2007/07/29

裸足の季節/松田聖子

中森明菜の話を書いたので、ついでに松田聖子の話も書いておきましょう。
松田聖子のデビューはネットで調べると1980年。私が高校生の時でした。この年は山口百恵が引退した年で、次にブレイクする女性アイドルがポスト百恵になる、という気分が醸成されていた年でした。
当時純真な高校生だった私は、その一番手が岩崎宏美の妹である岩崎良美であるとふんでいました。しかし、1980年が終わる頃、女性アイドルのトップにいたのは松田聖子でした。
アイドル歌手としてはデビュー年齢が高く(高校を卒業してからデビュー)、特別な美少女というわけでもなかった松田聖子をトップアイドルに押し上げたものは、本人のキャラクターやプロ根性もあるのでしょうが、まずは声でしょう。
私が(ということは当時ぼんやりとテレビを見ていた思春期の男子が)最初に松田聖子に触れたのは、資生堂のニキビ治療薬"ekubo"のCMソングでした。そこには高校生らしい美少女が映っていましたが、CMソングを歌っているのはその子ではなく、全く別人の新人歌手・松田聖子でした。ブッポウソウか!
そして、その声の印象が強かった。ちょっとそれまでのアイドルとは違う、「かーん」と響く声でした。上手くないし、音域も狭かったが、つぼにはまった時の迫力があることだけは直感で分かる、そういう声でした。

その後いろいろあって、彼女はその声一つとっても、2年目あたりで一度喉を痛めて声質が変わっていますし、結婚・出産後は更に変わってしまっています。でもその頃には松田聖子という存在自体がモンスター化して、声がどうとか曲がどうという存在ではなくなってしまいました。
彼女を題材にすれば、本が何冊も書けるような存在になってしまったので、そのキャリアを要約することすら難しいのですが、結婚しても出産してもアイドルの延長で仕事ができることや、女性歌手でもスキャンダルがほんとうに肥やしにできることなど、様々なことを証明して見せながら、今もまだ彼女が前に進んでいるということは、尊敬に値するのではないでしょうか。

私の嗜好からも、松本隆や財津和夫、大滝詠一、細野晴臣などの人名を絡めて書きたいのはやまやまなんですが、それはまたいつか…。まず第一に松田聖子は声の人であるということを訴えて、続きはまたの機会にしたいと思います。

2007/07/26

BLONDE/中森明菜

今やなんだか分からなくなってしまった中森明菜が、絶頂期に出した地味な曲です。こういうのでもチャート1位が取れていたのだから、勢いがあったんですね。

中森明菜 - AKINA BOX - BLONDE

もともとこの前後に出した全編英語のアルバム"Cross My Palm"に入っていた外国人作家による曲です。当時から発音は"?"でしたが、曲はみんな良かったので、よく車の中でかけながら走っていました。

彼女が失速してしまったのは、私生活上の問題もあったのでしょうが、スタッフの力が彼女の存在に負けてしまっていたんでしょうね。早い時期にもっと歌やダンスを勉強させていれば、生活を管理しておけば、長もちしたと思うんですけど。
結局デビュー時に持っていた才能(自己流の表現)だけで行くところまで行って、袋小路に入り込んでしまいました。もったいないですね。

2007/07/24

ふるさと/モーニング娘。

集団で唄うアイドルには昔から興味が無くて、当然のように「LOVEマシーン」以前のモーニング娘。についてはほとんど知識がありませんでした。
ただ、アリス、オフコースまたはゴダイゴなど、ブレイクした後で以前の作品が再評価されることは珍しくなく、私も「LOVEマシーン」のヒットをきっかけにビデオクリップ集等をいい歳してチェックしてみたりしました(おかげで初期のメンバーの名前は覚えた)。

