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2019/08/04

Take My Time/シーナ・イーストン

今日も元ネタはApple Musicになります。
シーナ・イーストンのことを思い出しました。

ちょっと前にシティ・ポップなんちゃら、という話を書きましたが、当時私の考えでは、日本のシティ・ポップというのは「モダンガール」みたいなカラオケで声のきれいな人が歌うもの、という認識だったんですが、さてシーナ・イーストンてどんなだったかなあ?という振り返りです。


で、「9時から5時まで」や「モダンガール」が入ってるやつで検索すると一番古い1980年のアルバムが出てきました。まあ、そのくらいの知識量。私はレコードは買わず、「夜のヒットスタジオ」などに出てきて歌っていたのをテレビで見ていました。


ほぼ初めての感覚で聴いていると、まあとにかく我々の世代にとって聴きやすいことこの上ないです。ちょっとフォーキーなアコースティックギターの入る曲から、ぶっといエレキギターの音が入るロックっぽい曲もあり、ちょうどこの少しあとで日本のアイドル歌手 (とそのプロデューサーたちが)ベンチマークしたと思われる当時のオシャレ系ポップスの定石集という感じです。70年代はちょっと歌えるアイドルはやたらとドナ・サマーの真似をされられましたが、こっちでもいいじゃん!て感じです。

そういうわりにはシーナ・イーストン風のアイドル歌謡はあまり心当たりがないんですが、ちょっと上の世代のニューミュージック系の女性歌手はかなり取り入れていたと思います。ビビアン・スーあたりも台湾で似たような曲を出していたに違いない(妄想)。なんなら、2000年代ですが、宇多田ヒカルの「SAKURAドロップス」だって、M8の”So Much In Love”に似ています。


あと、シーナ・イーストンは声が恐ろしいほどきれい。声がきれいな歌手というと、オリビア・ニュートン・ジョンとかケイト・ブッシュとかの大御所がいますが、シーナ・イーストンもすごい声してます。しかし、その後の活躍はその声のわりに地味な気がします。あまりにものっぺりときれいなのでBGM的に消費されてしまったのでしょうか?

2019/06/17

Apple Musicで聞く太田裕美の第3期(ニューウェイブ期)

 当ブログ開設以来、基本的には購入した音楽ソフトの感想文を書いてきたのですが、いまやストリーミング配信での音楽消費がかなり定着してきました。
 ストリーミングが始まったころはオジさんが聴くような音楽が配信対象にならず、あえて深掘りしてきませんでしたが、ここにきてユーミンをはじめ私が若い頃に聴いてきた音楽がかなり配信されるようになっているようです。何回か前から「Apple Musicで聴く」シリーズを何本か上げてみましたが、飽きるまでもうしばらく続けてみようかと思います。
 私は少年時代から今まで、ちゃんとしたオーディオセットとは無縁の生活をしていたので、若い頃はミュージックテープ(LPレコードと同じものをカセットテープのフォーマットで販売するもの。基本は円盤と同価格)を購入していました。今聴くとカセットテープの音なんて本当にショボいんですが、当時はそれより良い音に触れることがなかったので、それはそれで満足していました。しかし、音楽の媒体がCD、MDと変化し、ついにはネット経由のデータで配信されるようになった今、当時買いそろえたカセットテープ資産は、何度かの引越しを経てすべて失ってしまいました。CDで買いなおした音源もかなりありますが、全部をフォローしきれませんので、忘れるともなく忘れているアーティストや作品があるものです。
 ところが、Apple Musicで思いついた名前をダメ元で検索してみると意外なほどヒットするんですねえ。ちょっと前は有料ダウンロードだった作品も改めて検索してみると配信されるようになっていて、iPhoneにダウンロードすることもできる!いい時代になったものです。月極めの家賃は取られますが、ただより怖いものはないですからね。

