2022/06/22

SOFTLY/山下達郎(初回限定版)(特典なし)

 先週末くらいからメディアでがんがん露出していて、嫌でも目についた山下達郎の新作アルバム、Amazonでぽちっておいたら無事に今日、郵便ポストにメール便で入っていました。

前作「Ray Of Hope」の感想文を書いたのもそんなに前のことではない、と思っていたのですが、あれからもう11年も経っていたんですね。さすがにアラカン、時の流れも大雑把に流れるようになりました。きっと山下達郎も「毎年がんばって仕事して、やっとアルバム1枚まとめたら11年ぶりですね、とか冗談じゃないよ」と思っていそう。

前回は東日本大震災直後、今回はコロナとロシアのウクライナ侵攻という大事件のあとでの発表ということで、なんだかんだと2枚とも歴史とともに記憶される作品になることでしょう。また、音楽史的にもジャパンのシティポップいいんじゃね?ブームの中ということで、いよいよラスボス登場的な立ち位置でもあるわけだから、届く前から期待は高まります。サンデーソングブックでは2週連続で全曲の触りを聴かせてくれていましたし、機運は高まっていますよね。

さて、実際に届いて早速Macのミュージックに取り込んで聴いているわけですが、もう感想文を書いてしまいます。

まずは最新作がいちばんすごい、というのは素晴らしい!

私はところどころ抜けてはいますが、「FOR YOU」から山下達郎を聴くようになって、あの80年代前半のカッコよくて、色とりどりで爽快なサウンドが大好きなでした。今作はあの頃の味わいを思い起こさせられつつ、しかもそれが現代の機材と円熟のテクニックでグレードアップしたものを、どかんとぶつけられた気分です。全15曲、まったく飽きないし、適度に打ち込みのサウンドをフィーチャーした感じが世代的にぴったり来ます。iMacのそこそこなスピーカでも、散歩中にイヤホンで聴いても、クルマを持っている人はカーステレオで流しながら夜のバイパスを走るのにもいいと思う。

「FOR YOU」の「Hey Reporter!」の頃から何曲かメッセージ性の強い曲を入れていますが、今回は「(制作時期的に)ウクライナのことではないけれど、昨今の世界情勢を見て」とラジオで語っていた「OPPRESSINN BLUES」がそれに当たります。例の桑田佳祐の曲はひどくぼんやりしていて聞こえましたが、やっぱりこのくらいきっぱり書かないとね。YouTubeでは各国語字幕バージョンが追加されていくそうです。



さて、山下達郎くらいのキャリアになればなにからなにまで新しい、という作風ではないので、たとえば「これ、歌詞を変えたら昔の〇〇にそっくりじゃん」みたいなことを考える人もいるかもしれません。私も正直、小田和正にはそれを感じてしまうんですが、山下達郎については「お前はなにを聴こうと思っているんだ、山下達郎が聞きたいんだろ!」ですべて解決する気分です。まあ、周りにそんな人はいないし、そういう人はきっと「シン・ウルトラマン」の細かいところを気にして楽しめない人と同じタイプかと。


2022/05/29

M八七/米津玄師

 シン・ウルトラマンを見て参りました。最初の週末に1回見たんだけど、ビール飲みながら見てたらトイレに行きたくなって、話の途中で頭が追いつかなくなったのを猛省し、さっき改めてコーラとフライドチキンをお供に(健全に)再鑑賞してきました。

(以下、ちょっとだけ映画本編のネタバレになりますが)シン・ウルトラマン、とても良かったです。

本日昼のお台場の上映では空席が多かったですが、若い子連れ夫婦なども来ていましたし、3〜4人の若い男性(と、そこに女の子も交ざった)グループ、若いカップルもちらほら。そして私のような50代半ば以上と思われるリアルタイム世代またはその弟世代らしき単身入場者ももちろんかなりの割合でいます。同年輩のトム・クルーズがすぐ横のスクリーンで大活躍しているのを尻目に、永遠の14歳たちはウルトラマンを見るのです。

私はこの作品の制作意図を、昭和40年代に初めて特撮巨大ヒーローを見た原体験を、初代ウルトラマンを知らない世代、特に子どもたちに対しては、今の子どもたちが囲まれている各種メディアのクォリティに合わせた上で「当時の自分たちと同じ体験をしてほしい」ということなんだと理解しました。一方、ウルトラマンをよく知っている世代に向けては、昔のもすごく面白かったけど、子ども心にもちょっとあれはどうなの?と思ったところを「このくらいの表現だったらもっと良かったよね」というところまで調整してくれたということもあると思います。

