阿久悠さんが亡くなったそうですから、追悼として何か曲を紹介しましょう。
この曲は、ご存知郷ひろみのヒット曲です。私は作曲が鈴木康博であるということで特別に良く覚えています。ちょうどYassさんがオフコースを脱退してソロで活動を始めてすぐの頃に発売されました。なぜ郷ひろみ?なぜ作詞が阿久悠?と不思議な気がしたものです。
また、郷ひろみ側から考えてもなぜ作曲に鈴木康博?という疑問が湧くという、不思議な3人の取り合わせです。強いてこじつければ、このちょっと前に西城秀樹が「眠れぬ夜」のカバーを歌ったので、「じゃあ俺もオフコース。だけど小田和正じゃない方で」という選択なのかな、と思ったんですけどね。
しかもこの3人、この作品に向かってそれぞれに力が入っています。
阿久悠は、当時流行っていた「シンデレラ・コンプレックス」という言葉を無理矢理はめ込んで、新機軸を打ち出そうとしています。これは「ニューミュージックの大物」を作曲者に迎えて、これで売れなかったらまずい、と思ったんじゃないでしょうか。
一方、Yassさんも頑張っています。この曲はブロックが4つもあって、サビから始まって、サビ-A-B-A-C-サビという複雑な成り立ち。オフコース時代にサビから始まるYassさんの曲って言うと、えーと"SAVE THE LOVE"くらいしか知りません。あれも構成がしつこい曲でした。彼もこの曲が独り立ちに向けた絶好のステップであるという自覚があったに違いありません。
一方、この小難しい成り立ちの曲を郷ひろみも懸命に歌い踊りました。鈴木康博の曲に振りが付いたのは始めてじゃないでしょうか?そして、ちゃんと郷ひろみ風ラテン歌謡ナンバーにしてしまいました。鈴木康博はその出来映えが小っ恥ずかしかったのか、セルフカバーの際には歌謡曲色を極力排除したストイックなアレンジにしてあり、私はこっちの方が好きです。
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