2010/12/31

2010年を振り返る

12月は何も書いてないぞー、と慌ててなにかでっち上げようとして広瀬香美の新曲などダウンロードしてみましたが、彼女については2007~2008年で一定書いていて、今回の新曲からは新しい刺激を受けなかったので、見送り。
そんなわけで、年末は2010年の総論です。

今年は一段と更新が滞りまして、23本しか記事を書いていません。
週に1回くらいは音楽のことを考えよう、と思って始めたんですけどねえ。
単純にいろいろそれどころじゃない、という個人的・社会的理由もあったんですけど、今年は音楽が聴こえてこない1年でした。

昨日のレコード大賞もちらと見ましたが、あれはいよいよ業界内のお祭りになってしまって、もう消費者の意識とは関係ないですよ、と全体でメッセージを発していました。来年は無くなるんじゃないでしょうか?

移動中の車のAMラジオとか、商業施設での流れ具合で「売れてるのかな」と思わせられたのは、いきものがかりの「ありがとう」とAKB48の2曲「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」、年末になって宇多田ヒカルの「Goodbye Happiness」がちょっと頑張ったかな、という感じ。嵐も多分耳には入ってるんでしょうが、印象に残って無いです。あ、あとマイケル・ジャクソンはよく流れてましたね。きっかけがあんな不幸なことでなければ良かったんですが。

前からなんども書いていますが、J-POPは完成度という点では高くなっていて、私が若い頃のように「音程が…」とか「この声で…」というレベルのアーティストは激減して、それなりにうまい人が揃ってきています。発想を具現化するテクニックは十分あるわけですから素人がチェック入れられるような隙がない。一方で歌詞の方は放ったらかしで、未熟な言葉の断片を並べて「世代のリアルな表現」だと言って発表される。
この構造はアニメーションなんかにも似てますね。CGを駆使して完璧に作られた背景で拙い感じの線画の主人公が活躍する。もうその違和感は「伝統芸」ということで不問に付す、と。水木しげる先生も罪なことをしたもので(?)

ということで今年の「哀愁りふれいん」上の表彰作品は下記の通り。

最優秀シングル 七尾旅人/検索少年
最優秀アルバム 土岐麻子/乱反射ガール
最優秀歌唱賞 土岐麻子/乱反射ガール
最優秀新人賞 該当者無し
最優秀ミュージックビデオ マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
企画賞 やもり(森山良子と矢野顕子)/あなたと歌おう

来年はもうちょっと音楽に親しみたいです。

2010/11/28

グッバイ/小田和正

宇多田ヒカルと並んで好物である小田和正の新作が出ました。なんやら獣医ものドラマのタイアップになっている「グッバイ」です。

いつかも書いたんですが、小田さんは意識としては郷ひろみと似ているのではないかと思います。郷ひろみが50代半ばになってもジャケットをぴらぴらさせながら舞い踊るのと、小田さんが60過ぎてハイトーンで熱唱するのは、「精進が年齢を超越する生き方の実践」をファンに見せたいからとしか考えられません。そしてそれは歳相応に老いて行く同年輩(の同業者やひょっとしてファン)への批判でもあります。

それにしても最近の小田さんのマンネリズムはもう確信犯を通り越してストイックさすら感じます。
裏にアクセントのあるアコースティックギターとタンバリンは「YES-YES-YES」や「BETWEEN THE WORD & THE HEART~言葉と心」などのやり直しでしょう。歌詞も相変わらず、夏は終わるし、夢はくじけそうになるし、風は強く吹いています。おまけにサビが「Goodbye Goodbye Goodbye~」って、「さよなら さよなら」が英語になっただけ、というオチまで!

小田さんの歌詞は「じつは何も言ってない」ということにかけては最近のJ-POPの嚆矢ではないかと私は思います。
具体性が非常に乏しい。
「この」「その」「そんな」「そのまま」などの指示語がなんの前触れもなく使われ、単なる字数稼ぎではないか?詩作の作業から逃げてるのではないか?と。
だから世の中に「小田和正全詞集」なんて出版物があることを知ったときは驚きました。
好意的に解釈すると、彼の場合は下世話な具体性に満ちた同年輩の「フォーク」に対するアンチという意識が強かったから、という考察も成り立つのですが、今の大多数のJ-POPの、「じつは何も言ってない歌詞」の氾濫を見るにつけ、小田和正(オフコース)の負の遺産ではないかと思ってしまいます。

2010/11/23

UTADA HIKARU SINGLE COLLECTION VOL.2 [Disc2]/宇多田ヒカル

正式な発売日は明日ですが、Amazonが休日バイトを集められなかったのか(まさかね)予定より1日早く"UTADA HIKARU SINGLE COLLECTION VOL.2"が今日のお昼前に届けられました。「休養前」だけに勤労感謝の日に届くようにしたんでしょうか?

さて、このいわゆるSC2、"DEEP RIVER"までがVOL.1でしたから、今回はその後のシングルを集めたベスト盤+別ディスクで新曲5曲のミニアルバムという作りになっています。さらに初回特典で"Goodbye Happiness"のビデオが付いています。
「衝撃のデビュー」から一気に駆け抜けた時期であるVOL.1と違い、こちらは結婚・海外進出・離婚その他諸々あった時期の作品が並んでいます。とはいえ、Disc1の方はすっかりおなじみの曲ですから後でじっくり味わうとして、とにかく気になる新曲5曲を聴いてみました。

1.嵐の女神
途中で「お母さん」と言っているので、これは自分の母親、美人で挙動不審なあの人に対する歌なんでしょう。ちょっと70年代頃の洋楽シンガー・ソングライターっぽい曲調は宇多田ヒカルには珍しい気がします。普段の宇多田ヒカルを期待すると拍子抜けするほどシンプル。

2.Show Me Love(Not A Dream)
こちらは曲はともかく歌詞がまったく宇多田ヒカルらしくないので聴いてて不安になる曲。「実際」「自力」「一歩」とキツイ音読みの熟語を並べるような乱暴な言葉の選び方をする人ではなかったように思うのですが。心情吐露的歌詞は"Fight The Blue"にも似ているようですが、あの曲のようにユーモラスな箇所も無く、きっちり受け止めるには辛い作品です。

3.Goodbye Happiness
その点、この曲は安心。宇多田ヒカルらしいアイデアがたくさん入っています。2コーラス終わった後のぶわーっと広がる展開も良いし。イントロの「あああ、あああ」のテーマが曲のほぼ全体でずーっと続いているところもおしゃれです。

4.Hymne a l'amour ~愛のアンセム~
サンプリングかと思うような2倍か4倍速のバックで歌う「愛の讃歌」。なんでこの曲?という疑問は晴れませんが、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」もありましたからね。

5.Can't Wait 'Til Christmas
「クリスマスまで待てない」ってタイトルもそうですが、この普通さはなんでしょう?どこかでなにか変なことをやってくるに違いないと期待してましたが、そのまま終わってしまいました。もちろん普通のJ-POP的には「いい曲」です。

私の要求が歪んでいるのかもしれませんが、今回の新曲5曲、特に1,2,5あたりは今まで通りの宇多田ヒカルを期待すると肩透かしを食います。従来の彼女の特長はシンガー・ソングライターとしての作品に透けて見える本人の姿(感情とか成長とか)が透けて見えつつ、実はかなりそれをソフィスティケートした形で品よく作品化しているところにあると思うのですが、今回は妙に生のままぶつけてきています。
それが「休養前」なのをいい機会に「一度シンプルな歌を作りたかった」というような創作上の欲求だったら良いのですが、いつものような才気あふれるアイデアとユーモアを込めて作品を発酵させるだけの体力が相当弱っていたのではないか?そんな、いらぬ心配をさせられました。

なにはともあれ、彼女は今の日本の大衆音楽においてダントツの才能だと思いますので、本当にボロボロになる前に休養でもなんでもして、末長く活動をして欲しいと思っています。ゆっくり休んでください、お疲れ様でした。

2010/11/09

Goodbye Happiness/宇多田ヒカル

あー、結局10月は1回もこのブログ更新しませんでした。
年を取って感性が鈍くなっているのかもしれませんが、この秋は新しい音楽が全然耳に入ってきませんでしたから。ま、本業が忙しかったのもありますが。

そういう意味では11月になって宇多田ヒカルの休止前の最後の活動が活発化してきたのはありがたい。昨日からYouTubeで新曲のPVが公開されています。→http://www.youtube.com/watch?v=cfpX8lkaSdk 埋め込みコードは公開されておりませんので、参照しながら読んでいただければと思います。

もうすでに今朝の情報番組各種でも語られている通り、過去のPVのセルフパロディ満載の楽しいビデオになっています。AUTOMATICの椅子、Travelingの帽子と旗。固定カメラ1カット長回しは「光」ですね。他にも細かいネタがあるかもしれませんが、そういうのは得意な方にやっていただくとして、今日は楽曲の第一印象だけ「ざっと」書いておきます。歌詞の内容とビデオ(なんでも本人が監督したらしい)を合わせると前夫・紀里谷和明氏へのメッセージのような気もしますが、そのへんは本人しか分からないことなのでこれも深追いしません。

「本人が買って欲しい方」のベスト盤の、楽曲リストが公開されたとき、今回の新曲として"Goodbye Happiness"というのを見たときは「真っ暗」な気持ちになりましたが、楽曲としてはポップで分かりやすい曲で、まずはほっとしました。Amazonで予約した"SINGLE COLLECTION vol.2"が届くのが楽しみになりました。
それにしても問題はこのタイトルです。私はつっかえつっかえの受験英語程度の語学力しかありませんが、直訳すると「幸せよさようなら」ですよね。何かの引用かと思ってネットを検索してみましたが、ヒットせず(ていうかGoogle検索もほとんどこの曲関連でジャックされてる)。つまり決して前向きなタイトルじゃないわけです。

