ラベル アルバム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル アルバム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/06/05

放生会/椎名林檎

最近は時計代わりの早朝1時間くらいしかテレビを見ないのですが、そこで流れた芸能ニュースで見かけたのが本作品。

椎名林檎が新しいアルバムを出すよ、半分くらいはゲストとのコラボ曲が収録されていますよ、とのこと。企画ものって感じなんでしょうか?そういや昔、安室奈美恵が似たようなことをやってたなあ、確かここにも書いたよなあ、と思って検索してみたら2011年の今頃の季節にアップした"Checkmate!"というのが出てきました。そうそう、DOUBLEの人とか山下智久とかが参加しているアルバムです。そうか、東日本大震災のすぐ後くらいに出てたんですね。

まあ、どっちの人にも怒られると思いますが、この2作品ともテイストが似ています。場所前に有力力士相手にちょっと番数こなして稽古を頑張っている感じの大横綱感といいますか。ちなみに三役と幕内上位を行き来しながら頑張るベテランよろしく、13年の時を跨いでどちらにもAIが参加しています。

宇多田ヒカルが動けば椎名林檎も動く、東芝EMI同期の絆は続いていて「放生会」には、新曲ではないけれど宇多田ヒカルとの「浪漫と算盤」のバージョン違いも収録されています。

Apple Musicで全曲聴けてしまうので、ライナーノーツも見ていない。オフィシャル・ホームページにもさほど詳しい裏話的なことは書いていないので企画意図等はよくわかりません。余談ですが、iPhoneの音楽アプリで「クレジットを表示」を見ると、演奏しているメンバーとかもちゃんと載ってるんですね。昔は歌詞も含めてろくな情報が載っていませんでしたが、ようやく中身がデータベースフォームに追いついてきたってことでそれは良いことですね。

さて、私は椎名林檎はあまりちゃんと(アルバム単位で)聴いたことがないです。もちろん名前も曲も少しは知っているし、嫌いじゃないけど。特にここ10年くらいどんな作品を作っているのかはほぼノーチェックでした。今となっては初期と言っていい「本能」や「真夜中は純潔」のビデオなんかは見ていましたけどね。紅白歌合戦によく出てきてくれるので、年に一度くらいは歌声は聴いていましたが、新曲を歌うとは限らないので20年くらい前の印象で固まっています。宇多田ヒカルもそうですが、もともとシンガー・ソングライターなんで歌謡曲歌手のようなあっと驚くイメージチェンジやらジャンル変更などはないのかもしれませんけど。

で、「放生会」を何周かイヤホンで聴いてみた印象ですが、1990年代以降のJ-POPや渋谷系を通った上で、今の椎名林檎は「ハイパー歌謡曲」になっているのだなあ、と思いました。昭和歌謡から続くオーケストラ、ジャズバンド的な演奏に載せてミスチル以降顕著になった日本語リエゾン(?)的な歌詞の載せ方(母音の意識的削除とか)、渋谷系のようなオールディーズの引用、オマージュがすべて備えられ、そして現在のイヤホン視聴に耐えられる音色、音質の調整が施されています。

ついでにちゃんと聴いたことがなかった「勝訴ストリップ」も続けて聴いてみましたが、椎名林檎もデビュー時にはすでに歌い方が完成していたんだなあ、と変な感心も。

Amazonへのリンク

Apple Music

2024/04/21

SCIENCE FICTION/宇多田ヒカル

前回の更新から2年近く経ってしまいました。その間に会社を定年退職したり引っ越ししたりで自分のことで精一杯でしたが、まあ晴れてほぼ自由の身(経済的にはどんどん不自由になるわけですが)ということで、これからは身バレしようが炎上しようが誰にも迷惑がかからないことになっています。

さて、今回は宇多田ヒカルの25周年記念・初ベストアルバム"SCIENCE FICTION"です。昔出してたシングルコレクションは年代で区切られているから、公式オールタイムベスト盤はこれが初めてってことなんですね。

新曲が1曲なので、それ以外はすでにライブラリーに読み込み済みのはずなんですが、そういえば最近物理ディスクは購入していなかったのと、たぶん無理だけど今年のツアーの優先購入枠に申し込めるということなので、初回限定版をアマゾンで注文しました。昔のLP盤ほどではないけどやたらでかい包装で届いてちょっとびっくり。とりあえず飾ってみましたが、ほこりが付きそうなのでどうしようかな?

宇多田ヒカルについては毎回タイトルを深読みしてしまいますが、今回の"SCIENCE FICTION"というのもいろいろ考えさせられますね。つまり”SF”でしょ?

一説にはすでに死んだジャンルとも、死んだのではなく普遍化したとも言われる「空想科学小説」をなぜタイトルに?

もともと帰国子女どうのこうの関係なく、同世代の一般人(というか我々おっさん世代も含め)と比べても桁違いの読書家だった宇多田ヒカルが、SFについて一家言持っていないはずがなく、ただ新曲が"Electricity"というちょっと「ぽい」タイトルだから、みたいなオチでは絶対ないはずです。何が言いたいのかなあ?

さて、中身の話です。もちろん買って損するようなものを発売するはずがない(かつてコピーガード付きCDという醜悪なメディアがありましたが、彼女は一貫してコピーガイドCDは販売しなかったので信用している)。全26曲のうち、再録音が3曲、リミックスが10曲、新曲が1曲なんで半分は持ってないトラックが入っていて通常盤4400円だから元はとれる(?)ようになっています。もはや純粋なCD再生装置を持ってないので早速iMacに取り込むとApple Musicのドルビーアトモス、ハイレゾロスレスで聴けるようになりました。

リミックスというと20世紀の終わり10年くらいからやたら流行って、当時は昔のカラオケをダンスミュージックっぽくしてみました、みたいのが多かったような印象です。録音し直ししたものでもジュディ・オングの「魅せられて」みたいに昔のオーケストラの方がカッコよかったのに腰砕けなテクノ歌謡になっちゃった例があるので心配でしたが、そのような蛮行はなくてよかった。

リミックスや再録音の対象になっているのはデビューから長期休養前に発表されていた作品です。聴いてる素人からすると古くなっているとも思っていないけれどなんだかんだ最大25年の時を経ているわけだからサウンド的に統一感がなくなりそうな部分をアルバムトータルで調整したのかな?と思っています。再録音されたものも歌い方がすごく変わっているわけではなく、その意味ではデビュー当時からめちゃくちゃ完成されていたことがわかって、逆に怖いくらいです。ただ、再生装置やApple Musicの処理またはミックスの違いかはわからないけれど、多重録音されたコーラスひとつひとつがよりはっきり聞こえてきて、味わいが増した気がします。

そんなわけで選曲にしろ曲順にしろ、このアルバムをどう聴かせるか、ということがちゃんと考えられたアルバムになっていると思うので、今まで追っかけていた人もここでひとつアルバムで購入するのはアリだと思いました。

Amazonのリンク


2022/06/22

SOFTLY/山下達郎(初回限定版)(特典なし)

 先週末くらいからメディアでがんがん露出していて、嫌でも目についた山下達郎の新作アルバム、Amazonでぽちっておいたら無事に今日、郵便ポストにメール便で入っていました。

前作「Ray Of Hope」の感想文を書いたのもそんなに前のことではない、と思っていたのですが、あれからもう11年も経っていたんですね。さすがにアラカン、時の流れも大雑把に流れるようになりました。きっと山下達郎も「毎年がんばって仕事して、やっとアルバム1枚まとめたら11年ぶりですね、とか冗談じゃないよ」と思っていそう。

前回は東日本大震災直後、今回はコロナとロシアのウクライナ侵攻という大事件のあとでの発表ということで、なんだかんだと2枚とも歴史とともに記憶される作品になることでしょう。また、音楽史的にもジャパンのシティポップいいんじゃね?ブームの中ということで、いよいよラスボス登場的な立ち位置でもあるわけだから、届く前から期待は高まります。サンデーソングブックでは2週連続で全曲の触りを聴かせてくれていましたし、機運は高まっていますよね。

さて、実際に届いて早速Macのミュージックに取り込んで聴いているわけですが、もう感想文を書いてしまいます。

まずは最新作がいちばんすごい、というのは素晴らしい!

