今日も元ネタはApple Musicになります。
シーナ・イーストンのことを思い出しました。
ちょっと前にシティ・ポップなんちゃら、という話を書きましたが、当時私の考えでは、日本のシティ・ポップというのは「モダンガール」みたいなカラオケで声のきれいな人が歌うもの、という認識だったんですが、さてシーナ・イーストンてどんなだったかなあ?という振り返りです。
で、「9時から5時まで」や「モダンガール」が入ってるやつで検索すると一番古い1980年のアルバムが出てきました。まあ、そのくらいの知識量。私はレコードは買わず、「夜のヒットスタジオ」などに出てきて歌っていたのをテレビで見ていました。
ほぼ初めての感覚で聴いていると、まあとにかく我々の世代にとって聴きやすいことこの上ないです。ちょっとフォーキーなアコースティックギターの入る曲から、ぶっといエレキギターの音が入るロックっぽい曲もあり、ちょうどこの少しあとで日本のアイドル歌手 (とそのプロデューサーたちが)ベンチマークしたと思われる当時のオシャレ系ポップスの定石集という感じです。70年代はちょっと歌えるアイドルはやたらとドナ・サマーの真似をされられましたが、こっちでもいいじゃん!て感じです。
そういうわりにはシーナ・イーストン風のアイドル歌謡はあまり心当たりがないんですが、ちょっと上の世代のニューミュージック系の女性歌手はかなり取り入れていたと思います。ビビアン・スーあたりも台湾で似たような曲を出していたに違いない(妄想)。なんなら、2000年代ですが、宇多田ヒカルの「SAKURAドロップス」だって、M8の”So Much In Love”に似ています。
あと、シーナ・イーストンは声が恐ろしいほどきれい。声がきれいな歌手というと、オリビア・ニュートン・ジョンとかケイト・ブッシュとかの大御所がいますが、シーナ・イーストンもすごい声してます。しかし、その後の活躍はその声のわりに地味な気がします。あまりにものっぺりときれいなのでBGM的に消費されてしまったのでしょうか?
2019/08/04
2018/09/02
Gracia/浜田麻里
久しぶりにブログを更新しながら紹介用の商品リンクを貼ろうと、Amazonのミュージックストアをうろうろしていたら、意外なものを発見しました。
浜田麻里のアルバム。しかも発売は今年の8月。ホヤホヤの新作じゃないですか!
浜田麻里は好きな歌手でしたが、こっちが勝手に懐メロの箱に仕分けしてしまって、すっかり目を離していました。ところが、Amazonのストアを見ていると、この間もずっと数年おきにアルバムを発表していたのですね。申し訳ないことです。
さて"Gracia"はもちろんCDで買うこともできますし、iTunesでも買うことができますが、私はiCloudのアカウントに年間なんぼかお金を払っているので、AppleMusicのコンテンツとしてダウンロードできるようになっています。この利用料はちゃんと彼女のところに分配されるのか仕組みがわかりませんが、とにかく契約者の権利を行使させていただいて、アルバムまるごと入手させていただきました。
さて、聴いてみますと1曲めからすごいスピード感のヘビメタです。ちょっとここまでのサウンドは最近のJ-POP界隈では耳にしないのではないかな?ツーバスドコドコ、ギターは16分音符を休みなく刻み、間奏ではライトハンド奏法も。まあとにかく音符が多いこと!
そして、聴いて驚け、浜田麻里の声が昔のまんま。
30年前、4オクターブとか言われていたころと変わらぬ声域。現代の録音技術もあってか、さらによく聞こえるようになった多重録音のコーラスは人間と思えないほどで恐れ入ります。確か彼女は私と同年輩だったと思いますが、どんな生活をしていればこんなに声が保てるのでしょうか?相変わらず、言葉が鋭く切れ込む、いかにも喉を使いそうな発声なんですが、この人と稲葉浩志の声の出し方はちょっとどういうテクニックを使っているのか想像ができません。小田和正の「とにかく頑張って出す」高音とはまた違うノウハウがあるんだと思うのですが。
無粋なことを言えば、30年前にはすでにハーモナイザーとかありましたから、昔も今も、CDの中だけでなら音声をいじってどんな声も表現することが可能です。でも、彼女に限ってはきっと全パート本当に歌っているに違いない。あえてチャチャを入れるなら、清水ミチコふうに「やっぱりサイボーグだったのか!」とつぶやくくらいで。
若い人にもぜひ聴いていただきたい。きっと刺激を受けます。
浜田麻里のアルバム。しかも発売は今年の8月。ホヤホヤの新作じゃないですか!
浜田麻里は好きな歌手でしたが、こっちが勝手に懐メロの箱に仕分けしてしまって、すっかり目を離していました。ところが、Amazonのストアを見ていると、この間もずっと数年おきにアルバムを発表していたのですね。申し訳ないことです。
さて"Gracia"はもちろんCDで買うこともできますし、iTunesでも買うことができますが、私はiCloudのアカウントに年間なんぼかお金を払っているので、AppleMusicのコンテンツとしてダウンロードできるようになっています。この利用料はちゃんと彼女のところに分配されるのか仕組みがわかりませんが、とにかく契約者の権利を行使させていただいて、アルバムまるごと入手させていただきました。
さて、聴いてみますと1曲めからすごいスピード感のヘビメタです。ちょっとここまでのサウンドは最近のJ-POP界隈では耳にしないのではないかな?ツーバスドコドコ、ギターは16分音符を休みなく刻み、間奏ではライトハンド奏法も。まあとにかく音符が多いこと!
そして、聴いて驚け、浜田麻里の声が昔のまんま。
30年前、4オクターブとか言われていたころと変わらぬ声域。現代の録音技術もあってか、さらによく聞こえるようになった多重録音のコーラスは人間と思えないほどで恐れ入ります。確か彼女は私と同年輩だったと思いますが、どんな生活をしていればこんなに声が保てるのでしょうか?相変わらず、言葉が鋭く切れ込む、いかにも喉を使いそうな発声なんですが、この人と稲葉浩志の声の出し方はちょっとどういうテクニックを使っているのか想像ができません。小田和正の「とにかく頑張って出す」高音とはまた違うノウハウがあるんだと思うのですが。
無粋なことを言えば、30年前にはすでにハーモナイザーとかありましたから、昔も今も、CDの中だけでなら音声をいじってどんな声も表現することが可能です。でも、彼女に限ってはきっと全パート本当に歌っているに違いない。あえてチャチャを入れるなら、清水ミチコふうに「やっぱりサイボーグだったのか!」とつぶやくくらいで。
若い人にもぜひ聴いていただきたい。きっと刺激を受けます。
2010/06/05
乱反射ガール/土岐麻子
先週くらいの週刊朝日で、渡辺祐氏が紹介していたのが土岐麻子「乱反射ガール」です。渡辺氏によると「なつかしの80年代シティポップ」ということで、「そりゃちょっと聴いてみたいかも」と試聴もせずにアルバム1枚分を2000円でダウンロードしてみました。気づいてなかったんですが、iTSでもトップページで紹介されていたんですね。


新人なのかと思ってWikipediaを読んでみたら、1976年生まれということで中堅というか女性歌手としてはベテランと言って良い年齢です。2003年まではバンドCymbalsのメンバーだった、ということですが、私はCymbalsは知りませんでした。ソロとしてはジャズのアルバムも出しています。「実力派」なんですね。
聴いてみました。
20秒ほどの"Intro"の後、M2として収録されている「乱反射ガール」はまさしく「シティポップ」でした。川口大輔の作曲ですが、バブル期が懐かしいおじさんが、泣いて喜ぶ倍音たっぷりのシンセのフレーズと美しいストリングス、土岐麻子の上手いけどナチュラルさを残した発声が「国道246号線の夜景」っぽくていいです。カラオケはなぜかちょっと中谷美紀の「ケイゾク」のテーマ(クロニック・ラヴ)にもちょっと似ています。
そのまま5曲目くらいまでは、本当に80年代っぽいです。はっぴいえんど、キャラメル・ママ、「RCA三人娘」なんかが好きだった人には、なんの抵抗も無いでしょう。お薦めします!特にこのタイトル曲と「M5.鎌倉」はセールス的にいちばん成功していた頃のEPOによく似ています(もっとしつこく例えるとキャラメル・ママをバックにEPOが歌ってるみたい)。
M7でなぜか突然"ALL YOU NEED IS LOVE"のカバーが入るほか、M10ではマイケル・ジャクソンの"HUMAN NATURE"をアンプラグドな感じで和田唱とデュエットしていて、和田唱が意外なほど歌が上手いことも教えてもらえます。
全13曲、飽きずに聴けます。iTSでアルバム単位でダウンロード、あるいはCDで買っても損はないと思います。
新人なのかと思ってWikipediaを読んでみたら、1976年生まれということで中堅というか女性歌手としてはベテランと言って良い年齢です。2003年まではバンドCymbalsのメンバーだった、ということですが、私はCymbalsは知りませんでした。ソロとしてはジャズのアルバムも出しています。「実力派」なんですね。
聴いてみました。
20秒ほどの"Intro"の後、M2として収録されている「乱反射ガール」はまさしく「シティポップ」でした。川口大輔の作曲ですが、バブル期が懐かしいおじさんが、泣いて喜ぶ倍音たっぷりのシンセのフレーズと美しいストリングス、土岐麻子の上手いけどナチュラルさを残した発声が「国道246号線の夜景」っぽくていいです。カラオケはなぜかちょっと中谷美紀の「ケイゾク」のテーマ(クロニック・ラヴ)にもちょっと似ています。
そのまま5曲目くらいまでは、本当に80年代っぽいです。はっぴいえんど、キャラメル・ママ、「RCA三人娘」なんかが好きだった人には、なんの抵抗も無いでしょう。お薦めします!特にこのタイトル曲と「M5.鎌倉」はセールス的にいちばん成功していた頃のEPOによく似ています(もっとしつこく例えるとキャラメル・ママをバックにEPOが歌ってるみたい)。
M7でなぜか突然"ALL YOU NEED IS LOVE"のカバーが入るほか、M10ではマイケル・ジャクソンの"HUMAN NATURE"をアンプラグドな感じで和田唱とデュエットしていて、和田唱が意外なほど歌が上手いことも教えてもらえます。
全13曲、飽きずに聴けます。iTSでアルバム単位でダウンロード、あるいはCDで買っても損はないと思います。
2010/02/07
Expressions[Disc 3]/竹内まりや
Expression [Disc 3]は90年代以降の作品が並んでいます。
時代はバブル絶頂から崩壊、と世の中は転換点を迎えましたが、かといって日本中が一夜にして貧乏になってしまったのではなく、じわじわと蝕まれていく過程が何年かありました。竹内まりや自身は40代を迎えて一段と大人びていくのかと思いきや、90年代以降は特にタイアップの関係か、与えられた「お題」に対して答えを作る、職業作家的アプローチで書かれたものが多い。[Disc 2]で時折はっとさせられたリアリティとは違う味わいの作品が多くなっています。
M1.家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)
お題は「倦怠期」。今の竹内まりやが歌うとリアルすぎて怖いかもしれないが、このころはまだ30代だったので、ちょっと背伸びして書いたらしいです。アコースティックギターがいるバンドサウンドは楽しいです。
M2.純愛ラプソディ
お題は「暗くなりすぎない不倫」。楽器の音は山下達郎の"Queen of Hype Blues"なんかで聴けるエレクトリックなものですが、ミディアムテンポの曲にはめることで新しい効果を生んでいます。
M3.毎日がスペシャル
お題は「めざましテレビ」。10代〜20代の女性をイメージした歌詞は取材と想像力に頼る部分が大きかったのでしょう。かなりオーバーにカリカチュア化された若い女性の生活が唄われます。シナモンロール頬張ってでかけたら、曲がり角で転校生にぶつかっちゃうじゃないか!
M4.カムフラージュ
ああ、これは良いですね。こればっかりだと飽きるけど、やっぱりこの辺が竹内まりやの王道って感じがします。
M5.今夜はHearty Party [Single Mix]
バブル崩壊直後でまだ生活が切り替えられていない頃のOLさんの話。「元気を出して」や「Forever friends」などと同じメンバーなのかは不明。ちょっとこの話のメンバーは浮ついています。ゲストの木村拓哉の声はスピーカーだと分かりづらいけれど、ヘッドホンで聴くとセリフ以外のコーラスでも声が入っているが分かります。実際には1995年には「お茶を配るだけ」ではOLはやっていけなかったし、本当に木村拓哉が好きな子は「キムタク」とは言わない。その辺の緩さも含めて計算済み、のはず。
M6.天使のため息
お題は広末涼子の映画「秘密」。この曲は広末涼子の中の人である岸本加世子に合わせて作られています。
M7.すてきなホリデイ
お題は「クリスマスソング」。服部克久がアレンジした豪華なオーケストラのついた、本格的なクリスマスソングです。こういう保守本流な歌を作って歌えるところが竹内まりやの強みですね。他にこういうのが似合う人がちょっと思い浮かばない。
M8.真夜中のナイチンゲール
「マンハッタン・キスとどう違うの?」と思ってしまいますが、この辺になると、新味を加えるというよりもやり続けてきたことの品質を高める方に(特にサウンド面で)興味が向いているのかも。ドラマ主題歌だったそうですが、ドラマを見ない私はこのアルバムで初めて聴いたように思います。
M9.返信
お題は「戦争映画」。「どーんどんっどどん」という民族系リズムに特徴があるのでこの曲は覚えています。背景を知らなかったので、「出口のない海」の主題歌と聴いて初めて何のことを歌った歌なのか理解しました。
M10.みんなひとり
お題は「松たか子」。この曲もあまり記憶に無いですが、サビは知っていたような。「マンハッタン・キスとどう(以下同文)
M11.チャンスの前髪
イケイケ系のナンバー。70〜80年代洋楽ヒットの断片が混じっている気がしますが、「これ」と決め付けられない微妙なさじ加減になってますね。なぜ原由子が一緒に出てくるのかは不明。「蒼氓」のことがあるので、夫婦ぐるみで仲が良いというのは知ってます。
M12.うれしくてさみしい日(Your Wedding Day)
お題は「結婚式」。独身中年男には理解が難しい。
M13.幸せのものさし
「チャンスの前髪」と似た路線の、ディスコでフィーバーなナンバー。と思って聴いていると、中盤から後半は意外と地味に。本人が作曲中に考えていたサウンドと山下達郎の考えが違った?