しかし曲調はこんな感じで、それはちょうど桑田佳祐が"TSUNAMI"を作った時のように、「みんなこういうの待ってるんだよね、分かってるよ」という感じで出してきた、そのギャップにちょっと驚きました。サビの入り方なんかはちょっと"COLORS"に似ています。
それにしてもなんというか歌作りの地肩の強いこと。結構上がり下がりのきついメロディですが、無理にでもいっしょに歌いたくなる楽しさがあるし、しかも全然力入れてない感じは申し訳ないけど最近の他の人がかく曲とは全然違います。今の彼女がやりたい音楽なのかどうかはわかりませんが、ただ「いわゆる宇多田ヒカル風売れセン」だけで作ってるとは思えない。きっと何か仕込んであるという感じがします。この曲で言えば、ひとつはその"Goobye Happiness"という「真っ暗」なタイトルであり、歌詞の端々に見え隠れするメッセージ色の強い単語です(そしてこの曲の根っこはやはり暗いものだと思う)。楽しげなPVは懸命なカムフラージュまたは彼女のテレでしょう。

宇多田ヒカルはこの10年ちょっとの間、質の良い大衆音楽をつくり続けてくれました。その間、彼女は超メジャーでありつつJ-POPの良心でもありました。純文学的、私小説的な彼女の作風は、コンスタントに新曲を吐き出し続けることは難しいと思われ、休業もやむなしではありますが、わざわざ宣言なんかしなくても竹内まりやみたいにぼつぼつとやってくれれば良かったのに…。そこだけが残念ですね。

彼女が戻ってくるまで、私はなにを聞いていたら良いかなあ…

2010/09/19

NICE AND NAUGHTY/ビビアン・スー

9月1日発売、とオフィシャルサイトで見たので、8月末に慌ててアマゾンの予約購入ボタンを押したら、さすがのアマゾンも手配していなかったのか3日ほど遅れて到着したビビアン・スーの新作シングルです。日本復帰第1作の"Beautiful Day"が上品だけれどとてもおとなしい曲でしたが、今回は全然違う路線。オリコンのサイトで見るとランキング圏外で売上データは詳細不明。あまり売れてない(?)ようなのですが、楽曲としてはすごく良いと思います。

エレクトロニックなロックサウンドで、それもかなりパターン化されたベタなものですが、その臆面の無さがなんとも聴いてて楽ちんです。
実は彼女が中国でやってる音楽がこんな感じで、思いつく限り様々なジャンルの音楽をアイドル歌謡として歌っています。そのやり方は、80年代の日本のアイドル歌謡にもたくさんあったもので、私の世代にとってはとても馴染み易い。彼女は場所をアジアに変えてそれを続けていたのですが、今回はそれを日本語でやった感じ。それにしてもこの、歌詞をそのまま映像に起こしたようなPVはなんとかならんかと思うと同時に、年齢的にこの演出はもうキツイかな、とも感じますけど、かわいいから良いか!

さて、作曲とプロデュースはJeff Miyaharaという人ですが、Wikipediaによるとこの人は安室奈美恵やJUJUや青山テルマなどの楽曲も手掛ける人。しかも韓国ミュージックシーンにも関わりが深いようで、対アジア市場ということも視野に入れた作品を作れる人のようです。歌詞3行目の"Hot Pink Suit"は韓国のかき氷=ハッピンスにかけたシャレでしょう。

カラオケはこのままで北京語にすればアジア向け商品になり、おそらくそっちの方が稼げるんじゃないでしょうか?

2010/09/05

ただいまの歌/やもり(森山良子と矢野顕子)

日清製粉の企業CMで流れている曲です。

森山良子と矢野顕子というのはとても意外な取り合わせですが、共通点はジャズ畑で育ちつつポップスのジャンルで活動してきたベテランってことでしょうか?イメージとしては森山良子はフォーク、矢野顕子は、え~とジャンルわかりませんが(オルタナティヴ?)。

歌のプロフェッショナルである森山良子と天才・矢野顕子が組んでいるので、悪いはずがありません。私は今発売されているアルバム「あなたと歌おう」をiTunesでアルバム購入しました。13曲入りで2000円。

アルバムの1曲目、「風のブランコ」は森山良子を象徴するギターと矢野顕子を象徴するピアノの掛け合いから歌が始まります。お互いに高いスキルがありながら、シーケンサーの様にきっちりした森山良子の声とポルタメントがかかったような矢野顕子の声は、ユニゾンの箇所でところどころズレながら、でも崩れることなく続いていきます。このへんのいい意味での緩さがベテランならではです。

「ただいまの歌」も2コーラス全編ユニゾンで、同じ様に楽しめます。
アルバムの中に反戦歌「死んだ男の残したものは」を入れているところも、今となってはこの世代ならではか。

このユニットはひょっとして坂崎幸之助が亡くなった加藤和彦とやった「和幸」をヒントにしたのかもしれません。二人で話し合って始めたのか、誰かプロデューサーがいるのか?と公式サイトに行ってみましたが詳しいことは分からず!トップページには「大人のフォーク」って書いてあります。


-------9月19日の追記-----------
今発売中の週刊文春9月23日号の阿川佐和子の対談がやもりでした。
この対談によると、ユニットの結成は二人の間での自然発生的なものなのだそうです。「私たちってなんでもできちゃう」し、「キーが同じだから、やりたいと思った曲をその場でぱっとやれちゃう」のだそうです。
なあるほど!&その音楽スキルの高さがうらやましい!

2010/08/28

あー夏休み/TUBE

「TUBEが25周年」とテレビで見て、そりゃワシも年を取るわけじゃわい、と思いました。
Wikipediaで確認するとデビューが1985年で、「シーズン・イン・ザ・サン」が1986年。なるほど、サザンオールスターズが"KAMAKURA"発売後に休養していた時期に「夏バンド」として陣地を固めていった訳ですね。

突出した個性がメジャーな成功を収めたとき、その利用の仕方にはいろいろあります。
一番素直なのは、その人がシンガー・ソングライターだったときに、本人に曲を発注する。「襟裳岬」や「シクラメンのかほり」なんかがそうです。元ネタの人たちにお金が入るし、いちばん良心的です。それでも昔は「歌謡曲の歌手に曲を提供するなんて…」と非難されたりしましたので、リスクはあったんですが(みんながピュアでいい時代だったなあ)。

次にシンガー・ソングライターの作風というのはある程度パターンが決まってますので(日本のシンガー・ソングライターは勉強熱心なので、職業作家的な幅をだんだん持って行きますが)、職業作家にそれ風の曲を作らせて売る、という手もあります。ナベプロ期待の大型新人のデビュー曲が「これってアンジェリ…。でも作曲家違うよね…」と純真な高校生を動揺させたりするパターン。

また、休養が多くてインターバルの長い、天才肌のシンガー・ソングライターが静かにしているあいだに職業作家にそれ風の曲を書かせ、パフォーマーとしてそこそこ力量がある歌手に唄わせることで存在そのものの代替を作っちゃうことある。ビーイング以降はその手が主流です。「宇多田ヒカルを分かりやすくしてもうちょっとカワイイ女の子に唄わせ…」って話はもういいですね。
TUBEも基本的にはそういう存在でした。夏・海・湘南をテーマにした軽快なロックサウンド(?)…。最初のうちは織田哲郎などから提供された曲を歌っていましたが、やがて自作曲を歌うようになります。その最初の頃の曲がこれ。

この歌詞がすごいことになってます。

湘南・葦簾・防波堤…、あげるときりがない。「夏休みといえば」というお題に忠実に単語を並べ、つなぎでいかにも桑田佳祐が使いそうな「ちゃうのかい」「チョイト」などのくすぐり、なぜか渡辺美里ふうに「泣いたっていいんじゃない」なんてのを混ぜてます。できあがりは純和風。
桑田佳祐の書く湘南の歌は、生まれ育ったリアルな場所を歌っているにもかかわらず、どこか映画(加山雄三とかの日活も含む)のシーンのようですが、前田亘輝が書くと、うんと庶民的になるのが面白いっちゃあ面白い。

サザンオールスターズっていう大きい塊の中から「夏・湘南+コミックバンド的要素」だけ抽出したらそれで25年やれたってのはマーケティングの勝利ですなあ…。

とはいえ、前田亘輝の声はたいしたもんです。声が太くて高い。
この声があれば、それこそカバーアルバムでもなんでも商売に出来ます。変にアーティスティックなイメージを作らずに、「陽気な海のオニイチャン」になったところで彼らは勝負に勝ったんですね。
音域も広い。「あー夏休み」の音を鍵盤で拾ってみると、「あーなつやすみー」の「あー」はBです。もう女性歌手でも地声の限界近いです。

2010/08/14

再掲:宇多田ヒカルの話

2007年5月に「はてなダイアリー」に書いた宇多田ヒカルの話です。
8月9日の本人のブログで発表された宇多田ヒカルの休業宣言については、私もなにかひとこと書きたいところなんですが、一から書く体力(ていうか根気)が無いので、まずここまでは考えました、ということで過去の自分の記事を再掲します。以下、ほぼそのまま引用します。


