込んでいた時代だったので、発売間もない頃に買いました。

細野晴臣も忌野清志郎も当時は既にオジサンでしたが、坂本冬美は当時久しぶりに現れた若手美人演歌歌手(藤あや子や伍代夏子が売れたのは坂本冬美より後。島津亜矢ファンの人にはごめんなさい)で当時は二十代前半のはずです。猪俣公章センセイの家で雑巾掛けから始めた本格派ですが、どうやら根っから演歌バカではないようで若い頃からロックやポップスへの興味を隠していませんでした。

アルバムにはオリジナル曲以外にジミ・ヘンドリックス、PPM、ビートルズ、園まりなどのカバーが混在した14曲(後日再発売でボーナストラックが追加された版もあるとか)が並びます。坂本冬美が演歌のシャウトで歌う「パープルヘイズ音頭」は大滝詠一が布谷文夫と作っていた音頭ものを思い出す感じ。ユニゾンパートが多いので、忌野清志郎がほぼ全篇キーの低いところで歌っているのもレアな感じがします。細野さんは下のパートのコーラスと、たまーに出てくる感じで、ほぼ忌野・坂本の掛け合い、または坂本冬美のソロが続きます。

若い頃にこういう仕事をしていたので、その後の坂本冬美が演歌以外のカバー曲で一山当てた時も別に意外な感じはしませんでした。訓練を積んだ演歌歌手のボイスコントロール芸を見せるという意味では有意義なことなのではないでしょうか。「演歌的ボイスコントロール芸」というのはちょっと悪口っぽいですが、例えば「逢いたくて逢いたくて」の「ふーたりぃはこいびいいとおおおお」というビブラートを園まりバージョンと聴き比べてみるとわかると思います。

最近、ぼんやりテレビの情報番組で紹介されるビルボードトップ5とかを見ていると、アニメソング文化の中からロック色の強いヒット曲が生まれているようです。このジャンルで出てくる達者な歌い手の発声法にやはり演歌的訓練の跡が見えることがあり、その度に「騙されないぞ」と構えてしまいます。

2020/08/11

誰にも言わない/宇多田ヒカル

宇多田ヒカル、最近音はすごくいいんだけど地味な曲が多くて、ちょっと知能指数上げすぎなんじゃないのかなあと心配になっていたんですが、すみません、私が間違っていました。

宇多田ヒカルの歌い方は日本語が聞きやすいし、英語はもともと俺がわかんないし、でストリーミングがメインになってからはちょっとチェックが疎かになっていたんですが、今回の曲のタイトル「誰にも言わない」はそのタイトルがちょっと気になって、ダウンロードした後でしっかり歌詞を読んでみました。結構すごいことになっていました。

「誰にも言わない」というタイトルが気になったのは、今からかなり昔になりますが、私は東芝EMIの管理下で二十歳そこそこの彼女が投稿していたブログ(MESSAGE From HIKKI)をいい歳してしつこく読んでいました(キモっ)。

そのブログでかの大ヒット曲「Can You Keep A Secret?」発表の際、当時は彼女の英語タイトルの曲におしゃれな邦題をつける読者投稿という恒例行事があって、その時のご本人公認の邦題が「誰にも言わない?」だったのを覚えていたからです。

頭の良い宇多田ヒカルが自分の新曲のタイトルを決める際にこのことを思い出していないはずがなく、当然15年だが20年だか越しのアンサーになってるに違いないと思ったのです。

「Can You Keep A Secret?」は今思えば彼女の最初の結婚の寸前に発表されたのですが、私小説家・宇多田ヒカルはとても正直な人なので、恋をしていれば恋をしているような歌詞を書き、不幸なことがあればそのことを歌ってきました。だから「Can You Keep A Secret?」を聴いた時にオジサンは「あー、彼女は今恋をしているのだろうなあ」と思春期の娘を持った(ことないけど)父親のような気持ちで見ていたものでした。


で、2020年の新曲「誰にも言わない」です。

耳で聴くと、今回も曲調はわりとスローで地味です。ただ、通りいっぺんのバラードではなく、音のクォリティというかサウンドの計算がすごいので、聴き始めたら途中で飽きることはありません。最後まで連れて行かれるパワーはすごいです。

