このころのドリカムは良かった。
吉田美和のからっとした声も良かったし、当時のレベルでは歌詞への英語の混ぜ方や発音もカッコ良かった。私もアルバムを遡って購入したり、この後もしばらくは新作が出る度にCDショップに走り、帰りの車の中で包装を破いて聴きながら帰ったりしたものです。宇多田ヒカルが出てくるまでは、彼女らが一番カッコ良かったんです。
この曲は、「恋人ではない男友達と久しぶりに会ったら、前は持ってなかったマイカーでやって来て、助手席に彼女まで乗せていた。そこで改めて彼の存在に対する感情を自覚したけど、気を取り直して、良かったじゃん!と言ってあげた」という青春の1ページを歌った曲です(それにしちゃあ大げさな構成ですが、実はそれだけ彼への思いが深かった、という表現かも)。意外とありそうで無かったテーマの曲です。
「メガホンとクリスプを~」というスタジアム風景の無国籍な切り取り方が洒落ています(「風船とたこ焼きを~」じゃなくて良かった!)。ドリカムの洋楽的センスにマッチした歌詞でした。曲のタイトルも、キャロル・キングの曲の邦題とあえて同じにしてあるのも洒落ています。
ただ、その後のドリカムは大物になったが故の苦労が悪く身についてしまい、やたら権威を振りかざしたり(パロディや評論に対する執拗な抗議)、不祥事を起こしたメンバーに対する事務的な切り捨てぶりなど、大企業的暗さが目立ってきました。コンプライアンス重視のこのご時世ではありますが、長期に渡って仲良し3人組のイメージ展開を重ねててきた手前、夢から醒めたような思いを持ったファンは多かったと思いますし、なによりそういうイメージ戦略は私は空しいと思います。
あれ以来、吉田美和をテレビで見ると、なにか痛々しくて見ていられない感じがします。
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