(前略)多分、宇多田ヒカルも現代に生きて活動している音楽家なので、他のアーティスト同様に営業面の苦労はあると思います。特にデビュー直後の数年は、東芝EMIの営業部のマネージャーなんか前年実績に凄い数字が残っていて、会議の時に「えー、去年は"First Love"特需があったものですから…」「バカもん、今年は今年だ!」とか怒られていたのではないでしょうか?まあ会社のことはさておいて単純に彼女個人のことを考えても、事実上のデビューアルバムが 800万枚も売れちゃったら、そんな数字が二度と出るとは思えませんから、次はどれだけ売れようと「落ち目」と云われてしまうと思うでしょう。そこでやり逃げしないで現在までコンスタントに新作を発表し続けたのはたいした精神力だと云って良いと思います。なにせ当時の彼女は高校生だったんですからね。

そういう厳しいプレッシャーがかかる状況に負けずに彼女が音楽を続けてきた理由は、天性の表現者だからでしょう。音楽が好きで、音楽によって自分を表現したいという意識を強く持っている。そしてそれは彼女の心のかなり深いところから来ているのではないかと私は推測(邪推?)しています。

70~80年代の「ニューミュージックのアーティスト」は、自作の恋の歌を歌いながら「歌詞は実生活とは関係ありません」とか「あくまでもフィクションです」という言い方をする人が多かった。また、その頃の男性シンガー・ソングライターは「歌詞が書けなくて」と云う方が格好良く見えたということもあります。男性アーティストにとっては「男が詩を書くなんてはずかしい」というアマチュア的なテレがあったように思うし、逆に「俺はサウンド重視のアーティストだから」というポーズにも使っていたのでしょう。槇原敬之みたいに「僕は詞先です」なんていう男性アーティストは稀だった。

女性アーティストにしても、アイドル視しているファンが多ければ、あまり波風の立つ発言はし辛かったでしょうし。

男性アーティストにおいては、その風潮がずっと続いているから、今も歌詞が伝わらない曲ばかりできてくるのかもしれません。それでも女性を中心に実体験を素材にしている人も出てきており、そのあたりの姿勢は改善されつつあるようですが、次の欲求として、表現のレベルをもっと高くして欲しいという不満があります。お昼に茅場町の定食屋でOLがしゃべってる内容と変わらないようなのが多い。

そこで宇多田ヒカルはどうか?

例えば、「ぼくはくま」のくまちゃんは、「歩けないけど踊れるよ」「しゃべれないけど歌えるよ」と云っています。彼女にとってお気に入りのぬいぐるみの「くま」が自分の分身であるのはほぼ明らかなので、彼女は自分のことを「他のことは無力だけれど、音楽が絡めば(踊るとか歌うとかの)能力があるよ」と云っているわけです、多分。


若くしてミュージシャンとして破格の成功をし、高校を飛び級で卒業して名門大学に入った彼女の、何が無力なのか?それは多分、家族(両親)とのコミュニケーションにおいてなのではないか?両親それぞれは自分をかわいがってくれた(想像)が、3人揃うと不安定になる家族。一人っ子の彼女は両親が仲良くいっしょにいてくれることに幼少の頃から必死で心を砕いていたのではないか?と同じく一人っ子の私は思います。

こういう子どもは「アダルト・チルドレン」になるんじゃないですか?彼女が早熟の天才になったのは、自分が早く活躍して柱にならないと家庭が崩壊すると感じていたからでは?また、意外なほど早くに結婚してしまったのはその裏返しでは?

そしてつい最近の様子を見ても、父と夫がスタッフとして名を連ねているコンサートツアー中に、なんで一人ホテルの部屋で熊のぬいぐるみとお話をしてなくちゃいけなかった(昨年の夏頃からの本人の日記を読みましょう→http://www.u3music.com/message/index.php?m=1)のでしょうか?

彼女の心の傷はかなり深く、しかしだからこそ表現者であるというのが私の邪推です。彼女自身が自らを救うために曲作りという作業を必要としているのではないか、と。こういう深読みができるから彼女から目が離せないのです。

さて、表現上の話もしてみましょう。

まず歌唱。

彼女の歌は歌詞が聞き取れます。

前にも書きましたが、"Comぴゅうたあ Screenのなかー"(Automatic)など、バイリンガルの気ままさでネイティヴ風英語とカタカナ語を奔放に使い分けたりするので、歌詞カードを読まないとわかりにくいところはありますが、きっちりした日本語のところはちゃんと聞き取れます。聞き取れるように歌うと言うことは、「聞かせたい歌があ」って作品を作っているからでしょう。


また、MISIAのような圧倒的な声量と伸びやかな声というわけではありませんが、お母さん譲りのハスキーボイスと音域の広さをもっています。それと人間なのにバイオリンみたいに聞こえるビブラートも魅力です。これらの財産は彼女の曲作りに良い影響があるでしょう。やっぱりレンジの広い楽器で作った方が、メロディの展開に幅ができますから。かといって声を出さずに鍵盤だけで作ると、ちょっと前に時代の寵児となった某大プロデューサー&コンポーザーの作品のように、小難しい割に歌った後に満足感が得られない曲になってしまいます(ま、だからこそ宇都宮隆のボーカリストとしての素晴らしさが味わえたんですが)。


そして歌詞。さっき「ぼくはくま」を題材に邪推を重ねましたが、彼女は若いながらも、あるいは若さ故にその人生の節目節目で「何かあったこと」をかなり正直に歌にしているように思います。"Can You Keep A Secret"では恋をしてるのかな、と思わせるし、"travelling"ではなにか活動上の大きな展開をもくろんでいるように思いました。"Flavor Of Life"も今の状況から深読みすれば「ふんふん」と納得できるところが多々あります。彼女は基本的に私小説作家です。

私はデビュー当時のオフィシャルサイトでの日記を結構ちゃんとチェックしていましたが、彼女は今の日本の高校に通う生徒に比べて(おそらく)はるかに日本の古典を読んでいます(私もあんまり読んでないので負けている)。それも夏目漱石とかの近代の文豪のやつ。私小説的表現に対して、今の若者には珍しいほど親近感を持っているはずです。

また、ヒップホップの台頭以降、突然流行りだした韻を踏む作詞法(松本隆なども意識的に言葉遊びをやってきたが、しばらくはあまり追随者がいなかった)も、彼女は谷川俊太郎に近い、より日本的センスで取り入れています。この辺は学校で優等生だった教養を感じさせます。「ぼくはくま」に話を戻すと、「くまくまくま くるまじゃないよ」も谷川的。

コンポーザーとしてはどうでしょう?

彼女は「クイーンが好き」と云っています。両親の趣味なのか、若いのに結構古い音楽に親しんでいます。だから、曲の中に我々ニューミュージック&MTV世代にとっても、分かりやすい展開が混じっています。例えば"Automatic"の「きーみにあっうとーぜんぶーふっ」のメロディはちょっとマイケル・ジャクソン(これも本人が好きだと云っていますね)の"Human Nature"のサビのにおいがします。


そして、そこがあるからR&Bに疎い私も一発でついて来れたんです。また"Wait & See"なんかは作者の意図は知りませんが、あのサビの畳み込みとバックコーラスなんか、後期オフコース好きの私にとって、まったく抵抗なく「大好き」と云える出来でした。

つまり、ぶっちゃけて言いますと、彼女は我々小父さんと話が合うんですな。

若いのに昔のことをよく知っているし、年上の人間にも分かるように表現をすることができる。これはかわいがられるでしょう?

そして、年上の人間をころがすことにかけては、大人の集団の中でたった一人の子どもとして育つ一人っ子は、無理しなくても自然にできるのです。

「おまえ、なんでその年でそんな古いこと知ってるんだよ」とか言われながら、苦もなく話の輪に入る。ましてやそこそこ頭が良ければ完璧です。

てなわけで、中年から見て見所のたくさんある彼女は、顔はお母さんほど美人じゃないけれど可愛い娘のようでもあり、私も今しばらく彼女の作品は注意して見ていくつもりでいます。

海外進出(失敗?)以降、ここ数年、世間の評価が良く分からないところがある(というか最近の彼女に関する評論って売上推移のことしかないんで、これだけ読み込める素材に対してもったいないことこの上ないと思う)んですが、出てくる作品としては私は実質2年目の"For You"の頃の方が、先が見えてこない気がして心配でした。それに比べればこないだの"Passion"なんかは本人が実験をしたかっただけで、今の松坂の四球病ほどの深刻さもないでしょう。

それよりも、彼女の感性を同世代の若い客層がどのくらい共有しているのかの方がよっぽど心配です。若者よ本を読め、昔の曲を聴け。宇多田ヒカルの感性を共有しなさい、と訴えたい。そうすると今売れている、商品としては一見完成度の高い音楽の中に、欠落している(と私が思っている)ものも分かってもらえると思うのです。

2010/07/18

Hits/安全地帯

ここ数年、プライベートな話題に事欠かない玉置浩二ですが、何年ぶりかで何度目かの活動再開ということで、安全地帯の新作アルバムが出ています。


"Hits"と、シンプルなタイトルが付いたこのアルバムは、安全地帯の代表作を「当時のトラックをベースに全曲新録音」しなおした(CDの帯による)もの、だそうです。年代的には「ワインレッドの心(1983年)」から「月に濡れた二人(1988年)」。その後はバンド活動休止と再開を数度繰り返していますが、安全地帯としてのヒット曲は記憶に無く(玉置浩二のソロでサバカレーのドラマの歌がありましたが)、これ1枚あれば特に思い入れのない消費者には十分なラインナップとなっています(失礼?)。