さて、今日は、発表当時は(一部で)賛否両論だった太田裕美のニューウェイブ路線作品3作をまとめてみます。

 太田裕美自身は音楽学校出身でそれなりの素養はあったのでしょうが、スクールメイツでキャンディーズといっしょにアイドル修行?をしていたし、渡辺プロにも入っていますから、普通のアイドル路線でのデビューもあり得たはずですが、ピアノの弾き語りスタイルで登場しました。おそらくちょっと前に小坂明子がピアノの弾き語りで大ヒットを飛ばした(今思えばヤマハ世界歌謡祭のグランプリ曲であることを前面に押し出して売り出された最初が小坂明子だったと思う)後だったからではないかと思われます。小坂明子より可愛い子がピアノ弾いて歌ったらもっと売れるんじゃないか?大手の商品開発ってのはえてしてそういうものです。

 さて、太田裕美の音楽は4つか5つの時代に分けられると思います。デビューしてから数年間のアイドル的消費をされ、シングルヒットを続けていた時代(アルバムでいうと「ELEGANCE」、シングルだと「ドール」くらいまで)。アルバムでは自作曲を披露したりしていましたが、シングルに関しては判で押したように作詞・松本隆/作曲・筒美京平(/編曲・ 萩田光雄)でした。これが第1期になるのではないかと思います。
 その後、二十代半ばを迎えて少しアダルトな感じにモデルチェンジしようとしてやや迷走気味になりました。この頃の目立ったヒット曲となると、清涼飲料水のCMソングだった「南風」くらいでしょうか。「木綿のハンカチーフ」以来連続出演していた紅白歌合戦にも選出されなくなり、本人も思うところがあったのか、休養&渡米を発表するところまでが第2期。
 半年くらいと言って出て行ったアメリカ留学ですが、休養期間は1年を越え、ようやく活動を再開したのが今回紹介する第3期で、その後、結婚を機に活動は縮小します。
 しばらくして母親の立場から童謡を歌ったアルバム「どんじゃらほい」を発表した一方、自作曲や、久しぶりに松本隆/筒美京平コンビの作品を発表しました。また、近年は同時期に活動していたガロのメンバーや伊勢正三とのコンサート活動を継続しているようです。

 で、やっと本題。
 太田裕美(勝手な区分けで)第3期・ニューウェイブ編の3枚のアルバムもApple Musicで聴くことができます。
時代順に聴くのが良いと思いますが、タイトルは「Far East」(1983年)、「I do,You do」(1983年)「TAMATEBAKO」(1984年)となります。
 「Far East」はニューヨーク帰りでちょっと大人になった太田裕美をフィーチャーしたアルバムで、当時はLPレコードの時代でしたからA面とB面でコンセプトが違い、A面が「ニューヨーク・サイド」、B面は「トーキョー・サイド」と言っていました。A面は当時主流になりつつあったシティ・ポップの音で、なぜか日野皓正のラッパまで入っている豪華版です。B面もまったく違うわけではないのですが、「窓から春の風」のようなシンセの音が前面に出たテクノポップ風味のサウンドが強くなります。私は太田裕美はコンサバティブな人だと思っていたので、A面の路線で行くのだろうなと思っていたら豈図らんや、次作の「I do,You do」はデビュー当時もやっていなかったミルキーボイス全開のテクノポップでした。第2期の迷走は、つまりはどうやったら大人の歌手になれるかと足掻いた上でのことだと思うのですが、声質と舌足らずな滑舌のために本格派になりきれなかったのを完全に開き直った感じがして、「よくやった!」と思う出来でした。私はこのアルバムの「こ・こ・に・い・る・よ」という曲で初めて「5拍子」を理解したものでした。
 しかし、デビュー当時の「可愛い女子大生風弾き語り」のイメージでついてきていた人はこの辺りでいわゆる「オタ切り」されてしまったようです。私の学生時代の友達も一緒に行ったコンサートの後で「こんなの太田裕美じゃない!」と怒って帰って行きましたから、そういうファンは多かったんだと思います。
 そんなデジタル穏健派の私でもちょっと行き過ぎでは?と思ったのが3枚目の「TAMATEBAKO」。
 「ランドリー」とか「チラチラ傘しょって」とか奇天烈なタイトルが並び、前作よりもさらにぶっとんだ曲が並びます。