M14.人生の扉
タイアップでお題の決まっている曲が多い[Disc 3]の中で、例外的に作り手の心情吐露的な曲。年を取ることとか、いくらでも湿っぽくできる話でも必ず明るさや爽やかさを残せるのは竹内まりやの良いところです。それは彼女の自立心に満ちた歌詞やアメリカンなメロディからも醸し出されていますが、やっぱり声によるところが大きいなあ、と感心させられる曲です。
さて、長かったExpressionsのインプレッションでしたが、次回は全く違う話になります。
時代はバブル絶頂から崩壊、と世の中は転換点を迎えましたが、かといって日本中が一夜にして貧乏になってしまったのではなく、じわじわと蝕まれていく過程が何年かありました。竹内まりや自身は40代を迎えて一段と大人びていくのかと思いきや、90年代以降は特にタイアップの関係か、与えられた「お題」に対して答えを作る、職業作家的アプローチで書かれたものが多い。[Disc 2]で時折はっとさせられたリアリティとは違う味わいの作品が多くなっています。
M1.家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)
お題は「倦怠期」。今の竹内まりやが歌うとリアルすぎて怖いかもしれないが、このころはまだ30代だったので、ちょっと背伸びして書いたらしいです。アコースティックギターがいるバンドサウンドは楽しいです。
M2.純愛ラプソディ
お題は「暗くなりすぎない不倫」。楽器の音は山下達郎の"Queen of Hype Blues"なんかで聴けるエレクトリックなものですが、ミディアムテンポの曲にはめることで新しい効果を生んでいます。
M3.毎日がスペシャル
お題は「めざましテレビ」。10代〜20代の女性をイメージした歌詞は取材と想像力に頼る部分が大きかったのでしょう。かなりオーバーにカリカチュア化された若い女性の生活が唄われます。シナモンロール頬張ってでかけたら、曲がり角で転校生にぶつかっちゃうじゃないか!
M4.カムフラージュ
ああ、これは良いですね。こればっかりだと飽きるけど、やっぱりこの辺が竹内まりやの王道って感じがします。
M5.今夜はHearty Party [Single Mix]
バブル崩壊直後でまだ生活が切り替えられていない頃のOLさんの話。「元気を出して」や「Forever friends」などと同じメンバーなのかは不明。ちょっとこの話のメンバーは浮ついています。ゲストの木村拓哉の声はスピーカーだと分かりづらいけれど、ヘッドホンで聴くとセリフ以外のコーラスでも声が入っているが分かります。実際には1995年には「お茶を配るだけ」ではOLはやっていけなかったし、本当に木村拓哉が好きな子は「キムタク」とは言わない。その辺の緩さも含めて計算済み、のはず。
M6.天使のため息
お題は広末涼子の映画「秘密」。この曲は広末涼子の中の人である岸本加世子に合わせて作られています。
M7.すてきなホリデイ
お題は「クリスマスソング」。服部克久がアレンジした豪華なオーケストラのついた、本格的なクリスマスソングです。こういう保守本流な歌を作って歌えるところが竹内まりやの強みですね。他にこういうのが似合う人がちょっと思い浮かばない。
M8.真夜中のナイチンゲール
「マンハッタン・キスとどう違うの?」と思ってしまいますが、この辺になると、新味を加えるというよりもやり続けてきたことの品質を高める方に(特にサウンド面で)興味が向いているのかも。ドラマ主題歌だったそうですが、ドラマを見ない私はこのアルバムで初めて聴いたように思います。
M9.返信
お題は「戦争映画」。「どーんどんっどどん」という民族系リズムに特徴があるのでこの曲は覚えています。背景を知らなかったので、「出口のない海」の主題歌と聴いて初めて何のことを歌った歌なのか理解しました。
M10.みんなひとり
お題は「松たか子」。この曲もあまり記憶に無いですが、サビは知っていたような。「マンハッタン・キスとどう(以下同文)
M11.チャンスの前髪
イケイケ系のナンバー。70〜80年代洋楽ヒットの断片が混じっている気がしますが、「これ」と決め付けられない微妙なさじ加減になってますね。なぜ原由子が一緒に出てくるのかは不明。「蒼氓」のことがあるので、夫婦ぐるみで仲が良いというのは知ってます。
M12.うれしくてさみしい日(Your Wedding Day)
お題は「結婚式」。独身中年男には理解が難しい。
M13.幸せのものさし
「チャンスの前髪」と似た路線の、ディスコでフィーバーなナンバー。と思って聴いていると、中盤から後半は意外と地味に。本人が作曲中に考えていたサウンドと山下達郎の考えが違った?
M14.人生の扉
タイアップでお題の決まっている曲が多い[Disc 3]の中で、例外的に作り手の心情吐露的な曲。年を取ることとか、いくらでも湿っぽくできる話でも必ず明るさや爽やかさを残せるのは竹内まりやの良いところです。それは彼女の自立心に満ちた歌詞やアメリカンなメロディからも醸し出されていますが、やっぱり声によるところが大きいなあ、と感心させられる曲です。
さて、長かったExpressionsのインプレッションでしたが、次回は全く違う話になります。
2010/01/31
Expressions[Disc 2]/竹内まりや
先週に引き続き竹内まりや/Expressionの[Disc 2]です。80年〜90年代前半にかけて、竹内まりやがビッグになる軌跡を辿るパートになります。アン・ルイス、中山美穂などの有名歌手に提供した曲のセルフカバー、本人の歌唱による「シングル・アゲイン」や「告白」など「火サス主題歌」シリーズもみっちりと聴けます。
M1.リンダ
アン・ルイスに提供した曲のセルフカバー。ソングライター・竹内まりやの最初の作品ということになります。アン・ルイスは竹内まりやと友人で、一方では太田裕美と遊んでたんですね。
M2.もう一度
結婚による休養後の復帰作となったのがこの曲。竹内まりやが作詞・作曲して山下達郎がアレンジとコーラスに加わる、という黄金パターンが確立し、松任谷由実・正隆コンビを追撃する体勢が整ったわけです。ナイアガラ・サウンドを意識したようなアレンジ(ちょうどこの頃はEach Timeが出た頃で、実際に流行っていた)。
M3.マージービートで唄わせて
ビートルズへのオマージュ、と言っておいてコーラスとかビートルズよりもちょっと古い感じにまとめてあるのが面白いですね。
M4.本気でオンリーユー(Let's Get Married)
タイトルから想像するともっとポップなナンバーを想像しますが、実際には「リンダ」に近いロッカバラードです。この辺のタイトルと曲調のミスマッチな感じは、昔の、洋楽に無理やりな邦題をつけたヒット曲をイメージしているのでしょう。
M5.プラスティック・ラヴ
いかにも80年代なシティ・ポップ風です。フュージョンっぽいバンドを従えて杏里とかが歌ってそうな…。山下達郎もこの頃はこういう音楽だと理解されていたと思います。「ハロゲンライト」なんて単語がわざわざ出てくるのもこの時代らしいですね。
M6.恋の嵐
その後の竹内まりやの飯の種になる、訳ありげな大人の恋の世界を歌ったのはこの曲がはしりなんですね。この曲では「帰る場所を選べる」と言っているので、まだ深入りはしていないようです。
M7.元気を出して
薬師丸ひろ子の絶頂期のアルバムに入っていて、当時の大学生たちにとても評判が良かった曲。竹内まりや版もカラッとしていて良いですね。女の子が失恋した友人を励ます、という歌詞は意外と少なくて、それがこの曲を長寿にしています。薬師丸ひろ子がコーラスで参加しています。
M8.色・ホワイトブレンド
アイドル歌手が歌う化粧品のイメージソング、本人が「不思議なピーチパイ」を歌っていたわけですから、竹内まりやが立場を変えて加藤和彦に挑戦したことになります。この課題に関しては「ピーチパイ」の勝ちかな?この曲、ちょっと長くてダレる気がします。中山美穂もそんなに上手くなかったし。
M9.けんかをやめて
Expressionのライナーノーツで本人が「私が歌うとひどく傲慢な女に聞こえる」と書いちゃってます。アイドル歌手はもちろんですが、女の子が二人の男を手玉に取るような歌ってなかったので、その辺の「女の子の本音」のくみ取り方がリアルでイイ、と当時の女友達は竹内まりやを高く評価していました。純情可憐な我々男子は「あ、そういうものなんですか」と鼻白んでおりました。アイドルという立場上?河合奈保子はあまりその辺の底意地の悪さを表に出さずに歌っていたので、この曲の本当の怖さが男子には伝わりづらかったんですね。
M10.駅
中森明菜のアルバム用に作られた曲。山下達郎は中森明菜の歌唱が全然気に入らなかった様です。おそらく明菜のベタベタな暗い解釈に我慢ならなかったのでしょう。一方、竹内まりやはExpressionのライナーノーツで「中森明菜からの依頼だったから書けた」とフォローしています。私は竹内まりや版から先に聴いたので、確かに明菜版は辛かった。だって、この曲が言ってることって「私の方から振った元彼を久しぶりに電車で見かけたら、なんかしょぼくれちゃってて、やっぱ悪いことしたかな?テヘッ」ってことでしょ?ただしこの曲をモノにしたことで、竹内まりやは「恋の嵐」と「駅」を土台にその後のヒット曲を量産したのだから、中森明菜のおかげ、もまんざらお世辞では無いのだと思います。
M11.Forever Friends
「元気を出して」とは曲調がかなり違いますが、「女の友情」もののシリーズ。この鉱脈も結構デカくて、[Disc 3]にもこのテーマは出てきます。
M12.シングル・アゲイン
「駅」とは違って、男の方が他の女性を選ぶ形で別れた恋のその後。男が次の女性と別れたと訊いて、ちょっと揺れながらも「私と別れて後悔してるでしょ?あなたと別れた時の私の気持ちを思い知りなさい、それが対等な別れというものよ」というようなことを言っておられます。
M13.告白
かなり前に結婚はできない、と話し合って別れたはずの男から突然電話があって、「やっぱり君といっしょにいるべきだった」みたいなことを言われたが、「今頃そんなこと言われても、もうあなたと結婚しないという前提で今の生活してるんだから、困るわ」と言いつつ、「そう言われたことはいやじゃないし、あなたもそれを口にしたことをちゃんと覚えてて生きていきなさいよ」、とおっしゃっています。
M14.マンハッタン・キス
これは本格的な不倫の歌ですね。ホテルのドアに「起こさないで」と札をぶら下げて愛人と会っているわけです。「告白」までは自分または同年代の友人の経験(談)を題材にしたかのようなリアリティがあったのですが、この辺からはちょっと頭でストーリーを考えるようになったんじゃないかなあ、と私はニラんでいます。"Don't disturb"から始まって、物語が一周りして、最後にまた"Don't disturb"に帰ってくるところとか良く出来てます。
特にこの[Disc 2]に収められたあたりの竹内まりやの恋愛物って、力関係とか責任の所在が男女平等な感じがします。それゆえに男にとっても辛辣なところがあるんだけど、嫌味が無いのが美点です。それって日本人が歌ってこなかった恋愛のような気がします。その辺がオシャレであり、支持された理由かもしれませんね。
M1.リンダ
アン・ルイスに提供した曲のセルフカバー。ソングライター・竹内まりやの最初の作品ということになります。アン・ルイスは竹内まりやと友人で、一方では太田裕美と遊んでたんですね。
M2.もう一度
結婚による休養後の復帰作となったのがこの曲。竹内まりやが作詞・作曲して山下達郎がアレンジとコーラスに加わる、という黄金パターンが確立し、松任谷由実・正隆コンビを追撃する体勢が整ったわけです。ナイアガラ・サウンドを意識したようなアレンジ(ちょうどこの頃はEach Timeが出た頃で、実際に流行っていた)。
M3.マージービートで唄わせて
ビートルズへのオマージュ、と言っておいてコーラスとかビートルズよりもちょっと古い感じにまとめてあるのが面白いですね。
M4.本気でオンリーユー(Let's Get Married)
タイトルから想像するともっとポップなナンバーを想像しますが、実際には「リンダ」に近いロッカバラードです。この辺のタイトルと曲調のミスマッチな感じは、昔の、洋楽に無理やりな邦題をつけたヒット曲をイメージしているのでしょう。
M5.プラスティック・ラヴ
いかにも80年代なシティ・ポップ風です。フュージョンっぽいバンドを従えて杏里とかが歌ってそうな…。山下達郎もこの頃はこういう音楽だと理解されていたと思います。「ハロゲンライト」なんて単語がわざわざ出てくるのもこの時代らしいですね。
M6.恋の嵐
その後の竹内まりやの飯の種になる、訳ありげな大人の恋の世界を歌ったのはこの曲がはしりなんですね。この曲では「帰る場所を選べる」と言っているので、まだ深入りはしていないようです。
M7.元気を出して
薬師丸ひろ子の絶頂期のアルバムに入っていて、当時の大学生たちにとても評判が良かった曲。竹内まりや版もカラッとしていて良いですね。女の子が失恋した友人を励ます、という歌詞は意外と少なくて、それがこの曲を長寿にしています。薬師丸ひろ子がコーラスで参加しています。
M8.色・ホワイトブレンド
アイドル歌手が歌う化粧品のイメージソング、本人が「不思議なピーチパイ」を歌っていたわけですから、竹内まりやが立場を変えて加藤和彦に挑戦したことになります。この課題に関しては「ピーチパイ」の勝ちかな?この曲、ちょっと長くてダレる気がします。中山美穂もそんなに上手くなかったし。
M9.けんかをやめて
Expressionのライナーノーツで本人が「私が歌うとひどく傲慢な女に聞こえる」と書いちゃってます。アイドル歌手はもちろんですが、女の子が二人の男を手玉に取るような歌ってなかったので、その辺の「女の子の本音」のくみ取り方がリアルでイイ、と当時の女友達は竹内まりやを高く評価していました。純情可憐な我々男子は「あ、そういうものなんですか」と鼻白んでおりました。アイドルという立場上?河合奈保子はあまりその辺の底意地の悪さを表に出さずに歌っていたので、この曲の本当の怖さが男子には伝わりづらかったんですね。
M10.駅
中森明菜のアルバム用に作られた曲。山下達郎は中森明菜の歌唱が全然気に入らなかった様です。おそらく明菜のベタベタな暗い解釈に我慢ならなかったのでしょう。一方、竹内まりやはExpressionのライナーノーツで「中森明菜からの依頼だったから書けた」とフォローしています。私は竹内まりや版から先に聴いたので、確かに明菜版は辛かった。だって、この曲が言ってることって「私の方から振った元彼を久しぶりに電車で見かけたら、なんかしょぼくれちゃってて、やっぱ悪いことしたかな?テヘッ」ってことでしょ?ただしこの曲をモノにしたことで、竹内まりやは「恋の嵐」と「駅」を土台にその後のヒット曲を量産したのだから、中森明菜のおかげ、もまんざらお世辞では無いのだと思います。
M11.Forever Friends
「元気を出して」とは曲調がかなり違いますが、「女の友情」もののシリーズ。この鉱脈も結構デカくて、[Disc 3]にもこのテーマは出てきます。
M12.シングル・アゲイン
