2020/08/13

日本の人/HIS

 お盆休みに入ったけれど、新しいものは仕入れていないのでちょっと古いのを聴いてみます。

これもCDで買ったんですが、今はApple Musicから落として聞いているHISの「日本の人」というアルバム。Hosono,Imawano,Sakamotoの頭文字をとってHIS、わかりやすい。ちなみにSakamotoはRyuuichiではなくFuyumiです。Apple Musicのビジュアルは熨斗を模したジャケットのみですが、CDのブックレットはなぜか学生服姿の細野、清志郎とセーラー服の坂本冬美がはしゃいでいる写真が並ぶ不思議なものでした。RCサクセション活動休止後の1991年に発表され、そこそこヒットした、とWikipediaに書いてあります。私は当時愛知県民で小市民的マイカーを持っており、ようやく搭載された我が車載CDで聴く音源を漁っていた時期。ちょっと面白そうなのがあると買い込んでいた時代だったので、発売間もない頃に買いました。

細野晴臣も忌野清志郎も当時は既にオジサンでしたが、坂本冬美は当時久しぶりに現れた若手美人演歌歌手(藤あや子や伍代夏子が売れたのは坂本冬美より後。島津亜矢ファンの人にはごめんなさい)で当時は二十代前半のはずです。猪俣公章センセイの家で雑巾掛けから始めた本格派ですが、どうやら根っから演歌バカではないようで若い頃からロックやポップスへの興味を隠していませんでした。

アルバムにはオリジナル曲以外にジミ・ヘンドリックス、PPM、ビートルズ、園まりなどのカバーが混在した14曲(後日再発売でボーナストラックが追加された版もあるとか)が並びます。坂本冬美が演歌のシャウトで歌う「パープルヘイズ音頭」は大滝詠一が布谷文夫と作っていた音頭ものを思い出す感じ。ユニゾンパートが多いので、忌野清志郎がほぼ全篇キーの低いところで歌っているのもレアな感じがします。細野さんは下のパートのコーラスと、たまーに出てくる感じで、ほぼ忌野・坂本の掛け合い、または坂本冬美のソロが続きます。

若い頃にこういう仕事をしていたので、その後の坂本冬美が演歌以外のカバー曲で一山当てた時も別に意外な感じはしませんでした。訓練を積んだ演歌歌手のボイスコントロール芸を見せるという意味では有意義なことなのではないでしょうか。「演歌的ボイスコントロール芸」というのはちょっと悪口っぽいですが、例えば「逢いたくて逢いたくて」の「ふーたりぃはこいびいいとおおおお」というビブラートを園まりバージョンと聴き比べてみるとわかると思います。

最近、ぼんやりテレビの情報番組で紹介されるビルボードトップ5とかを見ていると、アニメソング文化の中からロック色の強いヒット曲が生まれているようです。このジャンルで出てくる達者な歌い手の発声法にやはり演歌的訓練の跡が見えることがあり、その度に「騙されないぞ」と構えてしまいます。

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