 でも、今聴くと「TAMATEBAKO」がいちばん完成度が高いですね。太田裕美の時代は、ちょうど音楽向けの機材が現代化していった過渡期なので、「ELEGANCE 」あたりまでは(曲はすごく好きなのが多いですが)音が古いです。次の「海が泣いている」は海外録音で音は良くなったんですが、曲が小難しくなって愛聴するにはいたりませんでした。大瀧詠一復活の時期にシングルで出した「恋のハーフムーン」はさすがのナイアガラ・サウンドですがこれはちょっと例外とすると、やはり「Far East」以降のサウンドは今の商品と比べても音の面で遜色がなく、改めてちょっとおススメしたいと思います。 

2019/05/21

Long Slow Distance/鈴木康博

80年代に聴いていた音楽の話は記憶でどんどん書けます(要注意w)。

オフコース脱退後のYassさんこと鈴木康博のアルバムもいくつかApple MusicからiPhoneに落として聴くことができます。ただし、私がフォーカスを当てたいソロ活動最初の10年くらいについては、アルバム単位で落とせるのがこれだけなんですね。ちょっと寂しい。

「Long Slow Distance」は鈴木康博のソロ・アルバム3枚目。1985年の作品です。タイトルは長距離走トレーニングの用語ですね。

おそらくこの頃のYassさんは、活動再開した4人のオフコースを横目で見ながら作品を作っていたと思います。もともと脱退の理由は音楽性の違いではなかったと言われていますので、あっちこっちと合わせてその後のオフコース、といった曲作りになっていても不思議はありません。

当時、私が音楽関係の雑誌記事などから断片的に読み取った情報としては、Yassさんは独立にあたって当時の最新鋭シンセサイザーであるところのフェアライト(たしか1600万円とか言ってた。小田さん愛用のPROFET5の10倍ですね)を購入していたはずです。これはデジタルシンセの走りであり、電子ペンで波形を書くとそのとおりの音を再生できるというものだったはずです。生身のギタープレイヤーである自身とコンピューターサウンドの融合をテーマにしていたようです。

さて、このような前振りがあって、Yassさんは、かたや活動再開メドも発表されないままの古巣を尻目に、1作目のアルバム「Sincerely」を1983年に発表します。私も発売早々に入手して聴きましたが、フェアライトのピコピコではなく、いきなりアコースティックギターとブラス音をメインにしたオーソドックスな曲が流れてきて、ちょっと拍子抜けした記憶があります。「素敵にシンデレラコンプレックス」もいっしょに収録しちゃえばよかったのに(すみません、ミーハーで)。なるほど、Yassさんは一人で完成度の高い音楽を作るためのツールとしてフェアライトを導入したのであって、別にテクノをやりたかったわけではなかったようです。ミディアムテンポの、オフコース時代の湘南海岸シリーズ(?)に近い曲が多かったかな。「潮の香り」の続編のような「入り江」という美しいバラードが収録されています。

翌年の1984年はオフコースが活動再開し、4月にシングル「君が、嘘を、ついた」を、6月には先日ここで書いた「The Best Year of Life」が発表されます。
 Yassさんは同年の9月に2作目の「Hello Again」を発表しています。制作過程でオフコース新作の影響があったのかなかったのか、興味深いところです。私は2曲めの「雨がノックしてる」を「君が、嘘を、ついた」のアンサーソングと見ました。

で、やっと今日の本題「Long Slow Distance」の話にたどりつきます。

1985年、年1作のペースを守って3作目のアルバムとして発売されたのがこのアルバムです。私の見立てではYassさんのキャリアの中でももっともヒットを意識して作られた作品だと思います。アルバムの最後に「City Woman」が入っていますが、この曲はWikipediaによると「黄桜マイルドのCMタイアップ」となっていますし、当時なにかのインタビューでYassさんは「『City Woman』は自分の中では演歌」と語っていました。ハッタリの効いたシンセサウンドと覚えやすいメロディはかなり売れセンを意識したものになっています。「Long Slow Distance」は8曲入り36分のわりとコンパクトなアルバムですが、奇しくも小田さんの「K.ODA」がそうだったように「鈴木康博はこういうことができます」というプレゼン資料としてよくできていると思うのです。