一通り聴いてみました。
カラオケは「え?」と思うほど昔のままです。「当時のトラックをベースに全曲新録音」というのはひょっとして玉置浩二がボーカル差し替えただけ?と思うほどです。確か先週の土曜日(7月9日)に放映されたミュージックフェアでは5人そろって演奏してましたから「できるだけオリジナルに忠実に」再現したのかもしれませんが、録音自体古いんじゃないかなあ、という音です。ミックスが変えてあるのは間違いないのですが、それ以上はどこが差し替わっているのか私の耳では分かりませんでした(昔の音源も持ってないし)。また、テレビでやってたアンプラグド風「ワインレッドの心」も良かったんですが、このアルバムには通常版が収録されています。

一方、健康面が心配された玉置浩二の声は健在で、オリジナルよりも生声っぽく処理されているにもかかわらず、その色気と迫力はさすが。よくできたホーンスピーカーのように朗々と歌う部分と囁くようなせつない歌い方のメリハリが見事で、しかもどちらもよく通る、素晴らしい声です。ところどころ自己陶酔っぽいフェイクが入りますが、全体的には「やっぱりうまい」と思わせます。私は以前、玉置浩二はボーカリストとしての才能がソングライターとしての才能に勝ちすぎてるんじゃないか、というような事を偉そうに書きましたが、撤回します。「恋の予感」とか、やっぱりうまくないと歌えません。

振り返ると、それぞれの時代には歌の神様に見込まれたかのように見える歌手がときどき出現します。80年代の代表はおそらく玉置浩二でしょう。90年代は吉田美和で00年代は平井堅、という見立てになるんですが。
しかし、歌の神様は見込まれたご本人たちの個人の幸福までは面倒を見てくれないようです。このジャケット写真といい、ここ1〜2年の乱行ぶりといい、最近の玉置浩二のハジけかたは異常です。前述のミュージックフェアでの本人の発言や、ワイドショーでの言動を総合すると、彼は「自分の感情のままに生きる」ということに決めているようです。その時思ったことに正直に行動するので、過去の発言との辻褄とか、世間の揶揄とかは斟酌しないのでしょう。
それはとても素敵な生き方ですが、ここは日本ですし、せっかくの才能ですから、あまり破滅的にならずに末永く活躍していただきたいと思います(あーでも50歳過ぎたら僕もそうなるかもしれないなあ。兆候あるもん)。

私はうっかりCDを買ってしまいましたが、iTunesでもダウンロード可能です。

2010/06/05

乱反射ガール/土岐麻子

先週くらいの週刊朝日で、渡辺祐氏が紹介していたのが土岐麻子「乱反射ガール」です。渡辺氏によると「なつかしの80年代シティポップ」ということで、「そりゃちょっと聴いてみたいかも」と試聴もせずにアルバム1枚分を2000円でダウンロードしてみました。気づいてなかったんですが、iTSでもトップページで紹介されていたんですね。

新人なのかと思ってWikipediaを読んでみたら、1976年生まれということで中堅というか女性歌手としてはベテランと言って良い年齢です。2003年まではバンドCymbalsのメンバーだった、ということですが、私はCymbalsは知りませんでした。ソロとしてはジャズのアルバムも出しています。「実力派」なんですね。

聴いてみました。
20秒ほどの"Intro"の後、M2として収録されている「乱反射ガール」はまさしく「シティポップ」でした。川口大輔の作曲ですが、バブル期が懐かしいおじさんが、泣いて喜ぶ倍音たっぷりのシンセのフレーズと美しいストリングス、土岐麻子の上手いけどナチュラルさを残した発声が「国道246号線の夜景」っぽくていいです。カラオケはなぜかちょっと中谷美紀の「ケイゾク」のテーマ(クロニック・ラヴ)にもちょっと似ています。
そのまま5曲目くらいまでは、本当に80年代っぽいです。はっぴいえんど、キャラメル・ママ、「RCA三人娘」なんかが好きだった人には、なんの抵抗も無いでしょう。お薦めします!特にこのタイトル曲と「M5.鎌倉」はセールス的にいちばん成功していた頃のEPOによく似ています(もっとしつこく例えるとキャラメル・ママをバックにEPOが歌ってるみたい)。

M7でなぜか突然"ALL YOU NEED IS LOVE"のカバーが入るほか、M10ではマイケル・ジャクソンの"HUMAN NATURE"をアンプラグドな感じで和田唱とデュエットしていて、和田唱が意外なほど歌が上手いことも教えてもらえます。

全13曲、飽きずに聴けます。iTSでアルバム単位でダウンロード、あるいはCDで買っても損はないと思います。

2010/05/09

限界Lovers/SHOW-YA

先日テレビで熱唱していた寺田恵子姐さん率いるSHOW-YAのヒット曲です。

久しぶりに姿を拝見しましたが相変わらずシャープなルックスで、同世代としては頼もしい限りです。しかし、よく考えると遠巻きにして「ええぞ、ええぞ」と冷やかして見ていただけだったので、ちゃんとiTSで「限界Lovers」をダウンロードして聴いてみました。
ちなみにOVA版パトレイバーの主題歌は「未来派Lovers」です。お間違え無く!

日本の女性ロックバンドとしては同時期にプリンセス・プリンセスがいました。あちらは奥居香の丸っこいルックスもあって大学の同級生がやってるように見えましたが、SHOW-YAはもうちょっと玄人っぽい、妖しい感じがありました(実際には奥居香も一筋縄ではいかない人だったようですが、ま、イメージですw)。

寺田恵子は見た目が派手なわりにエンターテインメント的サービスをあまりしない人のようで、意外とテレビなどでは活躍せず、「NAONのYAON」などのライブ活動などを熱心にやっていました。なんども書きますが、個人的には浜田麻里とジョイントして商業ロックの頂点を極めて欲しかったのですが…

さて、「限界Lovers」はテイストとしてはアン・ルイスの歌謡ロックと非常に近く、演奏も歌詞もたいそう派手です。意味もなくカッコいい!
「"Back to the fire"って意味わかんねえ」と当時から言われてましたが、そういうもんじゃない、気合でカッコいいわけです。「激しさ」「No.1」「ビロード」「火花」「刺激的」「天使」「悪魔」と絶対値の大きい言葉がわんさか並びます。言ってることは「自分に素直に愛しあいましょう」みたいなことなんですが。
それは同時期に大ヒットしたマンガ「北斗の拳」の一番面白いところが、ひとことでいっちゃうと「女が原因の兄弟喧嘩」の話だったのとよく似ています(?)。どっちも好きなんだけど、他人に説明しようとすると悪口になっちゃう。

2010/05/05

検索少年/七尾旅人

去る4月25日、風邪を引いて家から出られずにぼんやりと日曜の午後を過ごしていた私は、Twitterでリンクを見つけて、"nbsa+×÷ 2010"のUstを見ておりました。

そこに登場して、1時間ちょっとのライブを見せたのが七尾旅人という人でした。
最初はガットギターの弾き語りで、吟遊詩人ぽい曲をやって、その後"cro-magnon"というバンド(甲本ヒロトとかがいるやつではない)との共演でヒップホップ的な演奏を見せていました。
ジャンル不明、背景不明でしたがパフォーマンスは独特で、ちょっとテレビでは見られないタイプの人でした(Ustライブでは最初のMCで「場違いな暗いフォークです。すいません」みたいな事を言っていましたが、フォークではなさそうですし、途中で声によるサンプリング芸なども見せていました)。

気になってWikipediaとかもあたってみたところ、雲をつかむような記述でしたが電気グルーヴ×スチャダラパーの作品にも顔を出しているらしいので、意識しないうちに声は聴いていたのかもしれません。

Twitterもやっていて(アカウントは@tabito_net)本人がそこで宣伝していたのを追っかけてホームページ ☆::TAVITO.NET::☆ を見てみると、なにやら新作を自力配信中と書いてありました。
それが表題の「検索少年」です。この曲は7月7日発売予定の新アルバムの先行配信曲なのだそうです。サンプルを聴くとやたら可愛いノスタルジックなテクノサウンドが聴こえてきました。

そんなわけでiTSから"Rollin' Rollin'(七尾旅人×やけのはら)"をダウンロードして聴いてみて、やっぱり分からなくて自力配信の「検索少年」もmp3版を落として並べて聴いてみました。ちなみにダウンロードした「検索少年」をiTunesに読み込んだらジャンル名が「アシッドパンク」と出ました。たぶん、配信者本人がそう入力したんでしょう。

結局2曲くらいじゃ七尾旅人のことはなんにも分からないのですが、分からないなりに感じたのは、歌い方がとても好ましいってことです。端的に言うと「歌詞がよく聞こえる」。歌を上手そうに聴かせるよりも、書いた歌詞をストレートに聴き手に届けることを優先してる。
私の好きな歌い方です。

あと、ぶっきらぼうに歌っているようで、いろんな音楽をよく聴いていて引き出しが多そうな感じもします。
もうちょっと深く掘って聴いた方が良さそうですね。次はどれを聴けばいいでしょうか?

