例えば杉山清貴という人がいます。全盛期は80年代の中盤で、最近はほとんど見る機会もないのですが、この人なんかは喋る声の延長と思える声がきれいで、いかにもハイトーン・ボイスという印象です。いつ声変わりしたのか分からない、ボーイソプラノのまま大人になった声で、似ている人ではもっと昔にあいざき進也っていうアイドル歌手がいたんですが、分かる人が少ないですね。
ところが意外なことに、実際に楽器を持って音をとってみると、杉山清貴の音域は下がEくらいで上はオクターブ上のFまたはG。J-POPがロック色を強める中で、男性歌手のキーはどんどん高くなっていて、今はAあたりが常用されていますから、実際には特筆するほどのものではないように思えます。
でも、今も昔も普通の日本男児がFから上を出そうと思うと、高音専用にギアチェンジをしないと辛いです。シャウトってやつですね。杉山清貴や玉置浩二はだいたいGを上限にしていますが、シャウトすればもっと上まで出るでしょう。
しかし、杉山清貴はシャウトせずにこの音域で十分ハイトーン・ボイスの印象を与えることに成功していますし、特に声を作ることもしていないので、歌詞を伝えることもできています。何を歌っても同じ、という悪口も云えるのですが、ちょっとこの人をきちんと褒めておこうかな、と思いました。
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