私はところどころ抜けてはいますが、「FOR YOU」から山下達郎を聴くようになって、あの80年代前半のカッコよくて、色とりどりで爽快なサウンドが大好きなでした。今作はあの頃の味わいを思い起こさせられつつ、しかもそれが現代の機材と円熟のテクニックでグレードアップしたものを、どかんとぶつけられた気分です。全15曲、まったく飽きないし、適度に打ち込みのサウンドをフィーチャーした感じが世代的にぴったり来ます。iMacのそこそこなスピーカでも、散歩中にイヤホンで聴いても、クルマを持っている人はカーステレオで流しながら夜のバイパスを走るのにもいいと思う。

「FOR YOU」の「Hey Reporter!」の頃から何曲かメッセージ性の強い曲を入れていますが、今回は「(制作時期的に)ウクライナのことではないけれど、昨今の世界情勢を見て」とラジオで語っていた「OPPRESSINN BLUES」がそれに当たります。例の桑田佳祐の曲はひどくぼんやりしていて聞こえましたが、やっぱりこのくらいきっぱり書かないとね。YouTubeでは各国語字幕バージョンが追加されていくそうです。



さて、山下達郎くらいのキャリアになればなにからなにまで新しい、という作風ではないので、たとえば「これ、歌詞を変えたら昔の〇〇にそっくりじゃん」みたいなことを考える人もいるかもしれません。私も正直、小田和正にはそれを感じてしまうんですが、山下達郎については「お前はなにを聴こうと思っているんだ、山下達郎が聞きたいんだろ!」ですべて解決する気分です。まあ、周りにそんな人はいないし、そういう人はきっと「シン・ウルトラマン」の細かいところを気にして楽しめない人と同じタイプかと。


2022/02/12

BADモード/宇多田ヒカル

昨日書いたmiletさん、「落ち穂拾い」の人はMilletだよな、なんで"L"を1個減らしてるんだろうと思ってるんだけど、その綴りのおかげでGoogle検索でも"milet"で検索するとほぼこの人の情報にしかヒットしないんで、これはこれで大したネーミングなのかもしれない。僕も"rouseau"って名前で大真面目かつやたら自信満々にヘタウマなトラックを発表し続ける、痛いシンガーソングライターとして活動しようかな、などと妄想します。

閑話休題、宇多田ヒカルも新作アルバムが出ているので聴いています。とは言え近年でシングル曲として発表してきた曲が多いので今日は1曲1曲の話はあまりしないですが。

とにかく私のレベルだと宇多田ヒカルに振り落とされないように聴き続けるのが年々大変になってきています。本とかでもだらっと読める新刊本ばかり読んでいるとハードカバーの長編小説とか学術書(?)とかは相当頑張らないと読めなくなるじゃあないですか?読みづらい作品が悪いのではなくて読む努力を忘れてしまった読者が悪いわけです。消費するにもそれなりの研鑽やら精進やらが必要です。宇多田ヒカルは純文学ですからね。

いみじくも昨年夏の国際的スポーツ大会のオープニングなんかでも露見したとおり、食べやすい飲み込みやすいものばかり消費しているとファインアート的なものがどんどん衰退していって、ここだけは格調高く決めなきゃいけない頑張りどころでもサブカルノリの表現しかできなくて恥をかくことがあるってことは自覚してないといけないですね。

さて、今私が宇多田ヒカルのなにに振り落とされそうになっているかと言うと、彼女の曲がどんどんシンプルというかミニマルというかになっていっていて、おそらく進化の方向としては正しいのだと思うけれども、昔ながらのキーボード、ベース、ギターが和音をしっかり支えてその上にボーカルとコーラスが乗っかっているトラックじゃないと落ち着かない、というのがあるわけです。音はすごく良くて、スカスカということではなく空間はちゃんと埋まっているんだけど、要素を分解して聴いていると打楽器とキーボードのアルペジオがループしている空間に宇多田ヒカルの多重録音されたボーカルが浮遊しているだけだったりするわけです。かろうじてタイトル曲の"BADモード"はまあまあ穏当なJ-POP風ですけど。

参考までにApple Musicで手っ取り早く今の「最新ヒットのプレイリスト」なんかを流してみるとやはりかなり聴きやすい曲が並んでいるんですね。ちゃんとキーボードがコードを鳴らしてベースが輪郭を付けてくれて聴いてる方が不安になることがない。昔に比べるとどの歌手もそこそこ上手だし退屈しないように次から次へとフックが入るし。

また、最近のApple Musicは歌詞もカラオケボックスみたいに曲の流れに合わせて表示してくれる機能もついていて、聞き取れなくても歌詞カードにどう書かれているかの確認も容易にできます。それにしても最近のJ-POPの風景の無さはすごい。全部自分の頭の中のこと、自分と戦う歌ばっかりだ。今の若者、自己責任がすっかり身についています。

宇多田ヒカルの歌詞も日本語部分はかなりミニマルな感じになっていますが、実は英語のコーラス部分でかなりの情報、風景や行為についてストレートに語っていることが多く、そうすると辞書で単語の意味を調べたり、Google翻訳のお世話になったりしながらいちおう確認しておかないと意味がまったく取れないままになってしまうわけです。客だからと言って楽しちゃいかんということです。

2019/08/04

Take My Time/シーナ・イーストン

今日も元ネタはApple Musicになります。
シーナ・イーストンのことを思い出しました。

ちょっと前にシティ・ポップなんちゃら、という話を書きましたが、当時私の考えでは、日本のシティ・ポップというのは「モダンガール」みたいなカラオケで声のきれいな人が歌うもの、という認識だったんですが、さてシーナ・イーストンてどんなだったかなあ?という振り返りです。


で、「9時から5時まで」や「モダンガール」が入ってるやつで検索すると一番古い1980年のアルバムが出てきました。まあ、そのくらいの知識量。私はレコードは買わず、「夜のヒットスタジオ」などに出てきて歌っていたのをテレビで見ていました。


ほぼ初めての感覚で聴いていると、まあとにかく我々の世代にとって聴きやすいことこの上ないです。ちょっとフォーキーなアコースティックギターの入る曲から、ぶっといエレキギターの音が入るロックっぽい曲もあり、ちょうどこの少しあとで日本のアイドル歌手 (とそのプロデューサーたちが)ベンチマークしたと思われる当時のオシャレ系ポップスの定石集という感じです。70年代はちょっと歌えるアイドルはやたらとドナ・サマーの真似をされられましたが、こっちでもいいじゃん!て感じです。

そういうわりにはシーナ・イーストン風のアイドル歌謡はあまり心当たりがないんですが、ちょっと上の世代のニューミュージック系の女性歌手はかなり取り入れていたと思います。ビビアン・スーあたりも台湾で似たような曲を出していたに違いない(妄想)。なんなら、2000年代ですが、宇多田ヒカルの「SAKURAドロップス」だって、M8の”So Much In Love”に似ています。


あと、シーナ・イーストンは声が恐ろしいほどきれい。声がきれいな歌手というと、オリビア・ニュートン・ジョンとかケイト・ブッシュとかの大御所がいますが、シーナ・イーストンもすごい声してます。しかし、その後の活躍はその声のわりに地味な気がします。あまりにものっぺりときれいなのでBGM的に消費されてしまったのでしょうか?

2019/06/27

Apple Musicでは聴けないポリドール時代の原田真二

 2019年もあと数日で半分が終わります。
今年の投稿は前回までで18本。1ヶ月あたり3本か。
まあ近年の開店休業状態から思うとまあまあですね。これもApple Musicで聴きたい(というか昔違うメディアで聴いていた)曲が聴けるようになった事が大きいかな。
最近もちょっと良いネタを見つけたのでそのうち書きますけど、今日はちゃんとディスクで買ったものの紹介です。

買ったのは原田真二&クライシスの3枚組です。
原田真二もある程度はApple Musicで聴くことができます。当時テレビで見て好きだった、という人が覚えているヒット曲はだいたい網羅されています。
ところが、私の場合、高校時代の友人のせいで(普通はおかげで、と言う)その後のメッセージ色の強いロックをやっていた原田真二のことも覚えていて、「あー、たまにはSTRAWBERRY NIGHT とか聴きたいなあ」と思い出すことが年に1回くらいあるわけです。
ところが、その頃の曲(つまり「原田真二&クライシス」というバンド
名義で活動していた頃の曲)はApple Musicでは一部しか聴くことが出来ません。「スウィート・ベイビー」の次はすぐ「Modern Vision」みたいな繋がりになっていて、まさに「STRAWBERRY NIGHT」のあたりが抜けています。
Amazonのストリーミングサービスでも似たような状況なんですが、そのままAmazonで検索していたら「原田真二&クライシス ポリドール・イヤーズ完全盤」という物理ディスク(CD3枚組)が販売されていました。以前、タワーレコードで見て、ちょっと高くて買い損ねていたものですが、4500円くらいするはずが3000円そこそこで売っていました。てっきり中古の掘り出し物だと思い、慌ててポチって、届いてみたらちゃんとした新品でした。ラッキー!