でも、今回は「Can You Keep A Secret?」のアンサーになっているのかのチェックもしなければいけないので、iTunesに落として「情報」タブをクリックして「歌詞」を開いてみるわけです(開業以来しばらく、歌詞についてはiTunesのストリーミングはボロボロでしたが、数年前から改善されて歌詞がかなり忠実に見られるようになっています。そういえばマップもだいぶ良くなったようですね)。そうやって歌詞を開いてみるとじつは全体の2/3が英語です(Mixでコーラスパートだと思って聴き逃せるくらいの大きさで聴こえるんですが)。その英語は大して難しくないのでGoogle翻訳などもチラチラ使って確認してみると、「Can You Keep A Secret?」の頃は(年上の?)相手に向かって「こんなことして、誰にも言わない?」って聞いてたヒカルちゃんが、このたびは「周りには心配されてるけど、誰にも言わないから」と相手に言(い寄)っているわけです。しかも「私を満足させられる?(&お金ならあるわよ、かな?)」とか言っちゃってて、めちゃくちゃエロいわけですわ。彼女の場合は、やっぱりちゃんと歌詞カードとか見ないとダメですね。

2020/08/09

STRAY SHEEP/米津玄師

 来週はお盆休み週間になるものの with コロナ、不自由な生活は続いています。

この先ワクチンができたところでウイルスの変異とのイタチごっこは永遠に続くと思われ、感染リスクがほんのちょっと軽減されるくらいで解決には至ると思えません。もうこの生活がスタンダードになって行かざるを得ない気がします。コロナの影響が大きい業態に対しては、持続化を応援する給付金よりも業態転換を促進するような補助が求められているのではないでしょうか?2019年以前の世の中は、もう戻ってこないと思います(ただ悲観的に言っているだけではありませんよ)。

さて、音楽の方もすっかり媒体はすっかりストリーミングにシフトしてしまい、かといってこの環境ではライブも満席にしてはいけないというわけでお気に入りのアーティストをどうやって応援したものか、と途方に暮れているファンの人も多いんじゃないかと思います。

そんなわけで、最後のCD・ダウンロード販売の雄、米津玄師の楽曲もApple Musicその他のストリーミングで聴くことができるようになりました。と同時に、アルバムとして「STRAY  SHEEP」が発表されました。

Lemonが流行ったときにじっくり聴いてみましたが、米津玄師の音楽は僕のようなニューミュージック世代に聴きやすく、歌も上手いし大変好ましく思いました。その印象はこのアルバム(と言ってもほぼヒットパレードみたいなものですが)を通して聴いても変わりません。中田ヤスタカがテクノ40年の歴史から美味しいところを好きなように引っ張り出してくるように、米津玄師も主に90年代以降のJ-POPの、美味しいところを思いのままに引っ張り出してうまく発展させている感じがします。

一方で、こういう音楽がまだ売れ筋の頂点にあることは我々年寄りには喜ばしいことではありますが、若い人たちはこれでいいんでしょうか?いきものがかりなんかはさらに15年くらい前のフォーマットでやっているように見えますが、まだ一線で活躍しているわけで、日本人の感性って平成元年くらいでぴたっと止まってしまっているのでは?

実際この間のコロナ騒ぎでの政治家の発言、一般市民の反応など見ていると、平成の30年間ていったいなんだったのかと思う特別な夏。

Apple Musicとアマゾンのリンクを貼りますが、Amazonのストリーミングはunlimitedの方でやってるみたいです。


2020/05/16

Time/宇多田ヒカル

コロナ騒動が収まりきらない中ではあります。
私も月の八割は在宅勤務ということで、それまでの糸が切れた凧のような営業スタイルもやりようがなく、定期的に上がってくる注文をおとなしく見ているだけ、という毎日です。
音楽環境としては、先月からAmazonアンリミテッドのキャンペーンで3ヶ月追加料金なしとかいうのにまんまと騙されて絶賛愛聴中。iTunesとは微妙に違ったラインナップで、たとえばAppleMusicでいまいちアルバムとしてのまとめ方が変だった斉藤由貴のâgeとかゴダイゴの「西遊記」なんかがきちんとしたパッケージで提供されているのに気を良くして聴き直していました。そしたらなんということかゴダイゴのギターだった浅野さんの訃報に接してしまい、寂しい思いをしています。