2010/04/11

シンクロニシティーン/相対性理論

「シフォン主義」、「ハイファイ新書」ときて、次はどんなダジャレタイトルになるのかと楽しみにしていたところ、途中で近田春夫とか渋谷慶一郎が絡んできて、今度はこのまま解体するのかしらと思ってたらちゃんと3作目のアルバムが出てきました。

「シンクロニシティーン」はダジャレなのかどうかも分からないくらい微妙なタイトルですが、「シフォン主義」以来のリスナーを切り捨てない、相対性理論らしいアルバムになっています。

ただし、「シフォン主義」→「ハイファイ新書」で見られた音のノーマライズというかソフィスティケートというか、普通の商品的な音に近づこうとするベクトルはそのままで、今回は「ハイファイ新書」のバックの音に音圧が増したやくしまるえつこの声が載っている、という出来上がりになっています。以前はカヒミ・カリィ並みに消え入りそうだった声のゲインが上がって、もともとやくしまるえつこは下手そうで下手でない、字義通りの「へたうま」でありましたが、曲によってはYUKIに似ているくらい声が前に出てきています。こうなってくると私なんかは、昔の(熱心なファンほどショックを受けて、今ではなかった事になっている)太田裕美・ニューウェイブ路線をちょっと思い出します。

それと同時にたぶん過去2作では聴かれなかった、「リードボーカリストの多重録音によるコーラス」が採用されました。先行配信された「ミス・パラレルワールド」で「ぱられるぱられる…」とハモっているところなどですね。
↓iTunesへのリンク


相対性理論というバンドがどのくらい長くやる気があるのか全く見えてなかったんですが、こうして音楽教室のクラスをだんだん上がっていくように新しい要素を付け加えていけば10年くらいはできるような気がしてきました。ピアノ1本、ギター1本のオフコースが最後はTOTOかジェネシスそっくりになったように…。
逆に言えば相対性理論はバンドやりたいアマチュアにとって、絶好のテキストになるとも言えます。今ならまだ素人でも耳で拾える。ドラムは難しそうだけど、それ以外は頑張ればなんとかなりそうじゃないですか。

2010/04/03

5years<通常版>/木村カエラ

木村カエラのデビュー以来の音楽活動をまとめたベスト盤です。私はiTSで落としてきました。
木村カエラ - 5years<通常盤>
木村カエラは可愛い。デビュー当時はこういう姪がいたらおじちゃん会う度に5000円とか1万円とかお小遣いあげちゃうなーと思ってました。オシャレで、ガリガリ勉強するように見えないけれど学校の成績は良くて、ちゃっかり有名大学に推薦で進学しちゃうようなタイプに見えました。その後のちょっとカルチャーっぽい消費のされ方は80年代の小泉今日子に似てるような気もしますけど、小泉今日子はルックスや歌唱力へのコンプレックスの裏返しからはじけているように見えましたが、木村カエラにはそういうコンプレックスの香りがしません。

さて、中身を聴いてみます。「リルラリルハ」とサディスティック・ミカ・バンドしかちゃんと聴いたことがなかったんですが、CMタイアップ曲が多いため、聴けば「ああ、これか」と思いあたるラインナップです。
曲順は新しいものから過去に遡るように並べられていますが、スパンが5年ですし基本はロックバンドの音なので特別時代を感じさせるものはありません。気持ち「リルラリルハ」以前のナンバーが音圧が低いかなと思うくらい。演奏がユニコーン的ロックだし、木村カエラの歌は上手すぎず下手でない(最近お気に入りのフレーズ)。いわゆる3コードのロックンロールでは無く、メンバーにクラシック崩れがいる構成・展開重視の曲作りをするバンドのサウンドです。「M2.バタフライ」なんかもろにピアノの練習曲的ですし、「M4.どこ」は発声練習的。無理矢理に印象が似てるものを探すとPUFFYということになりますか。ときどきパロディ的に外国の有名曲のフレーズを一捻りして入れてありますし、実際に奥田民生のナンバー(M14.BEAT)も入っています。

また、おそらく木村カエラ自身がその生育史の中で受けてきた最近のJ-POPからの影響も随所に見られて面白い。たとえば、以前このブログの中でも書いた「hitomi風日本語母音の省略」が意識されてる「M8.Yellow」。この曲ではサビで「いつだってYellow そんなあなたにエールを送るよ」と歌いますが、「そんなーなたにえーろーくーりょー」と聞こえるように歌っています。しかも「エールを=yellを」が前の行の「Yellow」とかけてある。これ頭いいでしょ?
また「M1.You bet!!」の「すすまな"きゃって"そう"ちかった"」の日本語の選び方、歌い方には宇多田ヒカルの(良い)影響が見えます。

こういう細かいところをiPhoneで聴きながら追っかけられるのは、彼女がちゃんと歌詞が伝わるように歌っているからです。今、単純なアイドル歌手はすごく少なくなっていて、そのかわりに歌詞を書いてるからアーティストである、というアイドル歌手が多くなっています(その意味では森高千里の罪は深いのかなあ。彼女はアーティストでしたが)。しかしせっかく書いた歌詞をちゃんと伝わるように歌っている人はあまり多くない。木村カエラはそういう意味でちゃんと作詞をしてるし、伝えています。

2010/03/22

クリスマスの約束2009/TBS(小田和正ほか)

年末恒例、小田和正「クリスマスの約束」の2009版です。
毎年、放送日が微妙に変わるので(明石家サンタみたいに24日深夜、と決まってればいいのですが)、つい億劫になって私も本放送は見逃してしまいました。しかし私にはHDDレコーダーのような友人が名古屋にいて、「小田和正、ゴジラ、古畑任三郎」などのタグのついて番組を見つけると「録画したけどいる?」と聞いてきてくれるのです。「いる」というとDVDに焼いて送ってくれるんですが、それがまた自宅でつん読状態になっていたのを、先日再発見してようやく見た、ということです(まことに申し訳ない)。

さて、2009年版は小田和正が「(J-POPの)リードボーカリストを集めて全員で歌いたい」と言い出し、これはと思うアーティストにメールを入れて参加を要請するところから始まります。
まず最初に現れるのがスタレビ・根本要。いきものがかり、トータルテンボススキマスイッチら。彼らがまず「小委員会」を作って、全体の骨組みを作っていきます。
小田さんの考えを聴きながら「本当にそれで面白くなりますか?」という若いミュージシャン。「もう少しイメージを具体的にしてくれないと」と言います。
それは団塊の「やればなんとかなる」しか言わない口下手上司に不満たらたらの若いサラリーマン、という会社の図式と重なります。若い人達は過去の失敗例・成功例の結果だけはたくさん知っているから、道筋が全部見えてないと走り出せないんですね。でも上司・小田さんは「結果が見えることだけやっててなにができるか?」と思いながら走ってきた高度成長期の創業社長ですから、そのギャップがあるんです。また、(やらせかもしれないけど)番組制作側からも「それ面白いですか?」みたいなことを言われてキレかける小田さん。

そして、飛び道具系の広瀬香美や藤井フミヤ、夏川りみ、中村中、若い世代のJUJU、AI、一青窈、平原綾香、クリスタル・ケイ、キマグレン、Aqua Timez、清水翔太らを相手に苦戦する中、山本潤子、財津和夫、鈴木雅之、佐藤竹善、松たか子といった小田さん人脈の安全装置も参加して形ができていきます。

そして尺そのまま「22'50"」と名付けられたメドレーソングが本番で発表されるのですが、すごいことになっています。オフコースの「愛の中へ」の歌詞じゃありませんが「心がことばを越え」た瞬間がたしかにありました。4月1日に再放送されるそうなので、犬にでも噛まれたと思って騙されたと思ってぜひご覧ください。
ちゃんとした番組情報はこちら

2010/03/14

Beautiful Day/ビビアン・スー

突然日本での活動を再開させたビビアン・スーの復帰第一作です。

もともと彼女はウリナリ関連のバラエティで人気を取る前に、台湾の宮沢りえとか強引に形容詞を付けられてアイドル歌手として来日しました。しかし、ソロ歌手としては鳴かず飛ばずに近い状況で、その後のブラックビスケッツ等の活動でようやく日本でも認知された後、中国圏での活動に戻ってあちらでは大スターになっています。
私は以前にもこちらで書いたように、彼女の2000年以降の中国での曲を、通販で買った中国版で聴いておりました。
それが普通にCDショップやアマゾン・ジャパンで買える新作を出すということになったので、DVD(PVとメイキング映像)付きの方を取り寄せてみました。

本国版の輸入品でもそうでしたが、彼女のCDにはこれでもかというくらいのフォトブックがおまけに付いていて、正統派アイドルグッズになっています。しかもビジュアルでは(今やってるエステのCMでもそうだけど)肌の露出度が高い。このサービス精神は貴重です。

さて内容ですが、彼女はこの間、台湾でJ-POP的ななんでもありの音楽をやっていました。ラップが絡むヒップホップ調だったり、AORぽかったり、フォークロック風だったりダンスミュージック風だったり。また、恋人だったとされる元LUNA SEAのSUGIZOを始め、作曲が日本人という曲も多く、歌詞が北京語である他は日本のアイドル歌手と変わらないような音楽をやっていました。

そして今回の復帰作では選りに選った(んだと思う)結果として一番穏健な路線で出してきました。ピアノとアコースティックギターとエレキギターがいるバンドサウンドで、アコギのパートは8ビートストロークの教則本のようです。アコギの音が大きいので素人でもsus4とか分数コードの聴き取りが可能です。イントロのメロディはシンセかと思ったらフリューゲルホーンとフルートでした。プロデューサーは椎名林檎のアレンジや東京事変のメンバーとしてお馴染みの亀田誠治です。

つまり、ブラックビスケッツから連想されるアイドル・ポップではなく、エステのCMが似合う「大人の女性」として売りたい、ということなんだと思います。(ビデオこちら
ビビアン・スーは歌用に作った声を出さないので、圧倒的な歌唱力という感じはしませんが、上手すぎず下手でなくさらりさらりと歌っています。


ビビアン・スーの音楽は、中国版の方がヘンテコで面白い。YouTubeでいつまでも消されずに残っているので"Vivian Hsu"で検索して見てください。私は「面具」と「歐兜邁」がバカバカしくて好きです。

