結局、原田真二は天才だったんでしょうか?
3作連続リリースという前代未聞のデビューを成功させ、あのお化け番組「TBS ザ・ベストテン」の初期の常連だった原田真二は、司会の黒柳徹子に「カワイイカワイイ」と連発させ、小森のおばちゃまからは「ベートーベンのような感性」と褒められていました。そのころ福岡在住の少女・蒲池法子さんも贔屓の歌手を郷ひろみから彼に乗り換えていました(らしい)。
ロック色の強い作品を、毎週のようにテレビに出て歌ってくれる(なぜか彼には「テレビに出てくれている」というありがたみがあった)、新しいジャンルの歌手として登場した彼は、ロック系の楽曲を本格的に「お茶の間」まで浸透させた存在として、やはり長く記憶されるべき存在でしょう。世良公則もサザンオールスターズも、言うなれば原田真二(とChar)が開けた穴を通ってテレビに出てきたのですから。
そして私の印象では、彼のデビューをもって、本当に「ニューミュージック」という言葉が一般に通用する言葉になりました。
ただし、彼のナマイキな性格にも原因があったのでしょうが、ほどなく「所詮外国曲のパクリである」という批判にさらされました。本人もアイドル的な音楽活動に限界を感じたのか、自ら作詞した(それまでは松本隆の歌詞を歌っていた)"Our Song"という大げさなバラードを発表してから後は、ビッグセールスを記録することもありませんでした。また意外な新興宗教団体の広告塔になるなど、若干オカルト的世界へ行ってしまったようです。
そんなこともあって、彼の才能のレベルについて素人からは判断が難しいのですが、少なくとも音楽センスは高かっただけに本当の大物になり損ねているのが残念です。
さて、そんな彼の1曲として「タイム・トラベル」の話を書きます。
(私の記憶では)この曲は例の3曲セットのデビューが一段落した後、初めてアレンジも自身でやった曲として発表されました。「ふるいらじおがかなでーだすのは」でバックのピアノが本当にノスタルジックなチャールストンを弾き始める、などの遊び心があり、明らかに過去の日本の歌謡曲と違う音楽が始まった、と中学生の私は思いましたね。
私の心のベストテンからなかなか落ちていかない曲です。
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