さて、そんな中で「宇多田ヒカルの新曲が配信トップに!」のニュースをみかけておやおやエヴァンゲリオンだったっけ?と思ったらなんかドラマの主題歌になっているらしいですね。
もはやサブスプリクションで個別の決済もないまま聴くことができました。

このところあまり売れ線臭のしない音作りの曲が続いていましたが、ドラマ見ている人に「はい、主題歌は宇多田ヒカルですよ、ちゃんとお金使ってますよ」と言いたいプロデューサーに依頼されたのか、この曲はちょっと既視感のある曲になっています。
小田さんの「ラブ・ストーリーは突然に」を聴くと「君が、嘘を、ついた」と「Yes-No」がぼんやり聴こえてくるように、「Time」を聞いてると「Flavor of Love」とか「For You」とかがフラッシュバックするようになっています。6月予定と聞いていたシン・エヴァンゲリオン劇場版はいつの公開になるかわかりませんが(私は担当外ですが)、そこでも主題歌が出るんだと思いますけど、どういう曲を出してくれますかね?
私としてはこのへんではっちゃけた曲も出してもらいたい気がします。それこそKing GnuみたいなあまりJ-POP臭のしないロックバンドなんかと仕事してもらえないかな?

2020/03/29

CEREMONY/King GnuとTraveller/Official髭男dism

また長い間ほったらかしにしてしまいました。
まあ、リタイアしてこんなことばっかりして生活できることを夢見て(ホントか?)あと何年かこんなペースでやっていくことになるでしょう。

接触型アイドルが古いフォーマットであるCDをコンスタントに100万枚とか販売し続けている中、他のアーティストはどんどん配信、サブスクリプションによる音楽販売を主戦場にしているようです。レコード会社の経営についてはあまり興味が無いですが、アーティストの生活は気になります。分け前はどちらが良いんですかね?
そしてこのコロナ騒ぎでコンサートは軒並み中止。今のところは要請を受けての自粛、ということなので公的補助が受けられるかは未定とのこと。気の毒なことです。
要請はしたが強制はしていない、だから政府には責任は持てない、というのはこの数年ずっと見させられてきた「忖度」の再生産をしているわけで、本当に我が国はひとつひとつの過ちを総括できない国であることよ。

さて、新しいのが出るとやっぱり気になるKing Gnuの新作が知らないうちにAppleMusicのサブスクリプションでダウンロードできるようになっていました。前作の"Sympa"でも感想文を書きましたが、歌謡曲臭を一切感じさせないロックな佇まいと神経症的に転調を繰り返す芸風は継続しており、とても良いです。
前作後半はちょっとおとなし目の曲が多くて眠くなったんですが、今回はそういう不満もなく最後まで完走できました。1曲毎の演奏時間が短くて、アルバム1枚を40分弱で走り切るのもロックの名盤のフォーマットに近くて聞きやすいです。ああ、俺も90年代の半ばに"Overflow"って歌詞書いたなあ!
転調の多用とツインボーカルのオクターブ違いの重ねはそろそろ飽きてる人もいるかもしれないけど、私は好きなんでずっとやってほしい。

一方、ちらちら見てはいたものの、ちゃんと聞いたのはじつはDr.キャピタルのYou TubeだったというOfficial髭男dismも、お勉強のためにアルバム1枚聞いてみました。テレビでよく歌っている「Pretender」とか、1曲め「イエスタデイ」を聴いていいる範囲では令和のレミオロメンか、オフコースの孫か、という感じでしたが、サウンドの作りがすごく豪華で、バンドというよりボーカルの存在感が突出している感じに聴こえる。アルバムの曲全体では意外なほどR&B的というかブラコン的な感じな曲が多かった。90年頃の崎谷健次郎の感じがしてなつかしかったですが、楽器それぞれのエッジが効きすぎてちょっと疲れちゃうのと出来が良すぎてオジサンが応援する余地がないのが残念か。