ウルトラマンが飛ぶところとか硬質な人形がピアノ線で吊られて飛んでいくような質感で表現してますが、あれはCGがしょぼいんじゃなくて、手元にあるフィギュアを持って遊ぶ子どもの心を再現しているのだと思う。「シン・ゴジラにくらべて手抜きだ」みたいに言っている人も見かけますが、高名なオタク教祖様の言を借りるまでもなく、現実の中にゴジラという1個だけの嘘を加えたシン・ゴジラと、禍威獣、禍特対、外星人そしてウルトラマンと嘘てんこ盛りのシン・ウルトラマンとでは当然いわゆる「SFボリューム」の調整も違うわけですから、あまりそこでムキになってもしょうがない。そんなこと言ったらシン・ゴジラだって前半あんなにリアリティ頑張ってたのに、最後は無人在来線爆弾と「血液凝固剤をポンプ車で経口投与」で解決しちゃうという、まあまあひどいSFだったわけだし。

その点、外星人にころりと騙されちゃう政府と「神永さん、どこ行っちゃったの?」が許される組織が危機に対応するという、いい具合のゆるさの中で話が展開されるシン・ウルトラマンの方が世界観としては破綻が小さい。映画館でポップコーン食べながら見るのにちょうどよく、上映期間終了後にアマゾンプライムで寝っ転がって酒飲みながら見るのが今から楽しみです。あと、時間はかかるかもしれないけど続編も期待できそうですね。最後に「お帰りなさい」と言われたんだから、次は「帰ってきたウルトラマン」てことだよね。

さて、そんなことでシン・ウルトラマンのテーマソングが米津玄師というのも納得の採用です。この曲はニューミュージックで育った世代(=60年代に生まれて80年代に色気づいた世代)にもわかりやすいし、もちろん今の若い世代の代表でもある。この映画を見に来る人すべてがわかるし、映画のエンディングに流しても格調が足りないこともない、豪華なアレンジもされている。ボリューム調整の腕、満点。

【3日後の追記】映画音楽的格調をキープするというお題で、出だしをどう始めるか、の参考にしたのがドヴォルザークのジュピターだったんじゃないかな。出だしとサビはこれの翻案だと思うけど、これによって格調を保証した感じ。なにせいまの日本でいちばん不謹慎と言われない曲だもんね。【追記終わり】




桑田佳祐が世良公則、Char、佐野元春、野口五郎と組んで作ったチャリティソングはすみません、拍子抜けでした。眠い。

2022/03/27

NIAGARA TRIANGLE vol.2 40th Anniversary Edition /NIAGARA TRIANGLE

 3月21日発売のナイアガラトライアングルvol.2、試しに池袋のタワーレコードを見に行ったら3300円の通常盤が置いてあったけれど、昨年の部屋の模様替えでCD置き場を大幅削減したのでダウンロードorサブスクで聴けるものは買わないことにしてしまっているので見送ってApple Musicのサブスクで聴いています。

CDは本当に資産価値がなくて、翌月の支払いに怯えながらカードで買い込んでも売る時は二束三文になってしまう、どころかただでも引き取れないと言われてしまうこのご時世、コレクションするならアナログディスクかなあ。でも、かける機械を持ったことない♪大瀧詠一のあの世からのライナーノーツでも付いてれば買いますが…。

さて、そんなApple Musicのサブスク音質でもAirPods Proで聴いていると過去にCDラジカセなどで聴いていたときには聞こえなかった音が入っています。「A面で恋をして」の2番、クラクショーンならしてー♪の後ろで鳴っている低音のアメ車っぽいクラクションの効果音は今回初めて認識しました。

さて、NIAGARA TRIANGLE vol.2は大滝詠一、杉真理、佐野元春というメンバーのコラボレーションですが、佐野元春は佐野元春でそれなりに聴いていましたが、杉真理はあまり意識して単品でチェックしたことがなく、若い頃に竹内まりやと音楽活動をしていたんだって、くらいの知識しかありませんでした。ヒット曲もいくつかあったような気がしますがあまり記憶にない。「バカンスはいつも雨」はこの人だったかしら?というくらい。このアルバムだとボーナストラック含めた5曲でメインをはっているので改めて聴くことができたのですが、こんなに原田真二に似てたっけ?というのが感想です。

杉真理は年齢的には原田真二よりも年上ですが、メジャーで売れた時期は原田真二が先だったと思われます。声のビブラートや原田真二が作るポップス系の楽曲と印象がかぶるところが多く、市場では後発になってしまったかな?村田和人と山下達郎の関係に似ているのかも?