「駅」とは違って、男の方が他の女性を選ぶ形で別れた恋のその後。男が次の女性と別れたと訊いて、ちょっと揺れながらも「私と別れて後悔してるでしょ?あなたと別れた時の私の気持ちを思い知りなさい、それが対等な別れというものよ」というようなことを言っておられます。
M13.告白
かなり前に結婚はできない、と話し合って別れたはずの男から突然電話があって、「やっぱり君といっしょにいるべきだった」みたいなことを言われたが、「今頃そんなこと言われても、もうあなたと結婚しないという前提で今の生活してるんだから、困るわ」と言いつつ、「そう言われたことはいやじゃないし、あなたもそれを口にしたことをちゃんと覚えてて生きていきなさいよ」、とおっしゃっています。
M14.マンハッタン・キス
これは本格的な不倫の歌ですね。ホテルのドアに「起こさないで」と札をぶら下げて愛人と会っているわけです。「告白」までは自分または同年代の友人の経験(談)を題材にしたかのようなリアリティがあったのですが、この辺からはちょっと頭でストーリーを考えるようになったんじゃないかなあ、と私はニラんでいます。"Don't disturb"から始まって、物語が一周りして、最後にまた"Don't disturb"に帰ってくるところとか良く出来てます。
特にこの[Disc 2]に収められたあたりの竹内まりやの恋愛物って、力関係とか責任の所在が男女平等な感じがします。それゆえに男にとっても辛辣なところがあるんだけど、嫌味が無いのが美点です。それって日本人が歌ってこなかった恋愛のような気がします。その辺がオシャレであり、支持された理由かもしれませんね。
2010/01/24
Expressions[Disc 1]/竹内まりや
竹内まりやの3枚組(4枚目はカラオケ)ベストの1枚目です。
90年代にはソングライターとして松任谷由実、中島みゆきと並ぶ位置を確立した彼女ですが、1978年のデビューから山下達郎と結婚するまでは、基本的に作家に提供された楽曲を歌う歌手でした。同期をWikipediaで拾うと石野真子、杏里、中原理恵、サザンオールスターズ…。時代はピンク・レディーの全盛期であり、沢田研二と山口百恵がザ・ベストテンで歌う一方、アリスのブレイクや原田真二、世良公則&ツイスト、渡辺真知子らが現れた「ニューミュージック」の開花期にもあたります。
竹内まりやは大卒後のデビューという年齢的なものもあってか、太田裕美や中原理恵がそうだったようにアイドルとニューミュージック・シンガーの中間的イメージでテレビに出ていました。一番良く見かけたのは年末賞レースがらみで「September」を歌うところです。「September」の発音がなんか本場モンぽく、ちょっと偏差値が高そうな感じでした。
70年代デビューの女性歌手の中ではもっとも現役感がある人なので、もっと若いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、南沙織、太田裕美とほぼ同い年で、大器晩成タイプとも言えます。
それでは聴きましょう。
M1.戻っておいで・私の時間
加藤和彦夫妻の楽曲。オシャレだが素人の耳に残りにくいですね。ゴダイゴのブレイク以前にしては英語部分が多い。
M2.グッドバイ・サマーブリーズ
これ、全く憶えてないわ…。歌詞カードはカタカナですが、本人は英語風に歌っています。またそれを許す譜割りになっています。
M3.ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜
これは有名ですね。キリンレモンのコマーシャルソング。個人的にはまだ顔と歌が一致しておらず、意識して聴いたことはありませんでした。
M4.涙のワンサイデッド・ラヴ
ワンサイデッドと過去分詞がカタカナで表記されるのは当時の曲名としては珍しかったと思いますよ。これはアルバム用ということですが、自身の作詞作曲で、編曲には早くも山下達郎の名があります。
M5.September
前年に同い年の太田裕美が「September rain」と儚げに歌っていた単語を、彼女は乾いた声で、バリバリのRの発音で歌いました。この曲で集中的にテレビに出たので私もようやく竹内まりやを認知しました。私の第一印象は「南沙織が風邪ひいたみたいな声だなあ」。もっと年配の人は「伊東ゆかりみたいな声だなあ」と思っていたみたいです。
M6.不思議なピーチパイ
シンガー・ソングライターとしての作品以外ではもっとも成功した曲でしょう。安井かずみと加藤和彦のコンビによるポップな曲。当時はCMもガンガン流れててサビはいやでも覚えたし、しかもCM曲によくある「サビまでいくまでが退屈」ということもありません。前半からめくるめくように展開して、一気にCMで使われる箇所まで行ってしまいます。さすが!「かーくしきれない(っぱん)」と入るハンドクラップが効いてます。コーラスには山下達郎の声が。
M7.象牙海岸
松本隆と林哲司の作品ですが、ちょっと退屈。この頃の竹内まりやって歌い方が一本調子でこういうミディアム・スローなナンバーを聴かせられるタイプではなかったようにも感じます。アレンジはいろいろ頑張って変化をつけているんですけどね。
M8.五線紙
ギター1本の伴奏に3声コーラスという渋い曲。「いかにも松本隆」という歌詞で、メロディが変われば太田裕美のアルバムに入っていても全く違和感が無いでしょうね。
M9.Morning Glory
山下達郎のを先に聴いちゃったからなあ…
M10.僕の街へ
竹内まりやに対して林哲司が提供している曲は、いまいちキレが無いように思うのは何故だろう?なんかこう、この子の声はこう、と枠を決めてそこから一歩も踏み出さないような作り方をしているような気がする。それが悪いのかと言われると「いや、べつに…」としか言えないんですが。
M11.ボーイ・ハント(Where The Boys Are)
これはもう、もろに伊東ゆかりに挑戦したわけですね。
M12.恋のひとこと(Something Stupid)/Duet with 大滝詠一
これはオシャレ。しかも相手が大滝詠一。アレンジが服部克久という豪華版。
M13.Never Cry Butterfly
「スローなブギにしてくれ」みたいですが、作曲は南佳孝ではなく杉真理。学生時代に杉真理と活動していた、と自筆ライナーノーツに書いてあります。なるほど、そういうルーツの人なんですね。
M14.Let It Be Me [Studio Version]
2008年の新録音だそうです。サンデーソングブックの夫婦放談でも聴いたことがある曲。山下達郎とのデュエット。
気が向いたら来週辺りに[Disc 2]をやります。
90年代にはソングライターとして松任谷由実、中島みゆきと並ぶ位置を確立した彼女ですが、1978年のデビューから山下達郎と結婚するまでは、基本的に作家に提供された楽曲を歌う歌手でした。同期をWikipediaで拾うと石野真子、杏里、中原理恵、サザンオールスターズ…。時代はピンク・レディーの全盛期であり、沢田研二と山口百恵がザ・ベストテンで歌う一方、アリスのブレイクや原田真二、世良公則&ツイスト、渡辺真知子らが現れた「ニューミュージック」の開花期にもあたります。
竹内まりやは大卒後のデビューという年齢的なものもあってか、太田裕美や中原理恵がそうだったようにアイドルとニューミュージック・シンガーの中間的イメージでテレビに出ていました。一番良く見かけたのは年末賞レースがらみで「September」を歌うところです。「September」の発音がなんか本場モンぽく、ちょっと偏差値が高そうな感じでした。
70年代デビューの女性歌手の中ではもっとも現役感がある人なので、もっと若いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、南沙織、太田裕美とほぼ同い年で、大器晩成タイプとも言えます。
それでは聴きましょう。
M1.戻っておいで・私の時間
加藤和彦夫妻の楽曲。オシャレだが素人の耳に残りにくいですね。ゴダイゴのブレイク以前にしては英語部分が多い。
M2.グッドバイ・サマーブリーズ
これ、全く憶えてないわ…。歌詞カードはカタカナですが、本人は英語風に歌っています。またそれを許す譜割りになっています。
M3.ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜
これは有名ですね。キリンレモンのコマーシャルソング。個人的にはまだ顔と歌が一致しておらず、意識して聴いたことはありませんでした。
M4.涙のワンサイデッド・ラヴ
ワンサイデッドと過去分詞がカタカナで表記されるのは当時の曲名としては珍しかったと思いますよ。これはアルバム用ということですが、自身の作詞作曲で、編曲には早くも山下達郎の名があります。
M5.September
前年に同い年の太田裕美が「September rain」と儚げに歌っていた単語を、彼女は乾いた声で、バリバリのRの発音で歌いました。この曲で集中的にテレビに出たので私もようやく竹内まりやを認知しました。私の第一印象は「南沙織が風邪ひいたみたいな声だなあ」。もっと年配の人は「伊東ゆかりみたいな声だなあ」と思っていたみたいです。
M6.不思議なピーチパイ
シンガー・ソングライターとしての作品以外ではもっとも成功した曲でしょう。安井かずみと加藤和彦のコンビによるポップな曲。当時はCMもガンガン流れててサビはいやでも覚えたし、しかもCM曲によくある「サビまでいくまでが退屈」ということもありません。前半からめくるめくように展開して、一気にCMで使われる箇所まで行ってしまいます。さすが!「かーくしきれない(っぱん)」と入るハンドクラップが効いてます。コーラスには山下達郎の声が。
M7.象牙海岸
松本隆と林哲司の作品ですが、ちょっと退屈。この頃の竹内まりやって歌い方が一本調子でこういうミディアム・スローなナンバーを聴かせられるタイプではなかったようにも感じます。アレンジはいろいろ頑張って変化をつけているんですけどね。
M8.五線紙
ギター1本の伴奏に3声コーラスという渋い曲。「いかにも松本隆」という歌詞で、メロディが変われば太田裕美のアルバムに入っていても全く違和感が無いでしょうね。
M9.Morning Glory
山下達郎のを先に聴いちゃったからなあ…
M10.僕の街へ
竹内まりやに対して林哲司が提供している曲は、いまいちキレが無いように思うのは何故だろう?なんかこう、この子の声はこう、と枠を決めてそこから一歩も踏み出さないような作り方をしているような気がする。それが悪いのかと言われると「いや、べつに…」としか言えないんですが。
M11.ボーイ・ハント(Where The Boys Are)
これはもう、もろに伊東ゆかりに挑戦したわけですね。
M12.恋のひとこと(Something Stupid)/Duet with 大滝詠一
これはオシャレ。しかも相手が大滝詠一。アレンジが服部克久という豪華版。
M13.Never Cry Butterfly
「スローなブギにしてくれ」みたいですが、作曲は南佳孝ではなく杉真理。学生時代に杉真理と活動していた、と自筆ライナーノーツに書いてあります。なるほど、そういうルーツの人なんですね。
M14.Let It Be Me [Studio Version]
2008年の新録音だそうです。サンデーソングブックの夫婦放談でも聴いたことがある曲。山下達郎とのデュエット。
気が向いたら来週辺りに[Disc 2]をやります。
2009/01/03
決定盤!!「ニュー・ミュージックの時代」ベスト〜その4〜(パープルタウン/八神純子)
新年おめでとうございます。
今年もいたってマイペースに書き進めて参りますが、よろしくお願いします。
年末は毎度のことですが、結構熱心に紅白歌合戦を見て、今の日本の音楽の裾野の広がりとその真ん中はどこにあるのかと観察しておりました。演歌勢の相変わらずの現場での強さと、若手J-POP勢の保守化が目立ちました。景気が悪くて冒険ができないのか、抽き出しがないのか、もう私には読み取れないのですが、「そんなに『イイ歌だ』と言われることが大事なんですか?」と作り手に訊いてみたい気分になりました。聴き手を信用してないんでしょうなあ、というか今の若い購入層たちは、相当バカにされていると思いますよ。
一方、昨日は母のマンションで、自宅では見られないBSで「大集合!青春フォークソング」というのを見ていました。はっきり言って現代で鑑賞に堪える音楽性があるのは一握りで、山崎ハコなんてこんなもんだったのかなあと変な感慨に耽る一方で、岡林信康の神様ぶりに圧倒されたりして、全体ではとても面白かったです。バブル前夜の80年代に青春を送った私にはほとんどリアリティが感じられなかった「チューリップのアップリケ」なんて歌が、今の時代のひどさに再びマッチし始めた恐ろしさ。
かつて日本語の問題シリーズをやったときは、言葉ののせ方とかのテクニックの問題に終始しましたけど、聴き取れたところですっかり角が取れてつるつるになった抽象的な歌詞から何かを読み取ることは、どのみち難しいということに気がついてしまいました。
これだけ若者が虐げられている世の中で、それを具体的な場面を描写しながら怒りや悲しみを唄う若者が出てこないのは不思議な気がしますが、それもこれも社会的メッセージを「カッコワルい」で否定した「ニューミュージック」の後遺症なのかもしれないなあ。
そんなわけで「決定盤!!「ニュー・ミュージックの時代」ベスト」からの4曲目は
M6.パープルタウン/八神純子
です。
私はこの頃、今までの人生で一番熱心に歌番組を見ていましたが、この曲は出てくる度に「作詞・作曲」のクレジットが変わるという、コドモ心にも不思議な現象が起きていたことを覚えています。今となってはWikipediaにも記述があるほど有名な話ですが、この曲は最終的に邦題「ロンリー・ガイ」とされるRay Kennedyの曲に八神純子のオリジナルなメロディを付け足したものである、ということになっています。
以前、広瀬香美の話の途中や「ポーラー・スター」のお題でこの人について書きました。好き嫌いで言うと私はこの人の声が好きだし、作品もフォーク・ロックの世界に歌謡曲的「歌心」を持ち込んで「ニューミュージック」という分野を拡大した人であると思っています。宮川泰のザ・ピーナッツ用の曲を思い出させる、洒落た中にも歌謡曲的に唄って楽しい要素が入っているのが良い。
ただ曲作りにおいてちょっと元ネタがはっきり分かりすぎるという欠点があったかな、と。彼女の最初の大ヒットである「水色の雨」にもそっくりの外国曲があるという指摘は当時からされておりました(私は後から自分で気がつきましたがデビュー曲の「思い出は美しすぎて」もユーミンの「あの日に帰りたい」そのまんま)。
「パープルタウン」では、A-B-Cと展開する曲のうち、歌メロは違うのだけれどもA-Bとさらにイントロまでもがあまりにも「そのまんま」だったので、言い訳ができなかった、ということでしょう。歌メロは大幅に書き換えられており、アレンジャーに罪をかぶせることはできなかったのかな?と思いましたが、"I love you more and more"のメロディがまんまなので、やっぱり確信犯ですね。
今なら「サンプリング」しました、と言ってはじめから「ご挨拶」しておけば、問題なかったのだと思うのですが、まあしょうがないか!