とりあえずAmazonのリンクを貼りますが、これも意味ないよなあ。




2019/07/21

Apple Musicでお勉強する「渋谷系」

ちょっと前の投稿で、90年代は私の音楽ファン歴の中でちょっと空白期間である、という話をしたような気がしますが、90年代といえば日本のミュージックシーンでは「渋谷系」ということになります。
たまたま当時いっしょにオリジナル曲の制作に勤しんでいた頃の仲間が、「最近聴いているもの」の例としてピチカート・ファイブのことを教えてくれた(浅香唯の「Candid Girll」も教えてくれたのは内緒です)ので、ピチカート・ファイブだけは聴いていたんですが、それ以外はほとんどよく知らず、フリッパーズ・ギターも解散してから知ったような有様です。


そんじゃあ、「渋谷系」で手っ取り早いの見繕ってくれい!という乱暴なリクエストにもすぐに応えてくれるのがApple Musicです。検索するとホラ出た!「渋谷スクランブル50」1曲めがDAOKOという、意外に新しい名前が出てくるのがちょっと心配ですが、それを否定する知識もないので唯々諾々という感じで自分のライブリラリに追加してみました。


まあ、ほとんど知らない名前ばかりが並んでいますが、ところどころカヒミ・カリイとか「痛快ウキウキ通り」とか高野寛「虹の都へ」、「接吻」、「今夜はブギー・バック」なんてのが混じっていて、さらには先日「昭和のテクノ」の括りで聴いたヒカシューやPLASTICSなどの曲も混ざっています。大丈夫か、これ?
キング・ギドラと小沢健二が一緒の箱に入っていていいんでしょうか?まあそれを否定する知識も(以下略)


あと、永年その姿を捉え損ねていた土岐麻子が所属していたCymbalsも入っています。あーなんだ、この曲は当時からLOFTだか無印良品だか東急ハンズだかのBGMでいつも聴いてた曲じゃないですか!てっきり洋楽だと思ってたわ、と思って急に分かった。つまり渋谷系っていうのは(一部かもしれないけど)英語で歌っていたらそのまま洋楽と見分けがつかないところまで行った音楽だったんだなあと。でも日本人て「なぜなぜ英語ができなぁ〜い♬」なんで英語で歌っている限り、歌詞は理解してもらえない片肺飛行。1970年からの課題を結局いつまでも持ち越しています。

まあ、今となっては日本語で歌ってても聞きとってもらおうなんて思ってない人の方が多くなっちゃっているんですけどね。

2019/06/13

A FILM ABOUT THE BLUES/TRICERATOPS

聞き逃し大物アーティストシリーズ、本日はTRICERATOPSです。Apple Musicよありがとう!

 和田誠の「倫敦巴里」は中学生の頃の愛読書で、私があまり喜んで読んでいるものだから、父が「その本、貸してくれ」ということになってこころよく貸してあげたところ「通勤電車で読むと笑ってしまって読めない」と変なクレームをもらった名作パロディ集。数年前に復刻?しているようなのでリンク貼っておきます。


 さて、和田誠の息子がミュージシャンになったらしいと言う話をどこからか聞きつけてはいましたが、実際にはテレビで何回か見ただけで、そのときなんという曲をやっていたのかも覚えていない。その後かなり経ってから、毎年クリスマスになると小田和正と歌っているよなー、て感じで見ていた和田唱(とTRICERATOPS)です。
 昔々、ニューミュージックの売れっ子たちがテレビに出ない理由として「3曲くらいはやらせてもらわないと音楽性が伝わらない」とか言う例があり、「いやいや、本当に見るべきものがあれば1曲でも伝わるんじゃないの?」と思っていた方だったんですが、確かにTRICERATOPSみたいな音楽は、1曲だと分からないかもしれないですね。
スリーピースのシンプルな音はテレビで見てるとちょっとさみしいし、小難しそうに見えるということもあるような気がします。
 それよりも、以前ここに書いた土岐麻子のアルバム「乱反射ガール」の中でデュエットしていた「HUMAN NATURE」のハモり具合いとか、それこそ「クリスマスの約束」で小田和正の「相方」としての達者な歌とギターを見ていると、なんだこの子すごく上手いんじゃないか!と急に分かるようになります。

 さて、TRICERATOPSの音楽はギターとベースとドラムの音で出来ていて、私が普段好きで聴いているピアノとシンセサイザーがいる5人以上のバンドの音とは全然違うわけです。しかし、上手なスリーピースのバンドというのは本来そういうものなのかもしれませんが、ベースとギターのアンサンブルが巧みですし、キーボードはいないけれど、ハーモニーについてはコーラスできっちり表現されています。とてもよく練られている曲ということは、素人にもよく分かる。
 蛙の子は蛙、だと悪口になっちゃうか。なんていうんだか、親から授かる才能ってあるもんだなあと思いました。