そして、久しぶりに通してこのアルバムを聴いてみると、実はYassさんの音楽は意外なほど山下達郎に近いことに気がつきます。メロディとかじゃなくて作り出す全体の音が。オフコース時代、ハ長調カノン進行担当の小田さん、R&Bとハードロック方面担当がYassさんというイメージでしたが、オフコース結成時での音楽的素養はYassさんの方が高かったようですし、音の嗜好が山下達郎とカブるのは不思議ではありません。

要するに、とまとめるのも変ですが、オフコースのふたりでいうとYassさんの方が小田さんよりミュージシャン的というのか職人的な人なんだろうな、と思います。大学でもロボット工学を学んでいたエンジニア志望の人だったんですよね。小田さんは建築家の勉強をして、後に(総合芸術である)映画の監督をやるような人だったわけで、その辺の個性の違う二人の緊張感でオフコースができていたんだなあと思いました。

2019/05/19

Apple Musicで聴く昭和のテクノ

先日、出張中に新幹線の車内でふと「ヒカシュー」という単語を思い出して、「そういえば、Apple Musicで昔のテクノポップとか聴けるんだったかな?」と検索してみたら、なんだたくさんあるじゃないか!というわけでそのまま何枚か聴いてみました。


  • ヒカシュー/ヒカシュー

アルバムタイトルとしては「うわさの人類」の方が記憶に残ってたような気がするけど、「20世紀の終りに」を聴きたかったので1980年作のこちら。リズムマシン、モノシンセによるベース音というテクノポップらしい音と、今思うと劇団ひとりに似た感じのボーカルが、独特の歌い方で押し切るバンド。楽器の音が数えられるようなシンプルなトラック。後年のヤマハのキーボードでそのまま出せるようなコーラス音も使われています。



  • WELCOME PLASTICS/PLASTICS

関連するアーティストのところに今度はPLASTICSを発見!
プラスチックス(プラス「ティ」ックスじゃないんやで)も1980年の作品。知ってる曲は「COPY」。YMOを別格とすると当時のテクノポップではこれがど真ん中だったのではないかな?
どうせ機械が演奏するんだからと、プロっぽいテクニックとかニュアンスとか関係ないところで作られた音楽は当時聴いても単純でしたが、それは当時のテクノロジーの限界に規定されていました。
なんせ、当時の電子楽器はやっと和音が出る(それも4音とか6音とか上限があった)ようになったところで、素人がギターを買うように買える値段のシンセサイザーは、たいてい単音か、せいぜいユニゾンで二つ目のオシレーターを鳴らせる程度。作曲ソフトとかもなくて、物理的に機械で次に鳴らす音(音程、音量、長さ)を指定して並べ、16音符ぶんを自動演奏させる程度のものしかなかったわけです。1曲を再生するにはテープレコーダーに多重録音するしかない。今はタブレットひとつで数段高いレベルの曲を作ることができます。でも、当時はそれがカッコよかったし、演奏能力に関係なくセンスだけを武器に音楽で勝負ができたいい時代だったとも言えます。YMOは別格として。