さて、ほとんど仕様を確認もせずに買ったので、届いてから「どんなもんじゃい?」と開けてみると、ディスク1がアルバム「HUMAN CRISIS」、ディスク2がアルバム「ENTRANCE」、ディスク3が「シングル&ミニアルバム」となっていて、今まで買ったベスト盤とはほとんど曲が重複していません。よかった、探してみるものです。

実際に聴いてみると高校生の頃には気がつかなかった良さが改めてわかった感じです。
ヒット曲連発時代の原田真二は「ロックの御三家」とか言われながら、オーケストラをバックにしたポップス的サウンドでしたが、原田真二&クライシスはロックバンドの音です。ギターもドラムも生々しく録音されていて洋楽のロックのレコードに近い音がします。演奏の角を変に丸めずにそのままざらっとした手触りのまま聴きてに届けてくる感じ。それでも原田真二の絶妙にかすれた声はチャーミングで、とても聴きやすい。曲も1曲の中で展開する幅が大きく「才気煥発」という言葉を思い起こさせる自由さがあります。やっぱり天才だと思う。
このころの原田真二といえば、「&クライシス」になる直前、「MARCH」というバスドラ4つ打ちにピアノのオクターブ弾きのイントロから始まる曲をシングルで発売し、それを1年後くらいに「&クライシス」の「STRAWBERRY NIGHT」でやり直し、さらにディスク3に入ってる「街で散歩」という曲でもう一度使って、という三兄弟みたいな曲があります。当時こだわっていたテーマなんだと思うんですが、それが何を表していたのかは残念ですが今もわかりません(わからないままで好きですが)。ああ、「STRAWBERRY NIGHT」といえば、これからこの曲を初めて聴く人は、エンディングで低い声で英語のセリフが入ってくるところで「マイケル・ジャクソンのスリラーじゃん!」と思うかもしれません。残念!発売はこっちが先です。少なくとも「スリラー」の真似ではありませんので。

原田真二&クライシスのポリドール時代は1980年〜1981年。オフコースが「さよなら」とかをヒットさせていた時代です。
私は高校時代に原田真二という才能に接していながら、大学時代は堅苦しいオフコースをずっと聴いていました。それはなんでかというと、今思うと「オフコースの方が真似しやすそう」だったからだと思います。オフコースの音楽と似た曲を作るには才能は要らない。必要な知識を順番に増やしながら指差し確認で音符を増やしていけば、いつか「小田和正が作りそうな曲」をパロディ的に作ることが可能です。でも原田真二の自由な跳躍に追いつくには、瞬発力のある音楽的才能が必要な気がします。

2019/05/05

日本の恋と、ユーミンと。/松任谷由実

 さて、とうとうユーミンがストリーミング配信されるようになりました。随分と掘りがいのある鉱脈に出会ってしまったものです。

 私は兄弟もおらず、基本的に昭和一桁の両親と見るテレビだけで幼少期の音楽体験をしてきましたので、ユーミンのことを知ったのは、随分と年長になってからのことでした。
 おそらく最初に聴いたのは母が午後に多分再放送で見ていた連続ドラマの主題歌として使われていた「あの日にかえりたい」だったと思います(なんのドラマだったんだろう。あまり重要なことではないので調べずに素通りしますが)。

 私にとっては検証をしないうちにとんでもない大きな存在であることだけが結論として伝えられたのがユーミンです。そりゃ私もバブル時代を生きてきましたし、「私をスキーに連れてって」もレンタルビデオで見ましたから、大人になった頃にはなんとか追いついたんですけどね。

 Wikipediaなどで確認してみると、1983年の「VOYAGER」から1995年の「KATHMANDU」までの干支一回りの間、判で押したように11月下旬から12月上旬にアルバムが発売されています。この間、日本人が毎年の暮れになるとユーミンのアルバムを買ってクリスマスを迎えることが国民的行事になっていたということがわかります。恐ろしや。

 で、荒井由実時代のことについては実はほとんどよく知らないということで、何年か前に慌てて「ひこうき雲」など買って聴いたりしたんですが、改めて表題のアルバムに収められた曲の中から荒井由実時代の作品に注意しながら聴いていると、そりゃまあ、我々の上の世代が崇め奉るのもよくわかります。私も今後は改めてユーミンの旧作をアルバム1枚ずつ、ゆっくり味わってみようと思っています。

 大衆音楽家の先進性というのは、当然、その時代と込みで考察されるべきであり、当時の荒井由実が出てきたときに他にどんな音楽が流行していたかを考えるとその突出ぶりはすごいです。例えばアルバム「ひこうき雲」が発売された1973年のヒット曲をWikipediaでひろってみると、「おんなの道」「喝采」「危険なふたり」とか梶芽衣子「怨み節」とか出てくるわけですよお立ち会い!
 若者(大学生あたり)に対象を絞り込んだとしても「神田川」「心の旅」「ひなげしの花」「てんとう虫のサンバ」とか…。おそらく多少なりとも音楽に関心がある人にとっては、1999年当時の宇多田ヒカル「Automatic」がそうだったように、「これは買って聴かなければいけない」とつき動かされるような新しさがあったことは間違いないと思います。

 初期のユーミンを聴くことは、はっぴいえんどの流れを汲むキャラメル・ママまたはティン・パン・アレーの演奏を楽しむことでもあります。今の高度に処理されたカラオケを聞き慣れた耳には、多少もたつきを感じさせる箇所もあるような気がしますが、当時最新の演奏法を取り入れ解釈し再現することの初々しさを感じさせ、逆にすーっと聞き流すことを許さない演奏になっていますね。

2019/05/04

The Best Year of My Life/オフコース

 過去に何度か名前だけ出して項目を作っていなかったので、1984年のアルバム「The Best Year of My Life」の話も書いておきます。

 オフコースの最盛期はやはり武道館10日間コンサートをやりきった1982年でしょう。前年の秋にはNHKがアルバム「over」のメイキングを「若い広場」の枠でドキュメンタリーとして放映しましたし、6月の武道館公演あとの9月にはTBSで2時間の特番「NEXT」が放映されました。シングルヒットとしては1980年の「さよなら」が突出していますが、その後のライブの動員やアルバムの売り上げは82年の方が大きかったと思います(すみません、すべて記憶で書いていますので、ちゃんと知りたい方はちゃんと調べましょう)。
 しかし、武道館コンサートを区切りとして、グループ結成以来のコンビだった鈴木康博が脱退したことで、オフコースは無期限活動停止してしまいます。天下を取ったような、もう少し上に行けたような、微妙な状態でした。大メジャーになるチャンスを自ら放棄したようなその活動停止は、当時の経過をやはりドキュメンタリーとして執筆していた故・山際淳司に「オフコースは早漏だった」と書かれてしまいました。

 そしておそらくいろんな事情で、鈴木康博がいなくなった4人のまま、1984年にオフコースは活動を再開し、今日のお題であるアルバム「The Best Year of My Life」を発表します。先行シングルである「君が、嘘を、ついた」はなぜかフジテレビ「オレたちひょうきん族」の「ひょうきんベストテン」コーナーにご本人登場という形でプロモーションビデオが本邦初公開されました(よく覚えてるなあ、我ながら)。「スリラー」以降、世界的に流行した凝ったプロモーションビデオを作っていたのもこの頃ですね。

