「うまい・へた」問題も回を重ね、いよいよ当代随一の人気シンガーである平井堅を聴いてみました。
このアルバムが発表された時は買うかどうかかなり迷いましたが、「平井堅を2枚聴きたいか?」と自問自答した上で見送りました。
しかし「うまい・へた」問題を書いていて、彼に触れないのも不自然な気がして、銀座の山野楽器で購入してきました。
このアルバムの良いところは、2枚組にもかかわらずCDケースがコンパクトで、私のCDラックに通常のCDと同じように挟めるところです。最近はオーバージャケットとか特殊な仕様が多くて、結果として非常に整理しづらいものが多いので、それだけでも評価です。
さて、家に帰ってiTunesに読み込むとジャンルが"R&B"と出ました。
彼の唄い方の特徴は、J-POPの男性シンガーには珍しくファルセットを積極的に使うところでしょう。マーティ・フリードマン氏も指摘していますが、今のJ-POPではファルセットはメロディラインの途中で最高音の一瞬だけ使う唄い方が多く、特に男性でこんなにファルセットを多用するのは、「悲しみのJODY」の山下達郎以来かもしれません。
ざっと聴いてみましたが、地声で唄っていると確認できるのは下がDくらいから上がオクターブ上のG#くらいと思われ、杉山清貴や玉置浩二などJ-POPの標準的な男性シンガーのキーです。その上がファルセットになってCかもうちょっと上まで使っているようです。
しかも彼の場合は地声と裏声がクロスフェード(?)する領域が広いので、地声で出せるところもファルセットで唄うことがあります。その辺りの音域は地声とも裏声とも取れる声なので、声の使い方をマネをしようとすると、相当しつこく聴き込まなければなりません。裏声だと思って聴いていたら、そこからまたひっくり返って泣き節になることもあるのです。「瞳をとじて」のサビなどは聴き分けるのがかなり難しい。
これは優れたテクニックと云えると思います。
美空ひばり伝説の中に、「音声スタッフがVUメーターでチェックしていても、地声と裏声の音量が変わらない」というのがあるようですが、平井堅もその域に迫っています。
その結果として彼の歌声はとても特徴的で、何を唄っても平井堅になってしまいます。それが「大きな古時計」でも…。
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