宇多田ヒカルと並んで好物である小田和正の新作が出ました。なんやら獣医ものドラマのタイアップになっている「グッバイ」です。
いつかも書いたんですが、小田さんは意識としては郷ひろみと似ているのではないかと思います。郷ひろみが50代半ばになってもジャケットをぴらぴらさせながら舞い踊るのと、小田さんが60過ぎてハイトーンで熱唱するのは、「精進が年齢を超越する生き方の実践」をファンに見せたいからとしか考えられません。そしてそれは歳相応に老いて行く同年輩(の同業者やひょっとしてファン)への批判でもあります。
それにしても最近の小田さんのマンネリズムはもう確信犯を通り越してストイックさすら感じます。
裏にアクセントのあるアコースティックギターとタンバリンは「YES-YES-YES」や「BETWEEN THE WORD & THE HEART~言葉と心」などのやり直しでしょう。歌詞も相変わらず、夏は終わるし、夢はくじけそうになるし、風は強く吹いています。おまけにサビが「Goodbye Goodbye Goodbye~」って、「さよなら さよなら」が英語になっただけ、というオチまで!
小田さんの歌詞は「じつは何も言ってない」ということにかけては最近のJ-POPの嚆矢ではないかと私は思います。
具体性が非常に乏しい。
「この」「その」「そんな」「そのまま」などの指示語がなんの前触れもなく使われ、単なる字数稼ぎではないか?詩作の作業から逃げてるのではないか?と。
だから世の中に「小田和正全詞集」なんて出版物があることを知ったときは驚きました。
好意的に解釈すると、彼の場合は下世話な具体性に満ちた同年輩の「フォーク」に対するアンチという意識が強かったから、という考察も成り立つのですが、今の大多数のJ-POPの、「じつは何も言ってない歌詞」の氾濫を見るにつけ、小田和正(オフコース)の負の遺産ではないかと思ってしまいます。
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