 4人になってからのオフコースのナンバーは、最近になって何度も発売されるベスト盤でも冷遇されているみたいで、「YES-YES-YES」の後すぐに「君住む街へ」になっておしまい、みたいなのが多いんですが、私はこの頃から解散手前までのオフコースの曲が好きでした。とはいえ、一般の人にとっては後期オフコースの曲って、「君が、嘘を、ついた」でだいたい完結していると思いますから、このアルバムはお買い得だと思います。後期オフコースのライブで欠かせない、「夏の日」「緑の日々」も入っていますし、私が以前、AKBの「ラブトリップ」に(が、ですね)似てると書いた松尾一彦のナンバー「愛を切り裂いて」も入っています(笑)

 5人時代のオフコースは良くも悪くも小田・鈴木の二頭政治の緊張感がすごくて、小田さんも異常にストイックな感じの曲作りと歌いぶりだったんですが、4人体制になって誰がどう見ても「小田バンド」になった小田さんは、いい意味で曲作りにも歌いっぷりにも少しではありますが中年らしい「生臭み」が加わってきます。「よるがなあがれえていくう」みたいに高音で大きなコブシを回す感じとか「いきがとまるうーううー」の唸りとか。歌詞も恋愛がらみの即物性が加わってきます。

 以降、ライブでもサポートメンバーを入れることが前提になって、それまでほとんど使ってこなかった金管の音や打ち込みのリズムを使い、明らかにジェネシスおよびフィル・コリンズ風の分厚いロックサウンドを臆面もなく展開するようになりました。

2019/05/03

K.ODA/小田和正

 連休中に気が大きくなったので、iMacの画面下で鳴らすためのBluetoothスピーカーを買ってきました。BOSEのSondLink Mini Ⅱです。ビックカメラのポイントが何千円ぶんかあったので、ちょっと足してJBLあたりの8,000円くらいのを買ってくるつもりでしたが、たまたま「再販されました!」とか書いたPOPがついてたもんだから。
 おかげで予算に対して経費が倍になってしまいました。

 さて、新しいスピーカーで何を聴こうかと思うと私の場合はオフコースの「over」がどう聞こえるのかってことになっているのですが、そういえば久しぶりに昔の小田さんも聴こうかと思って、昔カセットで買った気がする「K.ODA」を改めてiTunes Storeで落としてみました。バラで1曲250円、アルバム8曲2,000円。まんまやん!

 さて、この「K.ODA」はオフコースの末期活動中だった小田和正が満を持す形で世に問うた初のソロアルバムです。発売は1986年、この後オフコースを1989年に解散、あの「ラブ・ストーリーは突然に」が1991年です。
何も知らない人に「小田和正は何を聴けば良いか?」と尋ねられたら、ソロならこのアルバム(オフコースなら「over」と「The Best Year of My Life」ね)と答えます。そのくらいこのアルバムは小田和正のど真ん中にあるアルバムだと思います。オフコース好きだけど、松尾一彦の声とかいらないんだよねー、という人、小田さんの声だけでオフコースを聴きたい人はこれを聴けば良い。そのくらいオフコースの音楽と地つづきですし、「ラブ・ストーリー〜」以降の小田サウンドへのブリッジとしてもわかりやすいです。

 1曲めのタイトルが「切ない愛のうたをきかせて」。すごいでしょ。時はニューミュージック末期、数年後にはレコード屋さんのコーナー分けも「J-POP」とか書き始める寸前のこの頃、小田さんが見つけた「ニューミュージック」の最終定理の解=「切ない愛のうた」が最初に置かれているわけです。実は玉置浩二も気づいていたようなのですが、タイトルとして残したのは小田和正でした。オフコース自体は自分たちが「ニューミュージック」であると規定していたわけではないようですが、それはL'Arc-en-CielやGLAYが「俺たちはビジュアル系じゃない」と言っていることと世間の目のギャップ、とほぼ同じことなんだと思います。

 「K.ODA」に戻りますが、小田さんが作る切なくて売れそうな曲の展示会のようなアルバムで、どれをシングルにしてCMタイアップにしても絶対嵌る、捨て曲が一つもないです。

2019/04/30

東京少年少女/角松敏生

 シティ・ポップといえば、というお題で話し始めた時に比較的すぐに出てくる名前と思われる角松敏生。残念ながらiTunesのストリーミングでは見当たらず、個別にお金を出さないと聴くことができません。

 ゴールデンウイークは頑張ってギター弾いたりブログ更新したりしようと考えて、会社帰りにまた山野楽器に行って来ました。目当ては「HOCHONO HOUSE」だったんですが、念の為1周回ってみたら角松敏生の新作と思われるアルバムが出ていました。「東京少年少女」なにそのタイトル?

 実は私自身は当時のシティ・ポップには冷淡な態度をとっていたので、角松敏生のことも名前ぐらいしか知りませんでした。杉山清貴のところでも書きましたが、私はその頃オフコースに深く肩入れしていましたので、彼らのような「知識と技術がある人が作る完成度の高い音楽」にはあまり興味を持てませんでした。この後、ブラコンていうさらに魅力的な音楽がJ-POPに影響を与えて、さらにとっつきの良い音楽が流行るようになったんですが、そういうのにハマる自分が嫌だったので、出来るだけ距離を置いていました。こういう「ロックじゃない」もの(まあ多分誤解です)に取り込まれたくない感じ。若かったんですね。山下達郎だけは唯一ロックのストーリーの中から出てきて、結果としてシティ・ポップに近いところにたどり着いた人と思い、抵抗なく聴いていたんですが。

 なので、角松敏生については、V6の「Waになっておどろう」を作った人らしいよ、くらいのことしか知らず、曲名も一つも知らない有様でした。

 そんなわけで初めて聴いてみました。
 私が買ったのは銀座の山野楽器に置いてあった6曲入りですが、限定盤9曲入りもあるようです。発売は2019年4月3日、偶然にしては良いタイミングでの入手です。
 M1は結構ファンキーな(っていうの?)ラッパがガンガンに入ったカッコいい曲で、ブラスのアレンジは新田一郎か?と思ってライナーノーツをみたら違う人でしたが、スペクトラムな感じで好きです。
 Wikipediaで調べるとこの人は今58歳ということで私より歳上なんですが、「へーよくこんな若い声が出るなあ」と感心しました。万年青年系ですね。
 「Waになっておどろう」のような南方民族系なサウンドはデビューして少し後に始めた分野のようですが、まあすべてよくできています。白いクーペでドライブに行きたくなりますね。
 Amazonのリンクは「東京少年少女」2種と友人が好きだと言っていた関連アルバムを貼っておきます。


2019/04/14

宮川泰テレビテーマ・ワールド/宮川泰

 こんな辺境のブログを書いていて良かったことといえば、歳とともに消え去りそうになる「音楽を聴こう」という情熱を無理矢理にでも維持されることで、そのことによって出会えた音楽も多いです。こないだのKing Gnuもそうだし、相対性理論とか、土岐麻子とか。
 で、なんでこんな音楽ブログを書き続けているかというと、30年以上前に潜り込んだ地方私立大学の学生時代にたまたまレベル的にちょうどいい音楽仲間に会えたことで、バンドの真似事ができたこと。それによって音楽をやることの楽しさと大変さのさわりだけでも知ることができたことが大きな理由。一方、当時の自分に与えられていた時間と才能の限界もあって、そこから先の一消費者になった自分の「よすが」としてこのブログがあるわけです。

 ところで、なぜ大学生という遅いスタートから拙い音楽活動を始めたのかというと、実はそこに宮川泰先生の存在があったわけです。
 奇しくも(?)この方は私の父と同じ年の生まれで、作家としていちばん売れていたのはザ・ピーナッツや園まりのヒット曲を書いていた頃でしょうから、おそらく30歳前後だったんでしょう。今よくテレビで見かける息子さんもその頃生まれているんだと思う。そのあと、ヒットチャートではあまり名前を見かけない時期があって(まさにこのCDの曲の多くがその間に作られてるわけですが)、そして我々が中学生の頃に「宇宙戦艦ヤマト」の大ブームが起きました。あの勇壮なオープニング曲と「真赤なスカーフ」の作曲家として再ブレークしたのがおそらく40代後半、ということになると思います。