さて、実際にこの曲を聴いてみると、突然健康的になる後付けのサビも含めて、上手に唄っています。
歌詞を読むと、事情は良く分かりませんが、彼氏と喧嘩かなんかがあって、「一人でニューヨークに来てみたらすっかり機嫌が直ったので、仲直りのエアメールを日本に送りました。ニューヨークに来ると元気になっていいですよ」みたいな感じ。当時のJALのキャンペーンソングだったとのこと(Wikipediaによる)。さもありなん。
なんぼ軽薄な80年代とはいえ、こんな生活をリアルに受けとめられる人は少なかったと思いますが、この背伸び感が後のバブルに繋がったんでしょう、多分。
今年もいたってマイペースに書き進めて参りますが、よろしくお願いします。
年末は毎度のことですが、結構熱心に紅白歌合戦を見て、今の日本の音楽の裾野の広がりとその真ん中はどこにあるのかと観察しておりました。演歌勢の相変わらずの現場での強さと、若手J-POP勢の保守化が目立ちました。景気が悪くて冒険ができないのか、抽き出しがないのか、もう私には読み取れないのですが、「そんなに『イイ歌だ』と言われることが大事なんですか?」と作り手に訊いてみたい気分になりました。聴き手を信用してないんでしょうなあ、というか今の若い購入層たちは、相当バカにされていると思いますよ。
一方、昨日は母のマンションで、自宅では見られないBSで「大集合!青春フォークソング」というのを見ていました。はっきり言って現代で鑑賞に堪える音楽性があるのは一握りで、山崎ハコなんてこんなもんだったのかなあと変な感慨に耽る一方で、岡林信康の神様ぶりに圧倒されたりして、全体ではとても面白かったです。バブル前夜の80年代に青春を送った私にはほとんどリアリティが感じられなかった「チューリップのアップリケ」なんて歌が、今の時代のひどさに再びマッチし始めた恐ろしさ。
かつて日本語の問題シリーズをやったときは、言葉ののせ方とかのテクニックの問題に終始しましたけど、聴き取れたところですっかり角が取れてつるつるになった抽象的な歌詞から何かを読み取ることは、どのみち難しいということに気がついてしまいました。
これだけ若者が虐げられている世の中で、それを具体的な場面を描写しながら怒りや悲しみを唄う若者が出てこないのは不思議な気がしますが、それもこれも社会的メッセージを「カッコワルい」で否定した「ニューミュージック」の後遺症なのかもしれないなあ。
そんなわけで「決定盤!!「ニュー・ミュージックの時代」ベスト」からの4曲目は
M6.パープルタウン/八神純子
です。
私はこの頃、今までの人生で一番熱心に歌番組を見ていましたが、この曲は出てくる度に「作詞・作曲」のクレジットが変わるという、コドモ心にも不思議な現象が起きていたことを覚えています。今となってはWikipediaにも記述があるほど有名な話ですが、この曲は最終的に邦題「ロンリー・ガイ」とされるRay Kennedyの曲に八神純子のオリジナルなメロディを付け足したものである、ということになっています。
以前、広瀬香美の話の途中や「ポーラー・スター」のお題でこの人について書きました。好き嫌いで言うと私はこの人の声が好きだし、作品もフォーク・ロックの世界に歌謡曲的「歌心」を持ち込んで「ニューミュージック」という分野を拡大した人であると思っています。宮川泰のザ・ピーナッツ用の曲を思い出させる、洒落た中にも歌謡曲的に唄って楽しい要素が入っているのが良い。
ただ曲作りにおいてちょっと元ネタがはっきり分かりすぎるという欠点があったかな、と。彼女の最初の大ヒットである「水色の雨」にもそっくりの外国曲があるという指摘は当時からされておりました(私は後から自分で気がつきましたがデビュー曲の「思い出は美しすぎて」もユーミンの「あの日に帰りたい」そのまんま)。
「パープルタウン」では、A-B-Cと展開する曲のうち、歌メロは違うのだけれどもA-Bとさらにイントロまでもがあまりにも「そのまんま」だったので、言い訳ができなかった、ということでしょう。歌メロは大幅に書き換えられており、アレンジャーに罪をかぶせることはできなかったのかな?と思いましたが、"I love you more and more"のメロディがまんまなので、やっぱり確信犯ですね。
今なら「サンプリング」しました、と言ってはじめから「ご挨拶」しておけば、問題なかったのだと思うのですが、まあしょうがないか!
さて、実際にこの曲を聴いてみると、突然健康的になる後付けのサビも含めて、上手に唄っています。
歌詞を読むと、事情は良く分かりませんが、彼氏と喧嘩かなんかがあって、「一人でニューヨークに来てみたらすっかり機嫌が直ったので、仲直りのエアメールを日本に送りました。ニューヨークに来ると元気になっていいですよ」みたいな感じ。当時のJALのキャンペーンソングだったとのこと(Wikipediaによる)。さもありなん。
なんぼ軽薄な80年代とはいえ、こんな生活をリアルに受けとめられる人は少なかったと思いますが、この背伸び感が後のバブルに繋がったんでしょう、多分。
2008/12/27
決定盤!!「ニュー・ミュージックの時代」ベスト〜その2〜(真夜中のドア/松原みき)
前回に引き続き、決定盤!!「ニュー・ミュージックの時代」ベストの収録曲からお話を続けます。2曲目の"「いちご白書」をもう一度"は飛ばして、3曲目に移ります。
M3.真夜中のドア/松原みき
2008年末現在、巷では飯島愛の死が話題になっていますが、松原みきも44歳の若さで病死しています。イイ女だったのにもったない…と言ってみる。
彼女には「ニートな午後3時」という、化粧品会社のCMとタイアップした代表曲があります。「ニートな午後3時」といっても、仕事のない若者のやるせない午後を歌った歌ではなく、「かざらない、さっぱりした美人」という当時の化粧品会社のコンセプトです。
このCDでは、デビュー曲の「真夜中のドア」の方を収録しています。実際どちらが良い曲かと考えると、CMで使える部分に辿り着くまでにちょっともたつきを感じさせる「ニートな午後3時」よりも、コンパクトな中に変化を感じさせる「真夜中のドア」の方が出来が良く、選曲者の見識をそこはかとなく感じさせてくれます。
細かいことを言うと、フォーク・ロックにルーツを持つニューミュージック勢とは音楽の方向が少し違っており、どちらかというとジャズ畑の印象。まあ、当時は「歌謡曲」じゃなければなんでもニューミュージックだったんですけどね。
今になって松原みきを聴くと、いわゆるR&Bの歌姫路線の先祖であることが良く分かります。従来の日本的な歌謡曲とは一線を引いた洋楽風の歌唱を売りにする歌手は、それ以前に青江三奈がいました。私の父のような昭和一桁世代から、「進駐軍」とか「米軍キャンプ」なんていう単語とともに語られる本格派。さらにその後の、戦後生まれの世代では朱里エイコやしばたはつみなんていう人たちがいました。当時は「ジャズ」系と言われましたが、今ならR&Bとジャンル分けされるはずです。
「真夜中のドア」は発売が79年ということで、バックの演奏が当時流行していたフュージョン的なところが時代を感じさせます。しかし、松原みきの歌唱は、ほとんど良く似たサウンドで唄う杉山清貴よりもずっと洋楽風だと思います。例えば小柳ゆきや中島美嘉あたりの楽曲を唄わせたら、どんな風になっただろうと想像すると楽しくなってきます。つくづくもったいなかったなあ…。
M3.真夜中のドア/松原みき
2008年末現在、巷では飯島愛の死が話題になっていますが、松原みきも44歳の若さで病死しています。イイ女だったのにもったない…と言ってみる。
彼女には「ニートな午後3時」という、化粧品会社のCMとタイアップした代表曲があります。「ニートな午後3時」といっても、仕事のない若者のやるせない午後を歌った歌ではなく、「かざらない、さっぱりした美人」という当時の化粧品会社のコンセプトです。
このCDでは、デビュー曲の「真夜中のドア」の方を収録しています。実際どちらが良い曲かと考えると、CMで使える部分に辿り着くまでにちょっともたつきを感じさせる「ニートな午後3時」よりも、コンパクトな中に変化を感じさせる「真夜中のドア」の方が出来が良く、選曲者の見識をそこはかとなく感じさせてくれます。
細かいことを言うと、フォーク・ロックにルーツを持つニューミュージック勢とは音楽の方向が少し違っており、どちらかというとジャズ畑の印象。まあ、当時は「歌謡曲」じゃなければなんでもニューミュージックだったんですけどね。
今になって松原みきを聴くと、いわゆるR&Bの歌姫路線の先祖であることが良く分かります。従来の日本的な歌謡曲とは一線を引いた洋楽風の歌唱を売りにする歌手は、それ以前に青江三奈がいました。私の父のような昭和一桁世代から、「進駐軍」とか「米軍キャンプ」なんていう単語とともに語られる本格派。さらにその後の、戦後生まれの世代では朱里エイコやしばたはつみなんていう人たちがいました。当時は「ジャズ」系と言われましたが、今ならR&Bとジャンル分けされるはずです。
「真夜中のドア」は発売が79年ということで、バックの演奏が当時流行していたフュージョン的なところが時代を感じさせます。しかし、松原みきの歌唱は、ほとんど良く似たサウンドで唄う杉山清貴よりもずっと洋楽風だと思います。例えば小柳ゆきや中島美嘉あたりの楽曲を唄わせたら、どんな風になっただろうと想像すると楽しくなってきます。つくづくもったいなかったなあ…。
2008/10/03
逢いたくて逢いたくて/園まり
ディープな歌謡曲のさらに最深部を目指して進んでいます。
Wikipediaによると、この曲は1966年発売。私が3歳の頃の歌です。私の記憶に残っている歌謡曲の中では最も古いもののうちの一つです。園まりは渡辺プロ所属の「三人娘」の一人。
アメリカン・ポップスが得意な中尾ミエや、竹内まりやに似た(ゆえにカレン・カーペンターにも似ている)モダンさを持つ伊東ゆかりに対して、「ムード歌謡」の真ん真ん中を行ったのが園まりです。
歌謡曲自体がジャンルとして特定し難いのに、サブジャンルの「ムード歌謡」と言われると、なにがなんだか分からなくなりますが、乱暴に要約すると、外国曲風のカラオケ(ジャズまたはラテン系)にのせて唄う演歌のようなものです。
園まりはiTMSでもダウンロードすることができます。代表曲の「逢いたくて逢いたくて」を聴いてみましょう。

なんとまあ、とため息が出るような声です。20歳そこそこの女の子が、こんな声で唄ったら、そりゃオジサンは堪りませんわ。クラシックに行きかけて途中でやめた感じの声です。男だと布施明に相当するのでしょうか?
この発声の後継者は、現代のJ-POPにはちょっと見当たりません。強いて似ている人を探すと、演歌の大月みやこ?
園まりは渡辺プロお得意の「丸顔女子大生風」アイドルの始祖でもあります(この後、あべ静江→田中好子→太田裕美→石川ひとみ→河合その子→中川翔子と続く)。
ちあきなおみの時にしつこくやりましたが、園まりももの凄く丁寧にこの曲を吹き込んで(レコーディングで唄うことの昭和的表現)いるのが分かります。
「ふたりはこいびと」の箇所では、
「ふーたりぃはこいびぃぃっとーぉぉぉ」と唄っています。
この「っとーぉぉぉ」の微妙なタメがこの曲における園まりの芸です。この曲ははねた4ビートで、1拍が3分割されていますが、普通の作曲法だと「こいびと」の「と」は小節の1拍目頭に置かれているはずですが、園まりは3連音符2つ分ためてから「と」と唄います。
(普通)
[ふーた|りーは|こーい|びーい][とーー|ーーー|ーーー|ーーv]
(園まり)
[ふーた|りぃは|こーい|びぃぃ][×っと|ーーー|ーーぉ|おおv]
この3連音符何個分かタメるというのは、この曲の中で何カ所か意識的に行われています。松尾和子などに先例があると思われますが、園まりは元々の声質がノーブルなので、下世話にならないという美点があります。
また、ぱっと聴くと、ちりめんビブラート(ロングトーンの最初から最後まで細かいビブラートが一面にかかる。悪口)かと思いますが、ビブラートをかける音符、まっすぐ伸ばす音符がしっかり区別されているのが分かります。1〜3番まで、キメ方にぶれが無いですから。
作曲は私も尊敬する宮川泰。もともとはザ・ピーナッツ用の曲だったとのこと。あの方の芸風(?)を思うと、「とにかく色っぽくやってよ、まりちゃん!」みたいな指導だったのではないかという気も半分はするのですが、音符はしっかり書き込んでいたんだろうなと思わせます。この、作者による細かい指定を忠実に何度も再現する、というのが演歌を含めた「歌謡曲」の芸です。この点ではクラシック音楽にも共通していますし、日本の伝統芸とも矛盾がありません。
「まずはセンセイのやった通りに再現することを目指す」
「少なくても形式上はセンセイの完全コピーができることが前提で、そこから熟成して自分の色を出す」
歌謡曲は、そんな日本の伝統芸能や、ファインアートとしてのクラシックに憬れつつも、産業として開発スピードが要求されますし、若年層への販売を考えると商品としての歌手も、若くてカワイイことが重要なフックになってきます。
そして、学生運動などの流れを通り過ぎ、「個性重視」とか「形式主義への軽蔑」などの気分が国民に共有されたところで、曲の解釈よりも歌い手のパーソナリティや声質などのアピールが優先された「歌謡ポップス」、「アイドル歌謡」が普及します。次回はその辺の話をしたいと思います。
Wikipediaによると、この曲は1966年発売。私が3歳の頃の歌です。私の記憶に残っている歌謡曲の中では最も古いもののうちの一つです。園まりは渡辺プロ所属の「三人娘」の一人。
アメリカン・ポップスが得意な中尾ミエや、竹内まりやに似た(ゆえにカレン・カーペンターにも似ている)モダンさを持つ伊東ゆかりに対して、「ムード歌謡」の真ん真ん中を行ったのが園まりです。
歌謡曲自体がジャンルとして特定し難いのに、サブジャンルの「ムード歌謡」と言われると、なにがなんだか分からなくなりますが、乱暴に要約すると、外国曲風のカラオケ(ジャズまたはラテン系)にのせて唄う演歌のようなものです。
園まりはiTMSでもダウンロードすることができます。代表曲の「逢いたくて逢いたくて」を聴いてみましょう。
なんとまあ、とため息が出るような声です。20歳そこそこの女の子が、こんな声で唄ったら、そりゃオジサンは堪りませんわ。クラシックに行きかけて途中でやめた感じの声です。男だと布施明に相当するのでしょうか?
