決定盤!!「ニュー・ミュージックの時代」ベストの中からピックアップして書いています。
M5.ルビーの指環/寺尾聰
さて、M1の井上陽水(氷の世界)が持っていた日本のアルバム売上記録を破ったのが1981年に寺尾聰が発表した"Reflections"です。
当時の寺尾聰は、年齢的にもアイドルではありませんでした。また、グループサウンズ時代の人気もそれほど突出していた記憶もありません。お父さんが宇野重吉というのも微妙な、石原プロ制作のドラマで脇役をやっている個性派俳優でしかなかった。
この人が何故売れたのか?その理由は当時も今もこれという解説がありません。
今、「ルビーの指環」をあらためて聴いてみても、歌がうまいわけでもなく、これと言って盛り上がりがあるメロディでもありません。
特徴はあります。
まずキーが低い。最低音の「うーしなってからー」の「ら」はG2です。オクターブ上げて女性が唄ってちょうど良いくらい。M1.井上陽水ともオクターブ違う感じ。
それから、この曲が売れている当時、宮川泰さんが「後ろに行くほど音が下がって行くメロディは珍しい」と評論を書いていました。サビに向かって高揚していくのが普通なのに、この曲は「もり下がって」行くのです。そしてこの、不景気なメロディを井上鑑がShakatak風フュージョン・サウンドに仕上げたところ、当時の日本人のツボにハマったということのようです。
それと、ボーカルの処理。噂では主旋律2本、コーラス2本で少なくとも4本は本人の声が重ねてあるだろうと云われました。この声の処理によって、地声の善し悪しやうまい・へたを越えた人工的な声が作られ、それがバックのサウンドに合わさった時の不思議な味わいは、当時とても新しく洒落たものに聴こえました。ジャンルは違うが、テクノポップを通り過ぎて、こうした加工度の高い音がカッコイイという風に、我々の耳が慣らされてきたのでしょうね。
この曲が流行った10年くらい後、私は名古屋・栄の夜の街角でフォークギター1本でこの曲を歌っている若者を見たことがあります。私はその選曲センスに驚くと同時に彼の行く末が本気で心配になりましたが、今頃どうしているでしょうか?
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