 ちょうどその頃、宮川泰先生(珍しく敬称をつけてしまうが)はうちで取っていた新聞、確かこの頃は朝日新聞だったと思うけど(読売だったらゴメン。Wikipediaでも出てなかった)しばらくの間、毎週金曜日の夕刊に歌謡曲の評論をかなり大きなスペースで連載をしていらっしゃった。毎回、ポイントのところは譜面付きで解説がされていて、主に曲作り(メロディ、コード付け、歌詞)についての解説が詳しかったと記憶しています。現在も続く近田春夫の評論は、どちらかというと声質や歌唱テク、作品が出てきた文脈やサウンドについて詳しいのとは微妙に力点が違ってました(より教科書的使いでがあった)。
 一方、この新聞連載の期間を挟んでもっと長い期間、宮川先生は毎週土曜日午後にFMで「コーセー歌謡ベストテン」という番組のMCも勤めておられました。ですから、70年代後半の一時期、私は当時の代表的ヒット曲を、常に新聞かラジオを通じた宮川泰の解説付きで聞いていたのです。

 ご本人は音大出で、理屈を熟知しているはずですが、当時雨後の筍のように出現するニューミュージック系のシンガーソングライターたちにもやさしい評論を加えていました。今でも覚えているのは横浜銀蝿が出てきたとき、「(本人たちは)3コードのロックンロールでやれるだけやってからっぽになったらやめると言っているらしいが、馬鹿な真似はよせ、あと3つくらい覚えたら10年くらいできる」と書いていたこと。めっちゃウケる!
 それでもやっぱり音楽性が高い新人が出てくると嬉しかったようで、原田真二、渡辺真知子、八神純子、山下達郎なんかはお気に入りだったように思います。

 こうして私は歌謡曲にも作り手の巧拙や志の高低や、いろんな思惑があることを学ぶことができました。その興味が私を音楽という趣味に走らせた、ということです。

 さて、長くなりましたがCDの話です。
 最初に書いた通り、ブログ更新のため意識的に音楽に触れようとする行動の一つとして銀座の山野楽器に行ってきました。渋谷だったらタワーレコードですが、今日は銀座だったので山野楽器です。最近は一階のエスカレーター近くの、五十音順から漏れた、オムニバスというか企画ものコーナーをざっと見てくることが多いんですが、たまたまそこにジャケットを正面に向けて置いてあったのがこのCDです。
CD1枚にボーナストラックも含めて38曲!しかも内容は宮川泰がテレビ番組用に書いた曲ばかり。38全部は書きませんが、「シャボン玉ホリデー」から始まって「ゲバゲバ90分」「(あの「チコちゃんに叱られる」にも流用されている)カリキュラマシーン」「ズームイン!朝」「ふたりのビッグショー」。もちろん「宇宙戦艦ヤマト」の2曲も入ってます。作詞以外のクレジットはいちいち書いてありませんが、おそらく編曲もほとんど本人がやっているはずです。世代はかなり違いますが、大瀧詠一と並べて聞いても良いような内容で、しかも完成度はある意味こっちが高いわけです。
 職人的になんでもやれちゃう音作りと、濡れたようなメロディラインのギャップが宮川泰サウンドの特徴なのかなと漠然と捉えていますが、何れにせよそのバリエーションの豊かさとボリュームに圧倒されます。

 ちなみに隣には「浪花のモーツァルト キダ・タローのほんまにすべて」という3枚組CDも並んでいて大いに気になったんですが、今日はパス。こっちは「恋するフォーチュンクッキー」の元歌ともいうべきキャンディーズの「プロポーズ大作戦」が収録されているようです。

2019/03/31

realtime to Paradaise/杉山清貴

一時期完全に更新をサボっていたこともあり、おそらく数少ない定期購読者も去っていかれたことと思います。
一方、ブログの性格上、有名アーティストの名前が散りばめられているので、おそらく検索によって間違って訪問してくださる人も少しはいらっしゃるようです。そういう皆さんにはお気の毒に、としか言いようがないのですが、まあ犬にでも噛まれたと思って勘弁していただきたいと思います。
で、その検索ワードなんですが、最近「杉山清貴」で来てくださる人の割合が意外なほど高い。多少なりとも更新している昨年末以降に気がついたんですが、なんで今「杉山清貴」を検索している方がいらっしゃるのでしょうか?
ずっと謎でした。

で、ひょっとしたらと考えたのが、先週の金曜日(2019年3月29日)に会社に配達された新聞「日経MJ」に載っていた記事です。


日本の80年代の「シティ・ポップ」が海外(記事によると韓国や東南アジア)で話題になっている。竹内まりやの「プラスティック・ラブ」がYoutubeで大人気だ、と。
話題そのものは昨年末か今年のはじめにも聞いた気がする内容ですが、天下の日経(MJだけど)が記事にしたとなればこれはもう大人の常識(笑)、本当だろう、と。
ということは、「シティ・ポップ」とはなんぞやと思った若い方が研究のためにネットを彷徨っているうちに「杉山清貴」を検索しているのではないか?と考えてみたわけですが、いかがでしょう?

本当にそんな意図で訪れた方には大変申し訳ありませんが、当ブログでは杉山清貴について過去に手抜きの投稿を一度だけしたことがありますが、彼を含めた「80年代シティ・ポップ」についてちゃんと考えたことはありませんでした。

というのも彼らの全盛期はちょうと鈴木康博脱退後、4人体制になったオフコースの活動時期と重なっていて、私はそちらに気を取られていたということが大きいです。

オフコースも当時はお洒落なサウンドという評価をされていましたが、今聞くとかなりゴツゴツした不器用な音楽をやっていて、当時の私はそのゴツゴツ&不器用さこそがロックだと思って好きでした。
一方その頃、山下達郎を頂点とするもっとシャレたポップスを作る達人たちがいたわけですが、私はシティ・ポップというのはそういう「達者な人」が作る音楽という印象をもっていました。
歌のうまいボーカルがいて、バックはジャズもロックもできるいわゆるフュージョン・バンドの音です。編成はキーボードのいるロックバンドと同じような感じですが、ギターやシンセサイザーの音の選び方、リズムは16ビートが基本なので楽器演奏の手数や力の入れどころなどが違ってより流麗に。チョッパーベースもこれみよがしという感じでなく「やれて当然」の技法としてさり気なく、しかもたくさん使われます。

フォークやニューミュージックがその拙さゆえに素人に音楽を開放し、そこにシンパシーを感じて、素人丸出しのままオリジナル楽曲など作っていた私にとって、シティ・ポップ系アーティストは大衆音楽を超絶テクニックと音楽理論をもつプロフェッショナルの世界に奪い返そうとする、仮想敵でもありました。

そうしてまああれから20年だか30年だか経って、今ではすっかり消費するだけの人間になってしまった気楽な立場で改めて杉山清貴を聞いてみました。

表題のアルバム「realtime to Paradise」はiTunesのストリーミングで提供されています。シングル曲で有名なところでいうと「最後のHolly Night」が収録されています。
買い物ついでにちょっと長く歩くことがあったので、ヘッドホンで聞きましたが、「あれ、こんなにシンプルだったっけ?」というのが最初の印象です。もっと楽器の音が多いと思い込んでいましたが、ギターやシンセが倍音たっぷりな音色を使っているのに騙されていたのかも。キーボードがやたらとコードそのままの音階をアルペジオで弾いていて、あ、これならできるわ、とか思ったり。まあでも当時の仲間とお前でやれたか?と言われたらゴメンナサイです。

さて、シティ・ポップがロックと袂を分かっているのは歌詞の世界にも感じられます。オフコースは1960年代の終わりという特殊な時代に生まれ、その中ではあえてメッセージ色を排除した歌を歌っていましたが、そこにも「あえてメッセージを抜く」という思想があったと思います。しかし、80年代のシティ・ポップには最初からそんな葛藤はなく、当時の物質文明を肯定も否定もせずにあたりまえの風景として歌います。それは我々80年代に成人を迎えた世代にとっては自然なことでもあります。まさに一億総中流だったわけですから。
リゾートホテルのラウンジで知り合ったカノジョは長く黒い髪、白い肌、細い肩。しかし翌日ビーチに誘うとまるで別人のプロポーション!
東京に戻って都心で待ち合わせるとパンプスとスーツの彼女が背伸びしながらのベーゼでお出迎え。
帰り道に青山通りを走る白いセダンのヘッドライトはハロゲンライト。黄色くないフォグランプとガラスのサンルーフが装備されています。オートエアコンの操作パネルと重なって配置されるカーステレオは残念ながらまだカセットですが。

