久々に音楽畑からの発信で社会現象的なものを感じさせるのが"Perfume"のアルバム"GAME"です。
去年の公共広告機構のCMで世間的には(もちろん私の主観でも)突然現れた女の子3人組。
ボーカルは過度にエフェクトがかけられて、実際の歌唱力がどうなのか、誰がどこのパートを唄っているのか、本当に本人たちが唄っているのかも判別できません。化学調味料たっぷりのとんこつラーメンというかチョコバナナパフェというか、とにかく耳に残ることは間違いありません。一通り聴いたが最後、寝入りばなに空耳が聴こえるほどです。
私もついそのクドさにノックアウトされてアマゾンでアルバムを購入してしまいました。1曲くらいは地声が分かるようになっているかと思ったら、全編「ポリリズム」と同じように処理されておりました。
80年代に爆発的に増殖したテクノポップが、あの頃のテイストのまま帰って来たかの印象で、矛盾するようですがこの濃さがあればこそ40代でもまったく抵抗が無い、という特徴があります。
ちょっと昔話が入りますが、テクノポップの最大の功績は「演奏能力や歌唱力が無くても、電気の力で誰でもできるよ」という音楽の解放にあったと思います。初期のシンセサイザーは和音も弾けないし、タッチセンスもなくて、「微妙なニュアンス」とか「グルーヴ」の表現なんてなく、ただ決まったタイミングでオンタイムのリズムを刻んで行くしかなかったのですから…。
それが「やっぱり楽器なんだから表現力がなくちゃ」って、やれタッチセンスだのグルーヴ・クォンタイズだのとしゃらくさい機能が開発され、また上手・下手(あるいは根気比べ)の世界になってしまいました。
"Perfume"のカラオケはそんな単純なものでは無いと思いますが、ちょっとあの頃の、ニュアンスなんてなんにも無かったプラスチッキーな音色を思い出させ、若い頃にYAMAHAのCS01なんかを無理して買っちゃった経験のあるオジサン(俺だよ俺)には、ちょっと嬉しいかも…。
それにしても"Perfume"は、メンバー3人のうち芸能人として成立しそうな容姿なのは、私の主観では1名だけ(SPEEDよりは率が良い?)。いったい歌謡界における女子グループというのは、カワイイ子を集めて作るのか?バラでは売れないのをセット販売するのか?という伝統的テーマを今一度じっくり考えさせてくれる素材です。
2008/04/28
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