週末に出張で特急電車に乗っていて、暇だったのでApple Musicを開いてみたら、今度は森高千里がトップ画面に出ていました。あー懐かしいねえ。「非実力派宣言」のジャケットが見えたのでそのまま聴いてみました。CD買ったわ、あの頃。
南沙織の「17才」をカバーしたことをきっかけに一気に知名度を増した森高千里がその勢いを加速させたアルバムです。この頃は「アルバムで聴く」というのが一般の人にも根付いていました。多分、カーステレオで流しっぱなしにしてたからなんでしょうけど。あの頃はみんな自動車に乗ってましたから。
「非実力派宣言」は森高千里をブレイクさせた記念碑的作品ですが、そうなってくると「俺はその前から知ってた」症候群の人がたくさん出てきたわけですが、そういう人たちが聴いていたのはアルバム「ミーハー」です。森高千里が自分で作詞するようになった最初の作品ですが、今聴くとやはり眠たい。杉山清貴と同じカラオケにちょっとおぼつかない感じで森高千里の声が乗っているミスマッチな感じ。森高千里は歌は下手じゃないけど声が小学生みたいなので、面白いっちゃ面白いんだけど、ちょっとどっちに行けばいいかわからない感じがします。
それが「非実力派宣言」になるとかなりガラッと音が変わります。
印象的なのは 「ぎゅっぎゅっぎゅっ♪」と入ってくるうるさいシンセのフレーズ。その一方で妙にネイキッド?なギターの音の多用。この2つの要素がいかにも「森高千里」の音、という感じがしますし、ここで森高千里はロックになったと思う。ちなみにZARDが出てくるのはこの後なんですね。当時はこの2組の音が似ていることに気がつきませんでしたが。
森高千里は当初はアイドル的に売り出すつもりだったが、そこそこ年齢がいってからのデビューだったので、作詞をさせることでアーティストっぽく売ることにしたようなのですが、その作る歌詞が挑戦的で面白かったので見事にハマったんですね。下に紹介する3枚を遡って聴くと、中途半端なシティ・ポップ風から森高千里自身の詩の力で風穴を開け、それがサウンドプロデュース側に影響を与えてだんだん個性が固まってきたんだということがよくわかります。
彼女が成功したおかげで、若いうちにブレイクし損ねたままトウが立っちゃったアイドルに作詞をさせれば、ちょっとルックスの良いアーティストとしてリサイクルできることがわかり、そこから巨万の富を稼ぎ出すビジネスモデルが確立したようです。
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