2010/03/07

ひこうき雲/荒井由実

先日、TwitterのTL上でちょっと盛り上がったのが、以前にNHK BS2で放映された荒井由実「ひこうき雲」のビデオ。
元々、私は受験が終わった1982年の春に教育テレビで再放送されたオフコースのアルバム、"over"のメイキングを見てから音楽趣味が高じた経験者なので、このテの番組は大好物ですが、BSを視聴できる環境になかったので見ることが出来ませんでした。
Twitter上で教えてもらったときは全編分が6分割されてYouTubeに上がっていた(今は全編は見られないようです)ので、しっかり見ました。おかげで普段はカーグラTVでしか知らない松任谷正隆が音楽をやっているところを初めて見ることができました。

オフコースのメイキングがどちらかというと制作手順の面白さだったのに対して、「MASTER TAPE -荒井由実“ひこうき雲”の秘密を探る-」はミュージシャンの芸そのものにスポットが当たっていて、見る順番が違ったら私ももうちょっと楽器演奏そのものにこだわって、少しはギターの腕前が上がっていたかもしれません。

そこではたと気づくのが、私は荒井由実をちゃんと聴いてないということ。私の年だと、音楽的に早熟な人は別にして、「松任谷由実」になってからの音楽しか聴いてないと思うんです。ドラマの主題歌になった「あの日にかえりたい」は母と一緒にテレビ見てれば聴こえてきましたが、基本的にテレビに出ない人だったので子どもの目にはとまりにくかったのです(いや、当時の子どもなりのたしなみとして名前ぐらいは知ってましたけど)。

せっかくの出会いなので、「ひこうき雲」を聴いてみようじゃないかととりあえずiTunesで「荒井由実」と入れてみたら一発検索。「ひこうき雲」も「ミスリム」もiTSから落とせるじゃないですか。
荒井由実 - ひこうき雲
「ひこうき雲」は1973年の発売で、バックを勤めている細野晴臣と鈴木茂がいるキャラメル・ママは、解散間もないはっぴいえんどの発展型でもあります。「ひこうき雲」は荒井由実のデビュー・アルバムであると同時にはっぴいえんどのその後を追うためのアルバムでもありました。件のNHKのビデオではユーミン自身は「イギリスのロックが好き」と言っていて、一方キャラメル・ママはアメリカンな方向。そのせめぎあいと融合が「ひこうき雲」だった、という発言が収められていました。

さて、中身を聴いてみましょう。
はっぴいえんどにはいなかったキーボーディストとして松任谷正隆がピアノとハモンドオルガンを弾いていて(ピアノはユーミンも弾いています)、1曲目の「ひこうき雲」を聴いていると「青い影」を思い出します。いわゆるシンセサイザーが普及する前、ハモンドオルガンは一種の波形加算型シンセ(波長の異なる正弦波を重ねることで音色を作る)として使われています。
「雨の街を」はユーミンには珍しいどっぷりマイナーな曲かと思うと、とちゅうでファラミーと跳躍して、「お、来た来た!」と思わせます。何処かで聴いたな、と思ってたら、TAK MATSUMOTOのカバーアルバム、"THE HIT PARADE"で松田明子という人が歌っていたのを聴いていました。
ユーミンの歌い方はずっと変わらず、人工的でクールと思い込んでいましたが、このアルバムではそれなりの青さ、若さのほとばしりを感じさせ、当時の若者の支持を集めた訳がなんとなく分かりました。

さて、当時のフォークソングが、歌詞の意味重視でサウンドやテクニックは二の次だったときに、ユーミンは詞、曲、アレンジの3つが高いレベルでバランスした、しかも若い世代の手による新しい音楽ジャンル(ニューミュージック)を開発しました。
ユーミン以前にも、自分で作詞作曲した手作りの音楽でありながらアレンジやサウンドを重視した音楽を志向していた人たちがいましたが、そういう音楽性の人たちは本人のキャラクターが薄く、大衆音楽として大きく成功した人がいなかった。ユーミンをきっかけに「ニューミュージック」というジャンル名ができたことによって、改めて飛躍のきっかけを掴んだ人は多かったと思います。

例えば赤い鳥が解散してハイ・ファイ・セットが結成されたのが1974年です。ハイ・ファイ・セットはユーミンのカバーを多く歌っています。

また、オフコースは1970年にレコードデビューしていますが、1973年というと、初の全曲オリジナルのアルバム「僕の贈りもの」を発売したところ。1975年にユーミンを意識したと思われるアルバム「ワインの匂い」とシングル「眠れぬ夜」を発表します。頭の中で「もしも小田和正が『ひこうき雲』を歌ったら」というネタをやってみてください。違和感ないでしょ?

さらに山下達郎がシュガー・ベイブでデビューしたのが1975年、尾崎亜美(デビュー時からポスト・ユーミンと言われた)のデビューが1976年です。この二人にはそれぞれ大滝詠一、松任谷正隆が関わっています。はっぴいえんどからつながる人脈の輪の中でユーミン、タツロー、尾崎亜美がその第一歩を踏み出しているということを思うと、その影響力に改めて愕然となりますね。

2010/02/21

Sim City/平沢進

そして話は時代をさかのぼって"Sim City"に移ります。

私が平沢進作品が好きな理由は電子音楽でありながら、素朴に「歌もの」として楽しいことで、その典型が"Sim City"です。
発売は1995年、私が友人たちと今のところ最後の作品を作っていた頃です。PC98に入れた"Tool de Music Lite"でカラオケを作り、ギターをかぶせたりかぶせなかったり、コーラスを入れたり入れなかったりしながら、カセット4chのMTRにオリジナル曲を作っていた頃ですよお立会い!
私一人じゃ心もとなかったんで、高校時代にベースをやってたもう一人の作曲ができる相棒と、ボーカル用に友人を2人巻き込んで。オフコース好きだったので、アルバムにはいろんな人の声が入ってた方が良いと思っていたからです(ユニコーンは今でもそうですね)。

もはやうろ覚えですが、このアルバムは"Sound & Recording Magazine"で特集が組まれ、インタビューの中で平沢進はトラック作りに使用するコンピュータはAmigaであると言っていたと思います(もちろん、当時でも主流はMacです)。
そして聴いてみたら、これが電子音楽であるにもかかわらず、手作り感あふれるものでした。ボーカルにかかるエコーにしろ、シンセの音色にしろ「とにかくつまみをめいっぱい回してみました」みたいな侠気溢れるきっぷの良い音作りにノックアウトされました。

タイトルの"Sim City"は当時すでに同名のゲームもありましたが、人工的なタイの街並みの印象に由来しているのだそう。アルバムにはそのタイのニューハーフが(つまり人工的な性として)コーラスで参加しています。

そして「歌もの」としての楽しさ。平沢進の声は民謡寸前のドメスティックな歌唱で、歌詞中の英単語の発音もめちゃめちゃカタカナっぽいんですが、とんがったコンピュータ・サウンドのオケとも相性抜群で、オリジナリティ豊かなものになっています。カーステレオかけながら一緒に歌うと楽しいことこの上なし。覚えやすいメロディなので、今からでもぜひやってみましょう。
アマゾン・平沢進ストアへ

2010/02/13

点呼する惑星/平沢進

去年出たアルバムですが、つい先日、銀座の山野楽器で見つけて買ってきました。平沢進の「点呼する惑星」。もう、タイトルだけで笑みが浮かんでしまいますね。
現代美術の作品名みたいです。

「ばーっばばーばっばっばばー」
「俺たち太陽塾。よーしみんなそろってるか点呼するぞ」
「俺が先頭!水!」「金!」「地!」「火!」「木!」「どっ」「てん」「ころりん」
「ばかやろー、なんだころりんて。お前も冥王星みたいに太陽系から外すぞ」
「俺が先頭!金!」
「地!ってこの場所暑いよ、生物住めねえよ!もう、俺が先頭!地……って、だから暑いってば!」
というコントが頭に浮かびますが、平沢進は相変わらず良い!

もともとはるか昔に「月刊Keyboard Magazine」で「SIM CITY」の特集を読んで以来のリスナーで、まあ最近の作品は結構取りこぼしていますが、気がつけば聴くようにしています。
平沢進の何が良いかというと、iTunesでは"New Age"とジャンル分けされてるバリバリの電子音楽でありつつ、完璧な「歌モノ」であること。入浴中の鼻歌としても愛唱できる曲であるというのが良いです。いつかしつこくやった「歌心」っていうのがあるんですね。

布袋寅泰も(自身の声は良くないけど)ジャンルに関係なく歌好きなメロディを書きますが、平沢進は声もイイ!
ちょっと東北のオジサンみたいな発声が良い意味で日本的で、それと電子音楽のピコピコがすごくマッチして、真似したくなる。




解説はご本人が自身のホームページでやってらっしゃるので、そちらを参照されたし。
そのうち「SIM CITY」の話も書きなおそうっと。

2010/02/07

Expressions[Disc 3]/竹内まりや

Expression [Disc 3]は90年代以降の作品が並んでいます。
時代はバブル絶頂から崩壊、と世の中は転換点を迎えましたが、かといって日本中が一夜にして貧乏になってしまったのではなく、じわじわと蝕まれていく過程が何年かありました。竹内まりや自身は40代を迎えて一段と大人びていくのかと思いきや、90年代以降は特にタイアップの関係か、与えられた「お題」に対して答えを作る、職業作家的アプローチで書かれたものが多い。[Disc 2]で時折はっとさせられたリアリティとは違う味わいの作品が多くなっています。

M1.家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)
お題は「倦怠期」。今の竹内まりやが歌うとリアルすぎて怖いかもしれないが、このころはまだ30代だったので、ちょっと背伸びして書いたらしいです。アコースティックギターがいるバンドサウンドは楽しいです。

M2.純愛ラプソディ
お題は「暗くなりすぎない不倫」。楽器の音は山下達郎の"Queen of Hype Blues"なんかで聴けるエレクトリックなものですが、ミディアムテンポの曲にはめることで新しい効果を生んでいます。

M3.毎日がスペシャル
お題は「めざましテレビ」。10代〜20代の女性をイメージした歌詞は取材と想像力に頼る部分が大きかったのでしょう。かなりオーバーにカリカチュア化された若い女性の生活が唄われます。シナモンロール頬張ってでかけたら、曲がり角で転校生にぶつかっちゃうじゃないか!