2022/03/13

川本真琴/川本真琴

SNSのタイムラインに川本真琴の作品がサブスクリプションに対応しました、みたいなニュースが流れてきました。ああ、そういえば昔、ギター弾いて歌ってる女の子がいたなあと懐かしい気持ちになったのでApple Musicで検索してみたらありました。YouTubeで公式MVが見られるようになったのも最近のことのようですね。→公式YouTube「愛の才能」

とりあえず「愛の才能」が入っているLP聴けばいいかなと思って出かけるときにiPhoneで再生しながら徘徊してみました。
このアルバム、発売が1997年なんですね。
ちょうどその直前の数年間、私は三十過ぎて仲間とオリジナル曲作りに勤しんでいたので、変な影響を受けたくなくて、あまり他人の曲を熱心に聴くということをしていませんでした。だから川本真琴がテレビで歌っているのをみてもフォークギター持って歌っているビジュアルに騙されて、新しいフォークソングの子が出てきたのかな?くらいにしか思ってなかったのですが曲にクセがあって、ちょっと引っかかる存在ではありました。「愛の才能」については先に岡村靖幸をちゃんと聴いていればそのつながりがすっきり腑に落ちたんだと思うのですが、岡村靖幸自体をあまりよく知らなかったので解釈の仕方がわからなかったんですね。
遅ればせながら、ちょっと前に岡村靖幸の「家庭教師」を聴いたので、今なら「愛の才能」が思いっきりその地続きの曲であることがよくわかります。
岡村靖幸プロデュースの曲でデビューしているのでファーストアルバムも岡村靖幸プロデュースなのかと思って聴いていましたが、2作目以降の曲は川本真琴自身が曲を書いています。崎谷健次郎が斉藤由貴をプロデュースしていたようなどっぷりつかった関係性ではなく、岡村孝子が最初だけ来生たかおの曲を歌っていたような感じだったんでしょうかね。

川本真琴の歌唱は現代の音楽配信で活躍する女性歌手にも共通の、メリハリの効いた声と達者な表現を備えた、若干のアニメソング臭を感じさせるものです。今の人たちほどのやり過ぎ感はないので抵抗感はあまりない。もっと長く一線で続けていけた気がするのですが、テレビに出て歌うような時期はあまり長くなかったですね。


2022/02/12

BADモード/宇多田ヒカル

昨日書いたmiletさん、「落ち穂拾い」の人はMilletだよな、なんで"L"を1個減らしてるんだろうと思ってるんだけど、その綴りのおかげでGoogle検索でも"milet"で検索するとほぼこの人の情報にしかヒットしないんで、これはこれで大したネーミングなのかもしれない。僕も"rouseau"って名前で大真面目かつやたら自信満々にヘタウマなトラックを発表し続ける、痛いシンガーソングライターとして活動しようかな、などと妄想します。

閑話休題、宇多田ヒカルも新作アルバムが出ているので聴いています。とは言え近年でシングル曲として発表してきた曲が多いので今日は1曲1曲の話はあまりしないですが。

とにかく私のレベルだと宇多田ヒカルに振り落とされないように聴き続けるのが年々大変になってきています。本とかでもだらっと読める新刊本ばかり読んでいるとハードカバーの長編小説とか学術書(?)とかは相当頑張らないと読めなくなるじゃあないですか?読みづらい作品が悪いのではなくて読む努力を忘れてしまった読者が悪いわけです。消費するにもそれなりの研鑽やら精進やらが必要です。宇多田ヒカルは純文学ですからね。

いみじくも昨年夏の国際的スポーツ大会のオープニングなんかでも露見したとおり、食べやすい飲み込みやすいものばかり消費しているとファインアート的なものがどんどん衰退していって、ここだけは格調高く決めなきゃいけない頑張りどころでもサブカルノリの表現しかできなくて恥をかくことがあるってことは自覚してないといけないですね。

