2011/02/26

Solid State Survivor/Yellow Magic Orchestra

やっぱりYMOといえばこれでしょう!「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」です。
テクノポリスもライディーンも"BEHIND THE MASK"も1枚で聞けちゃう。
YMOってとりあえず何聴けばいいの?と思ったら、まずこれ。BGMとかテクノデリックとかはとりあえず置いといてこれ。

1曲目のテクノポリスが素晴らしい。前作のアジア趣味を通り越して無国籍というか未来的でフィクショナルな仮想都市トキオのテーマ曲。

そして2曲目の"ABSOLUTE EGO DANCE"でふらっと沖縄に戻り、3曲目がライディーンです。文句なしに楽しい。シンセサイザーの音が気持ちいい。

今の若いアーティストでこれに似た音を聴きたいと思ったら、やっぱりPerfumeってことになるなあ。

このアルバムには、まだ手弾きのベースやエレキギターの音が入っていて、ロック(または「クロスオーバー」的)な雰囲気が残っているのも逆に好ましく思えます。このアルバムの中ではビートルズのカバー("DAY TRIPPER")をやっていて、歌詞カードによるとギターはシーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠です。

さて、タイトルの「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」は、素直に読めば「半導体(製の)生存者(?)」でしょうし、「高密度電脳国家(?)の生存者」という誤読も可能。ときあたかも「サイバーパンク」が確立する前夜であり、コンピュータ化する世界に触発された表現者集団の中にYMOもいた、ということなんだと思います。

2011/02/20

イエロー・マジック・オーケストラ/Yellow Magic Orchestra

iTunesに結成から1983年の「散会」までのアルバムが揃い、YMOが気軽に聞けるようになりました。
活動期間が5年ほどなので、オリジナルアルバムに限れば、アイテムも少ないからコンプリートも比較的容易です。

1.イエロー・マジック・オーケストラ
2.ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
3.増殖
4.BGM
5.テクノデリック
6.浮気なぼくら
7.サーヴィス
の7枚。

僕はCDで2、4、5、6(あとテクノドン)を持っているから、新しく買うのは1、3、7の3枚。

ま、ひと月で全部揃えると経済的負担も大きいので、とりあえずファーストアルバムである「イエロー・マジック・オーケストラ」をDLしてみました。
 iTunes Store(Japan)
YMOはいろんな編集のCDが既にたくさん出ているので、私のMacのHDDの、どこにも入ってない曲は少ないのですが、それでもアルバムの収録曲を収録された順に聴いてこそと思いますので、気にせずアルバム一括購入。あーオトナって素敵!

「イエロー・マジック・オーケストラ」は細野晴臣が発想したコンセプトを基に、高橋幸宏と坂本龍一が参加してできた最初のアルバムです。「テクノポリス」も「ライディーン」も入っていません。ベスト盤やオムニバスなどでよく聴ける曲としては「東風」「中国女」「ファイアークラッカー」あたりでしょうか。ああ、それにしても「東風」の出だしは本当にかっこいい…。

さて、「イエロー・マジック・オーケストラ」が発表された1978年というと細野晴臣がソロで「はらいそ」発表した年でもあります。度重なる引越しでどこかにしまいこんでしまい、今すぐに聴き返せないのですが、「イエロー・マジック・オーケストラ」は細野晴臣ソロ名義で発表した「泰安洋行」「はらいそ」の延長線上にあるといっても間違いでは無いでしょう。
萩原健太の著作などによると、細野晴臣は都会っ子である自分にはルーツとなる日本というものが無いから、沖縄や東南アジア経由で日本に戻るしかない、と考えていたらしいのですが、その意識が初期YMOにも見えます。

YMOが流行り始めた頃、無邪気な高校生だった私は初期のYMOの中国風味な音階はあまり好きではありませんでした。
とはいえ当時は冨田勲作品以外では聴けなかったシンセサイザー音楽を、それも軽快なポピュラーミュージックとしてやってくれたのですから、細かい趣味の問題を超越した抗しがたい魅力がありました。

当時の機材のことを考えると、まだシンセサイザーはアナログで、音色メモリーもあったかどうか…。演奏中に音を変えようと思ったら、パッチのコードを差し替え、各種つまみを手動で調節していたわけです。シーケンサーもアナログで、つまみの数の音数までしか連続演奏できなかった。しかもそれぞれの機材が大きいから、初期YMOのライブ映像はタンスに囲まれたようなビジュアルでした。しかし、それが機械好きな男の子にはかっこ良く見えたものです。(しばらくYMOの話が続きます)

2011/02/12

いきものばかり~メンバーズBEST COLLECTION~/いきものがかり

2010年もっとも成功したJ-POPのバンドのひとつ(便利なので翻訳調w)、いきものがかりのBESTが友人から回ってきたので聴かせていただきました。今日はその感想文です。

