2017/05/05

ワン オン ワン 2017ジャパン・ツアー/ポール・マッカートニー

あけましておめでとうございます。
ゴールデンウイークの前半に日本武道館で1日、東京ドームで3日間行われたポール・マッカートニーのライブに行ってきました。
たまたまお友達から「ポール・マッカートニーの券あまってるのがあるんだけど」と2週間くらい前に連絡をもらっていて、「いや私なんぞより熱心な人がいると思うから、他に声かけてまだ残ってたら教えてくださいな」的な話をしていたら、結局より熱心な人が表れなかったようで行ってきました(実費精算)。

球場的には三塁側内野席後方、舞台に対して約20度というかなり角度の浅い席ではありましたが、そこは最近のライブなので大型モニターも設置され、細かいところはそちらで見られるようになっています。まあでもオペラグラスは今後のためにひとつ買っておいても良いかもしれません。

さて、18:30開始予定が20分ほど遅れて出てきたポールとバンドメンバー、ポールはおなじみのバイオリン型のベースをサウスポーにかまえてビートルズナンバーから始めていきます。

普段から「洋楽は無知」と言い切ってこのブログを書いていますが、「いっしょに歌えないけど、聴けばわかるだろう」というヌルいオーディエンスである私も全然大丈夫な有名曲がズラリ。
ポール・マッカートニーはローマ字のカンペを読むようなたどたどしい日本語MCを交えつつ、複雑なことは同時通訳を巨大モニターで出しながら(歌舞伎解説システムみたいな感じで)進めてきます。ちょっと大御所なのにサービスしすぎ、もっと淡々と曲やり続けてくれていいくらいに思いました。

各楽曲はコメントできるほど詳しくないので、ちょっと興味をもったことをいくつか並べて書きます。


  1. ポールの使用する楽器、立ってはベース、アコースティックギター、エレキギター、ウクレレ。座ってグランドピアノ、なんだけど後半に入ってサイケなディスプレイが施されたキーボードに座っていましたが、最後まで機種がわからず。前が平らなのでローズ・ピアノかなとは思ったんですが。
  2. とにかく、ここ数十年のポップ、ロックの元ネタを次々に開発してきたアイデアの数々に感心するとともに、「いい時代だったんだなあ」という羨ましい気持ちにもなりました。楽器にピックアップが付いて、元の音の大小に関係なくいろんな表現が拡大していったときに、最初に思いついたことがオリジナルになってきた時代であり、他ジャンルとの融合についても今よりも壁が高かったとは思うけれどもそこを破ったときの効果の大きさ。今の音楽は閉塞してるよな、と。
  3. 最近のはやりの音楽ではほとんど使わないテンポの変化。途中で倍に刻む、みたいなことはたまに聴きますが、"Live And Let Die"とかだいたい60bpmと150bpmとかを行き来するわけで、こういうの聞かないです。こういうの息があったバンドじゃないとできないですけどね。踊りづらいからかな。

まあとにかく、私が若い頃から聴き続けてきた日本の音楽ってほとんどこの人の子どもか孫みたいなものなんで、名前だけ知っていた先祖に会えた感じです。いつまでも元気でライブやってくださいませ。

http://oneonone-japantour.jp/

2016/10/10

LOVE TRIP/AKB48

3年前に例の「フォーチューンクッキー」に引っかかって少しお勉強したAKB48。
その後もBSプレミアムの「AKB48 SHOW」だけは見続けていて、おかげで主な登場人物と主な楽曲は理解できるようになりました。この公共放送の電波を使って垂れ流される(笑)番組の良いところは、歌がほぼ生歌ということです。そのため、メンバー構成によっては目も当てられない時もあるのですが、ライブ感だけはあって、他の音楽番組ではわからない実力度合いなど確認できて楽しいです。

