2019/01/26

Face My Fears/宇多田ヒカル

え、もう新曲出るの?海外でもトップソングに?
と一瞬思ったけど、ああ、ゲームのテーマソングなのね。と自己解決。
一応、ネットで確認。→http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/71745/2

コンピューターゲームはまったくやらないので知識は超・乏しいのですが、たしか宇多田ヒカルとゲーム音楽の関係は「光」からだったと記憶しています。「KINGDOM HEARTS」というのがどのくらいメジャーなゲームかは知りませんが、発売すぐに世界中でプレイする人がいるくらいのゲームなんでしょうね。
ヱヴァンゲリヲンのテーマもそうですが、こういったコラボレーションはどっちかがどっちかに寄生している感じのない、対等な提携関係という感じがして座りが良いと思います(ちびまる子ちゃんの大滝詠一や桑田佳祐は「大御所、サービスしすぎ!」と思ってしまいましたが)。

さて、iTunesでEP版をそっくりダウンロードすると、4曲入でM1(表題曲日本語版)、M2誓い(アルバム「初恋」から)、M3(表題曲英語版)、M4(M2の英語版)となっていました。「誓い」もゲームの中に使われてるのかしら?
タイトルの"Face My Fears"は直訳すると「私の恐れに向き合え」で良いのかな?相変わらず厳しめなタイトルで、曲調もかなり緊張感があります。音階はかなり和風な感じで、外国人にとってはかなりオリエンタルな感じがするんだろうなあと想像します。ゲームのテーマだったらもっとド派手な感じになってるのかと勝手に変な期待をしていましたが、ちょっと違ってました(「光」もそうでしたけどね)。尺も短いですし。



さて、ここからは余談。ちょっと前に書いた米津玄師のことへの追加です。米津玄師の曲についてはすごく感心したし、その後のメディアの情報でも吉田拓郎や桑田佳祐からも高い評価を受けているということで、やはり良いものである、という評価が(紅白歌合戦以降)確立した感じがします。

その一方でちょっと思ったのですが、米津玄師の音楽には洋楽成分があまり感じられない気がします。彼の音楽的生育史はまったく知りませんが、「Lemon」を書くために必要な音楽的素養はほぼほぼJ-POPを聴いていれば得られるのかな、と思いました。

基礎としてオフコース(小田和正)ひょっとしてはっぴいえんど。あと桑田佳祐、小室哲哉、ミスチル、宇多田ヒカル、椎名林檎くらい。なんだ我々とそんなに変わらないじゃん。

以前に、いきものがかりのことをこのブログか、もう一個のブログで書いたとき、使われている部品があまりに80年代ニューミュージック的だったので、若者としてどうなのよ?って論調になりましたが、いきものがかりのデビューから10年くらい?たった今、いよいよJ-POPだけをベースにしてもこれだけのクォリティが出せるのか、とちょっと進歩を感じました(米津玄師が洋楽聴いているとかいないとかは知りませんよ。勝手な解釈です)。






2019/01/06

あなたとトゥラッタッタ♪/DREAMS COME TRUE

さて、無理に若い人たちの話をしたままで正月休みを終えてしまうのも居心地が悪いので、最後に同年輩の人たちの作品について書きます。超ひさしぶりにドリカムの話です。

DREAMS COME TRUEについては最初の10年は本当に大好きで、新しいアルバムが出るたびに発売日にCDショップに行き、カーステレオで聴きながら帰ったものです。アルバムでいうと、「the Monster」までかな。そこからはおそらくアルバムは買っていません。デビューが平成元年です。私は「彼は友達」で引っかかったクチでその後遡ってファーストアルバムまで聴いていますから、まあ30年前からのつきあい(?)です。

私がドリカムを聴かなくなった直接の理由は宇多田ヒカルが出てきたからです。宇多田ヒカルは当時人気のあったアーティストの何組かを押しのけてしまいましたが、私の中で直接宇多田ヒカルによって駆逐されてしまったのがドリカムです。いや、ホント申し訳ないです。その理由は長くなり、かつ結果としてドリカムの悪口になるのでここでは省略します(過去の記事にはもう少し詳しく書きました)。

今回、「あなたとトゥラッタッタ♪」を取り上げるのは、NHKの国民的ドラマの主題歌として聴くとはなしに聴いていたのと、移動中のFMラジオで聴いたのがきっかけです。まあ、気になったというか聞き捨てならないというか。
だって、朝ドラの主題歌で、この曲調といえば40代以上の方はいやでも1992年の「晴れたらいいね」を思い出さざるを得ないと思います。当時の上り調子、直前に「決戦は金曜日」をリリースして人気絶頂、なんでもできるときの「晴れたらいいね」と、すっかりビッグネームになったとはいえ、年齢もある程度いってメンバーにもいろいろあったあとでの今のドリカムが、およそ30年後にこの曲調で出してきた意味はなんなのか気になるじゃないですか。