  • 改造への躍動/ゲルニカ

同じく、ヒカシューのページに関連で出てくるのが戸川純とそのユニット。時代を合わせてゲルニカでいいか、と「改造への躍動」を聴いてみます。これはテクノというよりニューウェイブて感じでしょうか。上の2枚の頃はは高校生でしたが、ゲルニカが出たときは大学生になっていました。
私の大学だけではないと思うのですが、当時はキャンパスに薄ぼんやりと学生運動のにおいが残っていて、そういう残り火的左翼系サークルやら、もっと怪しい宗教系サークルなどが夕方になるとじわじわと湧いてきて活動しているという雰囲気。メディアも今よりずっと為政者に対して批判的だったし、なによりまだ戦争体験をリアルに語れる人がそれぞれの親類縁者にたくさんいて、不用意な勇ましい発言に対するチェックも今より敏感で、それに対する批判ももっと論理的だった気がします。
そんな「偏向報道」が横行する世の中をなんとか変えて、自民党がやりやすいメディア環境を作るため、フジテレビなどが日本人がもう、みんな馬鹿になるような「楽しい番組」を積極的につくり始めたころです。その後、ソ連の崩壊や謎のバブル景気などもあって、この活動は大成功するのですが、そのちょっと前の時代ですね。
私もそういう「もっと資本主義と仲良くしようよ」的なサークルの部室から漏れてくるYENレーベルのレコードの音を、隣の部室でぼんやり聴いていたものです。
ゲルニカのアルバムには、そんな時代の気分を先取りしたような、あるいは茶化したような、戦前の日本あるいは近代化をめざすアジアの独裁国家の唱歌のような曲が並んでいます。YMOの人民服とはつながっているようないないような…。そしてプロデューサーが細野晴臣。当然、音楽性は当時の「雨後の筍」的テクノポップとは全然レベルが違います。

この3作はいずれも80年代の文化の代表として捉えていただいて良いのですが、残念ながらどれを知っていても若い女性にモテるためのツールにはならないところが残念です。

それにしても今思うと80年代というのは何をやってもOKな空気があって、玉石混交ではありますが、思いつく限りのあらゆるおふざけ、不謹慎、楽屋落ちの実験がされた時代でもあります。だから最近のメディアに出てくる挑戦的と評価される文化についても、大概は「あー、はいはいその感じね」で消化できてしまう可愛くない年寄りになりつつあります。








2019/03/31

realtime to Paradaise/杉山清貴

一時期完全に更新をサボっていたこともあり、おそらく数少ない定期購読者も去っていかれたことと思います。
一方、ブログの性格上、有名アーティストの名前が散りばめられているので、おそらく検索によって間違って訪問してくださる人も少しはいらっしゃるようです。そういう皆さんにはお気の毒に、としか言いようがないのですが、まあ犬にでも噛まれたと思って勘弁していただきたいと思います。
で、その検索ワードなんですが、最近「杉山清貴」で来てくださる人の割合が意外なほど高い。多少なりとも更新している昨年末以降に気がついたんですが、なんで今「杉山清貴」を検索している方がいらっしゃるのでしょうか?
ずっと謎でした。

で、ひょっとしたらと考えたのが、先週の金曜日(2019年3月29日)に会社に配達された新聞「日経MJ」に載っていた記事です。


日本の80年代の「シティ・ポップ」が海外(記事によると韓国や東南アジア)で話題になっている。竹内まりやの「プラスティック・ラブ」がYoutubeで大人気だ、と。
話題そのものは昨年末か今年のはじめにも聞いた気がする内容ですが、天下の日経(MJだけど)が記事にしたとなればこれはもう大人の常識(笑)、本当だろう、と。
ということは、「シティ・ポップ」とはなんぞやと思った若い方が研究のためにネットを彷徨っているうちに「杉山清貴」を検索しているのではないか?と考えてみたわけですが、いかがでしょう?

本当にそんな意図で訪れた方には大変申し訳ありませんが、当ブログでは杉山清貴について過去に手抜きの投稿を一度だけしたことがありますが、彼を含めた「80年代シティ・ポップ」についてちゃんと考えたことはありませんでした。

というのも彼らの全盛期はちょうと鈴木康博脱退後、4人体制になったオフコースの活動時期と重なっていて、私はそちらに気を取られていたということが大きいです。

オフコースも当時はお洒落なサウンドという評価をされていましたが、今聞くとかなりゴツゴツした不器用な音楽をやっていて、当時の私はそのゴツゴツ&不器用さこそがロックだと思って好きでした。
一方その頃、山下達郎を頂点とするもっとシャレたポップスを作る達人たちがいたわけですが、私はシティ・ポップというのはそういう「達者な人」が作る音楽という印象をもっていました。
歌のうまいボーカルがいて、バックはジャズもロックもできるいわゆるフュージョン・バンドの音です。編成はキーボードのいるロックバンドと同じような感じですが、ギターやシンセサイザーの音の選び方、リズムは16ビートが基本なので楽器演奏の手数や力の入れどころなどが違ってより流麗に。チョッパーベースもこれみよがしという感じでなく「やれて当然」の技法としてさり気なく、しかもたくさん使われます。