さて、今私が宇多田ヒカルのなにに振り落とされそうになっているかと言うと、彼女の曲がどんどんシンプルというかミニマルというかになっていっていて、おそらく進化の方向としては正しいのだと思うけれども、昔ながらのキーボード、ベース、ギターが和音をしっかり支えてその上にボーカルとコーラスが乗っかっているトラックじゃないと落ち着かない、というのがあるわけです。音はすごく良くて、スカスカということではなく空間はちゃんと埋まっているんだけど、要素を分解して聴いていると打楽器とキーボードのアルペジオがループしている空間に宇多田ヒカルの多重録音されたボーカルが浮遊しているだけだったりするわけです。かろうじてタイトル曲の"BADモード"はまあまあ穏当なJ-POP風ですけど。

参考までにApple Musicで手っ取り早く今の「最新ヒットのプレイリスト」なんかを流してみるとやはりかなり聴きやすい曲が並んでいるんですね。ちゃんとキーボードがコードを鳴らしてベースが輪郭を付けてくれて聴いてる方が不安になることがない。昔に比べるとどの歌手もそこそこ上手だし退屈しないように次から次へとフックが入るし。

また、最近のApple Musicは歌詞もカラオケボックスみたいに曲の流れに合わせて表示してくれる機能もついていて、聞き取れなくても歌詞カードにどう書かれているかの確認も容易にできます。それにしても最近のJ-POPの風景の無さはすごい。全部自分の頭の中のこと、自分と戦う歌ばっかりだ。今の若者、自己責任がすっかり身についています。

宇多田ヒカルの歌詞も日本語部分はかなりミニマルな感じになっていますが、実は英語のコーラス部分でかなりの情報、風景や行為についてストレートに語っていることが多く、そうすると辞書で単語の意味を調べたり、Google翻訳のお世話になったりしながらいちおう確認しておかないと意味がまったく取れないままになってしまうわけです。客だからと言って楽しちゃいかんということです。

2022/02/11

visions/milet

 あけましておめでとうございます(^_^;)

2022年も明けないコロナ禍、在宅勤務メインでさほど多忙でもないのですが相変わらず新しい音楽には興味が持てず、開店休業状態は続いています。

事務所に出勤しない平日の朝に時計がわりにつけているテレビ。2020年春までは6時台には通勤電車に乗っていたので午前7時以降の各局がどんな番組をやっているのかもよく知りませんでしたが、このところ7時以降はテレビ朝日固定です。専門知識もないのに声だけ大きいコメンテーターが出てこないので、モーニングショーがいちばん冷静に見ていられるのでね。

で、羽鳥慎一モーニングショーのオープニングでちょっとクセのある声でテーマソングを歌っている人は誰かいな?と思っていたらこの人が番組に出てきて「番組テーマソングが収録されたアルバムが出るよ」と告知をしていたのでApple Musicで検索したら出てきました。定額の課金をしているので特に追加料金を払うこともなく全曲聴くことができます。しかしながらアルバムならびに各楽曲についての情報についてはほとんどなく、オフィシャルサイトを見ても誰がプロデュースしているのか、作詞・作曲・編曲はだれがやっているのかわかりませんでした。ただ紹介されていた番組で玉川さんのインタビューに答えてこういう風に作りました、という話をしていたし、シンガーソングライターとして紹介されているようなので、少なくとも作詞・作曲はやっているんだろうと思います。

いずれにしても15曲中9曲がなんかのタイアップになっていて、ああこれも聴いたことあるかな、という曲が並んでいるので頭から尻尾までふんふんと聴いていけます。モーニングショーのオープニング曲(M13 "Wake Me Up")もテレビで流れると普通の景気の良い曲だと思っていましたが、フル尺で聴くとテレビで使われている箇所の前後になぞの半端な拍子が挿入されていて実は一筋縄ではいかない作りになっているのが初めてわかるようになっています。あとNHKのオリンピックのニュースに使われている曲もあるかな?