彼女らの歌唱力は、我々の若い頃の世代で例えると、上が柏原芳恵、下は果てしないが能瀬慶子もいるな、平均で中山美穂のちょっと下かな、と。岩崎姉妹はもちろん、松田聖子、荻野目洋子クラスは見当たりません。

それがなんとか商品になっているのは、曲の完成度が高いから、ということなのかな。しかも、あまりとんがったことはやらない。20年~30年前のアイドル歌謡を今のクオリティで再現しているので、客の年齢層が高めになるのは仕方がないでしょう。

さて、「LOVE TRIP」は毎年恒例の「総選挙選抜曲」で人気投票上位メンバーを集めて、真ん中から順位の通りに並んで歌う、というもの(なんだよね)。
このシリーズだけで数えると、私が転んだ「恋するフォーチュンクッキー」から数えて4作目です。
「恋するフォーチュンクッキー」で驚いたのは、先行した「モーニング娘。」が全盛期にやっていた80年代ディスコ調楽曲群よりも更に遡った時代の曲調を引っ張り出してきて2013年にやってみせたことでした。
それがウケたので(だよね?)翌年の「心のプラカード」は古すぎて中年でもわからないところまで行ってしまい、ノリ方がわかりませんでした。昨年の「ハロウィン・ナイト」は逆にすごくよく分かるんだけど、完成度を上げすぎて古さの方が目立っちゃった、という感じでしょうか?

さて、「LOVE TRIP」もちょっと気になってしまいました。この曲は上で上げた3曲ほど、時代を背負ってる感はないんですが、明らかに80年代のいわゆる「商業ロック」のヒット曲がフォーマットになっています。ケニー・ロギンスの「トップ・ガン」の曲とか。なかでも一番似てるのは、オフコースの1984年のアルバムに入ってる「愛を切り裂いて」なんですけど。その曲自体、当時共通のフォーマットから作られていると思うので、パクリとかそういう話ではないんですが。

で、それが2016年のアイドル歌謡となったときになにが変わっているかというと、印象的なリズムギターがアコースティックギターの音になっている!こんな派手な音の中でアコギの音がくっきり聴こえる技術の進歩に感心します。弱々しいAKBボーカルとの兼ね合いがちゃんと考えられているんですね。「ロックじゃないロックサウンド音楽」の良い例か。

↓「多売特典なし」って何?

2016/10/09

Fantôme/宇多田ヒカル

おめでとうございます。
ついに宇多田ヒカルの新作が発表されました。
ありがとう、これでブログが更新できます!

"Goodbye Happiness"が収録されていたベスト盤を除外すると、オリジナルアルバムとしては2008年の"Heart Station"以来なんだとか。いや、自分で全部買ってますけど、確かにそのようです。
巷では複数バージョンや握手券やらに頼らないで売上1位はさすが、という話になっていますね。
最近は、山下達郎でさえCDの容量いっぱい15曲入りになっていますが、このアルバムは11曲入り、演奏時間49分。
古き良き時代を懐かしむような物言いになりますが、やっぱり昔のLPレコードくらいのフォーマットでまとめてもらった方が、聴きやすいです。昔のロックのアルバムなんて裏表で30分くらいだったじゃないですか。

これなら通勤の片道で通して聴けます。

さて、このアルバムを待たずとも、「花束を君に」と「真夏の通り雨」はダウンロード配信されていたので、そのタイミングで書くことも考えていたのですが、「花束を君に」の70年代風味というか、ちょっと思っていたのと違った(嫌いではないんですが)し、「真夏の通り雨」はやっぱり暗く感じてしまってブログのネタになりませんでした。
今回、アルバムとして通して聴いて、やっと体に入ってきました。