2019/06/09

Apple Musicで聴く平成の天才たち

90年代の音楽は、私にとってちょっと空白になっています。
当時は、学生時代から一緒に音楽作りをやる友人がいたので、もっぱらアウトプットの時期で、今さら新しい日本の音楽をチェックしようとか思っていなかったのです。下手に聴き込んで影響受けるのも癪だったしね。
98年、実際には99年に宇多田ヒカルに後ろからドカンと頭を叩かれて目が醒めるまで、7〜8年くらいちゃんと贔屓にして聴いていた音楽はなかったかもしれません。

なので、テレビでさんざん出てくるような超メジャーな人以外、多少は音楽に興味があれば聴いててしかるべきビッグネームも聞き逃しているものが多いです。

そんなわけで、一般教養レベルで欠けているアーティストに触れるにもApple Musicはちょうど良いような気がします。
浜田麻里のところでも書きましたが、私がApple Musicで聴くことでアーティストにはいくらお金が入るのでしょうか?月間使用料が980円で1週間平均で30曲聴いたとすると4週間で120再生か。そんなに聴かないか?まあ1再生あたり10円くらいの売上でしょうか。そのうちショップであるアップルの取り分とメーカーでどのくらい取りますかねえ。物理的にプラスティックの円盤を箱に入れて売っているわけではないから、レコード会社というよりも音楽出版社の手数料なのかな。再生数はなんとでもカウントできると思うので、最後は按分でやるんでしょうが、アーティストにはいくら入るのかなあ。せめて1再生1円くらい入ってるといいですね。

まずは岡村靖幸です。
テレビに出ていた川本真琴はちょっと知ってましたが、そのプロデューサーである岡村靖幸はちゃんと聴いたことがない。
最近になって年に2回くらいテレビで見ているような気がします。スーツを着て踊っているので、須藤元気と同じ箱に入れちゃってるんですが、たぶん全然違う人。
もっと若い世代なんだと思っていたら、ウィキペディアで見ると1965年生まれと書いていあります。なんだ私と似たようなもんじゃないですか。

当時の紙媒体でタイトルだけ見ていた「家庭教師」をライブラリに追加してみました。発売は1990年11月。今聴いてもぜんぜん古い感じはしません。これなら踊れるよね(私はやらないけど)。電子楽器の音もいっぱい入っていますが、生楽器が色っぽく、なんか肉感的な音で、好きな人はハマるでしょう。私もこのアルバムはこれから何度も聞き直すと思う。30年近く前の曲の歌詞が、風俗として今とほとんど変わらず通じるのには「Nippon大丈夫か?」と考えさせられます。私だけでなく国全体が平成ジャンプだなあ。


つづきましては、中村一義です。
岡村靖幸以上になにも知りませんが、たしか「天才」と言われていたはずです。なにがどう天才なのかは知らないんですけど。天才なら最初の作品を聴くべきだろうと思ったので「金字塔」というのをダウンロードしてみました。
中村さんは1975年生まれ、このアルバムは1997年の発売です。岡村くんより一時代若い感じですね。

えー正直、どこが天才かはわかりませんでした。若いのに70年代の古い音をよく知っててセルフプロデュースでまとめられるほど達者なのはわかった。でも我々は原田真二も知ってるしなあ…。最後の曲からどんなメッセージを受け止めれば良いのかもわからず?
でも、聴き終わった後で私には珍しく「Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band」を(これもApple Musicで)聞き直してしまいました。そういうパワーをいただきました。


2019/05/28

Apple Musicで聴く森高千里

週末に出張で特急電車に乗っていて、暇だったのでApple Musicを開いてみたら、今度は森高千里がトップ画面に出ていました。あー懐かしいねえ。「非実力派宣言」のジャケットが見えたのでそのまま聴いてみました。CD買ったわ、あの頃。

南沙織の「17才」をカバーしたことをきっかけに一気に知名度を増した森高千里がその勢いを加速させたアルバムです。この頃は「アルバムで聴く」というのが一般の人にも根付いていました。多分、カーステレオで流しっぱなしにしてたからなんでしょうけど。あの頃はみんな自動車に乗ってましたから。