フォークやニューミュージックがその拙さゆえに素人に音楽を開放し、そこにシンパシーを感じて、素人丸出しのままオリジナル楽曲など作っていた私にとって、シティ・ポップ系アーティストは大衆音楽を超絶テクニックと音楽理論をもつプロフェッショナルの世界に奪い返そうとする、仮想敵でもありました。

そうしてまああれから20年だか30年だか経って、今ではすっかり消費するだけの人間になってしまった気楽な立場で改めて杉山清貴を聞いてみました。

表題のアルバム「realtime to Paradise」はiTunesのストリーミングで提供されています。シングル曲で有名なところでいうと「最後のHolly Night」が収録されています。
買い物ついでにちょっと長く歩くことがあったので、ヘッドホンで聞きましたが、「あれ、こんなにシンプルだったっけ?」というのが最初の印象です。もっと楽器の音が多いと思い込んでいましたが、ギターやシンセが倍音たっぷりな音色を使っているのに騙されていたのかも。キーボードがやたらとコードそのままの音階をアルペジオで弾いていて、あ、これならできるわ、とか思ったり。まあでも当時の仲間とお前でやれたか?と言われたらゴメンナサイです。

さて、シティ・ポップがロックと袂を分かっているのは歌詞の世界にも感じられます。オフコースは1960年代の終わりという特殊な時代に生まれ、その中ではあえてメッセージ色を排除した歌を歌っていましたが、そこにも「あえてメッセージを抜く」という思想があったと思います。しかし、80年代のシティ・ポップには最初からそんな葛藤はなく、当時の物質文明を肯定も否定もせずにあたりまえの風景として歌います。それは我々80年代に成人を迎えた世代にとっては自然なことでもあります。まさに一億総中流だったわけですから。
リゾートホテルのラウンジで知り合ったカノジョは長く黒い髪、白い肌、細い肩。しかし翌日ビーチに誘うとまるで別人のプロポーション!
東京に戻って都心で待ち合わせるとパンプスとスーツの彼女が背伸びしながらのベーゼでお出迎え。
帰り道に青山通りを走る白いセダンのヘッドライトはハロゲンライト。黄色くないフォグランプとガラスのサンルーフが装備されています。オートエアコンの操作パネルと重なって配置されるカーステレオは残念ながらまだカセットですが。

私はその頃の若者でしたがこんなに楽しい生活ではありませんでした。

4曲目に「タイをはずして」というタイトルの曲があります。アルバムの曲名の中にこんなタイトルが並んでいる感じ、当時の創作センスを表しているようで、脳みそを内側からくすぐられているような感じになるんですが、他の世代の人にわかるかな?わかんねえだろうなぁ。







2012/02/19

A Different Kind of Truth/Van Halen

Van Halenの久しぶりの新作、しかもボーカルはデイヴィッド・リー・ロス。
アルバム「1984」でVAN HALENに出会った私としては、これだけは買っとかないと、ということで初めてiTunes Storeの予約、というのをしてたところ、2月8日にMacを立ちあげたらダウンロードされていました。
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ベテランのバンドらしく、「いつものやつ」が続きますが、その「いつも」のアベレージがエディ・ヴァン・ヘイレンのギターですから、悪いわけがありません。
ときどきWikipediaの記述などでチェックしていたところ、エディはなにやら病気をしているような情報もありましたが、ギターを聴く限りでは完全復活のようです。代名詞であるライトハンド奏法も聴けますし、ハーモニクスを多用する刺激的なギターでぐいぐい攻めます。それに絡む、サービス精神満点なデイヴィッド・リー・ロスのボーカルも全く衰えを感じません。
ベースはエディ・ヴァン・ヘイレンの息子だそうです。