さあ、通して聴いてみると先行発売された2曲、さらに「桜流し」も含めてそれぞれの曲がきちんと配置されて、ようやく宇多田ヒカルの今回のテーマというものが見渡せるようになりました。発売前後に集中的に出演したテレビ番組では、やはり母である藤圭子の死と自身の出産の2つがあって生まれた作品(「桜流し」は時期が違うけど)であり、その影響を彼女自身が当然のこととして語っていました。個人的にはそういうことなんでしょう。
その他に、J-POPではなかなかテーマにならない同性愛のことを歌った「ともだち」なんて曲もありますが、この歌詞は別に同性愛にかぎらず思春期の思い詰めた恋の歌としても通じる普遍性がちゃんとキープされているのはさすがです。

さて、聴く側の感想としては、まずサウンドと部材(フレーズ)は"Heart Station"の延長と感じられる部分が多い。特に「道」「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」などの比較的ポップなナンバーはそう思います。そういう意味では、他の大御所の皆さんと同様、「いつも同じ」の世界にそろそろ入りつつあるようにも聞こえますが、なにせ年齢がまだ若いし、本人もまだまだ貪欲であると思うので、マンネリ化の心配はまだしなくて良いと思います(急に難しいことやられても着いていけないと思うし)。

ネットで断片的に見かけた(多分中年の)ファンのコメントを読むと、「邦楽のアルバムなんてずっと買ってなかったけど、宇多田ヒカルは買う」という人がかなりいました。まあ、宇多田ヒカルだけに限ったことでは無いんでしょうが、そういう人が他のアーティストよりもおおぜいいることの意味はなんでしょう?また、私ごとで恐縮ですが、こうして宇多田ヒカルの作品についてはなにか書きたくなるオジサンもいるわけです。

それが何故なのか?理由は何なのか?
他のJ-POPアーティストの曲は言葉が聞き取れないのに、宇多田ヒカルの歌は聴いているだけで歌詞がわかるし、その内容について考えたくなります。
おそらくそれは発声、発音、言葉の載せ方などの技術の問題だけではなくて、伝える中身がちゃんと歌詞の中にあるのか?枝葉末節ではなく、曲自体を大きく捉えたときに、そこにメッセージがあるのか?のほうが大きいんじゃないでしょうか。

亡くなった加藤和彦が生前(そして今思えば、結果として晩年)、テリー伊藤のラジオに出たときに「今の日本にはロックサウンドの音楽はあるけど、ロックは無い」とすっぱり言っていたことが忘れられません。ジャンルとしてのロックのことは私はよく分かっていませんが、加藤和彦が言っていた「ロック」って、どんなジャンルの音楽でも無くしちゃいけないものなんだと思います。



2016/04/10

COSMIC EXPLORER/Perfume

久しぶりにPerfumeのアルバムが出ました。
今年は、宇多田ヒカルも帰ってくるし、去年よりは新しい音楽を聴けそうです。

さて、出ると買っちゃうPerfumeです。
前前作の「JPN」が勢いのある曲をノンストップで繋いでいく理屈抜きで楽しい1枚だったのが、次の「LEVEL3」は悪くはないがちょっとおとなしくなってしまった感じでした。メンバーの年齢も上がっていることもあるし、このままなんていうかメロウな感じになって閉店していくのかな、という印象を持ったような気がします。

しかし、今回のアルバムまでしばらく時間があったこともあって、「LEVEL3」のことはすっかり忘れて新作を買っていました。

「COSMIC EXPLORER」は、そういう意味では少し揺り戻した感じで、「JPN」ほどではないが無邪気に楽しく聴ける部分が増強されているような気がします。

Perfumeといえば、オートチューンを多用した人工的な歌声が代名詞になっていますが、ポリリズムの頃(古い話ですね)と比べると時代が下るほど加工度が下がってきています。本作ではバックコーラス部分を生声に近い処理で重ねることもしています。特に表題曲「 COSMIC EXPLORER」の途中ではほとんど生声(音程調整はしているっぽく聴こえますが)が使われている部分もあって、あー本当はこういう声だったのか、と確認ができます。
曲としては、歌番組でも披露している「Pick Me Up」を代表とする、和風音階のフレーズが高温域で飛び回るキラキラしたサウンドがメインで、微妙に力点をずらしたシングルナンバーがアクセントになるような作りになっています。YMO好きだった中年(初老か)が懐かしくなるようなシンセベースやテクノデリック的メカニカルなノイズも加わり、我々世代にとってのわかりやすさは相変わらずです。