「非実力派宣言」は森高千里をブレイクさせた記念碑的作品ですが、そうなってくると「俺はその前から知ってた」症候群の人がたくさん出てきたわけですが、そういう人たちが聴いていたのはアルバム「ミーハー」です。森高千里が自分で作詞するようになった最初の作品ですが、今聴くとやはり眠たい。杉山清貴と同じカラオケにちょっとおぼつかない感じで森高千里の声が乗っているミスマッチな感じ。森高千里は歌は下手じゃないけど声が小学生みたいなので、面白いっちゃ面白いんだけど、ちょっとどっちに行けばいいかわからない感じがします。

それが「非実力派宣言」になるとかなりガラッと音が変わります。
印象的なのは 「ぎゅっぎゅっぎゅっ♪」と入ってくるうるさいシンセのフレーズ。その一方で妙にネイキッド?なギターの音の多用。この2つの要素がいかにも「森高千里」の音、という感じがしますし、ここで森高千里はロックになったと思う。ちなみにZARDが出てくるのはこの後なんですね。当時はこの2組の音が似ていることに気がつきませんでしたが。

森高千里は当初はアイドル的に売り出すつもりだったが、そこそこ年齢がいってからのデビューだったので、作詞をさせることでアーティストっぽく売ることにしたようなのですが、その作る歌詞が挑戦的で面白かったので見事にハマったんですね。下に紹介する3枚を遡って聴くと、中途半端なシティ・ポップ風から森高千里自身の詩の力で風穴を開け、それがサウンドプロデュース側に影響を与えてだんだん個性が固まってきたんだということがよくわかります。

彼女が成功したおかげで、若いうちにブレイクし損ねたままトウが立っちゃったアイドルに作詞をさせれば、ちょっとルックスの良いアーティストとしてリサイクルできることがわかり、そこから巨万の富を稼ぎ出すビジネスモデルが確立したようです。







2019/04/30

東京少年少女/角松敏生

 シティ・ポップといえば、というお題で話し始めた時に比較的すぐに出てくる名前と思われる角松敏生。残念ながらiTunesのストリーミングでは見当たらず、個別にお金を出さないと聴くことができません。

 ゴールデンウイークは頑張ってギター弾いたりブログ更新したりしようと考えて、会社帰りにまた山野楽器に行って来ました。目当ては「HOCHONO HOUSE」だったんですが、念の為1周回ってみたら角松敏生の新作と思われるアルバムが出ていました。「東京少年少女」なにそのタイトル?

 実は私自身は当時のシティ・ポップには冷淡な態度をとっていたので、角松敏生のことも名前ぐらいしか知りませんでした。杉山清貴のところでも書きましたが、私はその頃オフコースに深く肩入れしていましたので、彼らのような「知識と技術がある人が作る完成度の高い音楽」にはあまり興味を持てませんでした。この後、ブラコンていうさらに魅力的な音楽がJ-POPに影響を与えて、さらにとっつきの良い音楽が流行るようになったんですが、そういうのにハマる自分が嫌だったので、出来るだけ距離を置いていました。こういう「ロックじゃない」もの(まあ多分誤解です)に取り込まれたくない感じ。若かったんですね。山下達郎だけは唯一ロックのストーリーの中から出てきて、結果としてシティ・ポップに近いところにたどり着いた人と思い、抵抗なく聴いていたんですが。

 なので、角松敏生については、V6の「Waになっておどろう」を作った人らしいよ、くらいのことしか知らず、曲名も一つも知らない有様でした。

 そんなわけで初めて聴いてみました。
 私が買ったのは銀座の山野楽器に置いてあった6曲入りですが、限定盤9曲入りもあるようです。発売は2019年4月3日、偶然にしては良いタイミングでの入手です。
 M1は結構ファンキーな(っていうの?)ラッパがガンガンに入ったカッコいい曲で、ブラスのアレンジは新田一郎か?と思ってライナーノーツをみたら違う人でしたが、スペクトラムな感じで好きです。
 Wikipediaで調べるとこの人は今58歳ということで私より歳上なんですが、「へーよくこんな若い声が出るなあ」と感心しました。万年青年系ですね。
 「Waになっておどろう」のような南方民族系なサウンドはデビューして少し後に始めた分野のようですが、まあすべてよくできています。白いクーペでドライブに行きたくなりますね。
 Amazonのリンクは「東京少年少女」2種と友人が好きだと言っていた関連アルバムを貼っておきます。