M4.カムフラージュ
ああ、これは良いですね。こればっかりだと飽きるけど、やっぱりこの辺が竹内まりやの王道って感じがします。

M5.今夜はHearty Party [Single Mix]
バブル崩壊直後でまだ生活が切り替えられていない頃のOLさんの話。「元気を出して」や「Forever friends」などと同じメンバーなのかは不明。ちょっとこの話のメンバーは浮ついています。ゲストの木村拓哉の声はスピーカーだと分かりづらいけれど、ヘッドホンで聴くとセリフ以外のコーラスでも声が入っているが分かります。実際には1995年には「お茶を配るだけ」ではOLはやっていけなかったし、本当に木村拓哉が好きな子は「キムタク」とは言わない。その辺の緩さも含めて計算済み、のはず。

M6.天使のため息
お題は広末涼子の映画「秘密」。この曲は広末涼子の中の人である岸本加世子に合わせて作られています。

M7.すてきなホリデイ
お題は「クリスマスソング」。服部克久がアレンジした豪華なオーケストラのついた、本格的なクリスマスソングです。こういう保守本流な歌を作って歌えるところが竹内まりやの強みですね。他にこういうのが似合う人がちょっと思い浮かばない。

M8.真夜中のナイチンゲール
「マンハッタン・キスとどう違うの?」と思ってしまいますが、この辺になると、新味を加えるというよりもやり続けてきたことの品質を高める方に(特にサウンド面で)興味が向いているのかも。ドラマ主題歌だったそうですが、ドラマを見ない私はこのアルバムで初めて聴いたように思います。

M9.返信
お題は「戦争映画」。「どーんどんっどどん」という民族系リズムに特徴があるのでこの曲は覚えています。背景を知らなかったので、「出口のない海」の主題歌と聴いて初めて何のことを歌った歌なのか理解しました。

M10.みんなひとり
お題は「松たか子」。この曲もあまり記憶に無いですが、サビは知っていたような。「マンハッタン・キスとどう(以下同文)

M11.チャンスの前髪
イケイケ系のナンバー。70〜80年代洋楽ヒットの断片が混じっている気がしますが、「これ」と決め付けられない微妙なさじ加減になってますね。なぜ原由子が一緒に出てくるのかは不明。「蒼氓」のことがあるので、夫婦ぐるみで仲が良いというのは知ってます。

M12.うれしくてさみしい日(Your Wedding Day)
お題は「結婚式」。独身中年男には理解が難しい。

M13.幸せのものさし
「チャンスの前髪」と似た路線の、ディスコでフィーバーなナンバー。と思って聴いていると、中盤から後半は意外と地味に。本人が作曲中に考えていたサウンドと山下達郎の考えが違った?

M14.人生の扉
タイアップでお題の決まっている曲が多い[Disc 3]の中で、例外的に作り手の心情吐露的な曲。年を取ることとか、いくらでも湿っぽくできる話でも必ず明るさや爽やかさを残せるのは竹内まりやの良いところです。それは彼女の自立心に満ちた歌詞やアメリカンなメロディからも醸し出されていますが、やっぱり声によるところが大きいなあ、と感心させられる曲です。

さて、長かったExpressionsのインプレッションでしたが、次回は全く違う話になります。

2010/01/31

Expressions[Disc 2]/竹内まりや

先週に引き続き竹内まりや/Expressionの[Disc 2]です。80年〜90年代前半にかけて、竹内まりやがビッグになる軌跡を辿るパートになります。アン・ルイス、中山美穂などの有名歌手に提供した曲のセルフカバー、本人の歌唱による「シングル・アゲイン」や「告白」など「火サス主題歌」シリーズもみっちりと聴けます。

M1.リンダ
アン・ルイスに提供した曲のセルフカバー。ソングライター・竹内まりやの最初の作品ということになります。アン・ルイスは竹内まりやと友人で、一方では太田裕美と遊んでたんですね。

M2.もう一度
結婚による休養後の復帰作となったのがこの曲。竹内まりやが作詞・作曲して山下達郎がアレンジとコーラスに加わる、という黄金パターンが確立し、松任谷由実・正隆コンビを追撃する体勢が整ったわけです。ナイアガラ・サウンドを意識したようなアレンジ(ちょうどこの頃はEach Timeが出た頃で、実際に流行っていた)。

M3.マージービートで唄わせて
ビートルズへのオマージュ、と言っておいてコーラスとかビートルズよりもちょっと古い感じにまとめてあるのが面白いですね。

M4.本気でオンリーユー(Let's Get Married)
タイトルから想像するともっとポップなナンバーを想像しますが、実際には「リンダ」に近いロッカバラードです。この辺のタイトルと曲調のミスマッチな感じは、昔の、洋楽に無理やりな邦題をつけたヒット曲をイメージしているのでしょう。

M5.プラスティック・ラヴ
いかにも80年代なシティ・ポップ風です。フュージョンっぽいバンドを従えて杏里とかが歌ってそうな…。山下達郎もこの頃はこういう音楽だと理解されていたと思います。「ハロゲンライト」なんて単語がわざわざ出てくるのもこの時代らしいですね。

M6.恋の嵐
その後の竹内まりやの飯の種になる、訳ありげな大人の恋の世界を歌ったのはこの曲がはしりなんですね。この曲では「帰る場所を選べる」と言っているので、まだ深入りはしていないようです。

M7.元気を出して
薬師丸ひろ子の絶頂期のアルバムに入っていて、当時の大学生たちにとても評判が良かった曲。竹内まりや版もカラッとしていて良いですね。女の子が失恋した友人を励ます、という歌詞は意外と少なくて、それがこの曲を長寿にしています。薬師丸ひろ子がコーラスで参加しています。

M8.色・ホワイトブレンド
アイドル歌手が歌う化粧品のイメージソング、本人が「不思議なピーチパイ」を歌っていたわけですから、竹内まりやが立場を変えて加藤和彦に挑戦したことになります。この課題に関しては「ピーチパイ」の勝ちかな?この曲、ちょっと長くてダレる気がします。中山美穂もそんなに上手くなかったし。

M9.けんかをやめて
Expressionのライナーノーツで本人が「私が歌うとひどく傲慢な女に聞こえる」と書いちゃってます。アイドル歌手はもちろんですが、女の子が二人の男を手玉に取るような歌ってなかったので、その辺の「女の子の本音」のくみ取り方がリアルでイイ、と当時の女友達は竹内まりやを高く評価していました。純情可憐な我々男子は「あ、そういうものなんですか」と鼻白んでおりました。アイドルという立場上?河合奈保子はあまりその辺の底意地の悪さを表に出さずに歌っていたので、この曲の本当の怖さが男子には伝わりづらかったんですね。

M10.駅
中森明菜のアルバム用に作られた曲。山下達郎は中森明菜の歌唱が全然気に入らなかった様です。おそらく明菜のベタベタな暗い解釈に我慢ならなかったのでしょう。一方、竹内まりやはExpressionのライナーノーツで「中森明菜からの依頼だったから書けた」とフォローしています。私は竹内まりや版から先に聴いたので、確かに明菜版は辛かった。だって、この曲が言ってることって「私の方から振った元彼を久しぶりに電車で見かけたら、なんかしょぼくれちゃってて、やっぱ悪いことしたかな?テヘッ」ってことでしょ?ただしこの曲をモノにしたことで、竹内まりやは「恋の嵐」と「駅」を土台にその後のヒット曲を量産したのだから、中森明菜のおかげ、もまんざらお世辞では無いのだと思います。

M11.Forever Friends
「元気を出して」とは曲調がかなり違いますが、「女の友情」もののシリーズ。この鉱脈も結構デカくて、[Disc 3]にもこのテーマは出てきます。

M12.シングル・アゲイン
「駅」とは違って、男の方が他の女性を選ぶ形で別れた恋のその後。男が次の女性と別れたと訊いて、ちょっと揺れながらも「私と別れて後悔してるでしょ?あなたと別れた時の私の気持ちを思い知りなさい、それが対等な別れというものよ」というようなことを言っておられます。

M13.告白
かなり前に結婚はできない、と話し合って別れたはずの男から突然電話があって、「やっぱり君といっしょにいるべきだった」みたいなことを言われたが、「今頃そんなこと言われても、もうあなたと結婚しないという前提で今の生活してるんだから、困るわ」と言いつつ、「そう言われたことはいやじゃないし、あなたもそれを口にしたことをちゃんと覚えてて生きていきなさいよ」、とおっしゃっています。

M14.マンハッタン・キス
これは本格的な不倫の歌ですね。ホテルのドアに「起こさないで」と札をぶら下げて愛人と会っているわけです。「告白」までは自分または同年代の友人の経験(談)を題材にしたかのようなリアリティがあったのですが、この辺からはちょっと頭でストーリーを考えるようになったんじゃないかなあ、と私はニラんでいます。"Don't disturb"から始まって、物語が一周りして、最後にまた"Don't disturb"に帰ってくるところとか良く出来てます。