この発声の後継者は、現代のJ-POPにはちょっと見当たりません。強いて似ている人を探すと、演歌の大月みやこ?
園まりは渡辺プロお得意の「丸顔女子大生風」アイドルの始祖でもあります(この後、あべ静江→田中好子→太田裕美→石川ひとみ→河合その子→中川翔子と続く)。
ちあきなおみの時にしつこくやりましたが、園まりももの凄く丁寧にこの曲を吹き込んで(レコーディングで唄うことの昭和的表現)いるのが分かります。
「ふたりはこいびと」の箇所では、
「ふーたりぃはこいびぃぃっとーぉぉぉ」と唄っています。
この「っとーぉぉぉ」の微妙なタメがこの曲における園まりの芸です。この曲ははねた4ビートで、1拍が3分割されていますが、普通の作曲法だと「こいびと」の「と」は小節の1拍目頭に置かれているはずですが、園まりは3連音符2つ分ためてから「と」と唄います。
(普通)
[ふーた|りーは|こーい|びーい][とーー|ーーー|ーーー|ーーv]
(園まり)
[ふーた|りぃは|こーい|びぃぃ][×っと|ーーー|ーーぉ|おおv]
この3連音符何個分かタメるというのは、この曲の中で何カ所か意識的に行われています。松尾和子などに先例があると思われますが、園まりは元々の声質がノーブルなので、下世話にならないという美点があります。
また、ぱっと聴くと、ちりめんビブラート(ロングトーンの最初から最後まで細かいビブラートが一面にかかる。悪口)かと思いますが、ビブラートをかける音符、まっすぐ伸ばす音符がしっかり区別されているのが分かります。1〜3番まで、キメ方にぶれが無いですから。
作曲は私も尊敬する宮川泰。もともとはザ・ピーナッツ用の曲だったとのこと。あの方の芸風(?)を思うと、「とにかく色っぽくやってよ、まりちゃん!」みたいな指導だったのではないかという気も半分はするのですが、音符はしっかり書き込んでいたんだろうなと思わせます。この、作者による細かい指定を忠実に何度も再現する、というのが演歌を含めた「歌謡曲」の芸です。この点ではクラシック音楽にも共通していますし、日本の伝統芸とも矛盾がありません。
「まずはセンセイのやった通りに再現することを目指す」
「少なくても形式上はセンセイの完全コピーができることが前提で、そこから熟成して自分の色を出す」
歌謡曲は、そんな日本の伝統芸能や、ファインアートとしてのクラシックに憬れつつも、産業として開発スピードが要求されますし、若年層への販売を考えると商品としての歌手も、若くてカワイイことが重要なフックになってきます。
そして、学生運動などの流れを通り過ぎ、「個性重視」とか「形式主義への軽蔑」などの気分が国民に共有されたところで、曲の解釈よりも歌い手のパーソナリティや声質などのアピールが優先された「歌謡ポップス」、「アイドル歌謡」が普及します。次回はその辺の話をしたいと思います。
2008/09/21
しんぐるこれくしょん/ちあきなおみ
さて、太田裕美で免疫力を回復したところで、いよいよディープな歌謡曲の世界に入りましょう。
テキストはちあきなおみです。
ダンナさんが亡くなって以来、芸能活動を止めてしまったので、今はもうNHKの懐メロ番組にも出てきてくれません。
キャリアの後半では「紅とんぼ」など船村徹作品での印象が強いので、「演歌歌手」と思っている人がいるかもしれませんが、本人はそんなつもりは無いと思います。余談ですが、この「しんぐるこれくしょん(何で平仮名なんだ?)」は、コロムビアレコード在籍時のものなので、「紅とんぼ」は入っていません。テイチク版も探してこないといけませんね。
ちあきなおみは昭和40年代の歌謡曲の良心と言ってよく、今の若い人が彼女やザ・ピーナッツを聴く機会がないことを残念に思います。
ちあきなおみは歌謡曲時代の歌手に要求されるほとんど全てを持っています。
歌謡曲における歌手の役割は、「作曲家の先生」が作った歌を、いかに丁寧に録音し、ステージやTVで再現するかです。
当時の歌手は、まず、これはと思う作曲家に「弟子入り」し、子どものお守や雑巾掛けから始め、レッスンを受けてデビュー。新曲ができたらその作家の家に通って、どう歌えば良いか、という綿密な打ち合わせとレッスンをしてレコーディングしていたようです。
最近はあまり見かけませんが、ちょっと前までは素人に歌を唄わせて、プロの作曲家がそれにダメだしするTV番組が結構ありました。そこで作曲家の大先生はこんなことを言います。
「こんやもきてきが、きてきが、きてきが」と3回ありますが、その3回には違った意味合いがあるのでそれを表現しないといけません」とか、
「なみだ、なみだ、なみだ、なみだ、なみだかれても、の5回のなみだは全部違うんですよ。歌は3分間のドラマです」
まるで禅問答です。今だったら、「じゃあ、3回目のなみだの時にアホになります」とか言い返しちゃいそうです。
ちあきなおみは「3分間のドラマ」を忠実に、しかもとても上手にやっています。彼女は後にちょっとコメディエンヌ風な女優の仕事をたくさんやりますが、彼女に取ってはドラマの台本も曲の譜面も同じようなものだったのではないかと思います。
歌手としてのちあきなおみは声質、声量、音域とも非常にすぐれた楽器であり、それは当時のポピュラーミュージックの範疇にある曲であれば、自在に唄いこなせるレンジの広さがありました。そしてハスキーまでいかないが、ちょっとホワイトノイズが乗っかったような深い声を持っています。
また、その演奏能力もすこぶる高度です。広瀬香美のときにしつこく書きましたが、ビブラートをどうかけるか?音程をどこできっちり合わせて、どこに破調を作るか?ということをきっちり計算しています。
ルックスは美人とはいえませんが、デビューが遅かったこともあって、出てきた時にはもうお色気系での勝負もいける、というキャラクターでした。
では、聴いてみましょう。
Disc1
M1.雨にぬれた慕情
デビュー曲です。作曲は彼女の師匠である鈴木淳。バックはジャズコンボ風で、特にピアノがジャズっぽいですね。この半年前にいしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」が大ヒットしています(作曲は筒美京平)。多分意識していると思うのですが、徹底してノン・ビブラートで唄っていて、気持ち鼻にかけていますが、これはいしだあゆみの唄い方(いしだあゆみはこの唄い方しかできない)です。
M2.朝がくるまえに
これもM1とほぼ同じものです。前年に大ヒットしたピンキラの「恋の季節」に似せてあります(もう、断定しちゃう!)。
M4.四つのお願い
彼女の最初のヒット曲です。いしだあゆみより色気があるんだから、それを使おうということか、ビブラートを使うようになりました(できるのに封印していた)。サビの「ひみつにしてねー」のロングトーンはビブラートはかけず、抜きのところでわざとダウングリッサンド(1オクターブ下に向かって声を下げる)しています。
M5.X+Y=Love
前作のヒットをどうつなげて行くかを、作家側が一所懸命考えて作られたと思われ、タイトルからして凝りに凝っています。細かいことですが、英語部分の譜割りが日本語的なのを、彼女なりにせいいっぱい抵抗して、"I love you"を英語風に3音節で唄おうと頑張っています。
M7.無駄な抵抗やめましょう
後に演歌も唄うようになる萌芽が見られます。このころはまだ「お座敷ソング」といって、芸者の格好をした年齢不詳のおばちゃん(実は戦前から唄ってたりする)が、ちょっと色っぽい歌を舞い踊るという歌謡曲のジャンルがありました。ちあきなおみの水商売っぽい雰囲気を使ってみたのでしょう。
M8.私という女
五木ひろしの「待っている女」によく似てるなあ、と思いましたが。こっちが1年先でした。こういうフォービートっぽいのがこのころ流行っていたんでしょうね。元ネタはなんだろう?この曲で年季が明けたのか、鈴木淳作曲作品としては最後のシングル曲です。
M9.しのび逢う恋
これはヨーロピアンな雰囲気でカッコいいですね。ちょっと変えれば竹内まりやが唄ってもおかしくないです。作曲は「バラが咲いた」で有名な浜口庫之助。
M10.今日で終って
これも70年代後半にニューミュージック系で似たようなことをやっている人がいました。具体的には「水鏡」とかに近いですね。
M13.喝采
レコード大賞受賞の名曲。作曲は中村泰士。エレキギターのトレモロは最近流行らないけれど、アコースティックギターのカッティングとかは今聴いてもカッコいいと思います。「ほそいかゲなガくおとして」の鼻濁音、ロングトーンでの声量のコントロールなど、他の曲もそうなんですが、もの凄く丁寧に唄っています。
Disc2
M1.夜間飛行
途中でフランス語の機内アナウンスが入るのは初めて気がつきました。バックの楽器の音を差し替えたら、今でも通用すると思います。このスケールの曲が実は3分29秒しかない。昔は良かったなあ!
M3.円舞曲
「円舞曲」と書いて平仮名で「わるつ」とルビが振ってあります。作詞は阿久悠。曲は川口真です。前半は演歌調でサビはやや洋楽風になります。ちあきなおみのナンバーを、マトリクスを作って説明する時には、この曲が真ん中あたりに来るのかなあ。
M4.かなしみ模様
打って変わってこちらは外国の有名曲によく似ています。思い出せませんが、絶対こんな曲がありました。川口真って人のことはあまり良く知りませんが、面白いことするなあ。
M5.花吹雪
都倉俊一が作曲しています。「里の秋」に似た文部省唱歌っぽい爽やかなメロディを堂々と唄っています。ところが歌詞をみるとストーリーが「?」。十歳くらい年下の大学生に入れあげて、物心ともに支えていた地方都市の飲み屋のママが、その大学生の卒業を期に店じまいする、という解釈で良いんでしょうか?大人の歌の世界は難しいなあ、四十過ぎても読み取れない。
M6.恋慕夜曲
一転して作曲家に浜圭介を起用しています。これはもう完全に演歌です。もちろん、ちあきなおみは完璧に唄いこなしています。それまでの曲で使っていない、裏声になってから細く消えて行くようなビブラート。森昌子なんかが得意にしている唄い方ですが、そういうのも自由自在にやります。
M7.さだめ川
出た。ついに船村徹作品です。
ちあきなおみは演歌歌手に収まりきる人ではないのですが、船村徹の曲を歌わせると本当にうまいです。ここで、「さーだめがーわー」の唄い回しをじっくり聴いてください。「さーだめーがぁぁぁわーぁぁあーあ」と、ビブラートを細かくして抜いて行くのかと思わせておいて、もう一度力を入れ直してビブラートをやめてから、また抜く、という複雑なことをやっています。1番から3番まで全部やっているので、これはわざとです。そのことによって何を表そうとしているのか?音符の指定まできっちり伸ばしたい、とかいうことなのか?美空ひばりあたりになにか似た例があるのかもしれませんが、ちょっと私の知識では分かりません。でも、なにかを表現しようとしているのです。
M8.恋挽歌
こちらは浜圭介作品。浜圭介は演歌を得意にする作曲家の中では、チャレンジ精神というか実験精神みたいなものが旺盛で、佳い曲をたくさん書いている人ですが、ことちあきなおみ用の作品については、彼女の能力を使い切るほどの曲は提供できてないように思います。
M10.酒場川
これはもう、船村徹による古賀メロディでしょうね。「悲しい酒」をちあきなおみでやってみた、ということだと思います。
M11.ルージュ
ここで中島みゆき作品が出てきます。ちあきなおみはコロムビアから移籍した後、シャンソンやファド、ニューミュージック系のカバーなどをやっていますが、そのとっかかりに中島みゆきがいるというのは分かりやすいです。中島みゆきの歌を唄うと、どの歌手も中島みゆきに唄い方が影響されます(研ナオコ、桜田淳子、TOKIO)が、この曲でのちあきなおみの脱力した唄い方(特にAメロ部分)もそのひとつかと思います。これほど完成された歌手に影響を与える中島みゆき恐るべし、なのか?または、ポプコン出身のシンガー・ソングライターからも歌唱法を取り入れる、ちあきなおみの芸への執着を読み取るべきなのか?
M12.夜へ急ぐ人
出たァ!有名な「おいでおいで」の歌です。大ヒットはしなかったと思うのですが、唄っているところをTVで見た人はその晩から3日連続で悪夢を見、一生その映像が忘れられなくなる、という恐ろしい曲。CDだと割と平気ですが、ヘッドホンで聴くのは止めた方がいいかも。この頃、ちあきなおみはこんな感じの恐ろしげなナンバーばかりが並ぶ物騒なアルバムを出していたと思います。彼女はこの辺で、レコードセールスに関する競争から卒業し、アーティストとしての高みを目指す方向に踏み出したのだと思います。
M14.矢切の渡し
細川たかしが唄ってレコード大賞を取った曲ですが、元はM10のB面に入っていた曲。これも船村徹の作曲です。「つれてにげてよ」が女のセリフで「ついておいでよ」が男のセリフ。ちあきなおみはちゃんと女役と男役で声の出し方を変え、「歌を演じて」います。昨日の太田裕美「木綿のハンカチーフ」との違いが分かりますか?男のセリフはちょっと歌舞伎か新劇風のセリフ回し「ついて…おいで…よ」とためています。「これは、長谷川一夫先生のセリフ回しを参考にしたんですよ」なんて芸談が残っていそうです(ウソですよー)。
曲はこの後も続きますが、ちあきなおみのエッセンスはある程度書けたと思うので、以下省略して総論です。
結局、歌謡曲の神髄は「歌は3分間のドラマ」という、手垢の付いた言葉をどれだけ本気で表現しようか、ということだったのだと思います。「歌を演ずるから演歌」というのは多分誰かが言っていると思いますが、ちあきなおみがデビューした頃は、どんなジャンルに影響されていても、そいういう意味で歌謡曲=演歌だったのだと思います。
そして、ちあきなおみは歌を演ずる技術において、ちょっと突出した才能だと思います。当時、その流儀の頂点には美空ひばりという歌の怪獣がいましたが、彼女もそれに匹敵する芸の幅があります。
ちあきなおみが40年遅く生まれて、今二十歳くらいの歌手だったら、彼女はどんな歌を唄っているでしょうかね?
