2009/07/04

Around40 〜サマフォー〜/オムニバス

このタイミングならMJ問題とかやればアクセスが稼げるんでしょうが、見解が持てないので分かりやすい邦楽オムニバスの話にします。

TVでコマーシャルもやってた気がする恥ずかしいオムニバスアルバム「サマフォー」を買ってしまいました。なんでも人気投票かなんかやって選曲して、帯には「今の私も歌えちゃう15曲」なんて書いてある、ぁぁああ…。


01 夏を待ちきれなくて/TUBE
季節労働バンド、とかの自虐ネタも含めて「偽サザン」ぶりが板についた頃の1曲。あー、こんなにテンポがゆっくりだったんだ。前田亘輝が一番声が出てた頃なんでしょう、1オクターブ半を越える歌メロをゆうゆうと歌っています。
(ボーカルの音域、以下同じ:E3-A#4) 

02 世界で一番熱い夏/プリンセス プリンセス
しかけが一杯で楽しい曲ですね。過去に聴いた名曲を俯瞰して、良いところを抽出して書いているのが良く分かる。奥居香はそういう作家みたいです。サビの元ネタは"Can't Take My Eyes off of You"でしょうか?奥居香は一番目立つサビを引っ張ってきましたが、広瀬香美はAメロとBメロを巧妙に使って「ロマンスの神様」を作った。私はそれにずっと気づかなくてつい最近気づいて、今は「今夜飲み会〜」のあたりで「もう気づけよ、もう気づけよ」と云われている気分になる(余談)。
(A3-C#5)

03 私の夏/森高千里
ブレイクした前後の金属的なサウンドはすっかり改められて超オーソドックスなバンドサウンド。こういう「へたうま」な感じって、世知辛い今の世の中で新しく出てくるのは難しいんでしょうね。
(G3-C5)

04 夏の扉/松田聖子
あーこれ高校生のときだ。吹奏楽部が文化祭でやってた。
この曲って1オクターブで出来ているんですね。
(B3-B4)

05 モニカ/吉川晃司
この曲はもう、当時いろんなこと云われ尽くした気がします。今回改めて聴いてイントロが「フットルース?」と思ったけど、どっちが先か分からないくらい同時期なんで見立て違いでしょう。
(F3-F4)

06 アクアマリンのままでいて/カルロス・トシキ&オメガトライブ
男性ボーカルとしては驚くほど高いところ(F4あたり)から始まるので、どうなっちゃうのかと思うと意外と常識的な音域で収まる不思議な曲。転調を絡めながら絶対的な音域は1オクターブ。最後に転調したコーラス部分ではA#くらいまで使っているみたいですが。稲垣潤一と同じタイプで、うまいのか下手なのかよくわからない歌いかたです。
(G3-G4)

07 ふたりの夏物語/杉山清貴&オメガトライブ
杉山清貴については「うまい・へた問題」の時に書いたので、声については割愛。チョッパーベースとクリアなギターカッティングのバックに、レファドラとかファラミドとかM7コードをシンセでバラして弾いたサウンドに乗った、「白いセダン」と「海」と「人魚のようなオネエちゃん」が出てくる歌っていうのがいっぱいあったんだよなー。「キール」と「ディンギー」がなんなのか結局分からないままカラオケで歌ったなぁぁああアア…(脳みそが痒くなってる様子を表現中)
(F3-G4)

08 ラストショー/浜田省吾
浜田省吾は買って聴いたことがないです。大学時代、父が失業してて貧乏だったので名古屋の大学生としては致命的なことに車を持っていなかった僕は、いつも友人の車に便乗させてもらっていました。その間に助手席でお腹いっぱい聴いちゃった感じです。感性がすごく普通で、基本真面目なんだけどちょっと不良っぽいのにも憧れる当時の健康な男の子の気持ちとシンクロしやすかったのでしょう。僕は若い頃から病んでいたので、ちょっとこの世界は恥ずかしかったです。ボーカルと歌詞が暑苦しい割にコーラスの感じとかは杉真理なんかと共通な可愛さがあり、そのアンバランスさにも抵抗がありました。
このCDに入っているのは91年のリメイク版だと思いますが、後の作品"J.BOY"と良く似ています。
(F3-F#4)