「いきものがかり」についてはまだこのブログを始めていなくて、「はてなダイアリー」に音楽の話からPalmの話までなんでも書いていた頃に、批判的に書いた覚えがあります。あーこれだ→決して悪口というわけではなく(2006年5月4日)
SAKURAは彼らのメジャーデビュー曲ということで、もちろんこちらのBESTにも入っていますが、私はこの曲を当時通っていたテニス教室のBGMとして毎週聴いてて辟易してたので、かなり好き放題書きました。だって、あまりにも80年代ニューミュージックだったんだもの。どうして21世紀に新しく出てきた人から、僕らが若い頃やってたフォークソングに毛の生えたような音楽を改めて聴かされなきゃいけないんだ、という中年としての怒りというか、遺憾の意を表明したわけです。こんなんだったら俺、自分でやるわ、みたいな。

去年、「ゲゲゲの女房」の主題歌として国民的愛聴曲となった「ありがとう」まで久しくそれと意識して聴くことはありませんでしたが、このBESTはその間の彼らの活動を網羅しているようなので、iTunesに取り込んで何往復か聴いてみました。

コアとなるメンバーはボーカルの女性と、エレキギターとアコースティックギターの男性二人。二人とも曲を書くが、シングルは基本的に一人が担当しているとのこと。エレキギターと生ギターのからむフォークロック的サウンド、女性ボーカルはクセがなく、歌詞も聞き取りやすいので嫌われる要素はとても少ない。NHKが使うのもよく分かります。日本人の音楽偏差値48~52くらいのところにかっきり合わせた作風は、老若男女どこからも支持を得られるようになっています。

逆に言うと、二十代にしてこの毒気の無さは、ここから先の化ける要素を見つけづらく、本当にこれでずっとやっていくのかい?という疑問がわきます。
たしかに我が同世代から上のミュージシャンは洋楽を意識しすぎてかなり恥ずかしいこともやってきたけれど、それで進歩してきたことも多いわけです。「いきものがかり」にはそういう洋楽崇拝的な部分がほとんど感じられません。「いきものばかり」に収録された29曲はほぼすべて過去のJ-POPの資産だけで再生産されています。もう洋楽から拝借して曲を作らなくても、生まれた時から聴いてきたJ-POPからの影響だけで十分曲作りができる時代になったのかもしれません。

思えば私なんか洋楽に関しては当時も今もほとんど無知なんで、曲作るときに当時のニューミュージックの優等生たちを参考にしていました。その当時はまだ元ネタの数も限られていましたが、そこから20年経ってJ-POPにもそれだけの歴史が出来、資産も十分貯まったんだ、ということなのかも。最近はやりの言い方をすれば「ガラパゴス化」ってことでしょうか。それは悪いことでは全然ないのですが、これから出てくる若い人が全部がそうなっちゃうと困るね。

2011/02/05

Gift~あなたはマドンナ~/土岐麻子

2010年、私の心のベストアルバムだった「乱反射ガール」の土岐麻子の新曲です。

昨年、「乱反射ガール」を聴いてすぐの当ブログで「一番売れてた頃のEPOみたい」とか書きましたが、なんのことはない、この曲はそのEPOの書き下ろしとのこと。EPOがこういうコマーシャルな曲を作るのも久しぶりな気がします。ここ十何年か、オルタナティブな感じになってましたからね。
そして、この曲はもう完全に80年代のEPOのイメージそのものです。ほんとに書き下ろし?JOEPOとかに入ってなかった?てなもんで。
「シュペリエル」と辞書を引かなきゃいけないカタカナ語(フランス語で「上」のことだそうだ。用例:「おばちゃん、俺、天丼のシュペリエルね!」)がキーワード(この曲が使われてるCMの商品名にかかってる)になってるところとか、2コーラス終わったところでちょろっと違うメロディが入るところなんか、なつかしくて涙が出そう(出ないけど)。

一方、歌い手の土岐麻子は「乱反射ガール」でも同じなんですが、「シュペリエルな」が「しゅぺりえるんな」に聞こえるちょっとしたクセがあって、それがただキレイキレイのおしゃれなポップスからちょっとだけはみださせるフックになっています。EPOが自分で歌うバージョンがあれば、また違った味わいがあるでしょうね。そっちもぜひ発表して欲しいものです。

SOFTLY/山下達郎(初回限定版)(特典なし)

 先週末くらいからメディアでがんがん露出していて、嫌でも目についた山下達郎の新作アルバム、Amazonでぽちっておいたら無事に今日、郵便ポストにメール便で入っていました。 前作「Ray Of Hope」の感想文を書いたのもそんなに前のことではない、と思っていたのですが、あれからも...