私はその頃の若者でしたがこんなに楽しい生活ではありませんでした。

4曲目に「タイをはずして」というタイトルの曲があります。アルバムの曲名の中にこんなタイトルが並んでいる感じ、当時の創作センスを表しているようで、脳みそを内側からくすぐられているような感じになるんですが、他の世代の人にわかるかな?わかんねえだろうなぁ。







2019/02/24

Sympa/King Gnu

録画で見たんですが、2月22日のミュージックステーションはなかなか気合の入った出演陣で、久しぶりに早送りをほとんど使わず見せてもらいました。
その中で、知らないロックバンドが出てきたのですが、これがよかった!
King Gnuというバンドで`"Gnu"ってのは昔よくドキュメンタリー番組で出てきた牛みたいな生き物だったかしら、と思って辞書を引いたらやっぱりそうでした。渋い選択。

で、出てきた絵面がワルそう。
しかも演奏している曲がなにやらプログレ入ってる感じのロックで、最近あまり見なかったスタイルです。ストリングス系の音を使ってぎゅんぎゅん転調するし、ちゃんとリズムとってないけどたぶん2拍子、4拍子を切り替えながら、せっかちに次へ次へ進んでいくところも楽しい。

最近テレビに出てくるロックバンドって、前髪垂らした細っこい男の子がブツブツいってるのばっかりだったから、こういうワイルドな感じを待ってた!芝居っ気たっぷりにトラメガで歌うアンチャンの後ろにはマッドキーボーディストまでいるじゃないですか。こういうの大好きだ~。

そんなわけで「2曲続けて」で後攻めをやらされたセカイノオワリがGSに見える(やってる曲が悪かったんでしょうが)という、1980年頃「夜のヒットスタジオ」にRCサクセションが出てきたあと、みたいな場の乱れかた。
その影響はその後もしばらく続き、ケミストリーもJUJUもこの流れでは歌謡曲に聞こえてしまいました。

こりゃアルバム1枚くらい聴いてみないと、とiTunesで検索かけたところ、テレビでやっていた曲「Slumberland」が入っているアルバムがストリーミングで落とせました 。
早速、翌日の休日出勤のときにiPhoneで聴きながらでかけてみました。

まあとにかく、1曲めの短いインストからテレビでやってた2曲め、さらにそこから4曲めまで、次のインストナンバーが挟まるまでの最初のブロックがハッタリが効いてて圧倒的に良い。「Slamberland」の感想は上に書いたとおり、そのまま畳み掛ける感じで3分くらいの尺にアイデアが詰まったテンポの速い曲が続きます。
その様子は、1983年にアルフィーが勝負をかけたアルバム「ALFEE'S LAW」のA面と同じ気合を感じます。

さて、アルバム「Sympa」の後半は、今風の普通さに寄っちゃって少し眠いんで、この次は前半の勢いのまま最後まで走り切るアルバムを作って欲しいな。


2018/09/02

Gracia/浜田麻里

久しぶりにブログを更新しながら紹介用の商品リンクを貼ろうと、Amazonのミュージックストアをうろうろしていたら、意外なものを発見しました。

浜田麻里のアルバム。しかも発売は今年の8月。ホヤホヤの新作じゃないですか!

浜田麻里は好きな歌手でしたが、こっちが勝手に懐メロの箱に仕分けしてしまって、すっかり目を離していました。ところが、Amazonのストアを見ていると、この間もずっと数年おきにアルバムを発表していたのですね。申し訳ないことです。

さて"Gracia"はもちろんCDで買うこともできますし、iTunesでも買うことができますが、私はiCloudのアカウントに年間なんぼかお金を払っているので、AppleMusicのコンテンツとしてダウンロードできるようになっています。この利用料はちゃんと彼女のところに分配されるのか仕組みがわかりませんが、とにかく契約者の権利を行使させていただいて、アルバムまるごと入手させていただきました。

さて、聴いてみますと1曲めからすごいスピード感のヘビメタです。ちょっとここまでのサウンドは最近のJ-POP界隈では耳にしないのではないかな?ツーバスドコドコ、ギターは16分音符を休みなく刻み、間奏ではライトハンド奏法も。まあとにかく音符が多いこと!
そして、聴いて驚け、浜田麻里の声が昔のまんま。

30年前、4オクターブとか言われていたころと変わらぬ声域。現代の録音技術もあってか、さらによく聞こえるようになった多重録音のコーラスは人間と思えないほどで恐れ入ります。確か彼女は私と同年輩だったと思いますが、どんな生活をしていればこんなに声が保てるのでしょうか?相変わらず、言葉が鋭く切れ込む、いかにも喉を使いそうな発声なんですが、この人と稲葉浩志の声の出し方はちょっとどういうテクニックを使っているのか想像ができません。小田和正の「とにかく頑張って出す」高音とはまた違うノウハウがあるんだと思うのですが。

無粋なことを言えば、30年前にはすでにハーモナイザーとかありましたから、昔も今も、CDの中だけでなら音声をいじってどんな声も表現することが可能です。でも、彼女に限ってはきっと全パート本当に歌っているに違いない。あえてチャチャを入れるなら、清水ミチコふうに「やっぱりサイボーグだったのか!」とつぶやくくらいで。

若い人にもぜひ聴いていただきたい。きっと刺激を受けます。

2018/08/12

初恋/宇多田ヒカル と、ちょっとおまけの雑談

昨日、久しぶりに記事を書いてみましたが、いやもう文章はくどいわ、点は打ち過ぎだわ、論旨はテキトーだわで本当に困ったもんだ。

こりずに今日も書く。宇多田ヒカルの新しいアルバム「初恋」です。ええ、もちろん発売週に買ってますとも!

昔のようにしゃぶりつくすように書く体力はありませんので、いたってあっさりとまとめさせていただくつもりです。ていうか、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で素人の深読みの余地がないくらい正解が提示されています。興味があったらそっちを見れば良いわけで→と思ってNHKオンデマンドのリンクを貼ろうと思ったら、すでに配信終了になっていました。いつか再放送すると思いますが。

録画してなかったので、NHKオンデマンドで1回見ただけなんですが、制作現場や本人の姿勢なんかはわりと思っていた通りでした。マックブックを相手に一人でプリプロをやって、仮歌まで作ってからミュージシャンを呼んでオケを完成させて、最後に歌詞を仕上げて歌を入れる、という手順。おそらく作曲を自分でやるアーティストは、今はみんなこんな感じなんでしょうね(なんのソフト使ってるのかは知りたいです)。
「プロフェッショナル」では、制作現場の映像はもちろんですが、結構インタビュー部分が多く収録されていて、彼女のちょっと普通じゃない生い立ちなども淡々と語られていました。デビュー当時から公開されている情報に触れているだけでも「まあ、そんな感じなんだろうな」と思っていたことが改めて検証されたところが多かったです。挙動不審な父親とエキセントリックな母に挟まれた一人っ子、という環境がちょっと自分に似ているので、勝手にシンパシーを感じていました。それにしても「小学校三年生くらいで怒りとか悲しいという感情がなくなっていた」というのはさすがに驚いた。

さて、作品としては前作から2年も経たないうちに発売された復帰第二弾ということで、宇多田ヒカルにしては量産体制と言って良いペースで出てきたこのアルバム。前回よりも一段と落ち着いた印象です。前回はなんだかんだ男声ラップとか椎名林檎とか、結構バラエティに富んでいたのですが、今回はがっぷり四つの力勝負という感じです。電子楽器系の音はほとんど鳴らず、シンプルなバンドサウンドとストリングス、たまに分厚いコーラスという感じ。聞き手に緊張を強いるようなことはありませんが、すごい完成度です。そして歌詞がどんどん深くなっていて、二十も年上の私が聴いてても苦しくなります。

なんども書きますが、今、J-POPを聴いていて歌詞でなにかを考えさせられることはほとんどありません。怒るでも泣くでもなく、周りと衝突しないで気の持ち方だけでなんとか日々をやり過ごそう、としている歌ばかり。たまに硬派なことをいっているのかと思ってもよく聞くと「そういうパターンのやつ」をコピーしているだけだし。