テキストはちあきなおみです。
ダンナさんが亡くなって以来、芸能活動を止めてしまったので、今はもうNHKの懐メロ番組にも出てきてくれません。
キャリアの後半では「紅とんぼ」など船村徹作品での印象が強いので、「演歌歌手」と思っている人がいるかもしれませんが、本人はそんなつもりは無いと思います。余談ですが、この「しんぐるこれくしょん(何で平仮名なんだ?)」は、コロムビアレコード在籍時のものなので、「紅とんぼ」は入っていません。テイチク版も探してこないといけませんね。
ちあきなおみは昭和40年代の歌謡曲の良心と言ってよく、今の若い人が彼女やザ・ピーナッツを聴く機会がないことを残念に思います。
ちあきなおみは歌謡曲時代の歌手に要求されるほとんど全てを持っています。
歌謡曲における歌手の役割は、「作曲家の先生」が作った歌を、いかに丁寧に録音し、ステージやTVで再現するかです。
当時の歌手は、まず、これはと思う作曲家に「弟子入り」し、子どものお守や雑巾掛けから始め、レッスンを受けてデビュー。新曲ができたらその作家の家に通って、どう歌えば良いか、という綿密な打ち合わせとレッスンをしてレコーディングしていたようです。
最近はあまり見かけませんが、ちょっと前までは素人に歌を唄わせて、プロの作曲家がそれにダメだしするTV番組が結構ありました。そこで作曲家の大先生はこんなことを言います。
「こんやもきてきが、きてきが、きてきが」と3回ありますが、その3回には違った意味合いがあるのでそれを表現しないといけません」とか、
「なみだ、なみだ、なみだ、なみだ、なみだかれても、の5回のなみだは全部違うんですよ。歌は3分間のドラマです」
まるで禅問答です。今だったら、「じゃあ、3回目のなみだの時にアホになります」とか言い返しちゃいそうです。
ちあきなおみは「3分間のドラマ」を忠実に、しかもとても上手にやっています。彼女は後にちょっとコメディエンヌ風な女優の仕事をたくさんやりますが、彼女に取ってはドラマの台本も曲の譜面も同じようなものだったのではないかと思います。
歌手としてのちあきなおみは声質、声量、音域とも非常にすぐれた楽器であり、それは当時のポピュラーミュージックの範疇にある曲であれば、自在に唄いこなせるレンジの広さがありました。そしてハスキーまでいかないが、ちょっとホワイトノイズが乗っかったような深い声を持っています。
また、その演奏能力もすこぶる高度です。広瀬香美のときにしつこく書きましたが、ビブラートをどうかけるか?音程をどこできっちり合わせて、どこに破調を作るか?ということをきっちり計算しています。
ルックスは美人とはいえませんが、デビューが遅かったこともあって、出てきた時にはもうお色気系での勝負もいける、というキャラクターでした。
では、聴いてみましょう。
Disc1
M1.雨にぬれた慕情
デビュー曲です。作曲は彼女の師匠である鈴木淳。バックはジャズコンボ風で、特にピアノがジャズっぽいですね。この半年前にいしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」が大ヒットしています(作曲は筒美京平)。多分意識していると思うのですが、徹底してノン・ビブラートで唄っていて、気持ち鼻にかけていますが、これはいしだあゆみの唄い方(いしだあゆみはこの唄い方しかできない)です。
M2.朝がくるまえに
これもM1とほぼ同じものです。前年に大ヒットしたピンキラの「恋の季節」に似せてあります(もう、断定しちゃう!)。
M4.四つのお願い
彼女の最初のヒット曲です。いしだあゆみより色気があるんだから、それを使おうということか、ビブラートを使うようになりました(できるのに封印していた)。サビの「ひみつにしてねー」のロングトーンはビブラートはかけず、抜きのところでわざとダウングリッサンド(1オクターブ下に向かって声を下げる)しています。
M5.X+Y=Love
前作のヒットをどうつなげて行くかを、作家側が一所懸命考えて作られたと思われ、タイトルからして凝りに凝っています。細かいことですが、英語部分の譜割りが日本語的なのを、彼女なりにせいいっぱい抵抗して、"I love you"を英語風に3音節で唄おうと頑張っています。
M7.無駄な抵抗やめましょう
後に演歌も唄うようになる萌芽が見られます。このころはまだ「お座敷ソング」といって、芸者の格好をした年齢不詳のおばちゃん(実は戦前から唄ってたりする)が、ちょっと色っぽい歌を舞い踊るという歌謡曲のジャンルがありました。ちあきなおみの水商売っぽい雰囲気を使ってみたのでしょう。
M8.私という女
五木ひろしの「待っている女」によく似てるなあ、と思いましたが。こっちが1年先でした。こういうフォービートっぽいのがこのころ流行っていたんでしょうね。元ネタはなんだろう?この曲で年季が明けたのか、鈴木淳作曲作品としては最後のシングル曲です。
M9.しのび逢う恋
これはヨーロピアンな雰囲気でカッコいいですね。ちょっと変えれば竹内まりやが唄ってもおかしくないです。作曲は「バラが咲いた」で有名な浜口庫之助。
M10.今日で終って
これも70年代後半にニューミュージック系で似たようなことをやっている人がいました。具体的には「水鏡」とかに近いですね。
M13.喝采
レコード大賞受賞の名曲。作曲は中村泰士。エレキギターのトレモロは最近流行らないけれど、アコースティックギターのカッティングとかは今聴いてもカッコいいと思います。「ほそいかゲなガくおとして」の鼻濁音、ロングトーンでの声量のコントロールなど、他の曲もそうなんですが、もの凄く丁寧に唄っています。
Disc2
M1.夜間飛行
途中でフランス語の機内アナウンスが入るのは初めて気がつきました。バックの楽器の音を差し替えたら、今でも通用すると思います。このスケールの曲が実は3分29秒しかない。昔は良かったなあ!
M3.円舞曲
「円舞曲」と書いて平仮名で「わるつ」とルビが振ってあります。作詞は阿久悠。曲は川口真です。前半は演歌調でサビはやや洋楽風になります。ちあきなおみのナンバーを、マトリクスを作って説明する時には、この曲が真ん中あたりに来るのかなあ。
M4.かなしみ模様
打って変わってこちらは外国の有名曲によく似ています。思い出せませんが、絶対こんな曲がありました。川口真って人のことはあまり良く知りませんが、面白いことするなあ。
M5.花吹雪
都倉俊一が作曲しています。「里の秋」に似た文部省唱歌っぽい爽やかなメロディを堂々と唄っています。ところが歌詞をみるとストーリーが「?」。十歳くらい年下の大学生に入れあげて、物心ともに支えていた地方都市の飲み屋のママが、その大学生の卒業を期に店じまいする、という解釈で良いんでしょうか?大人の歌の世界は難しいなあ、四十過ぎても読み取れない。
M6.恋慕夜曲
一転して作曲家に浜圭介を起用しています。これはもう完全に演歌です。もちろん、ちあきなおみは完璧に唄いこなしています。それまでの曲で使っていない、裏声になってから細く消えて行くようなビブラート。森昌子なんかが得意にしている唄い方ですが、そういうのも自由自在にやります。
M7.さだめ川
出た。ついに船村徹作品です。
ちあきなおみは演歌歌手に収まりきる人ではないのですが、船村徹の曲を歌わせると本当にうまいです。ここで、「さーだめがーわー」の唄い回しをじっくり聴いてください。「さーだめーがぁぁぁわーぁぁあーあ」と、ビブラートを細かくして抜いて行くのかと思わせておいて、もう一度力を入れ直してビブラートをやめてから、また抜く、という複雑なことをやっています。1番から3番まで全部やっているので、これはわざとです。そのことによって何を表そうとしているのか?音符の指定まできっちり伸ばしたい、とかいうことなのか?美空ひばりあたりになにか似た例があるのかもしれませんが、ちょっと私の知識では分かりません。でも、なにかを表現しようとしているのです。
M8.恋挽歌
こちらは浜圭介作品。浜圭介は演歌を得意にする作曲家の中では、チャレンジ精神というか実験精神みたいなものが旺盛で、佳い曲をたくさん書いている人ですが、ことちあきなおみ用の作品については、彼女の能力を使い切るほどの曲は提供できてないように思います。
M10.酒場川
これはもう、船村徹による古賀メロディでしょうね。「悲しい酒」をちあきなおみでやってみた、ということだと思います。
M11.ルージュ
ここで中島みゆき作品が出てきます。ちあきなおみはコロムビアから移籍した後、シャンソンやファド、ニューミュージック系のカバーなどをやっていますが、そのとっかかりに中島みゆきがいるというのは分かりやすいです。中島みゆきの歌を唄うと、どの歌手も中島みゆきに唄い方が影響されます(研ナオコ、桜田淳子、TOKIO)が、この曲でのちあきなおみの脱力した唄い方(特にAメロ部分)もそのひとつかと思います。これほど完成された歌手に影響を与える中島みゆき恐るべし、なのか?または、ポプコン出身のシンガー・ソングライターからも歌唱法を取り入れる、ちあきなおみの芸への執着を読み取るべきなのか?
M12.夜へ急ぐ人
出たァ!有名な「おいでおいで」の歌です。大ヒットはしなかったと思うのですが、唄っているところをTVで見た人はその晩から3日連続で悪夢を見、一生その映像が忘れられなくなる、という恐ろしい曲。CDだと割と平気ですが、ヘッドホンで聴くのは止めた方がいいかも。この頃、ちあきなおみはこんな感じの恐ろしげなナンバーばかりが並ぶ物騒なアルバムを出していたと思います。彼女はこの辺で、レコードセールスに関する競争から卒業し、アーティストとしての高みを目指す方向に踏み出したのだと思います。
M14.矢切の渡し
細川たかしが唄ってレコード大賞を取った曲ですが、元はM10のB面に入っていた曲。これも船村徹の作曲です。「つれてにげてよ」が女のセリフで「ついておいでよ」が男のセリフ。ちあきなおみはちゃんと女役と男役で声の出し方を変え、「歌を演じて」います。昨日の太田裕美「木綿のハンカチーフ」との違いが分かりますか?男のセリフはちょっと歌舞伎か新劇風のセリフ回し「ついて…おいで…よ」とためています。「これは、長谷川一夫先生のセリフ回しを参考にしたんですよ」なんて芸談が残っていそうです(ウソですよー)。
曲はこの後も続きますが、ちあきなおみのエッセンスはある程度書けたと思うので、以下省略して総論です。
結局、歌謡曲の神髄は「歌は3分間のドラマ」という、手垢の付いた言葉をどれだけ本気で表現しようか、ということだったのだと思います。「歌を演ずるから演歌」というのは多分誰かが言っていると思いますが、ちあきなおみがデビューした頃は、どんなジャンルに影響されていても、そいういう意味で歌謡曲=演歌だったのだと思います。
そして、ちあきなおみは歌を演ずる技術において、ちょっと突出した才能だと思います。当時、その流儀の頂点には美空ひばりという歌の怪獣がいましたが、彼女もそれに匹敵する芸の幅があります。
ちあきなおみが40年遅く生まれて、今二十歳くらいの歌手だったら、彼女はどんな歌を唄っているでしょうかね?