聴いてる間は楽しいんですが、「1984」よりも収録時間が1.5倍くらいあって、どれがどの曲かまだ判別できないのは私の耳が年寄りになってきているのでしょうか?「1984」はわかりやすかったなあ…。


2010/07/18

Hits/安全地帯

ここ数年、プライベートな話題に事欠かない玉置浩二ですが、何年ぶりかで何度目かの活動再開ということで、安全地帯の新作アルバムが出ています。


"Hits"と、シンプルなタイトルが付いたこのアルバムは、安全地帯の代表作を「当時のトラックをベースに全曲新録音」しなおした(CDの帯による)もの、だそうです。年代的には「ワインレッドの心(1983年)」から「月に濡れた二人(1988年)」。その後はバンド活動休止と再開を数度繰り返していますが、安全地帯としてのヒット曲は記憶に無く(玉置浩二のソロでサバカレーのドラマの歌がありましたが)、これ1枚あれば特に思い入れのない消費者には十分なラインナップとなっています(失礼?)。

一通り聴いてみました。
カラオケは「え?」と思うほど昔のままです。「当時のトラックをベースに全曲新録音」というのはひょっとして玉置浩二がボーカル差し替えただけ?と思うほどです。確か先週の土曜日(7月9日)に放映されたミュージックフェアでは5人そろって演奏してましたから「できるだけオリジナルに忠実に」再現したのかもしれませんが、録音自体古いんじゃないかなあ、という音です。ミックスが変えてあるのは間違いないのですが、それ以上はどこが差し替わっているのか私の耳では分かりませんでした(昔の音源も持ってないし)。また、テレビでやってたアンプラグド風「ワインレッドの心」も良かったんですが、このアルバムには通常版が収録されています。

一方、健康面が心配された玉置浩二の声は健在で、オリジナルよりも生声っぽく処理されているにもかかわらず、その色気と迫力はさすが。よくできたホーンスピーカーのように朗々と歌う部分と囁くようなせつない歌い方のメリハリが見事で、しかもどちらもよく通る、素晴らしい声です。ところどころ自己陶酔っぽいフェイクが入りますが、全体的には「やっぱりうまい」と思わせます。私は以前、玉置浩二はボーカリストとしての才能がソングライターとしての才能に勝ちすぎてるんじゃないか、というような事を偉そうに書きましたが、撤回します。「恋の予感」とか、やっぱりうまくないと歌えません。

振り返ると、それぞれの時代には歌の神様に見込まれたかのように見える歌手がときどき出現します。80年代の代表はおそらく玉置浩二でしょう。90年代は吉田美和で00年代は平井堅、という見立てになるんですが。
しかし、歌の神様は見込まれたご本人たちの個人の幸福までは面倒を見てくれないようです。このジャケット写真といい、ここ1〜2年の乱行ぶりといい、最近の玉置浩二のハジけかたは異常です。前述のミュージックフェアでの本人の発言や、ワイドショーでの言動を総合すると、彼は「自分の感情のままに生きる」ということに決めているようです。その時思ったことに正直に行動するので、過去の発言との辻褄とか、世間の揶揄とかは斟酌しないのでしょう。
それはとても素敵な生き方ですが、ここは日本ですし、せっかくの才能ですから、あまり破滅的にならずに末永く活躍していただきたいと思います(あーでも50歳過ぎたら僕もそうなるかもしれないなあ。兆候あるもん)。

私はうっかりCDを買ってしまいましたが、iTunesでもダウンロード可能です。

Mine or Yours/宇多田ヒカル

ベストアルバム"SCIENCE FICTION"を買った後しばらくぼーっとしていましたが、5月になった途端にYouTubeでライブ配信的なものを見かけました。配信は途中から見たのですが、過去のMVが次々流れていて、いつから新作発表になるのかわからず、見るのやめ...