世間にはこんなに不条理や不公平が溢れているのにねえ。

ここからはおまけですが、数ヶ月前にテレビ朝日「ミュージックステーション」に女の子のバンドが出てきて、その態度が悪い(タモリにタメ口!)と炎上しかけて、「お、なかなかロックな佇まいじゃん!」と期待してるんですけど、その後どうなったかな?一応、アルバム1枚聴いてみました。評価保留。

それにしても昔は態度悪いフォーク、ロック系のアーティストがいっぱいいて、そこからちゃんと大物になった人もいたんですけどね。芳村真理の前でチューインガム噛みながら歌った人とか、ギターぶん投げて壊しちゃた人とか。今でも泉谷しげるがたまに再現してくれますが、あれはもう「お約束」だもんなー。


2018/08/11

Reborn~生まれたてのさだまさし~/さだまさし

あけましておめでとうございますorz

もう誰も見に来てくれないでしょうが、もはや備忘録です。

さて、先日借りたレンタカーがBluetooth接続ができない貧乏ナビ仕様だったので、しかたなくFM東京を聴きながら運転をしていました。すると、以前このブログでも書いたことがある坂本美雨ちゃんが出てくる番組が始まり、ゲストになんとさだまさしが登場。

なにせ運転しながらなので細かい話は忘れてしまいましたが、なんでもレコード会社が変わった(?)とかで新しいアルバムを出した、と。ナオト・インティライミなどの(さだよりも)若いアーティストにも参加してもらって新しいことにも挑戦したぞ、と。ファミリーマートの入店時に鳴るメロディに日本語をはめるコンテストの優勝作が「生まれたてのさだまさし♪」だったぞ、と。
そして「ではアルバムの中から一曲お届けしましょう」と放送されたのがこのアルバムの2曲めである「パスワード シンドローム」。
その曲がえらいエレクトロニクスな音でBPM120くらいの、ちょっとさだまさしが歌うと思えない曲(ただし10年かもっと前に流行ったような、崎谷健次郎が斉藤由貴でやってような感じのえー、ジャンルはなんだろ?とにかくテクノ・ハウス・電気・エレキ的なやつさ!)だったので、えーなんだこれ?と思って気になって山野楽器に寄って買ってきました。

じつはこれが私の人生で初めて買ったさだまさしの音源です。やったね、さすが`"Reborn"、新規顧客獲得です。

私にとってのさだまさしは、基本的にテレビに出てきたら聴く人、でした。あるときは年末の音楽祭に出てきたグレープだったかもしれないし、「ザ・ベストテン」にも何回かは付き合いで出ていたのかもしれないし、紅白歌合戦で関白宣言を歌っていたかもしれない。あと、1980年代あたりの一時期、NHKがさだまさしを重用している時期があって、奈良の大仏の前で歌うさだまさしライブをほぼ全編NHKが中継する、なんていう番組もありました。
だからグレープの母ものの何曲か、「雨やどり」から「親父の一番長い日」あたりの、「小説を歌にした」と言われていた時期のヒット曲、さらにライブでお馴染みの有名曲である「まほろば」なんかは知っていましたが、ちゃんとアルバムを買って(あるいは借りて)聴き込んだことはありません。

さて、で、"Reborn"を聞いてみました。M1はタイトルの由来の種明かし、M2は私がFMラジオで聞いた「パスワード シンドローム」です。まあこの曲は、なんというか、出落ちみたいなものです。さだまさしからうんと遠いところにある、パターン化したカラオケでさだまさしがちょっと歌ってました、というものです。歌っていることも、(まあラブソング的要素は付け加えているにせよ)いろんなWebサイトに登録するのにパスワードいっぱい考えて使いわけなきゃいけないから、忘れちゃって大変だよ、という愚痴(それは確かにそうだ!)です。完成度もユーモアのセンスも、ちょうどダンス☆マンと同じくらいな感じです。

3曲めからはたぶん通常営業という感じで、昔からのさだまさしのイメージに逆らわない曲がならんでいます。曲のタイトルも「茅蜩」とか、学校で習わないような熟語を教えてくれたり、春日山と飛火野がどうした、とか歌っています。さだまさしファンなら、「キターーーーッ」って感じなのかな?ちょっとこなれすぎていて、新鮮さはあまり感じられませんでした。おそらく、グレープ時代からソロ活動をはじめたころのさだまさしは、当時まわりにたくさんいた、反体制かつ暴力的な作風のちょっと先輩のフォークシンガーに対して、なんか違うな、と思っていたでしょう。子供の頃からバイオリンを習ってクラシックの素養があるし、教育熱心な家庭で育ったと思われるさだまさしは、同じ土俵には立たないぞ、と思っていたと思います。自分はどんな曲をどんな歌詞で歌うのか、すごく戦っていたと思います。そうだ、タモリとも戦わないといけなかったし。でももう、その緊張感はなくなったかな、と。

通して聴いていると、さすがに声がかすれている箇所がいくつかあります。そこももう隠さない、録り直さないということにしているみたいです。


2017/12/24

Finally/安室奈美恵

クリスマスになってしまいましたが、ようやく2017年2回めの更新です。
これだけは触れずにいられない、安室奈美恵のオールタイムベストアルバムです。ちょっと感動したのは、ひょっとして本人にとって黒歴史になってるんじゃないかと思っていたスーパーモンキーズ時代の曲もちゃんと入れているところです。「あいしてますかっと♪」とか。

で、本日年末の買い出しで使っていたレンタカーに、iPhoneをBluetooth接続してずーっと聴いていました。

私は安室奈美恵が売上的にもっとも成功していた頃(=小室プロデュース時代)というのは、安室奈美恵の実力をもってしても歌いづらい、変な曲を与えられていた時期なのではないか?と思い続けていて、それこそスーパーモンキーズ時代の方が好きだったくらいでした。
しかし、本日をもって悔い改めました。小室哲哉はやっぱり凄かったと。

どういうことかと申しますと、今回のアルバムでは初期の曲を「今の」安室奈美恵が歌い直したものが収録されています。そのこと自体、賛否両論のようなのですが、20年以上の時を経て歌い直された「安室奈美恵のために作られた小室作品」のクォリティがとても高いことがよくわかりました(華原朋美の曲についても似たようなことを過去に書きましたけどね)。
スーパーモンキーズ時代の曲は、キャッチーでキュートで悪くなかった(実際私は30代のころにそのころのベスト盤を所有して愛聴していました)んですが、平成29年12月の今、連続して聴いていると飽きてくる。ちょうどその、飽きてきたあたりで"Body Feels EXIT"が出てくると、なんかすごく救われた気がしました。
その次は"Don't wanna cry"なんですが、「この曲こんなに良い曲だったっけ?」と思わず声に出そうなほど良いです。
考えてみれば当時の安室奈美恵は、10代のアイドルにしては歌の上手い子でしたが、とはいえそこは歌手としてのキャリアは浅く、曲の解釈については今ほどのものはなかったのだと思います。キャリアを積んで、声の出し方が上手になったこともあるんだと思いますが、当時の小室哲哉が思い描いていたメロディや編曲に込めた意味が、今の安室奈美恵によってようやく完成したということなんでしょう。そこを確認できただけでもこのアルバムを買ってよかったと思いました。
このアルバム自体は3枚組で、そのうち小室哲哉プロデュースの時代は1枚めの途中までです。じつは意外なほど短い間だったんですね。

その後は、以前このブログで書いたように、私にはちょっとかっこよすぎて着いていけない「今の」安室奈美恵の曲が並びます。英語で歌っているのかと思っていたら実は日本語の歌詞だったんだ、とか、あそこは「そう、だから」と歌っていたのかー、などと今更な発見をしつつ、最後まで聴きました。

25年にわたって一線で活躍し続けた安室奈美恵は、J-POPの世界では十分実力派なんですが、一方で地声の延長で歌う、アイドル風歌唱法を最後まで貫いた人でもあります。ガチガチのプロフェッショナルな歌い方とはちょっと違う。でも、だからこそファン層の広がりがあったんじゃないかな。

2016/10/09

Fantôme/宇多田ヒカル

おめでとうございます。
ついに宇多田ヒカルの新作が発表されました。
ありがとう、これでブログが更新できます!