この中で一番気に入ったのが「ふるさと」です。とりあえずイントロと間奏の同じフレーズの繰り返しが好きです。安倍なつみもこの頃は儚げで可愛かったし。

モーニング娘。 - ふるさと - EP - ふるさと

今までに「ふるさと」というテーマでどれほどの流行歌が作られたのか知りませんが、'60年代生まれの私たちが知っている「ふるさとの唄」は、一度出て来たら簡単には帰れない、集団就職の青年の主張のような曲が多かった。しかし、20世紀末にしてようやく「次の休みに少し帰る」故郷が歌われたのです。
財布にお金がなくてもクレジットカードがあれば、JRや空港の自販機で切符は買えるし、後は2〜3日の休みがあれば、少なくても国内の故郷に帰るのはそんなに難しいことではありません。どちらかというと、休みは休みで約束があるしぃ、みたいなことで帰りそびれるのが今の「ふるさと」です。

皮肉にも歌っている本人たちはこの頃まだハングリーかつ超多忙だったのかもしれませんが、この曲が届く先にいる若者たちにとっての故郷はそういうカジュアルな(?)ものだったことを思うと、やっぱりつんく♂って頭イイのかもと思わされました。

2007/07/22

夏草の線路/遊佐未森

出張続きで更新できませんでした。今日から再開です。

さて、今日のお話は遊佐未森です。
「夏草の線路」はアルバム"HOPE"に入っていますが、このアルバムは遊佐未森の、初期路線の完成と思われる作品でした。この後、私の印象では楽曲がどんどん地味になってしまい、聴くのが辛かった時期になります。「アルヒハレノヒ」で突然、ご乱心のような路線変更(それは長く続かず、また元に戻って行ったようですが)をするまで、私の中では空白となっています。

初期の遊佐未森は、外間隆史という人がプロデュースをしていて、作曲もその人がやっていました。しかしアルバムの中ではこっそり太田裕美が1曲くらい提供していました。私は太田裕美が好きだったので、1990年前後という時期に太田裕美に曲を発注する歌手とはどんな人だろう?と興味を持って聴き始めました。最初に買ったのは3rdアルバムの「ハルモニオデオン」です。これを聴いて、そこから1stまで遡ってアルバムを買い、さらに次作の"HOPE"も買ったのです。

「夏草の線路」はiTMSでダウンロードできますが、バージョン違いで"HOPE"版よりもおとなしい音になってしまって残念です。

遊佐未森 - Travelogue - Sweet and Bitter Collection - 夏草の線路 (Ruby Grapefruits Version)

私は外間隆史作品の、がちゃがちゃとした音作りの方が好きだったので、できればオリジナルである"HOPE"版で聴きたいです。

さて、私にとって「平成の太田裕美」だった遊佐未森ですが、偶然なのか何かの狙いがあったのか、この曲と前後して本家(?)の太田裕美が同じ鉄道つながりということか、JRのCMで「メタモルフォーゼください」という曲を唄いました。この2曲は曲調もちょっと似ていますし、お互いが曲を交換して歌ってもほとんど違和感がないできです。ただし、この曲は高額なCDセットにしか入っていないようで、簡単に参照してもらえるリンク先が無いのが残念です。

2007/07/16

私がオバさんになっても/森高千里


変わった声ですよね。話す声がこんな感じの女性は時々いますが、プロの歌い手で彼女以前にこういう発声で出てきた人を私は知りません。小学生が先生になんか言いつけるときの声です。なのに歌の中身が結構生っぽい大人の女性の心情なので、そのギャップにみんな騙された(本人は騙したつもりではないでしょうが)、のではないでしょうか?

先日、持田香織を変形アイドルと決めつけましたが、では森高千里はどうか?

何かで読んだところでは、アイドルとして売り出すには歳がいっていたので、詩を書かせてアーティストということで売り出した、というような裏話があるようです。
ただ、本人やスタッフの思惑はどうであれ、彼女の詩は中身がちゃんと詰まっており、その内圧から、過程はどうであれ結果としてアーティストとならざるを得なかったと思います。
どっちが上、とか高級だ、ということでなく、シンガー・ソングライターと他人が作った歌を唄う歌手とでは、体質の違いがあるんじゃないでしょうか?純粋な歌手として成功するには、森高千里が持っていた内圧とは逆に、内側が真空みたいな人がいいんだと思います。

それにしても、20代の美人女性が「私がオバさんになっても」というタイトルで歌詞を書く、自分に対する冷徹さ(というか諦観というか)はすごいなあ。自分が中年になるということに対して、男は意外と自覚が無いと思います。一足飛びに「引退後」とか「老後」をぼんやり夢想することはあるけれど、「中年になる」覚悟って、僕はしたこと無かったわ。なっちゃったけど…。