まあ楽曲の成り立ちはともあれ、まず声が個性的で良いですね。ここ数年、各種SNSやアニメ主題歌などで頭角を現してきた歌手の皆さんは少なくとも配信されている音源で聴く限り大変お上手で良い声の人が多いですが、昔の玉石混交のドメスティックな歌謡曲・ニューミュージックを聴きなれた私からするとみんなボーカルスクールの優等生的な歌い方であまり入ってこない。miletさんはもうちょっと濃くてスケール感もあって、洋楽のボーカリスト的感じがしてこっちの方が素直に打ちのめされる感じがして良いです。

過去にも伊藤由奈とかJ-POP的でないスケール感のある女性ボーカルはときどき出てくるのですが、いつの間にかいなくなってしまうので寂しく思っていました。J-POPの製造ラインにはこの手の女性歌手が手に余るのか、楽曲がついてこれない感じがしているのですがなにか構造的な弱点があるんでしょうか?その点、この人は自分で曲を作っているようなので頑張ってくれるんじゃないか、と現時点では期待しています。


2021/07/04

AXIA 〜かなしいことり〜/斉藤由貴、斉藤由貴、上白石萌音

上白石萌音が懐メロのアルバムを出すよ、というニュースがテレビだのYouTubeのおすすめだのに出てくるので、見るとはなしに見ていたところ、曲名の中に斉藤由貴のAXIAが入っているのに気がつきました。

上白石萌音は顔が古いとか、宮崎美子そっくりとか、可愛くないのになんで売れてるの?とか言われているみたいですが、オッサンから見る限り十分かつお釣りがくるくらい可愛いし、歌が歌えるんだから、そりゃ仕事は来るだろうと思うんだけど、確かに女性ウケは悪いタイプかもしれない。

そういえば僕らの学生時代にも、すごい美人ということもないのに、なぜか男子学生から人気があって彼氏は切らしたことがないような子はいて、女子の間では「なんでブスなのにモテてるの?」と噂になったりしていたような気がします。そういうタイプ。

若い頃の斉藤由貴はビジュアルのレベルも高かったけれど、キャラクターが変だったし、ちょっと田舎っぽいイメージもあったので、そういう意味では土石流萌音と似てないこともないと思うから、今回の懐メロ・トリビュート企画の中に斉藤由貴の曲が入ってくることはなんの不思議もないんだけど、「AXIA」とはくさいところを突いてきたなあ、とは思いました。

「AXIA」は斉藤由貴のファーストアルバムのタイトル曲で、ファンの間ではすごく人気がある曲だとは知っているけれど、「卒業」とか「白い炎」とかのシングルヒット曲に比べると認知度は低く、私自身は初期の斉藤由貴は遠目で見ている感じだったので、自分では音源として購入したことはないナンバー(ベスト盤にも常に入っているわけではない)。あと、当時富士フィルムが新発売したカセットテープ(!)のブランド名がAXIAで、そのCMにも斉藤由貴が出ていたから、それでなんとなく覚えている、ということはあります。

しかも単に過去の名曲というだけでなく、斉藤由貴本人がつい最近リリースしたアルバム「水響曲」の中で新録音で歌ってるんですよね。あの騒ぎの後でこの曲歌える逞しさには感服します。それと比べられるわけです。


比べてみました。


  • 2021年の斉藤由貴(水響曲 M3)
    声はだいぶ変わっているけれど、まあ安定していますね。今にも崩壊してしまいそうな危うさを感じさせつつ破綻はしない、ヘタウマ芸に磨きがかかっている感じ。バックは生ピアノ。
  • 1985年の斉藤由貴(AXIA M5)
    ドラムはシンセ(シモンズかな)、ベースもシンセ、当時のアイドル歌謡のキラキラサウンドで、物騒な二股の恋を歌っています。デビューアルバムにして、もう歌い方が完成しているんですね。この頃の斉藤由貴がどのくらいの恋愛経験があってこの曲を歌っているのか知りませんが、文学少女だったようなのでフィクションとしては十分ありの世界観だったでしょう。
  • 2021年の上白石萌音(あの歌-2- M3)
    はい、声の出し方うまいです。でもちょっと棒読みですね。これならお父さんも安心な現実感のなさ。本人もよくわからない、とYouTubeで言ってたのを信じておきましょう。

SOFTLY/山下達郎(初回限定版)(特典なし)

 先週末くらいからメディアでがんがん露出していて、嫌でも目についた山下達郎の新作アルバム、Amazonでぽちっておいたら無事に今日、郵便ポストにメール便で入っていました。 前作「Ray Of Hope」の感想文を書いたのもそんなに前のことではない、と思っていたのですが、あれからも...