2009/02/22

ひっぴいえんど(初回生産限定盤)(DVD付)/和幸

今週水曜日にアマゾンから到着しました。タイトルだけで必ず聴かなければならない、と思わされた和幸のセカンドアルバム「ひっぴいえんど」です。

さて、早速その感想を、と思っていたら同じ日に鈴木茂が大麻所持で逮捕されてしまい、偶然にもほどがあると思ってちょっと途方に暮れました。鈴木茂はこのアルバムでもゲストで1曲ギターを弾いています(M4「あたし元気になれ」)。しかも同日に復刻発売された「はっぴいえんど」「風街ろまん」が販売中止になったとのこと。
メンバーの一人が逮捕されたとはいえ、40年前の音源(それも歴史的な、ね)を販売中止にするなんてロックの精神から考えればナンセンスだと思うが、野田聖子に絡まれるとやっかいだからか、ものすごく神経質になっていますね。はっぴいえんどのバックには松田聖子が付いてるからケンカになっても勝てると思うが。和幸にも被害が拡大しないといいですが…。

そんな思わぬ雑音で違った意味が付いてしまった「ひっぴいえんど」を聴いてみます。

まずアルバムタイトルおよび曲名は明らかに「はっぴいえんど」のパロディです。
M1.ひっぴいえんど(はっぴいえんど)
M2.タイからパクチ(はいからはくち)
M3.ナスなんです(夏なんです)
M4.あたし元気になれ(あしたてんきになれ)
M5.池にゃ鯉(春よ来い←これは遠すぎて気がつかなかったぜ)
M9.花街ロマン(風街ろまん←これは曲名じゃないけど)
あとは加藤和彦の昔の作品やかまやつひろし、遠藤賢司のカバーです。私が買ったのは(初回生産限定盤)(DVD付)で全12曲ですが、(通常版)はこれにボーナストラックが2曲付いて全14曲だそうです。


DVD付の方は、中のインタビューで本人たちが解説してくれるので、このアルバムがどういうものなのか、当時の音楽事情や加藤和彦のキャリアについてよく知らない人にもヒントを与えてくれます。

さて、そのDVDによると、この「ひっぴいえんど」は70年代前半のロックサウンド、特にCSN&Yの音に日本語を載せる、というのが第一義で、「だったら年代的にも…」というのではっぴいえんどが出てきたのだそうです。ジャケットもCSN&Yの代表的アルバム「デジャ・ヴ」のパロディにしてあります。




私も一聴して「はっぴいえんどはこんなに明るくねえよ」と思いました。
今となっては微妙な違いですが、はっぴいえんどは"Buffalo Springfield"の音に日本語を載せるのが目標だった(本人たちがそう云っている)ので、サウンドがその分ずれています。
それじゃ、CSN&YとBuffalo Springfieldがどれだけ違うの?というとメンバーは半分くらい同じで、日本で云うとチューリップとオールウェイズくらいしか違わないん(これはあまり良い喩えではありませんね)ですが、年代が3〜4年違う。ぱっと聴いて違うのはCSN&Yはアマチュアがちょっと困るくらいの音の取り辛いコーラスが入っています。私はよく知りませんが、CSN&Yというのは日本人にM7(メジャーセブンス)というコードの存在を教えてくれたバンドだそうです。
日本のバンドで云うと、Buffalo Springfieldがはっぴいえんど的であるのに対してCSN&YはTHE ALFEEに似ています(もちろん逆ですよ)。

そんなわけで、「ひっぴいえんど」は実際にははっぴいえんどより4〜5年後、CSN&Yを聴いた日本人がその影響を受けて始めたロック(それってやっぱりアルフィーじゃん?)のシミュレーションになっています。
ただ、一応「はっぴいえんど」に対するパロディ(リスペクト?)を感じられる箇所もあります。
M2.タイからパクチ
全体に「かくれんぼ」の雰囲気。「夕餉」などという古い言葉の使用。ただ松本隆は「ストーブ」を「ストウヴ」とは書かないと思うけど。
M3.ナスなんです
細野晴臣作品をごった煮にした感じ。風街ろまん以降のカントリー風曲調とか全編裏声を使うのは「あしたてんきになれ」か?「あしたてんきになれ」はM4の曲名のネタにもなっていて、この辺はややこしいです。
M4.あたし元気になれ
鈴木茂のギターが本物っぽさを加えているのと、声の加工のしかたが「花いちもんめ」風ってことだと思います。メロディは細野作品寄りか。
M5.池にゃ鯉
「春よ来い」的な重たいリズム、無理に気合いを入れて長尺にしているところ、ちょっとヨーデルっぽい発声も大滝詠一風でパロディとしては一番力が入ってるのかな。でもアコースティック・ギターの音とCSN風コーラスが入るので、「春よ来い」の音とは違っています。
M9.花街ロマン
これは「春らんまん」あたりでしょうか?「じゃぶじゃぶ」「ぶつぶつ」「ういんどう」「お白粉」あたりの歌詞もそれ風ですね。

3月1日の追記
ところで、これら「ひっぴいえんど」「風街ろまん」「Buffalo Springfield Again」「デジャ・ヴ」の4枚のアルバムをiTunesで一つのプレイリストに入れてシャッフルすると、どれがどれだか分からなくなって、とても良かったです。

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