2011/04/24

A LONG VACATION 30th Edition/大滝詠一

1981年、私が大学入試に向けて「受験勉強」などしている頃に発売され、当時のFMラジオと大学生のカーステレオを占拠していたお化けのようなアルバムが"A LONG VACATION"でした。
私はこれをミュージックテープ(カセット)で買って、確か「サンヨーおしゃれなテレコ」で聴いていたのではなかったか?(我が家は私が生まれて以来ずっとアパート住まいだったので、ついぞ大型ステレオセットやオーディオコンポには縁がないまま、現在に至る)

その後長じて自らマイカーを持つようになり、カーステレオにCDが装着されればCD版を買い足したり、度重なる引越しでそのディスクのありかが分からなくなったりもしながら、付き合ってきました。そんな先日、3月の終わりに銀座山野楽器に行ったら、店頭に"30th Edition"と書いた新盤が陳列されているのを見て、通算何枚目か分かりませんが買ってきてしまいました。なんたって、今回はボーカル無しトラックがかっきり全曲分別ディスクで付いているので、コレクターズアイテムとしても貴重です。

大滝詠一作品についてはものすごく詳しい人がさんざん解説を書いていますし、ご本人があちこちで解説しまくる(今ならとりあえず「レコード・コレクターズ 2011/04を買うべきでしょう)ので、今さら素人がなにかコメントすることも無いです。
それでもラジカセの10cmスピーカーで聴いていた時代から、だんだん聞こえる音が多くなって、いよいよiPhoneにつないだヘッドホンやBOSEのPC用モニター(これもスピーカーはちっちゃいけど)を使って改めて聴いてみると、このアルバムの情報量の多いこと!
この30年、ミニにタコじゃない、耳にたこが出来るほど(結局、表現がなんか違うがw)聴いているはずが、実は全然聴こえてなかった音があることや、逆に自分の頭の中で勝手に付け足していた音があったことにまた気が付きました。30年経ってまだ味が出てくるか!
ボーカル無しディスクの方は喉の調子がよければ車で聞きながらひとりカラオケで遊ぶのにも絶好。どうせ歌詞は全部頭に入ってますからw ただ今は、3月の喉風邪以来、得意のファルセットが全く出ないので、大滝風歌唱が出来ないのが残念。早く治そう。

さて、大滝詠一はこの作品の後、1984年に"Each Time"を出して以来、ほとんど新しい作品を発表しておらず(一度、木村拓哉のドラマ主題歌をやったくらいで)、精神衛生上はもう新作を待つのは諦めた方が良いです。しかし実はこのような過去の作品の音源発掘や再構成されたCDをコンスタントに出し続けていて、これらすべてを収集しようとすると実はもう、恐ろしいほどのアイテムがあります。「彼は常に新作を出し続けていて、追いかけるのが大変なんだ!」と言えてこそ「真の大滝詠一ファン」を名乗れるのかもしれません。あたしにゃ無理だけど。

2011/04/18

Hey和/ゆず

ゆずはイイ。
「夏色」の時から、ギター2本(いや、ギター1本とタンバリンだったのかもしれない)だけど貧乏臭くない、センスの良いコンビだと思っていたし、デビューから歳月が経ってもいい意味でのアマチュアっぽさが無くならないところが見ていて好ましいからです。

「Hey和」はタイトルからしてなんかめちゃくちゃ狙ってるぽく、バックにゴスペル風コーラスが入るR&Bなトラックが採用された野心作でありつつも、バックと切り離したらいつでもギター2本で歌える曲に戻れる感じが残っています。

今、J-POPの一流どころの多くは、何をやるにも完成度を求めてパッケージとしてきれいに仕上げることに注力してるので、こういうゆるさを楽しむ部分は排除されようとしてるような気がします。その結果、アーティストが誰であっても均質化されてしまって、却って選びようがないように思えます。私はこのくらいが「ゆず」らしくてすごく良いと思います。
例えばよく似た編成のコンビでコブクロっていうグループがあります。私はあまり興味がないのですが、もし彼らがこういう曲に手を出したら、もっとこう…ケミストリーと見分けがつかないように仕上げてくるのではないかと(笑)。

さて、この曲は偶然にも震災後の世情に妙に似あってしまって、彼らが意図せぬ付加価値がついてしまったようにも見えます。しかし、作者の意図と違った消費をされてなお成長するのも流行歌ですから、それもまたありでしょう。

2011/03/31

NATURAL BEAUTY/ビビアン・スー

昨年から少しずつ日本での活動を再開しているビビアン・スー。2月中旬頃、エステサロンのCMで「タイミング」のアコースティックバージョンが流れていたので、「あ、新作出るのか?」とオフィシャルサイトを見に行ったら、なんとアルバム発売だというのでAmazonに予約を入れました。