2019/03/31

realtime to Paradaise/杉山清貴

一時期完全に更新をサボっていたこともあり、おそらく数少ない定期購読者も去っていかれたことと思います。
一方、ブログの性格上、有名アーティストの名前が散りばめられているので、おそらく検索によって間違って訪問してくださる人も少しはいらっしゃるようです。そういう皆さんにはお気の毒に、としか言いようがないのですが、まあ犬にでも噛まれたと思って勘弁していただきたいと思います。
で、その検索ワードなんですが、最近「杉山清貴」で来てくださる人の割合が意外なほど高い。多少なりとも更新している昨年末以降に気がついたんですが、なんで今「杉山清貴」を検索している方がいらっしゃるのでしょうか?
ずっと謎でした。

で、ひょっとしたらと考えたのが、先週の金曜日(2019年3月29日)に会社に配達された新聞「日経MJ」に載っていた記事です。


日本の80年代の「シティ・ポップ」が海外(記事によると韓国や東南アジア)で話題になっている。竹内まりやの「プラスティック・ラブ」がYoutubeで大人気だ、と。
話題そのものは昨年末か今年のはじめにも聞いた気がする内容ですが、天下の日経(MJだけど)が記事にしたとなればこれはもう大人の常識(笑)、本当だろう、と。
ということは、「シティ・ポップ」とはなんぞやと思った若い方が研究のためにネットを彷徨っているうちに「杉山清貴」を検索しているのではないか?と考えてみたわけですが、いかがでしょう?

本当にそんな意図で訪れた方には大変申し訳ありませんが、当ブログでは杉山清貴について過去に手抜きの投稿を一度だけしたことがありますが、彼を含めた「80年代シティ・ポップ」についてちゃんと考えたことはありませんでした。

というのも彼らの全盛期はちょうと鈴木康博脱退後、4人体制になったオフコースの活動時期と重なっていて、私はそちらに気を取られていたということが大きいです。

オフコースも当時はお洒落なサウンドという評価をされていましたが、今聞くとかなりゴツゴツした不器用な音楽をやっていて、当時の私はそのゴツゴツ&不器用さこそがロックだと思って好きでした。
一方その頃、山下達郎を頂点とするもっとシャレたポップスを作る達人たちがいたわけですが、私はシティ・ポップというのはそういう「達者な人」が作る音楽という印象をもっていました。
歌のうまいボーカルがいて、バックはジャズもロックもできるいわゆるフュージョン・バンドの音です。編成はキーボードのいるロックバンドと同じような感じですが、ギターやシンセサイザーの音の選び方、リズムは16ビートが基本なので楽器演奏の手数や力の入れどころなどが違ってより流麗に。チョッパーベースもこれみよがしという感じでなく「やれて当然」の技法としてさり気なく、しかもたくさん使われます。

フォークやニューミュージックがその拙さゆえに素人に音楽を開放し、そこにシンパシーを感じて、素人丸出しのままオリジナル楽曲など作っていた私にとって、シティ・ポップ系アーティストは大衆音楽を超絶テクニックと音楽理論をもつプロフェッショナルの世界に奪い返そうとする、仮想敵でもありました。

そうしてまああれから20年だか30年だか経って、今ではすっかり消費するだけの人間になってしまった気楽な立場で改めて杉山清貴を聞いてみました。

表題のアルバム「realtime to Paradise」はiTunesのストリーミングで提供されています。シングル曲で有名なところでいうと「最後のHolly Night」が収録されています。
買い物ついでにちょっと長く歩くことがあったので、ヘッドホンで聞きましたが、「あれ、こんなにシンプルだったっけ?」というのが最初の印象です。もっと楽器の音が多いと思い込んでいましたが、ギターやシンセが倍音たっぷりな音色を使っているのに騙されていたのかも。キーボードがやたらとコードそのままの音階をアルペジオで弾いていて、あ、これならできるわ、とか思ったり。まあでも当時の仲間とお前でやれたか?と言われたらゴメンナサイです。