私はiTunesでダウンロードしてしまいましたが、円盤で買うとカップリングで「晴れたらいいね」のニューバージョンも収録されているようです。

「晴れたらいいね」はあっけらかんとした良い曲で、当時のドリカムの勢いを体現したような曲だと思うけれど、今聴くと「やっぱり『雨にぬれても』を踏襲しすぎだよなー」と思ってしまいます(それがオシャレなんじゃないか、という意見はアリです)。「晴れたらいいね」の作曲は吉田美和ひとりの名前になっていて、この頃の彼女は「曲が天から降りてくる」みたいな発言をしていた、と当時の中村正人がラジオで語っていた記憶があります。
私も1995年ころまでオリジナル曲の作曲を仲間うちでやっていましたが、私の拙い経験では「天から降りてくる曲」というのはたいてい自分でも忘れていた昔の超有名曲にそっくりだったりしたものです。
しかも中村正人がよせばいいのに、「このメロディならこれ」って元ネタそっくりのおまけまでつけてしまうものだから…。

「あなたとトゥラッタッタ♪」は曲は中村正人と吉田美和の共著ということになっています。最近の曲作りの分業体制がどうなっているのかもまったく知らないのですが、天然の吉田美和、計算の中村正人という役割はおそらく変わってないと思います。元ネタはわかりませんが、ミュージカルナンバーまたはディズニー映画のタイトル曲にありそうな、オールディーズ的であり、かつきらびやかなものになっています。ドラマのオープニングという課題も尺も計算した、上手な作り方です。
「晴れたらいいね」の出だしはハ長調でいうとCのコードからあっけらかんとベースが下降していく進行でしたが、この曲はFから始まりG7を経由してCに戻ってくる形で、30年分の経験が滲んでいます(んなわきゃないか!)。そういえば昨日の「Lemon」もいわゆるサブドミナントコードから始まっていました。この方が頭良さそう?

追記です。一晩たって気がついたんですが、「晴れたらいいね」はA-A'-B-C-C的な1コーラスだったのを「あなたとトゥラッタッタ♪」では縮めてA-CにしてCを前に持ってきたんですね。共作者・中村正人はその仕事をしたのでは?

歌詞については「晴れたらいいね」時代の細かい生活のディテイルは省略されて抽象的なものになっています。かつての「(野球観戦前に)メガホンとクリスプを買い込んで」みたいな世俗的なくすぐりはなくなっているのが、昔のファンとしてはちょっと物足りないかも。



2019/01/05

Lemon/米津玄師

しょうがない、行きがかり上、米津玄師もちゃんと聴いてみます。

お金払わないでブログのネタにするのは申し訳ないので、ちゃんとiTunesで落としてきました(ストリーミングでは出てこなかった)。その後でちょっと検索したらYouTubeでタダでたくさん聴けるのもわかってしまいましたが。

そんなわけで、YouTubeでぱっと最初に出てくる「Lemon」と「Flamingo」を何度か再生してみました。「Lemon」のMVの雰囲気はなんとなく平井堅の「楽園」を思い出させますが、これは余談。

米津玄師の曲は、驚くほど新しい感じはしませんが、前回のあいみょんに比べるととても複雑というか、今までのJ-POPの歴史をすべて内包しているような、引き出しにいっぱいものが入っているのがよくわかる作品になっていました。
その昔、作家の大先生の手による歌謡曲から離れたところから始まった、フォーク、フォーク・ロック、ニューミュージックがメジャーになる中でJ-POPになっていった歴史。棒を飲んだようなぎくしゃくした曲が、もう一度洗練され、フュージョンのテクニックやコンピューターミュージックを取り込み、ブラック・コンテンポラリーやらヒップホップやらにも振れながらできてきた今の日本の大衆音楽の流れが、米津玄師の作品の中にどれかひとつでなく総合的に組み込まれています。

「Lemon」の冒頭は堂々の王道な進行で、「ことをーゆめーにみる」のあたりの流れは、我らニューミュージック世代が、歌謡曲と差別化するためにあえて避けて通ってきた流麗さなんですが、照れずにいちばんきれいな旋律でまとめています。そこにスクラッチノイズが被るのも流行りではないけれど、気にせずやる。歌がうまく、歌詞も聞きやすいですが、ミスチル以降の流儀である1音符に複数母音を載せるやり方も使われます。また、「Flamingo」では松本隆~桑田佳祐~椎名林檎らがやってきた死語、古語、落語的口調の掘り起こしもやっています。
なにが新しいとか、今の流行が、というよりも日本の歌謡史を俯瞰した中から自分の好みに合うものをチョイスして、現代のクォリティでまとめた、大変良くできたものです。

印象としては、桑田佳祐(ベースに歌謡曲がある洋楽マニア)に近い、超雑食性を感じます。桑田佳祐はあれほどのエンターテイナーでありながら、ついにダンスだけは諦めているようなのですが、MVを見ている限り米津玄師はダンスもできるようですね。