日本では超久しぶりのオリジナル・アルバムです。どのくらい久しぶりかというと、1996年の「天使・想」以来、じゃないか?(ブラビの活動を除くと)

前作「天使・想」はNEW EDIT版を今でもiTSでダウンロードすることができます。まだ二十歳そこそこの、抜群の素材でありながらどういう路線で売れば良いか掴みきれなかった当時のスタッフの迷いがよくわかります。山口百恵~中森明菜風「少女の青い性」路線を狙ってみたがなんか違うー→どうしよう?みたいな。
結局、その後バラエティに進出して、「日本語の不自由な天然キャラ→ブラックビスケッツの活動」で一応の成功を収めて台湾に戻って行きましたが、本国及びアジアでのスターぶりと比較して日本市場では今ひとつ扱いが軽いのがかわいそう。

日本で活動していなかった間、彼女は中国語圏を中心に多くの映画に出演し、歌手としてCDもたくさん出しています。以前、私は輸入レコードショップの通販で購入した話をこのブログにも書いていますが、その音楽性は日本のアイドル歌手にとても近く、デニム地の衣装でオーソドックスなフォークロック調の曲をやっていたかと思うと、薄物の露出度の高いドレスで舞い踊ったり、ケバいメイクでファンキーな曲をやってみせたりと毎回頑張っています。そのどれもがマニアックに本格派を目指すのではなく、角をまるめた歌謡曲的アプローチなので、結果として私みたいな軟弱な音楽ファンには極めて聴きやすいのです。

さて、そこで今回の"NATURAL BEAUTY"は震災直後の3月16日発売で、2月のうちからAmazonで予約していたにも関わらず、出荷延期の憂き目をみて5日ほど遅れて到着しました。初回盤特典は1名様ご招待のデート権(!)。
実は予約を入れた段階で、収録曲を見てたので中身にはあまり期待できないかと思っていました。というのも、このアルバムの中には日本の有名曲のカバーが含まれているのですが、そのラインナップが「恋におちて-Fall in Love-」「長い間」「フレンズ」「時の流れに身をまかせ」ですよ。いくらなんでもベタだし支離滅裂です。たしかに今、カバー・アルバムが流行ってますけど、これじゃあ昔、父親がカセットで聴いてた「李成愛・日本を歌う(いや、タイトルは今適当に作りましたが)」みたいじゃないですか?

聴いてみました。
結論としては意外なほど良かったです。

1曲目が例のCMで流れている「タイミング」のアコースティックな新録音版ですが、オリジナルの攻撃的なところが全く無い普通に良い曲になっていました。そこから続くカバー3曲が、「タイミング」のアンプラグドなサウンドに少しずつ打ち込みのサウンドが重ねられていくように作られていました。そのグラデーションの頂点に昨年シングルで出したイケイケ系の"NICE AND NAUGHTY"が置いてある上手い流れになっていて、曲目リストから感じられた総花的で節操のない感じがしないようになっています。あー、これよく出来てるわ。昨年、シングルで聴いたときは、「ナチュラル派路線もいいが地味すぎだろう」と感じた"Beautiful Day"もアルバムの中ではきちんと光っています。

ビビアン・スーの歌唱はいつものことですが、音程は問題なし、声量は本格派歌手としてやっていくには弱いと思いますが、とにかくなんでもさらっと歌ってしまいます。ちょっと変わったかなと思うのは日本語の発音。ラ行の巻き方とか、つぁつぃつぇ~とか、うぉもうふうーとか、今、J-POPの歌手が多用する発音が導入されてます。ボイストレーナーがそういう指導をするんでしょうかねえ。一方英語部分はRを巻きすぎない、イギリス風のあっさりした発音をするようです。細かく聴いてると面白いです。

そして最後は「時の流れに身をまかせ」。これは解釈が難しい。
日本の芸能人は立候補でもしないかぎり、めったに政治的立場を明らかにすることがありませんが、台湾出身の彼女は好むと好まざるとに関わらず、常に国際政治の影響にさらされていると思われ、テレサ・テンの人生などを思うと、この曲を入れることにどんな深い意味が込められているか想像がつきません。
今回の震災でも彼女は台湾のチャリティー番組に出演して、彼女自身の募金も含め多額の義援金集めに大きな役割を担ってくれているようですね。

2011/02/26

Solid State Survivor/Yellow Magic Orchestra

やっぱりYMOといえばこれでしょう!「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」です。
テクノポリスもライディーンも"BEHIND THE MASK"も1枚で聞けちゃう。
YMOってとりあえず何聴けばいいの?と思ったら、まずこれ。BGMとかテクノデリックとかはとりあえず置いといてこれ。