ところで、特典についていた動画を見ていて改めて驚いたのですが(というか、当然だけど)、Perfumeの3人も28歳とかになっているんですね。音楽性はともかく、いわゆるアイドル的に出てきた彼女たちはこの後どうなっていくんだろう?このまま末永く年齢不詳のアジア少女としてプリンセス・テンコー的に世界で活躍するのか?結婚などを契機にして生身の女性としてそれぞれの道を歩むのか?そろそろ決断の時が近づいています。

それにしても、一時代を築いてその後はマニアのものになっていたジャンルを、若い女の子に唄わせてアイドル的に売ると世界に出られるというのはなかなかの発見です。この漁場にはまだ魚がいるみたいで、BABYMETALはPerfumeがテクノでやったことをヘビメタでやったらイケたわけですよね。私はまだちゃんと聴いてませんが。

2016/03/27

DEBUT AGAIN/EIICH OHTAKI

お久しぶりです。 

中断前の最後が大滝詠一の"Best Always"だったので、丸1年ちょっと開いて、また大滝詠一ということになりました。

 NHKの"SONGS"でも特別版が作られて、久しぶりに山野楽器に行って、限定版2枚組の方を買ってきました。あまり久しぶりに行ったので、ポイントカードが変更になっていて、ためてたはずのポイントがパーになってしまいました\(^o^)/

なんでも、遺品整理をしていたら未公開の音源が発見されたとかで発売された本作、懐かしの「Tシャツに口紅」「快盗ルビイ」、本人歌唱の「夢で逢えたら」など、オジサンたちの涙ちょちょぎれるラインナップになっています。

さて、今さら細かい楽曲の話は止めて、こないだの"SONGS"はいろいろと参考になりました。

ナイアガラサウンドの録音現場、というのは素人には謎が多かったのですが、そのままではないにしろ、井上鑑監修の下で擬似的に再現されたその風景は、エレキギター3本、アコースティックギター3本、ストリングスにチェンバロ2台が一度に音を出すという豪華さで、噂には聞いていたが、なるほどこういうことだったのかと改めて納得させられました。

あと、まったく余談ですが、薬師丸ひろ子って歌うたってて良かったなあと思いました。背が低いこともあって、堂々の美人女優にはならなかったけれど、持って生まれた声だけで他に置き換えられない存在になっている。上手い下手を超越して、あの声が欲しかったら本人呼んでくるしかないもんなあ…。あ、大滝詠一もそうですね(詳しくはいずれ、いつか)。


 

2014/12/30

Best Always/大滝詠一

昨年末に急逝した大滝詠一のありそうでなかったオールタイム・ベスト盤です。
はっぴいえんど時代のナンバーから、2003年リリースの「恋するふたり」まで、CD2枚で35曲。3枚組の3枚目はその中から抜粋された10曲のカラオケが収録されています。
はっぴいえんどの曲は相当昔の音源のはずですが、リマスタリングされて他の曲とのバランスも問題なく調整されています。マニアックにならない程度に大滝詠一のCDを一つ、運転しながら聴くか、なんていうのにちょうどよい分量と深さかな、という点ではうまい商品企画です。もちろん熱心なファンのかたには今さら感もありましょうが、恐らく微妙に音は違ってるのかも?と思うと無視もできないわけで…。

それにしても、収録された35曲の間に35年分くらいの時間が経過しているわけなんですが、ご本人の歌い方は基本、全然変わらないんですね。なんでこんな若くして完成されていたんでしょうか?不思議です。