2007/07/15

彼は友達/Dreams Come True

このころのドリカムは良かった。

吉田美和のからっとした声も良かったし、当時のレベルでは歌詞への英語の混ぜ方や発音もカッコ良かった。私もアルバムを遡って購入したり、この後もしばらくは新作が出る度にCDショップに走り、帰りの車の中で包装を破いて聴きながら帰ったりしたものです。宇多田ヒカルが出てくるまでは、彼女らが一番カッコ良かったんです。

この曲は、「恋人ではない男友達と久しぶりに会ったら、前は持ってなかったマイカーでやって来て、助手席に彼女まで乗せていた。そこで改めて彼の存在に対する感情を自覚したけど、気を取り直して、良かったじゃん!と言ってあげた」という青春の1ページを歌った曲です(それにしちゃあ大げさな構成ですが、実はそれだけ彼への思いが深かった、という表現かも)。意外とありそうで無かったテーマの曲です。
「メガホンとクリスプを~」というスタジアム風景の無国籍な切り取り方が洒落ています(「風船とたこ焼きを~」じゃなくて良かった!)。ドリカムの洋楽的センスにマッチした歌詞でした。曲のタイトルも、キャロル・キングの曲の邦題とあえて同じにしてあるのも洒落ています。

ただ、その後のドリカムは大物になったが故の苦労が悪く身についてしまい、やたら権威を振りかざしたり(パロディや評論に対する執拗な抗議)、不祥事を起こしたメンバーに対する事務的な切り捨てぶりなど、大企業的暗さが目立ってきました。コンプライアンス重視のこのご時世ではありますが、長期に渡って仲良し3人組のイメージ展開を重ねててきた手前、夢から醒めたような思いを持ったファンは多かったと思いますし、なによりそういうイメージ戦略は私は空しいと思います。
あれ以来、吉田美和をテレビで見ると、なにか痛々しくて見ていられない感じがします。

2007/07/13

クロニック・ラヴ/中谷美紀

堤幸彦演出のドラマ「ケイゾク」の主題歌。歌うは中谷美紀。作曲が坂本龍一。サブカル臭がぷんぷんしますか?すみません、こういうの好きなんで。

中谷美紀 - MIKI - クロニック・ラヴ

「ケイゾク」は面白かったなあ。私は放映中は知らなかったのですが、誰かが褒めていたのを後から読んで(ナンシー関だったかも)、滅多に行かないレンタルビデオ屋に通って全話&特別編&映画を視ました。映画版はDVDで買いました。1話完結の推理劇なのに、全編を通じては「アサクラ」を敵役にしたサイコホラーな筋立てがあるという、不思議な作品でした。

このドラマの印象が強いので、今でも中谷美紀を柴田純のイメージで見ていますし、渡部篤郎を見ると、「あ、真山さん元気そうだな」と思ってしまいます。「のだめカンタービレ」の上野樹里も柴田純に見えました。

さて坂本龍一は、一時期、朋ちゃんに入れあげる小室哲哉みたいに中谷美紀用に作品を提供していて、アルバムを何枚も作っています(私は"Miki"を買いました)。

この中にも「クロニック・ラヴ」が入っていますが、YMO後期のような辛気くさい(?)曲が多い中、この曲だけが図抜けてキャッチーです。とはいっても鼻歌で歌えるタイプの曲ではありませんけど。
メロディに沿ってシンセサイザーで付けられたコードがなんとも気味悪く、でもまた聴きたい、という気持ちにさせられます。中谷美紀のつたない感じの歌唱が、その力弱さ故にトータルのバランスを壊さず、楽曲全体が一つのサウンドとしてまとまっています。

Mine or Yours/宇多田ヒカル

ベストアルバム"SCIENCE FICTION"を買った後しばらくぼーっとしていましたが、5月になった途端にYouTubeでライブ配信的なものを見かけました。配信は途中から見たのですが、過去のMVが次々流れていて、いつから新作発表になるのかわからず、見るのやめ...