2019/01/06

あなたとトゥラッタッタ♪/DREAMS COME TRUE

さて、無理に若い人たちの話をしたままで正月休みを終えてしまうのも居心地が悪いので、最後に同年輩の人たちの作品について書きます。超ひさしぶりにドリカムの話です。

DREAMS COME TRUEについては最初の10年は本当に大好きで、新しいアルバムが出るたびに発売日にCDショップに行き、カーステレオで聴きながら帰ったものです。アルバムでいうと、「the Monster」までかな。そこからはおそらくアルバムは買っていません。デビューが平成元年です。私は「彼は友達」で引っかかったクチでその後遡ってファーストアルバムまで聴いていますから、まあ30年前からのつきあい(?)です。

私がドリカムを聴かなくなった直接の理由は宇多田ヒカルが出てきたからです。宇多田ヒカルは当時人気のあったアーティストの何組かを押しのけてしまいましたが、私の中で直接宇多田ヒカルによって駆逐されてしまったのがドリカムです。いや、ホント申し訳ないです。その理由は長くなり、かつ結果としてドリカムの悪口になるのでここでは省略します(過去の記事にはもう少し詳しく書きました)。

今回、「あなたとトゥラッタッタ♪」を取り上げるのは、NHKの国民的ドラマの主題歌として聴くとはなしに聴いていたのと、移動中のFMラジオで聴いたのがきっかけです。まあ、気になったというか聞き捨てならないというか。
だって、朝ドラの主題歌で、この曲調といえば40代以上の方はいやでも1992年の「晴れたらいいね」を思い出さざるを得ないと思います。当時の上り調子、直前に「決戦は金曜日」をリリースして人気絶頂、なんでもできるときの「晴れたらいいね」と、すっかりビッグネームになったとはいえ、年齢もある程度いってメンバーにもいろいろあったあとでの今のドリカムが、およそ30年後にこの曲調で出してきた意味はなんなのか気になるじゃないですか。

私はiTunesでダウンロードしてしまいましたが、円盤で買うとカップリングで「晴れたらいいね」のニューバージョンも収録されているようです。

「晴れたらいいね」はあっけらかんとした良い曲で、当時のドリカムの勢いを体現したような曲だと思うけれど、今聴くと「やっぱり『雨にぬれても』を踏襲しすぎだよなー」と思ってしまいます(それがオシャレなんじゃないか、という意見はアリです)。「晴れたらいいね」の作曲は吉田美和ひとりの名前になっていて、この頃の彼女は「曲が天から降りてくる」みたいな発言をしていた、と当時の中村正人がラジオで語っていた記憶があります。
私も1995年ころまでオリジナル曲の作曲を仲間うちでやっていましたが、私の拙い経験では「天から降りてくる曲」というのはたいてい自分でも忘れていた昔の超有名曲にそっくりだったりしたものです。
しかも中村正人がよせばいいのに、「このメロディならこれ」って元ネタそっくりのおまけまでつけてしまうものだから…。

「あなたとトゥラッタッタ♪」は曲は中村正人と吉田美和の共著ということになっています。最近の曲作りの分業体制がどうなっているのかもまったく知らないのですが、天然の吉田美和、計算の中村正人という役割はおそらく変わってないと思います。元ネタはわかりませんが、ミュージカルナンバーまたはディズニー映画のタイトル曲にありそうな、オールディーズ的であり、かつきらびやかなものになっています。ドラマのオープニングという課題も尺も計算した、上手な作り方です。
「晴れたらいいね」の出だしはハ長調でいうとCのコードからあっけらかんとベースが下降していく進行でしたが、この曲はFから始まりG7を経由してCに戻ってくる形で、30年分の経験が滲んでいます(んなわきゃないか!)。そういえば昨日の「Lemon」もいわゆるサブドミナントコードから始まっていました。この方が頭良さそう?

追記です。一晩たって気がついたんですが、「晴れたらいいね」はA-A'-B-C-C的な1コーラスだったのを「あなたとトゥラッタッタ♪」では縮めてA-CにしてCを前に持ってきたんですね。共作者・中村正人はその仕事をしたのでは?

歌詞については「晴れたらいいね」時代の細かい生活のディテイルは省略されて抽象的なものになっています。かつての「(野球観戦前に)メガホンとクリスプを買い込んで」みたいな世俗的なくすぐりはなくなっているのが、昔のファンとしてはちょっと物足りないかも。



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