特にこの[Disc 2]に収められたあたりの竹内まりやの恋愛物って、力関係とか責任の所在が男女平等な感じがします。それゆえに男にとっても辛辣なところがあるんだけど、嫌味が無いのが美点です。それって日本人が歌ってこなかった恋愛のような気がします。その辺がオシャレであり、支持された理由かもしれませんね。

2010/01/24

Expressions[Disc 1]/竹内まりや

竹内まりやの3枚組(4枚目はカラオケ)ベストの1枚目です。
90年代にはソングライターとして松任谷由実、中島みゆきと並ぶ位置を確立した彼女ですが、1978年のデビューから山下達郎と結婚するまでは、基本的に作家に提供された楽曲を歌う歌手でした。同期をWikipediaで拾うと石野真子、杏里、中原理恵、サザンオールスターズ…。時代はピンク・レディーの全盛期であり、沢田研二と山口百恵がザ・ベストテンで歌う一方、アリスのブレイクや原田真二、世良公則&ツイスト、渡辺真知子らが現れた「ニューミュージック」の開花期にもあたります。

竹内まりやは大卒後のデビューという年齢的なものもあってか、太田裕美や中原理恵がそうだったようにアイドルとニューミュージック・シンガーの中間的イメージでテレビに出ていました。一番良く見かけたのは年末賞レースがらみで「September」を歌うところです。「September」の発音がなんか本場モンぽく、ちょっと偏差値が高そうな感じでした。
70年代デビューの女性歌手の中ではもっとも現役感がある人なので、もっと若いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、南沙織、太田裕美とほぼ同い年で、大器晩成タイプとも言えます。
それでは聴きましょう。

M1.戻っておいで・私の時間
加藤和彦夫妻の楽曲。オシャレだが素人の耳に残りにくいですね。ゴダイゴのブレイク以前にしては英語部分が多い。

M2.グッドバイ・サマーブリーズ
これ、全く憶えてないわ…。歌詞カードはカタカナですが、本人は英語風に歌っています。またそれを許す譜割りになっています。

M3.ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜
これは有名ですね。キリンレモンのコマーシャルソング。個人的にはまだ顔と歌が一致しておらず、意識して聴いたことはありませんでした。

M4.涙のワンサイデッド・ラヴ
ワンサイデッドと過去分詞がカタカナで表記されるのは当時の曲名としては珍しかったと思いますよ。これはアルバム用ということですが、自身の作詞作曲で、編曲には早くも山下達郎の名があります。

M5.September
前年に同い年の太田裕美が「September rain」と儚げに歌っていた単語を、彼女は乾いた声で、バリバリのRの発音で歌いました。この曲で集中的にテレビに出たので私もようやく竹内まりやを認知しました。私の第一印象は「南沙織が風邪ひいたみたいな声だなあ」。もっと年配の人は「伊東ゆかりみたいな声だなあ」と思っていたみたいです。

M6.不思議なピーチパイ
シンガー・ソングライターとしての作品以外ではもっとも成功した曲でしょう。安井かずみと加藤和彦のコンビによるポップな曲。当時はCMもガンガン流れててサビはいやでも覚えたし、しかもCM曲によくある「サビまでいくまでが退屈」ということもありません。前半からめくるめくように展開して、一気にCMで使われる箇所まで行ってしまいます。さすが!「かーくしきれない(っぱん)」と入るハンドクラップが効いてます。コーラスには山下達郎の声が。

M7.象牙海岸
松本隆と林哲司の作品ですが、ちょっと退屈。この頃の竹内まりやって歌い方が一本調子でこういうミディアム・スローなナンバーを聴かせられるタイプではなかったようにも感じます。アレンジはいろいろ頑張って変化をつけているんですけどね。

M8.五線紙
ギター1本の伴奏に3声コーラスという渋い曲。「いかにも松本隆」という歌詞で、メロディが変われば太田裕美のアルバムに入っていても全く違和感が無いでしょうね。

M9.Morning Glory
山下達郎のを先に聴いちゃったからなあ…

M10.僕の街へ
竹内まりやに対して林哲司が提供している曲は、いまいちキレが無いように思うのは何故だろう?なんかこう、この子の声はこう、と枠を決めてそこから一歩も踏み出さないような作り方をしているような気がする。それが悪いのかと言われると「いや、べつに…」としか言えないんですが。

M11.ボーイ・ハント(Where The Boys Are)
これはもう、もろに伊東ゆかりに挑戦したわけですね。

M12.恋のひとこと(Something Stupid)/Duet with 大滝詠一
これはオシャレ。しかも相手が大滝詠一。アレンジが服部克久という豪華版。

M13.Never Cry Butterfly
「スローなブギにしてくれ」みたいですが、作曲は南佳孝ではなく杉真理。学生時代に杉真理と活動していた、と自筆ライナーノーツに書いてあります。なるほど、そういうルーツの人なんですね。

M14.Let It Be Me [Studio Version]
2008年の新録音だそうです。サンデーソングブックの夫婦放談でも聴いたことがある曲。山下達郎とのデュエット。

気が向いたら来週辺りに[Disc 2]をやります。

2010/01/10

アワーミュージック/相対性理論+渋谷慶一郎

iTSで見つけてしまって、ダウンロードした相対性理論の新作、と言ってはいけないのか、渋谷慶一郎という人とのコラボレーション作品。3曲+バージョン違い4トラックの7曲入り。タイトル曲はM2の「アワーミュージック」ということになってます。

渋谷慶一郎がどういう人かとWikipediaで調べてみましたが、東京芸大卒の電子音楽家としか分からず。21世紀の坂本龍一みたいな人なんでしょうか?東大、東京芸大の非常勤講師というキャリアも書いてあるので本格派なんでしょう。

さて、相対性理論は「シフォン主義」から「ハイファイ新書」の流れの中で、ゴツゴツした手触りがソフィスティケートされて、聴きやすくなったという話を書きましたが、「アワーミュージック」ではそれがさらに洗練されています。
一応、M1の「スカイライダーズ」などには「シフォン主義」からお馴染みのギターの音色が出てきますが、それもすっかり角が取れて今までと違う印象です。
M1からM3を聴く範囲ではピチカート・ファイヴとかICEとかの90年代渋谷系の流れに乗っかってしまって、そういうのも嫌いじゃないけど、それだと面白くない。彼らにはもうちょっと訳の分からない存在でいて欲しいのです。

また、M4〜M6はおそらく渋谷慶一郎によるピアノ・トラックの上でやくしまるえつこがカヒミ・カリィみたいに歌っているもので、バンド・相対性理論としての音とは全く違っています。M7の、タイトル曲のリミックス・バージョンもそう。やくしまるえつこの声は(特にオッサン音楽家の)創作意欲をかきたてる声なんだろうけど、あまりに彼女が突出してしまうと、真ん中の女の子を売りたいだけの、テレビで見られる数多のユニットと同じ構造になってしまう。それではせっかく特徴ある相対性理論の、バンドとしての意味が薄れてしまうのでは?

今回は渋谷慶一郎とのコラボということで、相対性理論はこの方向で行きます、ということではないのかもしれないけれど、もうちょっとバンドとしての展開を見たいです(「やくしまるえつこの声が聴ければハッピー」という人はそれで良しとして、)。

彼らはこの先どうするんだろう?実はそんなに長くやるつもりはないのか?

2010/01/03

新年おめでとうございます

新年おめでとうございます。
秋以降、Twitterにかぶれてしまい、「はてなダイアリー」の方は思いっきりペースが落ちていますが、さすがに140字でこちらのようなくどい話は展開できないので、当ブログについてはそれほどの影響はありません。とはいえ音源を購入するという出費が伴なう記事を書いているので、あまりしょっちゅう更新できないのはこれからも一緒です。

年末には紅白歌合戦やレコード大賞なんていう行事もあって、私も見るようにしてたんですが、レコード大賞は途中で寝てしまいました。
こちらのリンク→http://www.tbs.co.jp/recordaward/で受賞者(作品)は確認できますが、なんか全然わからなくて…。しかもオリコンスタイルとかで見られる年間売上ともリンクしてないし。紅白歌合戦も、あれはあれで何をやっても毎年悪口を言われていますが、レコード大賞の歪み具合はそれを遥かに凌駕しているように思います。

もう、「なんとか協会」でやる表彰は数字のみで確認できるゴールドディスク大賞と有線大賞に任せて、うまいとか芸術性とかを表彰したいなら、それなりの見識をもったと思われている人がそれぞれに発表して、個人的に時計なり指輪なり買って贈ってあげた方が良いんじゃないでしょうか?
もう亡くなってしまいましたが、「宮川泰音楽大賞」なんてのがあったら、私は録画してでも見ます。

で、こっそり私も考えてみたんだけど、2009年にアップした弊ブログの記事は39本しかなくて、しかも新譜が少ないorz
だから私が選ぶとこんなふうになってしまう。

最優秀シングル ゆず/虹
最優秀アルバム 相対性理論/ハイファイ新書
最優秀歌唱賞 Utada/Come Back To Me(アルバム"This Is The One"より)
最優秀新人賞 Superfly/やさしい気持ちで(だって一昨年まで知らなかったんだもん!)
最優秀ミュージックビデオ 桑田佳祐/昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦
企画賞 和幸/ひっぴいえんど、倖田來未×misono/It's all Love

相変わらず歪んでおりますが、今年もよろしくお願いします。