09 夏のクラクション/稲垣潤一
あ、噂していたら出てきましたね、稲垣潤一。
この人も以前書きましたので、詳細は割愛しますが、この曲は意外と低音も使っています。声の出しかたが上も下も変わらないので、そういう意味ではうまいのでしょうね。
この曲の情景を想像すると、お金のない稲垣潤一はいつも彼女に車で送ってもらってたんでしょうか?石巻あたりの人でしょうか?2番では波間で手を振ってるし、訳が分からん。「夏のクラクション」って、響きはカッコいいが意味を考えると結構まぬけです。
(D3-G4)

10 夢をあきらめないで/岡村孝子
世の中にレンタルビデオというものが現れたとき、狭い部屋で両親と同居していた私は、あまり物騒なものも借りられないので、音楽ビデオをよく借りて見ていました。岡村孝子のライブというのも借りてきましたが、そのMCのエンターテインメント精神のかけらもないところやたまにキーボードの前に座ると小節の頭のコードを白玉で弾くだけという演奏スキルに半ば呆れつつ、善意の塊のようなファンとの関係にちょっと鼻白んだ覚えがあります。
ところでこの曲のどこが「サマー」なんでしょうか?「乾いた空」は私の感覚では晩秋から冬の季語だと思いますが…。
(G3-A#4)

11 MOON/REBECCA
この曲も、ひとことも夏という言葉は出てきませんが、音色(おんしょく)は夏といえば夏のような気がするからまあいいか。歌詞をじっくり読むと、バブル前夜の80年代後半の日本にも階級らしきものがあったことが分かりますね。日本の音楽って一部の極端な例を除いて社会性とか感じないんですが、そういう意味では洋楽的アプローチなのかな?こういう音がかっこ良かったんだよなー、この頃。
(B3-C#5)

12 LA・LA・LA LOVE SONG/久保田利伸 with ナオミ キャンベル
この曲も歌詞というより音そのものが夏、という見立てでしょう。
「メリーゴーラウンド」と「(とーまる)くらいの」のメロディが、ミミレミなのかミレレミなのかどうしても聞き分けられません。
(D#3-G#4)

13 あなたに会えてよかった/小泉今日子
この曲も夏とは云ってませんが「星」とか出てくるので、我々にとって「星空を見る行為」が夏なのかな?キャンプとか林間学校とかのイメージ?プロは冬なんでしょうが。あるいは「素敵な恋」が夏?猫じゃないんだからさあ…。
小泉今日子の歌唱力はデビュー当時からほとんど変わっていませんが、うまくオーラを纏うことでOKにしてしまえた違う意味での実力派。
(A#3-B4)

14 サマータイム ブルース/渡辺美里
イントロ-A-B-A-B-C-A-B-C-D-間奏-C-D-D-D-エンディング。Cだけ転調。本当のサビ(D)がなかなか出て来ないけれど、ひとたび出てきたら後は間奏を挟んで畳み込み、という大きな構造の曲です。音域も広く、いかにも渡辺美里と言う感じ。作曲は誰だろうと思ったら本人の名前が書いてありました。へえ。
(G3-C5)

15 夏の終わりのハーモニー/井上陽水・安全地帯
それで最後がこれですか?ベタだなあ。どのくらいベタかというと、名古屋の外れのスナックに地元中小企業の若手社員が集まって好き勝手歌いまくって、閉店時間になるとリーダー格(主任クラス)が「マスター、あれ」とか云って代表2名で必ずこの曲を歌って帰っていた、というくらいベタです。
今のJ-POPからすると最低音がかなり低いですが、本来日本人男子の音域というのはこの辺が普通。上のFが出ると高い声が出る、と褒められたものです。今はカポ4つ分くらい上ですね。
(B2-F#4)

このシリーズはまだ続くらしく、CDの中に「Around 40 "バラードソング募集"」という紙が入っていました。インターネットで応募できるらしいです。ぁぁああア!
ちなみに会社の同僚にこのサマフォーを「貸してやろうか?」と云ったら「音源全部あるからいらん」と云われました。カルロス・トシキは無いだろう、と思うんだけど…。

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