先日、自分のブログ(こちらではない方)への検索元リンク等を辿ってネットをうろうろしていたら、結構若い人(ブログのプロフィールが本当な ら)が、「大塚愛の歌は下手だ」と書いている文章が多くて意外でした。私は大塚愛の歌はまあ巧いと思っているので。ま、私もそうでしたが、若い人っていう のは意外と固い考え方をするので、結果として保守的になりがちですからね…。
というわけで、ポピュラー音楽における歌の上手・下手ということについて考えてみようという企画を始めます。
クラシックの声楽と違って、ポピュラー音楽っていうのは聴く人の解釈によって上手い・下手はかなりどうとでもいえるので、あくまでも私が思う上手い・下手についてですけど。
そんな話題に格好のテキストになるかと思って、DOUBLE & 安室奈美恵の"BLACK DIAMOND"を聴いてみました。「決して悪口というわけではなく」で買うぞと予告してたんですが、その感想を書くのはこちらなんです。
二人とも、我が国の誇る実力派と言われる歌手です。楽曲云々よりも、まずこの組み合わせが夢の競演です。でも、この二人はその音楽的ルーツも発声方法もかなり違います。
安室奈美恵は善くも悪くもキャリアの最初はアイドル歌謡曲です。基本的に喋る声の延長で歌を歌います。この唄い方の良いところは聴き手に歌詞がよく届くことです。迫力という点では少し不利ですが。
一方、DOUBLEはR&Bをルーツにし、ちょっと孤高の本格派というイメージを持っていたのですが、Wikipediaなどでその来し方を辿ると、意外とコマーシャリズムとも無縁でないキャリアを持っています。この"BLACK DIAMOND"が収録されているアルバム"THE BEST COLLABORATIONS"も、もっと難しい曲が並んでいるかと思いきや、意外とキャッチーで歌謡曲っぽいのも混ざっていたので聴きやすかったです。しかし、その発声は本格派で、パンチのある(死語ですね)歌声はアムロちゃんを凌駕しています。
それでは横に並んで歌った時に安室奈美恵はDOUBULEよりも下手なのかというと、それぞれ「流儀」というか「目的」が違うので優劣はつけられないのです。R&BとしてはDOUBLEの方がより本来の文法(?)に沿っていると思いますが、J-POPとしては安室奈美恵のキュートさ、身近なリアルさ(ていうか、エッチさ、か)も捨て難い。
かようにポピュラー音楽における歌の上手い、下手というのは一筋縄ではいかないんですよ、ということでシリーズの前フリをしつつ、今宵はここまでにしとうございます。
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