さて、シティ・ポップがロックと袂を分かっているのは歌詞の世界にも感じられます。オフコースは1960年代の終わりという特殊な時代に生まれ、その中ではあえてメッセージ色を排除した歌を歌っていましたが、そこにも「あえてメッセージを抜く」という思想があったと思います。しかし、80年代のシティ・ポップには最初からそんな葛藤はなく、当時の物質文明を肯定も否定もせずにあたりまえの風景として歌います。それは我々80年代に成人を迎えた世代にとっては自然なことでもあります。まさに一億総中流だったわけですから。
リゾートホテルのラウンジで知り合ったカノジョは長く黒い髪、白い肌、細い肩。しかし翌日ビーチに誘うとまるで別人のプロポーション!
東京に戻って都心で待ち合わせるとパンプスとスーツの彼女が背伸びしながらのベーゼでお出迎え。
帰り道に青山通りを走る白いセダンのヘッドライトはハロゲンライト。黄色くないフォグランプとガラスのサンルーフが装備されています。オートエアコンの操作パネルと重なって配置されるカーステレオは残念ながらまだカセットですが。

私はその頃の若者でしたがこんなに楽しい生活ではありませんでした。

4曲目に「タイをはずして」というタイトルの曲があります。アルバムの曲名の中にこんなタイトルが並んでいる感じ、当時の創作センスを表しているようで、脳みそを内側からくすぐられているような感じになるんですが、他の世代の人にわかるかな?わかんねえだろうなぁ。







2019/02/24

Sympa/King Gnu

録画で見たんですが、2月22日のミュージックステーションはなかなか気合の入った出演陣で、久しぶりに早送りをほとんど使わず見せてもらいました。
その中で、知らないロックバンドが出てきたのですが、これがよかった!
King Gnuというバンドで`"Gnu"ってのは昔よくドキュメンタリー番組で出てきた牛みたいな生き物だったかしら、と思って辞書を引いたらやっぱりそうでした。渋い選択。

で、出てきた絵面がワルそう。
しかも演奏している曲がなにやらプログレ入ってる感じのロックで、最近あまり見なかったスタイルです。ストリングス系の音を使ってぎゅんぎゅん転調するし、ちゃんとリズムとってないけどたぶん2拍子、4拍子を切り替えながら、せっかちに次へ次へ進んでいくところも楽しい。

最近テレビに出てくるロックバンドって、前髪垂らした細っこい男の子がブツブツいってるのばっかりだったから、こういうワイルドな感じを待ってた!芝居っ気たっぷりにトラメガで歌うアンチャンの後ろにはマッドキーボーディストまでいるじゃないですか。こういうの大好きだ~。

そんなわけで「2曲続けて」で後攻めをやらされたセカイノオワリがGSに見える(やってる曲が悪かったんでしょうが)という、1980年頃「夜のヒットスタジオ」にRCサクセションが出てきたあと、みたいな場の乱れかた。
その影響はその後もしばらく続き、ケミストリーもJUJUもこの流れでは歌謡曲に聞こえてしまいました。

こりゃアルバム1枚くらい聴いてみないと、とiTunesで検索かけたところ、テレビでやっていた曲「Slumberland」が入っているアルバムがストリーミングで落とせました 。
早速、翌日の休日出勤のときにiPhoneで聴きながらでかけてみました。

まあとにかく、1曲めの短いインストからテレビでやってた2曲め、さらにそこから4曲めまで、次のインストナンバーが挟まるまでの最初のブロックがハッタリが効いてて圧倒的に良い。「Slamberland」の感想は上に書いたとおり、そのまま畳み掛ける感じで3分くらいの尺にアイデアが詰まったテンポの速い曲が続きます。
その様子は、1983年にアルフィーが勝負をかけたアルバム「ALFEE'S LAW」のA面と同じ気合を感じます。

さて、アルバム「Sympa」の後半は、今風の普通さに寄っちゃって少し眠いんで、この次は前半の勢いのまま最後まで走り切るアルバムを作って欲しいな。


Mine or Yours/宇多田ヒカル

ベストアルバム"SCIENCE FICTION"を買った後しばらくぼーっとしていましたが、5月になった途端にYouTubeでライブ配信的なものを見かけました。配信は途中から見たのですが、過去のMVが次々流れていて、いつから新作発表になるのかわからず、見るのやめ...