2008/07/13
LOVIN' YOU/MISIA
要は我々素人が歌の「うまい・へた」に言及するとき、「楽器としての声が優れているかどうか」、「楽器である自分の声をいかに思い通りにコントロールするかという技術論」、さらに「楽曲を解釈できるかどうかという知識とセンス」という3つの要素がごちゃごちゃになっていると思います。その際、どうしても声がきれいということに善くも悪くも騙される場合が多い、と思うんです。
また、「楽器として優れている」の中にも「音色が美しい」と「音域とダイナミックレンジが広い」という二通りがあると思います。
前項の杉山清貴は「音色が美しい」楽器であり、その演奏能力にも「問題が無い」、という人です。こういう人はうまいと言いやすいですね。
今日はMISIAを聴いています。
この人は「音色が美しい」上に「音域が広い」楽器であり、その演奏能力も「優れている」人です。
あえて、有名曲のカヴァーである、"LOVIN' YOU"をダウンロードしてみました。

この三十数年前の名曲は、いろんな人がカヴァーしたりTVで唄ったりしますが、たいていは今井美樹ヴァージョンのように、最後の「ああああああー」をオクターブ落とした常識的な範囲で唄うのですが、さすがMISIAはオリジナルのミニー・リパートンと同じキーで、例の箇所も歌メロの1オクターブ上を使って鳥のような声を出しています。
彼女の音色と音域については全く不満がなく、あとは年齢を重ねつつ楽典の勉強を進めて高みをきわめていただくしかないかと思います。"Everything"が代表曲、じゃもったいない。もっと斬新な曲で天下を取ってみせて欲しいですね。
また、「楽器として優れている」の中にも「音色が美しい」と「音域とダイナミックレンジが広い」という二通りがあると思います。
前項の杉山清貴は「音色が美しい」楽器であり、その演奏能力にも「問題が無い」、という人です。こういう人はうまいと言いやすいですね。
今日はMISIAを聴いています。
この人は「音色が美しい」上に「音域が広い」楽器であり、その演奏能力も「優れている」人です。
あえて、有名曲のカヴァーである、"LOVIN' YOU"をダウンロードしてみました。
この三十数年前の名曲は、いろんな人がカヴァーしたりTVで唄ったりしますが、たいていは今井美樹ヴァージョンのように、最後の「ああああああー」をオクターブ落とした常識的な範囲で唄うのですが、さすがMISIAはオリジナルのミニー・リパートンと同じキーで、例の箇所も歌メロの1オクターブ上を使って鳥のような声を出しています。
彼女の音色と音域については全く不満がなく、あとは年齢を重ねつつ楽典の勉強を進めて高みをきわめていただくしかないかと思います。"Everything"が代表曲、じゃもったいない。もっと斬新な曲で天下を取ってみせて欲しいですね。
2008/05/10
思秋期/岩崎宏美
久しぶりにiTMSの「ブラウズ」ボタンを押してJ-POPのラインナップを見ていたら、ずいぶんと懐かしい曲が揃ってきました。門あさ美とか中原めいこなんていう「ニューミュージック」系の懐メロとか、'70〜'80年代のアイドル、麻丘めぐみあたりから始まって小泉今日子や中山美穂、おニャン子クラブなどの名前も出てきます。なぜ浅香唯が無い?それ以前に太田裕美の曲が無いのが惜しい!発売元がソニー系とか、そういう事情なのか?やれやれ…。
さて、岩崎宏美は70年代中期に「スター誕生」から生まれた、「中三トリオ」のちょっと後輩にあたるアイドルでしたが、デビュー当時から歌唱力は折り紙付きでした。私の父などもTVで見かけると「もっと年を取ってスタンダードナンバーを唄うのが見たい」というようなことを言っていました。
そして実際に今、スタンダードナンバーの似合う年になったわけですが、その歌手生活の収支は合っているのでしょうか?相変わらず歌のうまさに関して、その評価は揺るぎないと思われますが、代表曲というと行きがかり上「聖母たちのララバイ」あるいはネタとしての「シンデレラ・ハネムーン」ということになって、その楽曲のレベルは岩崎宏美の実力からするといかにも平凡です。前回書いた伊藤由奈もこの轍を踏んでしまうのではないか、とオジサンは心配しております。
さて、そんな岩崎宏美の曲の中から、iTMSですぐに聴けるサンプルとして、初期の名唱とされる「思秋期」のリンクを貼っておきます。昨年、阿久悠氏が亡くなった時に代表曲のひとつとして紹介されたり、本人が出てきて唄ったりするのを見聞きして思い出しました。

10代でこの安定感!ていうか、若い男の子向けにしては落ち着き過ぎだったのかなあ。
超蛇足ですが、すごく機嫌のいい男性がこの曲を鼻歌で唄うと、「ルビーの指環」になります。
さて、岩崎宏美は70年代中期に「スター誕生」から生まれた、「中三トリオ」のちょっと後輩にあたるアイドルでしたが、デビュー当時から歌唱力は折り紙付きでした。私の父などもTVで見かけると「もっと年を取ってスタンダードナンバーを唄うのが見たい」というようなことを言っていました。
そして実際に今、スタンダードナンバーの似合う年になったわけですが、その歌手生活の収支は合っているのでしょうか?相変わらず歌のうまさに関して、その評価は揺るぎないと思われますが、代表曲というと行きがかり上「聖母たちのララバイ」あるいはネタとしての「シンデレラ・ハネムーン」ということになって、その楽曲のレベルは岩崎宏美の実力からするといかにも平凡です。前回書いた伊藤由奈もこの轍を踏んでしまうのではないか、とオジサンは心配しております。
さて、そんな岩崎宏美の曲の中から、iTMSですぐに聴けるサンプルとして、初期の名唱とされる「思秋期」のリンクを貼っておきます。昨年、阿久悠氏が亡くなった時に代表曲のひとつとして紹介されたり、本人が出てきて唄ったりするのを見聞きして思い出しました。
10代でこの安定感!ていうか、若い男の子向けにしては落ち着き過ぎだったのかなあ。
超蛇足ですが、すごく機嫌のいい男性がこの曲を鼻歌で唄うと、「ルビーの指環」になります。
2008/05/05
あなたがいる限り~A WORLD TO BELIEVE IN~/伊藤由奈×Celine Dion
会社の同僚から回してもらいました。伊藤由奈のアルバム"WISH"。
前にも書きましたが、この人は顔は日本人的ですが基本的にはキャラクターも売り方も外国人枠です。リア・ディゾンが顔は外人なのに日本のタレントになっちゃっているのと好対照ですね。
外国人枠でどんな路線に行きたいのか、見る方も期待と不安が半々でした。
とにかく声がきれいな歌手というのは、却って曲が与えにくいのか、日本の歌謡界では意外と大成しないんですよね。
外国ではどうなんでしょう?
ぱっと思い浮かぶお手本がマライア・キャリーとセリーヌ・ディオンですね。
彼女はどちらになりたいのか?
「海猿」のテーマ曲などを聴けば自ずと明らかなんですが、改めて今回のアルバムで彼女とそのスタッフはネタばらしをして見せました。
アルバムの中でセリーヌ・ディオンとデュエットをしてみせたわけです。
私はセリーヌ・ディオンになりたいぞ、と。カナダのいしだあゆみになるぞ、と(は言ってないか!)。
と思ったら、"WISH"の最後に"My Heart Will Go On"も収録されているじゃないですか!早見優が「グラマラス・ライフ」を唄うようなもんじゃないか!注文通りに「海猿」を作曲した人がかわいそうだなあ。
前にも書きましたが、この人は顔は日本人的ですが基本的にはキャラクターも売り方も外国人枠です。リア・ディゾンが顔は外人なのに日本のタレントになっちゃっているのと好対照ですね。
外国人枠でどんな路線に行きたいのか、見る方も期待と不安が半々でした。
とにかく声がきれいな歌手というのは、却って曲が与えにくいのか、日本の歌謡界では意外と大成しないんですよね。
外国ではどうなんでしょう?
ぱっと思い浮かぶお手本がマライア・キャリーとセリーヌ・ディオンですね。
彼女はどちらになりたいのか?
「海猿」のテーマ曲などを聴けば自ずと明らかなんですが、改めて今回のアルバムで彼女とそのスタッフはネタばらしをして見せました。
アルバムの中でセリーヌ・ディオンとデュエットをしてみせたわけです。
私はセリーヌ・ディオンになりたいぞ、と。カナダのいしだあゆみになるぞ、と(は言ってないか!)。
と思ったら、"WISH"の最後に"My Heart Will Go On"も収録されているじゃないですか!早見優が「グラマラス・ライフ」を唄うようなもんじゃないか!注文通りに「海猿」を作曲した人がかわいそうだなあ。
2007/12/12
Alpen Best-Kohmi Hirose/広瀬香美
今日は、首都圏エリアではありましたが、それなりに遠距離&長時間の移動があったので、改めて昨日の広瀬香美をエンドレスで聴いていました。広瀬香美が一番流行っている頃はリアルタイムであまりちゃんと聴いてなかったんですが、今になってじっくり聴くと良いですね、彼女。
まあとにかく、歌手として作家として、抽き出しの多いこと!
ビブラートひとつにしても自由自在なんですね。初期はほとんどノンビブラートで棒みたいに歌い、ときおり、8分音符にやたらシンクロした、のおおおおお、みたいな感じ(その辺が八神純子的だと思わされるんですが)だったのが、時代が下るにしたがって、具体的には"I Wish"あたりからはナチュラルなビブラートも使い始め、さらには渡辺真知子ばりの泣き節(一瞬裏声が交じる、やつですね)も使い始めます。それは声が出なくなってごまかしてるんじゃなくて、ポイントのところでは初期とおんなじ高音ノンビブラートも使っているんです。これだけ自由自在に歌を唄えればさぞかしレコーディングが楽しいでしょうね。
一方、曲作りの方はめちゃくちゃ論理的、なんだと思います。正確に評価できる知識は無いんですが、1曲当たり大きく4つくらいの部品を作っておいて、それをいかに上手に繋ぐか、ということをすごく計算した、プロフェッショナルな作り方をしていることが分かります。ときにはそのためにブリッジ部分をかなり強引に作ったりもしています。例としては「ゲレンデがとけるほど恋したい」の最後のサビの手前の「ま、さ、に、ぜっこ、おちょおー」の辺りなど。そしてそれは、作り込みが甘いんじゃなくて、「そういうゴツゴツしたところがあった方が曲として魅力的である」と分かってやっているのが聴いていて分かるんです。わあ恐ろしい…。
しかも、メロディの固まりを4つ作ったら、ひとつかふたつはちょっと過去の有名曲を下敷きにしたキャッチーで、あまり音楽に興味が無い人でも食いつけるようなところが必ず作ってあります。これも計算ずく。で、これだけ曲を作り込んでおいて、いざ歌を吹き込む段になると、タイミングをあまりきっちりにせずにところどころ音符を少し長めに歌って(モタるんじゃなくてタメてる)、結構下世話な感じの歌詞がちゃんと伝わるようにしています。
何処まで行ってもプロフェッショナルな上に、最終的なできあがりは現代的歌謡曲の王道。彼女が出てきたころはあまりFMのベストテン番組も聴いてなかったので、実際にはどうだったか知りませんが、故・宮川泰氏などは絶賛してたんじゃないでしょうか?そういう、宮川泰→ザ・ピーナッツの路線の現代版、という感じがものすごくします。
最後に、「月の下で逢いましょう」は割と最近の作品ですが、これハロプロ関連によく合いそう。GAMの次の曲はこれにしたら良いんじゃないでしょうか?特に藤本美貴の声に良く合うと思う。

まあとにかく、歌手として作家として、抽き出しの多いこと!
ビブラートひとつにしても自由自在なんですね。初期はほとんどノンビブラートで棒みたいに歌い、ときおり、8分音符にやたらシンクロした、のおおおおお、みたいな感じ(その辺が八神純子的だと思わされるんですが)だったのが、時代が下るにしたがって、具体的には"I Wish"あたりからはナチュラルなビブラートも使い始め、さらには渡辺真知子ばりの泣き節(一瞬裏声が交じる、やつですね)も使い始めます。それは声が出なくなってごまかしてるんじゃなくて、ポイントのところでは初期とおんなじ高音ノンビブラートも使っているんです。これだけ自由自在に歌を唄えればさぞかしレコーディングが楽しいでしょうね。
一方、曲作りの方はめちゃくちゃ論理的、なんだと思います。正確に評価できる知識は無いんですが、1曲当たり大きく4つくらいの部品を作っておいて、それをいかに上手に繋ぐか、ということをすごく計算した、プロフェッショナルな作り方をしていることが分かります。ときにはそのためにブリッジ部分をかなり強引に作ったりもしています。例としては「ゲレンデがとけるほど恋したい」の最後のサビの手前の「ま、さ、に、ぜっこ、おちょおー」の辺りなど。そしてそれは、作り込みが甘いんじゃなくて、「そういうゴツゴツしたところがあった方が曲として魅力的である」と分かってやっているのが聴いていて分かるんです。わあ恐ろしい…。
しかも、メロディの固まりを4つ作ったら、ひとつかふたつはちょっと過去の有名曲を下敷きにしたキャッチーで、あまり音楽に興味が無い人でも食いつけるようなところが必ず作ってあります。これも計算ずく。で、これだけ曲を作り込んでおいて、いざ歌を吹き込む段になると、タイミングをあまりきっちりにせずにところどころ音符を少し長めに歌って(モタるんじゃなくてタメてる)、結構下世話な感じの歌詞がちゃんと伝わるようにしています。
何処まで行ってもプロフェッショナルな上に、最終的なできあがりは現代的歌謡曲の王道。彼女が出てきたころはあまりFMのベストテン番組も聴いてなかったので、実際にはどうだったか知りませんが、故・宮川泰氏などは絶賛してたんじゃないでしょうか?そういう、宮川泰→ザ・ピーナッツの路線の現代版、という感じがものすごくします。
最後に、「月の下で逢いましょう」は割と最近の作品ですが、これハロプロ関連によく合いそう。GAMの次の曲はこれにしたら良いんじゃないでしょうか?特に藤本美貴の声に良く合うと思う。
2007/11/26
Urban Mermaid/伊藤由奈
伊藤由奈、もう1枚買ってきてしまいました。
今、CMでかかっている"Urban Mermaid"です。めざまし土曜日のテーマ"Colorful"も入ってやたらコストパフォーマンスのよい1枚になっています。
はっきり言って楽曲的にすごい、感動した!という作品じゃないんですけど、久々に声でやられました。強い、きれいな声です。
"I'm a beautiful mermaid"って、中身が外人じゃないと歌えないでしょ?日本人の感覚だと絶対「なんちゃって」って付けないと歌う自分を正当化できないと思うので、そういう意味では本人の個性をよく生かした作品であると思うし、それに応えるポジティブな歌唱が見事です。
自分を病人に喩えると、平原綾香はベッドの毛布のような声であり、伊藤由奈は点滴のような声です。強制的にポジティブなエネルギーを注入されてしまう。安静にするだけでは治らないほど病んだ時、拒絶反応の危険はあるが、この人の方が早く良く効くのではないかと思うとともに、この声に惹かれる今の私の精神も、かなりまずいところにあるのかも、と思うのでした。
今、CMでかかっている"Urban Mermaid"です。めざまし土曜日のテーマ"Colorful"も入ってやたらコストパフォーマンスのよい1枚になっています。
はっきり言って楽曲的にすごい、感動した!という作品じゃないんですけど、久々に声でやられました。強い、きれいな声です。
"I'm a beautiful mermaid"って、中身が外人じゃないと歌えないでしょ?日本人の感覚だと絶対「なんちゃって」って付けないと歌う自分を正当化できないと思うので、そういう意味では本人の個性をよく生かした作品であると思うし、それに応えるポジティブな歌唱が見事です。
自分を病人に喩えると、平原綾香はベッドの毛布のような声であり、伊藤由奈は点滴のような声です。強制的にポジティブなエネルギーを注入されてしまう。安静にするだけでは治らないほど病んだ時、拒絶反応の危険はあるが、この人の方が早く良く効くのではないかと思うとともに、この声に惹かれる今の私の精神も、かなりまずいところにあるのかも、と思うのでした。
2007/11/02
ENDLESS STORY/伊藤由奈
名前はきっぱり日本語表示ですがハワイ出身の歌手、伊藤由奈です。Wikipediaによるとお母さんが韓国系アメリカ人とあるので、ユナというそっち由来の名前を日本風に表記しているのかもしれません。
歌はうまいと思います。というか声が良い。おおらかさと知性を感じさせる容貌も悪くありません。
日本人で上手いと言われる歌手でも、実は声そのものは弱い人が多い。日本語の発音や発声が実は音楽向きじゃないのかもしれませんね。私見ですが、一度英語圏で育ってから日本語で歌った方が良い声が出るのではないでしょうか?自分がカラオケで歌っても英語の歌の方が声そのものは良く出るような気がします。
映画の劇中歌からヒットしたこの曲は「いかにも」なバラードですが、外人さんらしくちょっとひねってあるのと、サビがあまりに印象的なのでなんとなく説得されてしまいます。全編英語にしたら外国の有名曲に似そうな気もしますが。それと「いーとしさでぇぇぇ」の「で」の音が前のめりになるのがちょっと不思議な感じ。
私はこの曲が入っているアルバム"HEART"を聴いてみたくて通販の中古CDを買いました。都内のCDショップをいくつか回っても全然在庫がないものですから…。発売元は追加プレスしてないんでしょうか?
さて、この伊藤由奈さん、最近はちょっとアップテンポのCMソングを歌っていますが、これからどうなっていくのでしょう?
