2022/02/12

BADモード/宇多田ヒカル

昨日書いたmiletさん、「落ち穂拾い」の人はMilletだよな、なんで"L"を1個減らしてるんだろうと思ってるんだけど、その綴りのおかげでGoogle検索でも"milet"で検索するとほぼこの人の情報にしかヒットしないんで、これはこれで大したネーミングなのかもしれない。僕も"rouseau"って名前で大真面目かつやたら自信満々にヘタウマなトラックを発表し続ける、痛いシンガーソングライターとして活動しようかな、などと妄想します。

閑話休題、宇多田ヒカルも新作アルバムが出ているので聴いています。とは言え近年でシングル曲として発表してきた曲が多いので今日は1曲1曲の話はあまりしないですが。

とにかく私のレベルだと宇多田ヒカルに振り落とされないように聴き続けるのが年々大変になってきています。本とかでもだらっと読める新刊本ばかり読んでいるとハードカバーの長編小説とか学術書(?)とかは相当頑張らないと読めなくなるじゃあないですか?読みづらい作品が悪いのではなくて読む努力を忘れてしまった読者が悪いわけです。消費するにもそれなりの研鑽やら精進やらが必要です。宇多田ヒカルは純文学ですからね。

いみじくも昨年夏の国際的スポーツ大会のオープニングなんかでも露見したとおり、食べやすい飲み込みやすいものばかり消費しているとファインアート的なものがどんどん衰退していって、ここだけは格調高く決めなきゃいけない頑張りどころでもサブカルノリの表現しかできなくて恥をかくことがあるってことは自覚してないといけないですね。

さて、今私が宇多田ヒカルのなにに振り落とされそうになっているかと言うと、彼女の曲がどんどんシンプルというかミニマルというかになっていっていて、おそらく進化の方向としては正しいのだと思うけれども、昔ながらのキーボード、ベース、ギターが和音をしっかり支えてその上にボーカルとコーラスが乗っかっているトラックじゃないと落ち着かない、というのがあるわけです。音はすごく良くて、スカスカということではなく空間はちゃんと埋まっているんだけど、要素を分解して聴いていると打楽器とキーボードのアルペジオがループしている空間に宇多田ヒカルの多重録音されたボーカルが浮遊しているだけだったりするわけです。かろうじてタイトル曲の"BADモード"はまあまあ穏当なJ-POP風ですけど。

参考までにApple Musicで手っ取り早く今の「最新ヒットのプレイリスト」なんかを流してみるとやはりかなり聴きやすい曲が並んでいるんですね。ちゃんとキーボードがコードを鳴らしてベースが輪郭を付けてくれて聴いてる方が不安になることがない。昔に比べるとどの歌手もそこそこ上手だし退屈しないように次から次へとフックが入るし。

また、最近のApple Musicは歌詞もカラオケボックスみたいに曲の流れに合わせて表示してくれる機能もついていて、聞き取れなくても歌詞カードにどう書かれているかの確認も容易にできます。それにしても最近のJ-POPの風景の無さはすごい。全部自分の頭の中のこと、自分と戦う歌ばっかりだ。今の若者、自己責任がすっかり身についています。

宇多田ヒカルの歌詞も日本語部分はかなりミニマルな感じになっていますが、実は英語のコーラス部分でかなりの情報、風景や行為についてストレートに語っていることが多く、そうすると辞書で単語の意味を調べたり、Google翻訳のお世話になったりしながらいちおう確認しておかないと意味がまったく取れないままになってしまうわけです。客だからと言って楽しちゃいかんということです。

2022/02/11

visions/milet

 あけましておめでとうございます(^_^;)

2022年も明けないコロナ禍、在宅勤務メインでさほど多忙でもないのですが相変わらず新しい音楽には興味が持てず、開店休業状態は続いています。

事務所に出勤しない平日の朝に時計がわりにつけているテレビ。2020年春までは6時台には通勤電車に乗っていたので午前7時以降の各局がどんな番組をやっているのかもよく知りませんでしたが、このところ7時以降はテレビ朝日固定です。専門知識もないのに声だけ大きいコメンテーターが出てこないので、モーニングショーがいちばん冷静に見ていられるのでね。

で、羽鳥慎一モーニングショーのオープニングでちょっとクセのある声でテーマソングを歌っている人は誰かいな?と思っていたらこの人が番組に出てきて「番組テーマソングが収録されたアルバムが出るよ」と告知をしていたのでApple Musicで検索したら出てきました。定額の課金をしているので特に追加料金を払うこともなく全曲聴くことができます。しかしながらアルバムならびに各楽曲についての情報についてはほとんどなく、オフィシャルサイトを見ても誰がプロデュースしているのか、作詞・作曲・編曲はだれがやっているのかわかりませんでした。ただ紹介されていた番組で玉川さんのインタビューに答えてこういう風に作りました、という話をしていたし、シンガーソングライターとして紹介されているようなので、少なくとも作詞・作曲はやっているんだろうと思います。

いずれにしても15曲中9曲がなんかのタイアップになっていて、ああこれも聴いたことあるかな、という曲が並んでいるので頭から尻尾までふんふんと聴いていけます。モーニングショーのオープニング曲(M13 "Wake Me Up")もテレビで流れると普通の景気の良い曲だと思っていましたが、フル尺で聴くとテレビで使われている箇所の前後になぞの半端な拍子が挿入されていて実は一筋縄ではいかない作りになっているのが初めてわかるようになっています。あとNHKのオリンピックのニュースに使われている曲もあるかな?

まあ楽曲の成り立ちはともあれ、まず声が個性的で良いですね。ここ数年、各種SNSやアニメ主題歌などで頭角を現してきた歌手の皆さんは少なくとも配信されている音源で聴く限り大変お上手で良い声の人が多いですが、昔の玉石混交のドメスティックな歌謡曲・ニューミュージックを聴きなれた私からするとみんなボーカルスクールの優等生的な歌い方であまり入ってこない。miletさんはもうちょっと濃くてスケール感もあって、洋楽のボーカリスト的感じがしてこっちの方が素直に打ちのめされる感じがして良いです。

過去にも伊藤由奈とかJ-POP的でないスケール感のある女性ボーカルはときどき出てくるのですが、いつの間にかいなくなってしまうので寂しく思っていました。J-POPの製造ラインにはこの手の女性歌手が手に余るのか、楽曲がついてこれない感じがしているのですがなにか構造的な弱点があるんでしょうか?その点、この人は自分で曲を作っているようなので頑張ってくれるんじゃないか、と現時点では期待しています。


SCIENCE FICTION/宇多田ヒカル

前回の更新から2年近く経ってしまいました。その間に会社を定年退職したり引っ越ししたりで自分のことで精一杯でしたが、まあ晴れてほぼ自由の身(経済的にはどんどん不自由になるわけですが)ということで、これからは身バレしようが炎上しようが誰にも迷惑がかからないことになっています。 さて、...