1曲目のテクノポリスが素晴らしい。前作のアジア趣味を通り越して無国籍というか未来的でフィクショナルな仮想都市トキオのテーマ曲。

そして2曲目の"ABSOLUTE EGO DANCE"でふらっと沖縄に戻り、3曲目がライディーンです。文句なしに楽しい。シンセサイザーの音が気持ちいい。

今の若いアーティストでこれに似た音を聴きたいと思ったら、やっぱりPerfumeってことになるなあ。

このアルバムには、まだ手弾きのベースやエレキギターの音が入っていて、ロック(または「クロスオーバー」的)な雰囲気が残っているのも逆に好ましく思えます。このアルバムの中ではビートルズのカバー("DAY TRIPPER")をやっていて、歌詞カードによるとギターはシーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠です。

さて、タイトルの「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」は、素直に読めば「半導体(製の)生存者(?)」でしょうし、「高密度電脳国家(?)の生存者」という誤読も可能。ときあたかも「サイバーパンク」が確立する前夜であり、コンピュータ化する世界に触発された表現者集団の中にYMOもいた、ということなんだと思います。

2011/02/20

イエロー・マジック・オーケストラ/Yellow Magic Orchestra

iTunesに結成から1983年の「散会」までのアルバムが揃い、YMOが気軽に聞けるようになりました。
活動期間が5年ほどなので、オリジナルアルバムに限れば、アイテムも少ないからコンプリートも比較的容易です。

1.イエロー・マジック・オーケストラ
2.ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
3.増殖
4.BGM
5.テクノデリック
6.浮気なぼくら
7.サーヴィス
の7枚。

僕はCDで2、4、5、6(あとテクノドン)を持っているから、新しく買うのは1、3、7の3枚。

ま、ひと月で全部揃えると経済的負担も大きいので、とりあえずファーストアルバムである「イエロー・マジック・オーケストラ」をDLしてみました。
 iTunes Store(Japan)
YMOはいろんな編集のCDが既にたくさん出ているので、私のMacのHDDの、どこにも入ってない曲は少ないのですが、それでもアルバムの収録曲を収録された順に聴いてこそと思いますので、気にせずアルバム一括購入。あーオトナって素敵!

「イエロー・マジック・オーケストラ」は細野晴臣が発想したコンセプトを基に、高橋幸宏と坂本龍一が参加してできた最初のアルバムです。「テクノポリス」も「ライディーン」も入っていません。ベスト盤やオムニバスなどでよく聴ける曲としては「東風」「中国女」「ファイアークラッカー」あたりでしょうか。ああ、それにしても「東風」の出だしは本当にかっこいい…。

さて、「イエロー・マジック・オーケストラ」が発表された1978年というと細野晴臣がソロで「はらいそ」発表した年でもあります。度重なる引越しでどこかにしまいこんでしまい、今すぐに聴き返せないのですが、「イエロー・マジック・オーケストラ」は細野晴臣ソロ名義で発表した「泰安洋行」「はらいそ」の延長線上にあるといっても間違いでは無いでしょう。
萩原健太の著作などによると、細野晴臣は都会っ子である自分にはルーツとなる日本というものが無いから、沖縄や東南アジア経由で日本に戻るしかない、と考えていたらしいのですが、その意識が初期YMOにも見えます。

YMOが流行り始めた頃、無邪気な高校生だった私は初期のYMOの中国風味な音階はあまり好きではありませんでした。
とはいえ当時は冨田勲作品以外では聴けなかったシンセサイザー音楽を、それも軽快なポピュラーミュージックとしてやってくれたのですから、細かい趣味の問題を超越した抗しがたい魅力がありました。

当時の機材のことを考えると、まだシンセサイザーはアナログで、音色メモリーもあったかどうか…。演奏中に音を変えようと思ったら、パッチのコードを差し替え、各種つまみを手動で調節していたわけです。シーケンサーもアナログで、つまみの数の音数までしか連続演奏できなかった。しかもそれぞれの機材が大きいから、初期YMOのライブ映像はタンスに囲まれたようなビジュアルでした。しかし、それが機械好きな男の子にはかっこ良く見えたものです。(しばらくYMOの話が続きます)

2011/02/12

いきものばかり~メンバーズBEST COLLECTION~/いきものがかり

2010年もっとも成功したJ-POPのバンドのひとつ(便利なので翻訳調w)、いきものがかりのBESTが友人から回ってきたので聴かせていただきました。今日はその感想文です。

