そして話は時代をさかのぼって"Sim City"に移ります。
私が平沢進作品が好きな理由は電子音楽でありながら、素朴に「歌もの」として楽しいことで、その典型が"Sim City"です。
発売は1995年、私が友人たちと今のところ最後の作品を作っていた頃です。PC98に入れた"Tool de Music Lite"でカラオケを作り、ギターをかぶせたりかぶせなかったり、コーラスを入れたり入れなかったりしながら、カセット4chのMTRにオリジナル曲を作っていた頃ですよお立会い!
私一人じゃ心もとなかったんで、高校時代にベースをやってたもう一人の作曲ができる相棒と、ボーカル用に友人を2人巻き込んで。オフコース好きだったので、アルバムにはいろんな人の声が入ってた方が良いと思っていたからです(ユニコーンは今でもそうですね)。
もはやうろ覚えですが、このアルバムは"Sound & Recording Magazine"で特集が組まれ、インタビューの中で平沢進はトラック作りに使用するコンピュータはAmigaであると言っていたと思います(もちろん、当時でも主流はMacです)。
そして聴いてみたら、これが電子音楽であるにもかかわらず、手作り感あふれるものでした。ボーカルにかかるエコーにしろ、シンセの音色にしろ「とにかくつまみをめいっぱい回してみました」みたいな侠気溢れるきっぷの良い音作りにノックアウトされました。
タイトルの"Sim City"は当時すでに同名のゲームもありましたが、人工的なタイの街並みの印象に由来しているのだそう。アルバムにはそのタイのニューハーフが(つまり人工的な性として)コーラスで参加しています。
そして「歌もの」としての楽しさ。平沢進の声は民謡寸前のドメスティックな歌唱で、歌詞中の英単語の発音もめちゃめちゃカタカナっぽいんですが、とんがったコンピュータ・サウンドのオケとも相性抜群で、オリジナリティ豊かなものになっています。カーステレオかけながら一緒に歌うと楽しいことこの上なし。覚えやすいメロディなので、今からでもぜひやってみましょう。
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