次の時代の山下達郎、桑田佳祐になっていくのではないでしょうか。


2019/01/02

マリーゴールド/あいみょん

2019年あけましておめでとうございます。

慢性的ネタ不足により更新が停滞しています。英語が聞き取れないのでどうしても日本語で歌われているものを中心に追いかけてしまうことも原因です。そういえば年末に買い物ついでにタワーレコードに行ってみましたが、私が`"Working Girl"を引っこ抜いたあとのLittle Bootsの棚は空っぽのままでした。メーカー欠品(生産終了)か。

さて、年末の大型歌謡番組も見させていただきました。主にレコード大賞と紅白歌合戦。
結論から言うと、「歌謡ショー」としては両方ともなかなかレベルが高くなっていたと思います。全編すばらしいクォリティというわけではないけど、番組制作側で「ここは自信あるからじっくり見て(聴いて)」というメッセージは感じました。例えば「レコード大賞」でいえば、DA PUMPの"USA"のフルサイズ歌唱や、MISIAの2曲とか。紅白もユーミンが出てきてから一気に番組の格が上がり、最後のサザンオールスターズの2曲フル歌唱もいっそ清々しいほどの特別扱いで、しかもそれにちゃんと応えられるところまで成熟した桑田佳祐のエンターテイナーぶりも素晴らしかったです。で、この2つの番組の足を引っ張っていたのが、レコード大賞であれば「大賞の発表」であり、紅白歌合戦でいえば「紅、白、勝ったのはどっち?」という番組の根幹部分だということが面白いといえば面白い。もはやどちらも蛇足です。

レコード大賞受賞曲については、今更ここでどうこう言うものではないのだけれど、念の為、オフィシャルホームページで過去の受賞作リストを確認してみました。
https://www.tbs.co.jp/recordaward/winner.html#winner
毎年じわじわ更新されるリストにどんな曲が並んでいるか。
もしも数百年先に、20世紀後半から21世紀にかけての日本の大衆音楽を研究する人が、当時の第一級資料であるとしてレコード大賞の受賞者リストを参考文献として使用したとします。そこには悲しいことに新御三家も、山口百恵も、松田聖子もB'zも宇多田ヒカルも(ついでに藤圭子も)出てこない。運営側にそんな「歴史を刻んでいる」んだという意識があるのか、もう一度よく考えていただければ幸いだと思います。

さて、この話はとりとめもないので、なにかタイトルになる曲を見つけてこの投稿を締めていきたいと考えているので、今日はあいみょんの「マリーゴールド」を使わせていただきます。

新しい音楽はどこにある?と思って、若い人が作るものは新しいんだろうと思って聴いてみる。あるいは自分で近い将来(ずっと先延ばししているんだけど)、また曲とか作ろうとか思ったときに自分ができることがどこに残っているのかと「お勉強」のつもりで聴いたことのない人の曲を聴いてたりします。

でも、自分を含めた一般人が理解でき、伴奏があれば歌えるメロディというのはきっともう新しいものは出てこないのだろうと思います。今新しいものを作ろうと思うと、それはもうすでにある曲の断片の貼り合わせであり、腕の見せ所はその編集作業ということなんだろう、と。小林亜星が同業者を「盗作だ」と訴えて、驚くことに確かその裁判に勝ったと記憶していますが、あんな5音階の単純なメロディについて著作権を主張することについて、当時は心底驚きました。そんなこと言ったらあのメロディはフォスターあたりがすでに作っていたんじゃないか?「もう私は新しいものは作らない」と決めた人だけが、過去の作品を盾にそういう裁判を起こせるのではないかな?現役のうちは多少の貸し借りはお互い様だろう(しかも裁判になった2曲はたいして似てないし)と思うんですけど。

しかしそれでも、今日も新しいミュージシャンはデビューし、新作を発表し続けています。

あいみょんは1回なにかのテレビで「君はロックを聴かない」という曲を歌っているのを見たんだけど、とりあえず「あいみょん」という1分で考えたTwitterのアカウントみたいなアーティスト名にずっこけて、あまりちゃんと歌が入ってきませんでした。
その後、この年末の一連の大型音楽番組で何回か見ました。

試しにiTunesで検索したらストリーミングでいっぱい聞けるので流しっぱなしにしてみました。「新しい」というよりも、洋楽だったら「カントリー」ってラベルが付きそうな音楽です。自分たちが若い頃に聴いていた日本の音楽ともかなり直につながっているような、世代も年代も限定しない曲に思えます。これが若い人に受けているんだとすると、やっぱりいつの世にも保守本流ってのが必要なんだよな、ということです。平成30年の新しい商品として出す方もいろいろ考えたと思うんですが、あいみょんの場合はテイラー・スウィフトが流行っているのも良い呼び水になったのかもしれないですね。

で、気になる名前については来年の今頃あたりに改名するか名前の表記を変えてくると思いますよ、という予想をして今日はここまで。今年もヨロシク。




SCIENCE FICTION/宇多田ヒカル

前回の更新から2年近く経ってしまいました。その間に会社を定年退職したり引っ越ししたりで自分のことで精一杯でしたが、まあ晴れてほぼ自由の身(経済的にはどんどん不自由になるわけですが)ということで、これからは身バレしようが炎上しようが誰にも迷惑がかからないことになっています。 さて、...