「いきものがかり」についてはまだこのブログを始めていなくて、「はてなダイアリー」に音楽の話からPalmの話までなんでも書いていた頃に、批判的に書いた覚えがあります。あーこれだ→決して悪口というわけではなく(2006年5月4日)
SAKURAは彼らのメジャーデビュー曲ということで、もちろんこちらのBESTにも入っていますが、私はこの曲を当時通っていたテニス教室のBGMとして毎週聴いてて辟易してたので、かなり好き放題書きました。だって、あまりにも80年代ニューミュージックだったんだもの。どうして21世紀に新しく出てきた人から、僕らが若い頃やってたフォークソングに毛の生えたような音楽を改めて聴かされなきゃいけないんだ、という中年としての怒りというか、遺憾の意を表明したわけです。こんなんだったら俺、自分でやるわ、みたいな。

去年、「ゲゲゲの女房」の主題歌として国民的愛聴曲となった「ありがとう」まで久しくそれと意識して聴くことはありませんでしたが、このBESTはその間の彼らの活動を網羅しているようなので、iTunesに取り込んで何往復か聴いてみました。

コアとなるメンバーはボーカルの女性と、エレキギターとアコースティックギターの男性二人。二人とも曲を書くが、シングルは基本的に一人が担当しているとのこと。エレキギターと生ギターのからむフォークロック的サウンド、女性ボーカルはクセがなく、歌詞も聞き取りやすいので嫌われる要素はとても少ない。NHKが使うのもよく分かります。日本人の音楽偏差値48~52くらいのところにかっきり合わせた作風は、老若男女どこからも支持を得られるようになっています。

逆に言うと、二十代にしてこの毒気の無さは、ここから先の化ける要素を見つけづらく、本当にこれでずっとやっていくのかい?という疑問がわきます。
たしかに我が同世代から上のミュージシャンは洋楽を意識しすぎてかなり恥ずかしいこともやってきたけれど、それで進歩してきたことも多いわけです。「いきものがかり」にはそういう洋楽崇拝的な部分がほとんど感じられません。「いきものばかり」に収録された29曲はほぼすべて過去のJ-POPの資産だけで再生産されています。もう洋楽から拝借して曲を作らなくても、生まれた時から聴いてきたJ-POPからの影響だけで十分曲作りができる時代になったのかもしれません。

思えば私なんか洋楽に関しては当時も今もほとんど無知なんで、曲作るときに当時のニューミュージックの優等生たちを参考にしていました。その当時はまだ元ネタの数も限られていましたが、そこから20年経ってJ-POPにもそれだけの歴史が出来、資産も十分貯まったんだ、ということなのかも。最近はやりの言い方をすれば「ガラパゴス化」ってことでしょうか。それは悪いことでは全然ないのですが、これから出てくる若い人が全部がそうなっちゃうと困るね。

2011/02/05

Gift~あなたはマドンナ~/土岐麻子

2010年、私の心のベストアルバムだった「乱反射ガール」の土岐麻子の新曲です。

昨年、「乱反射ガール」を聴いてすぐの当ブログで「一番売れてた頃のEPOみたい」とか書きましたが、なんのことはない、この曲はそのEPOの書き下ろしとのこと。EPOがこういうコマーシャルな曲を作るのも久しぶりな気がします。ここ十何年か、オルタナティブな感じになってましたからね。
そして、この曲はもう完全に80年代のEPOのイメージそのものです。ほんとに書き下ろし?JOEPOとかに入ってなかった?てなもんで。
「シュペリエル」と辞書を引かなきゃいけないカタカナ語(フランス語で「上」のことだそうだ。用例:「おばちゃん、俺、天丼のシュペリエルね!」)がキーワード(この曲が使われてるCMの商品名にかかってる)になってるところとか、2コーラス終わったところでちょろっと違うメロディが入るところなんか、なつかしくて涙が出そう(出ないけど)。

一方、歌い手の土岐麻子は「乱反射ガール」でも同じなんですが、「シュペリエルな」が「しゅぺりえるんな」に聞こえるちょっとしたクセがあって、それがただキレイキレイのおしゃれなポップスからちょっとだけはみださせるフックになっています。EPOが自分で歌うバージョンがあれば、また違った味わいがあるでしょうね。そっちもぜひ発表して欲しいものです。

Mine or Yours/宇多田ヒカル

ベストアルバム"SCIENCE FICTION"を買った後しばらくぼーっとしていましたが、5月になった途端にYouTubeでライブ配信的なものを見かけました。配信は途中から見たのですが、過去のMVが次々流れていて、いつから新作発表になるのかわからず、見るのやめ...