"Goodbye Happiness"が収録されていたベスト盤を除外すると、オリジナルアルバムとしては2008年の"Heart Station"以来なんだとか。いや、自分で全部買ってますけど、確かにそのようです。
巷では複数バージョンや握手券やらに頼らないで売上1位はさすが、という話になっていますね。
最近は、山下達郎でさえCDの容量いっぱい15曲入りになっていますが、このアルバムは11曲入り、演奏時間49分。
古き良き時代を懐かしむような物言いになりますが、やっぱり昔のLPレコードくらいのフォーマットでまとめてもらった方が、聴きやすいです。昔のロックのアルバムなんて裏表で30分くらいだったじゃないですか。

これなら通勤の片道で通して聴けます。

さて、このアルバムを待たずとも、「花束を君に」と「真夏の通り雨」はダウンロード配信されていたので、そのタイミングで書くことも考えていたのですが、「花束を君に」の70年代風味というか、ちょっと思っていたのと違った(嫌いではないんですが)し、「真夏の通り雨」はやっぱり暗く感じてしまってブログのネタになりませんでした。
今回、アルバムとして通して聴いて、やっと体に入ってきました。

さあ、通して聴いてみると先行発売された2曲、さらに「桜流し」も含めてそれぞれの曲がきちんと配置されて、ようやく宇多田ヒカルの今回のテーマというものが見渡せるようになりました。発売前後に集中的に出演したテレビ番組では、やはり母である藤圭子の死と自身の出産の2つがあって生まれた作品(「桜流し」は時期が違うけど)であり、その影響を彼女自身が当然のこととして語っていました。個人的にはそういうことなんでしょう。
その他に、J-POPではなかなかテーマにならない同性愛のことを歌った「ともだち」なんて曲もありますが、この歌詞は別に同性愛にかぎらず思春期の思い詰めた恋の歌としても通じる普遍性がちゃんとキープされているのはさすがです。

さて、聴く側の感想としては、まずサウンドと部材(フレーズ)は"Heart Station"の延長と感じられる部分が多い。特に「道」「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」などの比較的ポップなナンバーはそう思います。そういう意味では、他の大御所の皆さんと同様、「いつも同じ」の世界にそろそろ入りつつあるようにも聞こえますが、なにせ年齢がまだ若いし、本人もまだまだ貪欲であると思うので、マンネリ化の心配はまだしなくて良いと思います(急に難しいことやられても着いていけないと思うし)。

ネットで断片的に見かけた(多分中年の)ファンのコメントを読むと、「邦楽のアルバムなんてずっと買ってなかったけど、宇多田ヒカルは買う」という人がかなりいました。まあ、宇多田ヒカルだけに限ったことでは無いんでしょうが、そういう人が他のアーティストよりもおおぜいいることの意味はなんでしょう?また、私ごとで恐縮ですが、こうして宇多田ヒカルの作品についてはなにか書きたくなるオジサンもいるわけです。

それが何故なのか?理由は何なのか?
他のJ-POPアーティストの曲は言葉が聞き取れないのに、宇多田ヒカルの歌は聴いているだけで歌詞がわかるし、その内容について考えたくなります。
おそらくそれは発声、発音、言葉の載せ方などの技術の問題だけではなくて、伝える中身がちゃんと歌詞の中にあるのか?枝葉末節ではなく、曲自体を大きく捉えたときに、そこにメッセージがあるのか?のほうが大きいんじゃないでしょうか。

亡くなった加藤和彦が生前(そして今思えば、結果として晩年)、テリー伊藤のラジオに出たときに「今の日本にはロックサウンドの音楽はあるけど、ロックは無い」ときっぱり言っていたことが忘れられません。ジャンルとしてのロックのことは私はよく分かっていませんが、加藤和彦が言っていた「ロック」って、どんなジャンルの音楽でも無くしちゃいけないものなんだと思います。



2016/04/10

COSMIC EXPLORER/Perfume

久しぶりにPerfumeのアルバムが出ました。
今年は、宇多田ヒカルも帰ってくるし、去年よりは新しい音楽を聴けそうです。

さて、出ると買っちゃうPerfumeです。
前前作の「JPN」が勢いのある曲をノンストップで繋いでいく理屈抜きで楽しい1枚だったのが、次の「LEVEL3」は悪くはないがちょっとおとなしくなってしまった感じでした。メンバーの年齢も上がっていることもあるし、このままなんていうかメロウな感じになって閉店していくのかな、という印象を持ったような気がします。

しかし、今回のアルバムまでしばらく時間があったこともあって、「LEVEL3」のことはすっかり忘れて新作を買っていました。

「COSMIC EXPLORER」は、そういう意味では少し揺り戻した感じで、「JPN」ほどではないが無邪気に楽しく聴ける部分が増強されているような気がします。

Perfumeといえば、オートチューンを多用した人工的な歌声が代名詞になっていますが、ポリリズムの頃(古い話ですね)と比べると時代が下るほど加工度が下がってきています。本作ではバックコーラス部分を生声に近い処理で重ねることもしています。特に表題曲「 COSMIC EXPLORER」の途中ではほとんど生声(音程調整はしているっぽく聴こえますが)が使われている部分もあって、あー本当はこういう声だったのか、と確認ができます。
曲としては、歌番組でも披露している「Pick Me Up」を代表とする、和風音階のフレーズが高音域で飛び回るキラキラしたサウンドがメインで、微妙に力点をずらしたシングルナンバーがアクセントになるような作りになっています。YMO好きだった中年(初老か)が懐かしくなるようなシンセベースやテクノデリック的メカニカルなノイズも加わり、我々世代にとってのわかりやすさは相変わらずです。

ところで、特典についていた動画を見ていて改めて驚いたのですが(というか、当然だけど)、Perfumeの3人も28歳とかになっているんですね。音楽性はともかく、いわゆるアイドル的に出てきた彼女たちはこの後どうなっていくんだろう?このまま末永く年齢不詳のアジア少女としてプリンセス・テンコー的に世界で活躍するのか?結婚などを契機にして生身の女性としてそれぞれの道を歩むのか?そろそろ決断の時が近づいています。

それにしても、一時代を築いてその後はマニアのものになっていたジャンルを、若い女の子に唄わせてアイドル的に売ると世界に出られるというのはなかなかの発見です。この漁場にはまだ魚がいるみたいで、BABYMETALはPerfumeがテクノでやったことをヘビメタでやったらイケたわけですよね。私はまだちゃんと聴いてませんが。

2016/03/27

DEBUT AGAIN/EIICH OHTAKI

お久しぶりです。 

中断前の最後が大滝詠一の"Best Always"だったので、丸1年ちょっと開いて、また大滝詠一ということになりました。

 NHKの"SONGS"でも特別版が作られて、久しぶりに山野楽器に行って、限定版2枚組の方を買ってきました。あまり久しぶりに行ったので、ポイントカードが変更になっていて、ためてたはずのポイントがパーになってしまいました\(^o^)/

なんでも、遺品整理をしていたら未公開の音源が発見されたとかで発売された本作、懐かしの「Tシャツに口紅」「快盗ルビイ」、本人歌唱の「夢で逢えたら」など、オジサンたちの涙ちょちょぎれるラインナップになっています。

さて、今さら細かい楽曲の話は止めて、こないだの"SONGS"はいろいろと参考になりました。

ナイアガラサウンドの録音現場、というのは素人には謎が多かったのですが、そのままではないにしろ、井上鑑監修の下で擬似的に再現されたその風景は、エレキギター3本、アコースティックギター3本、ストリングスにチェンバロ2台が一度に音を出すという豪華さで、噂には聞いていたが、なるほどこういうことだったのかと改めて納得させられました。

あと、まったく余談ですが、薬師丸ひろ子って歌うたってて良かったなあと思いました。背が低いこともあって、堂々の美人女優にはならなかったけれど、持って生まれた声だけで他に置き換えられない存在になっている。上手い下手を超越して、あの声が欲しかったら本人呼んでくるしかないもんなあ…。あ、大滝詠一もそうですね(詳しくはいずれ、いつか)。


 

Mine or Yours/宇多田ヒカル

ベストアルバム"SCIENCE FICTION"を買った後しばらくぼーっとしていましたが、5月になった途端にYouTubeでライブ配信的なものを見かけました。配信は途中から見たのですが、過去のMVが次々流れていて、いつから新作発表になるのかわからず、見るのやめ...