どうも日本のポップス界は、声の良い歌手に見合った楽曲を提供できない傾向があるので、意外と早い時期に杏里あたりのカバーをやらされる("Dolphin Ring"

あたり)のではないかと、ちょっと心配。島谷ひとみにならなきゃいいけど。
歌はうまいと思います。というか声が良い。おおらかさと知性を感じさせる容貌も悪くありません。
日本人で上手いと言われる歌手でも、実は声そのものは弱い人が多い。日本語の発音や発声が実は音楽向きじゃないのかもしれませんね。私見ですが、一度英語圏で育ってから日本語で歌った方が良い声が出るのではないでしょうか?自分がカラオケで歌っても英語の歌の方が声そのものは良く出るような気がします。
映画の劇中歌からヒットしたこの曲は「いかにも」なバラードですが、外人さんらしくちょっとひねってあるのと、サビがあまりに印象的なのでなんとなく説得されてしまいます。全編英語にしたら外国の有名曲に似そうな気もしますが。それと「いーとしさでぇぇぇ」の「で」の音が前のめりになるのがちょっと不思議な感じ。
私はこの曲が入っているアルバム"HEART"を聴いてみたくて通販の中古CDを買いました。都内のCDショップをいくつか回っても全然在庫がないものですから…。発売元は追加プレスしてないんでしょうか?
さて、この伊藤由奈さん、最近はちょっとアップテンポのCMソングを歌っていますが、これからどうなっていくのでしょう?
どうも日本のポップス界は、声の良い歌手に見合った楽曲を提供できない傾向があるので、意外と早い時期に杏里あたりのカバーをやらされる("Dolphin Ring"
あたり)のではないかと、ちょっと心配。島谷ひとみにならなきゃいいけど。
2007/08/11
Return to Myself/浜田麻里
少し前にデーモン小暮閣下がカバーしていた、"Return to Myself"です。彼がこの時代のガールズ・ロックに目をつけたのはとても良く分かります。ここ20年くらいのヒット曲って、絶対女性ボーカルの曲の方が歌って楽しい曲が多いと思うのです。ただ、最近はちょっと歌える女の子はみんな「R&Bの歌姫」路線に行ってしまうので、たまにはこういう暑苦しいロックが似合う女の子が見たいです。
この曲がはやったのは1989年。浜田麻里はそのちょっと前から徐々にテレビに出始めて、ソウルオリンピック中継のテーマソング"Heart and Soul"を歌ってから、いわゆるベストテン番組でも見かけるようになりました。4オクターブだか6オクターブだかの音域と、ロックボーカリストにしてはカワイイ、舞台衣装はパンチラあり、などの前評判とともに、我々善良な一般大衆の前に現れました。
YouTubeでも結構な数のビデオが見られます。
彼女の場合はもう完全にプロフェッショナルな歌唱が身に付いていますので、歌声はライブもCDも変わりません。ロックな額面に似合わず意外と喉を使ったカワイイ声の出し方をしていますね。
私はぜひ、彼女と寺田恵子が組んで"We Built This City"みたいなド派手な曲を発表してもらいたい、と思っていたのですが、実現していません。残念!
さて、この"Return to Myself"は、CDではバックのコーラスも浜田麻里が自分の声でやっていると思うんですが、その声がすごい(加工してるかもしれないけど)ので、ぜひCDでも聴いてみてください。この曲が入っているのはこのアルバム。ああ、あのバブリーなジャケットが出てこない!
この曲がはやったのは1989年。浜田麻里はそのちょっと前から徐々にテレビに出始めて、ソウルオリンピック中継のテーマソング"Heart and Soul"を歌ってから、いわゆるベストテン番組でも見かけるようになりました。4オクターブだか6オクターブだかの音域と、ロックボーカリストにしてはカワイイ、舞台衣装はパンチラあり、などの前評判とともに、我々善良な一般大衆の前に現れました。
YouTubeでも結構な数のビデオが見られます。
彼女の場合はもう完全にプロフェッショナルな歌唱が身に付いていますので、歌声はライブもCDも変わりません。ロックな額面に似合わず意外と喉を使ったカワイイ声の出し方をしていますね。
私はぜひ、彼女と寺田恵子が組んで"We Built This City"みたいなド派手な曲を発表してもらいたい、と思っていたのですが、実現していません。残念!
さて、この"Return to Myself"は、CDではバックのコーラスも浜田麻里が自分の声でやっていると思うんですが、その声がすごい(加工してるかもしれないけど)ので、ぜひCDでも聴いてみてください。この曲が入っているのはこのアルバム。ああ、あのバブリーなジャケットが出てこない!
2007/08/06
う、ふ、ふ、ふ、/EPO
EPOが最も量的に売れていた時期の作品です。一応代表的シングルをタイトルにしておきましたが、これはぜひ当時のベストアルバム、"THE BEST STATION JOEPO 1980-1984"を聴いて欲しいです。iTMSでも落とせます。

「う、ふ、ふ、ふ、」は化粧品のCMソングでもあり、本人の歌唱でヒットしましたが、その前後には高見知佳という微妙な位置にいたアイドルに「くちびるヌード・咲かせます」を提供しています。また、このアルバムには入っていませんが、この後すぐに香坂みゆき「ニュアンスしましょ」が発売されています。この2曲は何故か中国っぽい旋律と化粧品のCM曲であるところ、さらに伸び悩んでいたアイドルを一躍売れっ子にしたという実績が共通しています。
この頃のEPOは、「ひょうきん族」のエンディングテーマで"DOWN TOWN"を歌っていたように、「女・達郎」といった趣のお洒落でかつオーソドックスな音楽性に加えて、ちょっとエッチな歌詞のマッチングが面白かったです。本人はモノセックスな外見で、思春期の男子の想像力に訴えるタイプではありませんでした(主観です)が、声がきれい。本人も自覚しているのか、カバー曲を歌っていますが、大貫妙子と声が似ています。
そして、大貫妙子がほぼ一貫してそうであるように、EPOもいつしかいわゆる「売れセン」の曲作りを捨てて、海外に居を移したり、ポエットリーリーディングみたいな感じの曲を発表しながら、いつしか地味になってしまいました。私は彼女に関する情報をあまり見聞きしていないので、その理由やきっかけについては知りません。
「う、ふ、ふ、ふ、」は化粧品のCMソングでもあり、本人の歌唱でヒットしましたが、その前後には高見知佳という微妙な位置にいたアイドルに「くちびるヌード・咲かせます」を提供しています。また、このアルバムには入っていませんが、この後すぐに香坂みゆき「ニュアンスしましょ」が発売されています。この2曲は何故か中国っぽい旋律と化粧品のCM曲であるところ、さらに伸び悩んでいたアイドルを一躍売れっ子にしたという実績が共通しています。
この頃のEPOは、「ひょうきん族」のエンディングテーマで"DOWN TOWN"を歌っていたように、「女・達郎」といった趣のお洒落でかつオーソドックスな音楽性に加えて、ちょっとエッチな歌詞のマッチングが面白かったです。本人はモノセックスな外見で、思春期の男子の想像力に訴えるタイプではありませんでした(主観です)が、声がきれい。本人も自覚しているのか、カバー曲を歌っていますが、大貫妙子と声が似ています。
そして、大貫妙子がほぼ一貫してそうであるように、EPOもいつしかいわゆる「売れセン」の曲作りを捨てて、海外に居を移したり、ポエットリーリーディングみたいな感じの曲を発表しながら、いつしか地味になってしまいました。私は彼女に関する情報をあまり見聞きしていないので、その理由やきっかけについては知りません。
2007/07/29
裸足の季節/松田聖子
中森明菜の話を書いたので、ついでに松田聖子の話も書いておきましょう。
松田聖子のデビューはネットで調べると1980年。私が高校生の時でした。この年は山口百恵が引退した年で、次にブレイクする女性アイドルがポスト百恵になる、という気分が醸成されていた年でした。
当時純真な高校生だった私は、その一番手が岩崎宏美の妹である岩崎良美であるとふんでいました。しかし、1980年が終わる頃、女性アイドルのトップにいたのは松田聖子でした。
アイドル歌手としてはデビュー年齢が高く(高校を卒業してからデビュー)、特別な美少女というわけでもなかった松田聖子をトップアイドルに押し上げたものは、本人のキャラクターやプロ根性もあるのでしょうが、まずは声でしょう。
私が(ということは当時ぼんやりとテレビを見ていた思春期の男子が)最初に松田聖子に触れたのは、資生堂のニキビ治療薬"ekubo"のCMソングでした。そこには高校生らしい美少女が映っていましたが、CMソングを歌っているのはその子ではなく、全く別人の新人歌手・松田聖子でした。ブッポウソウか!
そして、その声の印象が強かった。ちょっとそれまでのアイドルとは違う、「かーん」と響く声でした。上手くないし、音域も狭かったが、つぼにはまった時の迫力があることだけは直感で分かる、そういう声でした。
その後いろいろあって、彼女はその声一つとっても、2年目あたりで一度喉を痛めて声質が変わっていますし、結婚・出産後は更に変わってしまっています。でもその頃には松田聖子という存在自体がモンスター化して、声がどうとか曲がどうという存在ではなくなってしまいました。
彼女を題材にすれば、本が何冊も書けるような存在になってしまったので、そのキャリアを要約することすら難しいのですが、結婚しても出産してもアイドルの延長で仕事ができることや、女性歌手でもスキャンダルがほんとうに肥やしにできることなど、様々なことを証明して見せながら、今もまだ彼女が前に進んでいるということは、尊敬に値するのではないでしょうか。
私の嗜好からも、松本隆や財津和夫、大滝詠一、細野晴臣などの人名を絡めて書きたいのはやまやまなんですが、それはまたいつか…。まず第一に松田聖子は声の人であるということを訴えて、続きはまたの機会にしたいと思います。
松田聖子のデビューはネットで調べると1980年。私が高校生の時でした。この年は山口百恵が引退した年で、次にブレイクする女性アイドルがポスト百恵になる、という気分が醸成されていた年でした。
当時純真な高校生だった私は、その一番手が岩崎宏美の妹である岩崎良美であるとふんでいました。しかし、1980年が終わる頃、女性アイドルのトップにいたのは松田聖子でした。
アイドル歌手としてはデビュー年齢が高く(高校を卒業してからデビュー)、特別な美少女というわけでもなかった松田聖子をトップアイドルに押し上げたものは、本人のキャラクターやプロ根性もあるのでしょうが、まずは声でしょう。
私が(ということは当時ぼんやりとテレビを見ていた思春期の男子が)最初に松田聖子に触れたのは、資生堂のニキビ治療薬"ekubo"のCMソングでした。そこには高校生らしい美少女が映っていましたが、CMソングを歌っているのはその子ではなく、全く別人の新人歌手・松田聖子でした。ブッポウソウか!
そして、その声の印象が強かった。ちょっとそれまでのアイドルとは違う、「かーん」と響く声でした。上手くないし、音域も狭かったが、つぼにはまった時の迫力があることだけは直感で分かる、そういう声でした。
その後いろいろあって、彼女はその声一つとっても、2年目あたりで一度喉を痛めて声質が変わっていますし、結婚・出産後は更に変わってしまっています。でもその頃には松田聖子という存在自体がモンスター化して、声がどうとか曲がどうという存在ではなくなってしまいました。
彼女を題材にすれば、本が何冊も書けるような存在になってしまったので、そのキャリアを要約することすら難しいのですが、結婚しても出産してもアイドルの延長で仕事ができることや、女性歌手でもスキャンダルがほんとうに肥やしにできることなど、様々なことを証明して見せながら、今もまだ彼女が前に進んでいるということは、尊敬に値するのではないでしょうか。
私の嗜好からも、松本隆や財津和夫、大滝詠一、細野晴臣などの人名を絡めて書きたいのはやまやまなんですが、それはまたいつか…。まず第一に松田聖子は声の人であるということを訴えて、続きはまたの機会にしたいと思います。
2007/07/08
ポーラースター/八神純子
ニューミュージックがテレビに進出した最初の場面は、「夜のヒットスタジオ」でアリスが「冬の稲妻」を歌った時だった、と私は思っているのですが、しばらくして最初からテレビに出ることを想定して出て来たアーティストが先日書いた原田真二たちだと思います。
原田真二にCharと世良公則を加えて「ロックの御三家」という言い方がありました。サザンオールスターズは何ヶ月か遅かったんですね。で、男の「ロック御三家」に対応する女性版が渡辺真知子、庄野真代、八神純子でした。
八神純子はその中でもオーソドックスな曲作りと重量感のある歌声で上の世代への訴求力があり、故宮川泰氏に好意的な評をもらっていました。ていうか、ザ・ピーナッツ的なんですよね、曲が。このポーラースターは中でもザ・ピーナッツ度の最も高い曲で、作曲が宮川泰だと言われても違和感がありません。

彼女の声も近年似た例の少ない、強くてきれいな声です。広瀬香美が出て来たとき、「あ、八神純子みたい」と思った同年輩の人は多かったと思いますが、曲作りでは広瀬香美の方が高度かも。八神純子は例の「途中で作曲者名追加」など結構問題が多かったですからね。「思い出は美しすぎて」のカラオケでユーミンの「あの日に帰りたい」がそのまま歌えますし、この曲も「おしえてわたーしのー」のところで、"is such a lonely word"とかぶせて遊ぶことができます。
実は、高校の同級生の姉上の同級生という、もうちょっとな感じの縁があるのですが、今では青い目になっちゃってるかもしれません。
原田真二にCharと世良公則を加えて「ロックの御三家」という言い方がありました。サザンオールスターズは何ヶ月か遅かったんですね。で、男の「ロック御三家」に対応する女性版が渡辺真知子、庄野真代、八神純子でした。
八神純子はその中でもオーソドックスな曲作りと重量感のある歌声で上の世代への訴求力があり、故宮川泰氏に好意的な評をもらっていました。ていうか、ザ・ピーナッツ的なんですよね、曲が。このポーラースターは中でもザ・ピーナッツ度の最も高い曲で、作曲が宮川泰だと言われても違和感がありません。
彼女の声も近年似た例の少ない、強くてきれいな声です。広瀬香美が出て来たとき、「あ、八神純子みたい」と思った同年輩の人は多かったと思いますが、曲作りでは広瀬香美の方が高度かも。八神純子は例の「途中で作曲者名追加」など結構問題が多かったですからね。「思い出は美しすぎて」のカラオケでユーミンの「あの日に帰りたい」がそのまま歌えますし、この曲も「おしえてわたーしのー」のところで、"is such a lonely word"とかぶせて遊ぶことができます。
実は、高校の同級生の姉上の同級生という、もうちょっとな感じの縁があるのですが、今では青い目になっちゃってるかもしれません。
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